2021/03/04 のログ
雨見風菜 > 「うーん、ウイング……色変えるくらいなら簡単でしょうけど、形状は流石にそうそう変えられないでしょうしねぇ」

高く、複数所持はなかなか難しそう。
そう悩んでいる風菜を見つけた冬織の姿には気付かない。

「んー……なんというか。
 色鮮やかな航跡とか、光の粒とかできたら……
 魔力消費が大きくてもまあ其処は慣れでなんとかなるんじゃあ……?」

阿須賀 冬織 > どうやら、熱心にパーツを見ているらしくこちらには気付いてなさそうだ。

「よう、雨見じゃん。すげえ熱心そうに見てるけど、このスポーツやってるのか?」

ちょうど興味が湧いていたので、独り言が途切れたタイミングを見てこちらから軽く声をかけてみる。

雨見風菜 > 不意に声をかけられて振り向く。

「あら、冬織さん。
 ……まだ、やってるわけではないんですよね」

やり始める前、必要なものを買おうとしている状態なのだ。

「腰パーツや背中パーツが良さそうな感じなんですけどね。
 私のやりたいことをやるならいくつも買って使い分けるべきかなと。
 一番の問題としてお金がないことなんですけどね……」

阿須賀 冬織 > こちらの声に気が付いたようで彼女が振り向いた。

「あー、成程……。色々と呟いてたから、てっきり経験者なのかなって思ったんだけど……。」

どうやら、これから始める為の装備選びをしていたようだ。
会話を続けながら、彼女の方に近寄って、どんなものを見ていたのかなと眺めてみる。

「……うわっ! 結構いい値段するんだな……。へー…、やりたいこと?
さっき知ったばかりだからあんま詳しくないんだけど、大会でも出るのか?」

目に入った値札は、中々いいお値段で……空を飛ぶ事を考えれば妥当なのだろうが。

雨見風菜 > 「体験してみて、いい感じだったので自分でもやろうかな、と。
 まあ、大会に出るわけじゃないんですけれども」

自分のスタイルはどこかで頭打ちになるのは目に見えている。
しかしながら、気分的にそれを崩す気にはなれない。
まあ、誘われたら参加する程度はするけども。

「単に、これで飛びたいだけですね。
 まあ、普段の移動ならこれがなくても事足りるんですけれども」

『糸』で飛ぶのとは全く違う飛び方ができるから。
はっきり言って速度なら『糸』で飛ぶほうが出る。
だが、S-Wingなら泳ぐように飛ぶことができるから、魅せる飛び方ができるかも知れないと。

現実には、スカイファイトによる魅せが主流ではあるのだが。

阿須賀 冬織 > 「あー、体験会とかやってたのか。……またどこかでやるか後で調べてみようかな。」

もし参加できそうなら参加してみようかななんて思いつつ

「へぇ…飛べるんだ、羨ましいな……。
……すでに飛べるのに、これで飛びたいって言うくらいには楽しいんだな。」

空を自由に飛ぶ。そのことについては人並みに憧れのようなものは抱いている。
魔法か何かかなと思いながらも、そうして既に飛べる人でもこれで飛びたいと言うエアースイムにますます興味が湧いてくる。

雨見風菜 > 「先日まで大会が行われてましたから、その時に。
 以降も似たような機会があるでしょうしね。
 ……何なら、杉本久遠、という先輩方が本腰を入れてされております。
 彼に相談してみるというのも手、でしょうね」

もしかしたら、体験させてくれるかも知れない。
そうでなくても、体験する場を紹介してくれるかも知れない。
なんにせよ、マイナーなスポーツであることは聞き及んでいるから、興味ある人間を無碍にはしないはずだ。

「自前で飛ぶのはもう直線的で。
 エアースイムみたいには中々」

まあ、曲線的な飛行もできないことはない。
だが『糸』での制御は極めて難しく、『触手』に乗るのでは遅いのだ。
それで滑らかな飛行というものはできない。

「なんなら、冬織さんも私の異能で一緒に飛んでみます?」

くすり、と微笑んで。

阿須賀 冬織 > 「あー、じゃあ活動はちょっと落ち着いてる時期ではあるのかな。
成程……杉本先輩、な。わかった! ありがとう。」

スポーツだし部活とかもありそうだから、帰ったらきちんと調べてみようか。

「成程……やっぱスイムってだけあって結構自由に動けるんだな。」

彼女の飛び方がそこまで自由に動けないのであれば確かに選びたくもなるかと納得。

「……えっ、いいのか!?」

思わぬ提案に少し目を輝かせ。

雨見風菜 > 「ええ、それはもうスイスイと」

そう飛べるのは熟練者だ。
風菜が規格外なだけなのは自覚していない。

「ええ、良いですよ。
 減るものではありませんし……それに、今日はもうそろそろ帰ろうと思っていたところです。
 さて、どこまで行きましょう?」

阿須賀 冬織 > 「へぇ……体験するのが楽しみだなあ。」

彼女が規格外なことなど、今この競技を知ったばかりの彼に分かるはずもなく。

「んじゃあ、言葉に甘えてさせて貰おうかな。……んー、それなら学生街の寮に住んでるから、
どっか適当な場所までで。」

行き先は、自宅の方向だけ伝えてお任せすることに。もし方向が違うなら、少しだけ体験させて貰えたらいいかなと。
……そういえば直線的な飛び方が基本になるってどんな飛び方なのだろうか。

