2020/07/28 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に水無月 沙羅さんが現れました。
神代理央 > 様々な事後処理、後片付け。
風紀委員会の面倒事もぼちぼちと片付き始めた頃。
漸く退院が叶った恋人を、気晴らしにと買い物に誘った場所は、オープン間もない百貨店。
……実は、何を買おうとか特に考えていなかったのだが。
女子ならば洋服とか、アクセサリーだろうかと、訪れたのは百貨店のファッションエリア。

「…ああ、そうか。もう海開きして1週間は経つのか。
そろそろ、あそこの警備シフトも出始める頃かもな」

ファッションエリアの特設コーナーには、サマーファッションに加えて色とりどりの水着がマネキンに着せられて並べられている。
もうそんな時期か、とちょっとしみじみ思いながらも、頭に浮かぶのは仕事の事ばかり。

水無月 沙羅 > 「……理央さん。 誘っておいていきなり仕事の話をするのはどうかと思いますけど。
 気晴らし……って言ってませんでしたっけ?」

病院から退院許可は出たものの、定期的な通院と処方された薬の服用を義務付けられている毎日。
現場に出るのは危ないからと書類に埋もれている毎日に厭気も刺してきた頃に、オープンしたての百貨店に行かないかというお誘い。
これはひょっとしていわゆるデートというやつなのではなかろうか、と一瞬期待した自分は数瞬後には奈落の底に突き落とされていた。

まぁ理央さんはこういう人である。
分かっていたことだ。

「理央さんは海、行かないんですか? 個人的にとか。 フレイヤさんとか、誘わなくていいんです?」

あえて自分の名前を出さなかったのは皮肉の様なものだが、さて朴念仁のこの人は気が付くのであろうか。

神代理央 >  
「…む、すまない。どうにも休日も仕事ばかりしていたから、癖の様になっていてな。俺がこの有様じゃ、気晴らしにもならないな」

あっ、と言わんばかりの間を空けて。
ちょっとバツの悪そうな表情で項垂れた。
そう、気晴らしだ気晴らし。彼女の為にも、此処は仕事の事を頭から放り出さないといけない。
というか、こっそり相談した風紀委員の同僚達にも言われていたではないか。

「海に?フレイヤと?……んー、アイツもアイツなりの交友関係があるだろうし、此方から誘うのはな。保護者役をアースガルズの方々に頼まれれば、そういう事もあるだろうが」

基本的にレジャーは楽しまない主義である。
妹分のフレイヤとも、彼女の交友関係が第一。共に行くなら、お目付け役の様な立ち回りになるだろうと苦笑い。
しかし、直ぐにその表情は不思議そうなものに変わり――

「…というより。海に行くならお前とだろう。お前が行きたくないなら別だが」

水無月 沙羅 > 「そうですね。 偶には家でゆっくりしてもいいんですよ?
 結局その仕事。私の手伝うことになるんですから。」

彼の右腕としては、なるべく近くで仕事をしていたいという欲はある。
退院したてで無理を言って書類仕事を回してもらっているのもそのためだ。
最近、何やら外に出かけることが多い気がしている、気のせいだろうか。

ちなみにフレイヤとの家庭教師の関係は続いている、理央さんには話してはいないが。
話すとそれはそれで周りからいろいろ固められそうだから。

「……あ、ちゃんとそういう認識はあるんですね。 少し安心しました。
 いえ、理央さんがそもそも行きたがらないから今年も無しかな、と思っていたところです。
 今年も、というか行ったことないんですけど。
 私と行きたいですか? 海。」

彼女としてみてもらえているという安心感を得られたことに安堵して、ちょっとだけ思わせぶりに彼の目を覗き込んでみる。
少しだけ姿勢を低くして、後ろ歩きに。
こういう時胸がないのって不利だよなと思った。

神代理央 > 「結局のところ、俺は前線職…というか、そういうくくりだからな。島に残っている以上、仕事が降ってくるのは仕方ないさ。
とはいえ、俺は接近戦ダントツに弱いからな。沙羅と一緒だった時は、もう少し大きく構えていられるんだが」

以前なら、彼女を連れ立って任務に行く事など許さなかっただろう。
しかし、重荷を背負う、と言ってくれた彼女にちょっとだけ頼る様には、少しずつ己の意識も変わってきているのかもしれない。
実際、護衛無しで落第街やスラムの警邏に当たって、接近戦型の違反者と戦闘に陥る事は良くある。毎回生きた心地がしない。

――風紀委員内部にて、諸々工作を行っている事はまだ彼女には話をしていない。するつもりではいるのだが、未だ何も形になっていない事を話して、気を揉ませたくないというのもあるのだが。

「……認識?何だか良く分からぬが、微妙に馬鹿にされてる気がするんだが…。
…まあ、行きたがらないというか、俺は泳ぎが余り得意じゃないし体力も無いからな。海とか行ってみろ。直ぐに干からびるぞ」