雨見風菜 > 実際、体験会でも風菜の泳ぎを見て簡単だと思った人々が現実に打ちのめされている。
果たして、冬織は心折れずにいられるのだろうか。

「わかりました、じゃあまずは外部階段まで行きましょう。
 ここからでは迷惑になりますし」

流石に百貨店内で飛ぶには誰かにぶつかりそうだ。
緊急というわけでもないし、避けたほうが良いだろう。

阿須賀 冬織 > そういう点では伝聞だけで済みそうな彼は幸運なのかもしれない。
実際にその姿を見るよりか、聞いただけの方がまだ負うダメージは少ない……はずだ。

「んまあ、流石にこんなに人がいる所で飛ぶわけにはいかないだろうしなあ。」

ここで飛ぶのが迷惑になるのは容易に想像がつくため、同意して後ろについていく。
何気にここの外部階段を使うことなんてなかなかないなとどうでもいいことを考えたり。

雨見風菜 > そうして、手近な外部階段に出た、のだが。
がっちりと、金網で外に飛び出さないように対策されている。

「では失礼して……あ、もちろんしっかりつかまっててくださいね。
 後、飛んでるときは口を閉じててください、舌をかみますから」

だがそんな状況も何のその。
そう言って、冬織に抱きついて、『糸』を彼と自分に巻きつける。
当然、乳房が彼に押し当てられる。
其処から、空間転移を発動……金網の外、空中に出る。
落下する前に『糸』を伸ばし、空中に固定して一気に巻き上げる!
かなりの速度で、慣性により投げ出されるかたち。
その勢いのまま、次々と糸の射出と固定、巻き上げを繰り返していく。
最短距離を飛び、あっという間に男子寮と女子寮の分岐点のところに無事着地、冬織を解放する。

「まあ、こんな感じです。
 流石に二人で飛ぶと、一人のときより遅くなりますね」

阿須賀 冬織 > 「――っ---!!??」

突然抱き着いてきた彼女に驚きながら、そのまま糸で巻かれる。
何か当たっている気がするが、それを口に出す前に状況が一変した。
気が付けば鉄格子はなく、感じるのは浮遊感。

……どうやら糸を出して飛んでいるらしい。
なんていうか、アニメだとかでジャングルの蔦を飛び移るのが近いのだろうか?
蔦はなんかよくわからない方法で空中に固定されてるみたいだが。

「っあー…………びっくりした…。こんな、飛び方あるんだな………。」

飛んでいる時間はあっという間に過ぎ去り、足が地面につき開放される。
少しよろけながらも、感想が口から出る。

「……この速さで一人の時より遅いのか……。にしても、ほぼ直線にしか飛べないって理由が分かったわ。」

そりゃまあ、この飛び方? で自由自在に曲がる、というのは難易度が高そうだとわかる。

雨見風菜 > 「ええ、私だけのときはもっと速いですよ。
 小回りが利かないわけではないですけども、やはりエアースイムのようにはならないですし。
 飛行魔術や翼だとか、空を飛ぶための異能ならなんとかなるかも知れませんが。
 テレポートは習得してるんですけど、そちらはさっぱりなんですよね」

そう言って、女子寮への道に一歩。

「さて、それじゃあ私は失礼しますね」

冬織に軽く一礼し、女子寮へと帰っていくのであった。

阿須賀 冬織 > 「あー、最初のあれはテレポートなわけか。」

突然、外階段から空中に移動した理由について納得しつつ。

「っと。遅くなったけどありがとう。思ってたのとはちょっと違うけどすっげー楽しかったよ。
それじゃ、気をつけてな。」

想像とは違うかったが、空を飛ぶ感覚と言うのは新鮮で面白いものだった。
自分で思うように飛べたらもっと楽しいんだろうなと期待が高まる。
忘れてたお礼をいいつつ、こちらもそれじゃと返して男子寮の方へと歩き始めた。

ご案内:「扶桑百貨店 異能・魔道具エリア(7・8F)」から雨見風菜さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 異能・魔道具エリア(7・8F)」から阿須賀 冬織さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」に黛 薫さんが現れました。
黛 薫 >  
扶桑百貨店、フードコートエリア。
わざと食事時を避けた時間帯の隅の席で
スマートフォンの画面を眺める女子生徒。

「……んー……」

テーブルの上には自販機で買った紙コップの珈琲。
最安値、1杯80円のものにスティックシュガーを
3本とミルクを2カップ入れた、激甘仕様。

飲み物を買うお金も本来なら惜しいところだが、
飲食物なしにフードコートの席を占領するのは
(食事時を避けて人が殆どいないことを鑑みても)
気が進まないので、場所代と割り切る。

黛 薫 >  
スマートフォンの画面はバックライトOFF、かつ
節電モードONで慣れていない人が見たら真っ暗に
見えるほど。電池の余裕は心の余裕、落第街には
無償で充電できるスペースがなかなか無い。

こんな場所で違反学生が何をしているかと
問われれば……つまり、バイト探しである。

スマートフォンでバイトを探すだけなら場所など
態々気にする必要がないのでは、と思われるかも
しれないが、違反学生の身ではそうもいかない。

まず、スマートフォンは結構高価な品である。
落第街、スラムでは出来るだけ扱いたくない。
はっきり言って個室ですら安全とは言い難いし、
路上で使おうものなら引ったくられる。

当然、違反学生だから学校には入り辛いし、
適当なお店に居座るには懐が寂しすぎる。
公園は短時間なら悪くないが、長く居座ると
思いの外『視線』を集めたりする。

そうして彼女が辿り着いた妥協案が此処だ。

専用アプリで日雇いバイトを探し、虱潰しに応募。
立場が立場なので滅多に雇ってはもらえないが……
働かねばお金は手に入らないし、復学も望めない。

虱潰しと言っても、日付や時間は被らないように
気を付ける必要がある。どうせ受からないからと
気にせず応募したらダブルブッキングを起こして
大変な思いをしたのも最早懐かしい。

黛 薫 >  
基本的に応募するのはネット上に応募フォームが
ある仕事だけ。履歴書や証明写真が必要になると
採用率から受かっても赤字になりかねないからだ。
履歴書はともかく証明写真は意外に高額。

それから、今に限っては面接のあるバイトもNG。
異能やら容姿やら色んな要因があって、面接自体
苦手ではあるが……特に今は顔に傷が付いている。

経験則から顔を怪我していると面接は1発でアウト。
スラムで(比喩ではなく)踏んだり蹴ったりな目に
遭ったばかりで、あちこち痣だらけな現状では
時間と精神だけ消耗する羽目になるだろう。

まずもって違反学生であり、14歳という若さの
自分を雇ってくれる職場など、それこそ猫の手も
借りたいようなところばかり。期待は禁物。

……軽い仕事を斡旋してくれる、と言ってくれた
風紀委員もいるにはいるのだが、それに縋るのは
本当に最後の手段にしたい。意地というよりは、
後ろめたさによるささやかな抵抗。

黛 薫 >  
1番当たって欲しいのは資格試験の監督業務。
楽だし、何より珍しく自分の異能が向いている。
普通の受験生は試験官に『視線』を向ける余裕が
ない。つまり警戒の『視線』を向けてくる奴だけ
マークすれば良い、簡単なお仕事だ。

とはいえいくら異能をアピールポイントにしても
試験監督には公正さが求められる。違反学生という
立場は大きなマイナス点で、お呼びがかからない。

商品のカウントをする仕事も『視線』が無いという
利点があるものの、何せ薬中毒でよく朦朧として
いるから、正しくカウントできているのか自信が
持てなくて、申し訳ない気持ちになる。

この2つのバイト以外は概ね苦痛が伴う。
ティッシュや広告、試供品の配布は嫌な『視線』を
向けられやすいし、引っ越しの手伝いをはじめと
した肉体労働は体力も力も足りていない。内職系の
バイトも手先が震えやすいから自信が持てないし、
何故かその手のバイトは監視が厳しく『視線』に
精神を擦り減らされる。

黛 薫 >  
アプリでの応募が全滅したら足で稼ぐしかない。
つまり、公的なアプリの審査で落とされるような
グレーゾーンということになるのだが。

校則違反ギリギリのバイトをするにあたって、
大きな利点は余計な詮索をされないところ。
周りも自分と同じ違反学生、ないし二級学生が
多いから、深入りしないのが暗黙の了解として
広まっていて、同僚からの『視線』は痛くない。

ただ『訳有り』なだけならそれだけで事足りる。
しかし自分の場合はここでも異能が足枷になり……
つまりその手の仕事に向けられる『視線』は最悪の
部類に入るから、精神の消耗が尋常でない。

こいつも違反者か、という突き刺すような侮蔑。
グレーの仕事をするくらい困っているのなら、
良いように『使える』だろう、という下心。

思い出すだけで気分が落ち込み、手が止まる。

黛 薫 >  
「ぁ゛ーー……」

一時休憩。氷入りの紙コップに突き刺した細めの
ストローで甘味の強いコーヒーを一口だけ啜る。

普通に飲むとあっという間に無くなってしまうので
一度にたくさん飲めないストローを使おう、という
考えだが、そういえば自分以外にストローで珈琲を
飲む人を見たことがないな、と思い至る。

自販機の横、スティックシュガーやミルクと一緒に
置いてあるから、需要がないはずはないのだが。

こういうどうでも良いこと、今考えたいこととは
全く関係がないことばかり気になってしまうのは
頭が疲れているからだ、と経験則で知っている。

このまま画面を見ていても捗らない、どころか
下手を打てば大きなミスをする可能性さえある。
だから一旦休憩するべき……ではあるのだが。

(……もぅ、ちょっとだけ……)

何となく、今手を止めたら今日はもう何も出来なく
なる予感がして、うつらうつら、舟を漕ぎながら
スマートフォンの画面を流し見ている。