何故か自慢げ。自分の体力が無い事がとても自慢げ。
余談ではあるが、夏場でも長袖の衣服やジャケットを好むこの少年は夏場でも日焼けする事は無い。
海とか行ったら日焼けで酷い事になるだろう。

そんな取り留めも無い会話の最中。
此方の目を覗き込んでくる彼女の瞳をきょとんとした様に見つめ返せば。ゆるりと笑みを浮かべて唇を開き――

「……当たり前じゃないか。可愛い恋人と海に行きたくないと思う男が、此の世に存在するのなら、是非御会いしたいものだな」

例え海が苦手だったり泳げなかったりワーカーホリックだったり日焼け気にする系の男子だったとしても。
それでも、恋人と海に行きたいと思うくらいには、健全な16歳の少年だった。

水無月 沙羅 > 「……良く言います、私を連れて行ったことなんてほぼないに等しいのに。」

まるで一緒だったときがあった、みたいな言い草である。
それはおそらく最初に出会った一回きりの事だろう、その時もその後も、この人はついぞ私を前に出すことは許さなかったというのに。
少しだけ頬を膨らまして抗議して見せる、精々少しは困るといいのだ。

「恋人として意識されているのか不安になりますからね、そうまで仕事人間だと。
 それこそ……他の女の人にうつつを抜かしているんじゃないかとか。
 えぇ、エインヘリヤルさんとか?」

ついこの間の事を思い出してちょっとだけ意地悪をして見せる。
誤解だ、というのは実のところ伊都波先輩から聞き及んでいるから知ってはいるのだが。

「冗談です。 先輩は確かにもやしっこですからね。 体力なくなってビーチに漂流してそうですよね。」

想像して、少しおかしくて笑ってしまった。
彼には悪いが、おそらく単純な力勝負なら彼にもう負けることは無いだろう。
その程度には彼は風紀委員という割にはかなりひ弱な部類だった。
重圧をひとえに受け止められるのは異能の強力さのおかげなのだろう、そういう意味ではかなり危うい。

「可愛い恋人……ですか。 水着とか、期待しているんですか?」

男性が海に期待することといえば、まぁだいたい一つだろう。

神代理央 >  
「…いや、まあ。それは……うん。すまなかった…」

少しは、どころではない。結構困ってしまった。
これもそれも過去の己の行いの所為なので、誰を責めるかと言えば自分を責めるしかない。
結局、頬を膨らませる恋人を可愛いな、とちょっと思考を飛ばしながら。がっくりと項垂れるのだろう。

「…エインヘリヤル嬢とか?冗談はよせ。彼女が、俺をそんな目で見るものか。御互い良いビジネスパートナーである事は否定しないが、それだけだよ」

病室のビデオ見られて無いだろうな、と大分焦りつつも。
御互いに利用し合っている関係である事は事実なので、其処は素直に認めながら彼女の杞憂を笑い飛ばす。
……エインヘリヤルも言っていたが、そんなに女性関係が爛れている様に見えているんだろうか。と、内心首を傾げつつ。

「…もやしっこ。いや、まあ、否定は出来ないが、その、言葉に悪意が無いか……?」

貧弱とか軟弱とかもしょんぼりするが、よもやもやしっことは。
筋トレでも始めようかな、と真面目に悩みながら小さな溜息。
実際、近接戦闘において彼女に勝てる気がしない。それは男として情けない話ではないだろうか。
異能に頼りっぱなしの戦闘スタイルも考え直したい事ではあるし。

「……それは、まあ。それなりに。……というか、其処まで言わせるのは卑怯じゃないか…?」

流石に其処まで言わされれば、僅かに頬を赤らめてそっぽを向いてしまう。
鉄火の支配者として名を馳せている以上、情けない姿は見せたくは無いのだが。無いのだが。

水無月 沙羅 > 「ふふ、少しはいろいろ懲りたようですから? 今回は見逃してあげます。」

色々な意味で、別にエインヘリヤルさんに限らず、彼に近しい女性は多いという噂は耳にする。
あの『ラ・ソレイユ』とか。ゆっき―先輩とか。理央の周りには女性が多すぎるという事に自覚がないらしい。
それも、美人なというカッコ書きが必要になるから性質が悪い。

―――気のせいか? 今かなり焦ってなかっただろうか。

「意地悪なら多少は? だって理央さん、ベッドに連れて行く時だってかなり無理したでしょう。」

耳に顔を近づけてこっそりと、彼にだけ聞こえる様に。
クスクス笑うと赤らんだ顔を離して二歩散歩離れて微笑んで見せる。
照れている自分の彼氏が可愛らしくてこっちまで恥ずかしくなった。

「でも私、水着とか持ってませんからね。 そういう事なら買わないといけないでしょうか。
 うーん。兄さんに相談するべきかな。」

流石に、スクール水着を着ていくのが恥ずかしいということぐらいは分かる。
おそらくみんなおしゃれな水着を着ていくのだろう、彼の隣にいる以上はそれなりに洒落たモノを着ていきたいという気持ちはある。
出来れば露出は控えめな方向で。

神代理央 >  
「…そうしてくれると助かる。何というか、沙羅は色々と逞しくなったよな…」

口調と声色こそ、苦笑いを含んだものではあったが。
最初に出会った時は己の後ろをついてくる犬の様だった彼女が、此処迄変わった事に正直驚いていた。
己だけでなく、彼女が様々な出会いと経験を経た結果なのだろう、と素直に嬉しく思う。
思うのだが――何というか、女性問題に対する嗅覚も鋭くなっている気がする。やましい事はそんなに無いのだが。……多分。

「……そのベッドルームで、散々啼かされていたのは沙羅の方だったと思うんだが。今は沙羅の体調を慮って、俺も我慢しているだけなんだけどな?」

耳元で囁かれる、睦言の記憶。
直ぐに離れた彼女を追いかける様に足を踏み出すと、御返しとばかりに彼女の耳元で囁いた。
――公衆の面前で有る事を思い出して、ちょっと咳払いして直ぐに離れたのだが。

「そういえば、沙羅のお兄さんにも挨拶しなければならないな。機会があれば、早めに顔を出したいものだが。
……あと、その、何だ。折角百貨店に着ているんだから、別に今日買っても良いんじゃないか?」

水着をどうしようか、と悩む彼女に、少し歯切れの悪い口調で提案してみる。
一緒に水着を買おう、とストレートに言える程、恋愛のイロハを理解している訳ではない。恋人の水着選びに付き添うというのが気恥ずかしいという思いもある。

それでも、そういう買い物は自分に相談して欲しいという年頃な悩みも、少年は持ち合わせているのだ。

水無月 沙羅 > 「やっぱり先輩はえっちです……。」

ちょっと身を抱える様にして、うわぁ……という視線を向けて見せる。
もちろん冗談であり本気で嫌がっている訳ではない、が。
流石に公衆の面前でそういうのはやめていただきたい。
最初にやったのは私だけど。

「あぁ……斬鬼丸兄さんですか。 男子寮にいるので会おうと思えば会えると思いますよ?
 最近は、気になる女性ができたらしいので必ずいるとは限りませんけど。」

「それは、えーっと、先輩が選ぶという事ですか?
 そこは、海本番を楽しみにしておくとかじゃないんですね。
 いや、良いんですけど、良いんですけど……。
 じゃぁ、何かリクエストとかあるんですか?」

あの朴念仁が此処まで言葉にするのはかなり勇気が要ったのではないだろうか、という事を考えるとむげに断るわけにはいかない。
でも公共の場で水着の試着とか……あんまりしたくないなぁ。
しかも彼氏連れで、もしかしなくてもかなり恥ずかしい、
想像するだけで顔が真っ赤になった。

神代理央 >  
「…その発言についてのコメントは、差し控えさせて貰おう」

流石に自分の発言が公共の場に相応しくなかったのは分かっている。
分かっているのだが、実際言葉と態度にされると中々に心を打つものがある。悲しい方向で。
深い溜息を吐き出した後、彼女の身内についての言葉に瞳を瞬かせる。

「ざんきまる。斬鬼丸というのか。男子寮……ふむ。今度尋ねてみるか。 気になる女性…?ほう、良いじゃないか。青春を楽しむのは学生の特権だ。学業を疎かにせぬ範囲で、想いを叶えて欲しいものだな」

と、ちょっとしんみりした感情と表情は次いで投げかけられた言葉にあっさりと崩壊する。
普段は高慢で傲慢な表情ばかり浮かべているので、表情筋が痛い。

「いや、そういうわけじゃ。そういうわけ……でもあるんだけど。
その、沙羅が嫌だったら別に無理強いはしない、し。
リクエスト…リクエスト……? …えーと、その、あんなの、とか?」

女子の水着など、これっぽっちも知識が無い。
かつて存在したソビエト連邦という国家の歴代国家元首なら暗記しているが、女子の水着など『水着』というくくりでしかない。
しかも、己の言葉で恋人が顔を真っ赤にしていれば、何か間違ったかと此方もあわあわするばかり。

視界を巡らせて指差した先にあったのは――ウィンドハイネックのビキニにパレオを纏った水着。
露出度の高すぎない清楚なイメージが彼女に似合っている、と思った。思ったのだが、それを実際言うのは凄く恥ずかしい。
――もう少し慣れた奴に相談してから誘えば良かったと。
切実に後悔していた。