2022/07/27 のログ
紅李華 >  
 
「是吗?
 いいとこなんだねー!
 お花たくさん、とってもいいところ!」

 すてきな場所でうまれたんだなぁって思う!
 だから、やさしー子なのかな?

「んとんと、さわってみる?」

 おともだちが気になるみたい。
 なかよくしてくれるかな?

 ――さらにぐいぐいと距離を詰めていく。
 不器用な優しさを感じ取ったのか、警戒心は皆無である。
 少女の前で膝を曲げて、頭を見せた。
 揺れるお団子二つと、李の花。
 花は瑞々しく、とても生気に満ちている。
 

ご案内:「扶桑百貨店 久延毘古書房(9F)」に黛 薫さんが現れました。
黛 薫 >  
「ぇ」「あ」

気後れしつつ、しかし無意識の動作は早かった。

膝を曲げ、頭を差し出す貴女の身体を支える形で
手を添える。纏めた髪に良く目立つ華、賑やかな
頭に『重そう』という感想を抱いたのもまた事実。

触れられる距離に来た頭に、重さを肩代わりする
支えとして、無意識のうちに手を差し出していた。

「……イィの?」

確認の言葉もしっかり返事するだけの間を持たせて、
おずおずと手を伸ばす。繊細な所作で茎を、葉を
謎って、花弁は軽く触れるだけに留める。

不器用な人がするような慎重さ。それに似合わず
機械のように精密な指先の動きはちぐはぐさすら
感じさせる。

慈しむように軽く触れ、おまけにちょっとだけ
指先でお団子頭に触れて、ほっと吐息を漏らす。

「ありがと」

興味がある、触れてみたいと思っていたのか。
それとも単に大切な物に触れさせてもらったから?
小さく感謝の言葉を告げ、少女は一歩足を退いた。

紅李華 >  
 
「好的!」

 にっこり!
 ふふー、手があったかーい。

「んっ、ぇふ、んふっ――」

 優しいさわり方。
 やさしくて、てーねーで、なんだかむずむずしちゃう。

「太客气了!
 えへへ、へんな声でちゃった」

 てれちゃう。
 ちょっとはずかしーかも。
 でも、とってもあたたかい手で、どきどきしちゃった。

「――んっ!」

 やさしくてとってもいーこ。
 おともだちになれるといいな。

 ――頭に咲いた花は、その根が脳の細胞一つ一つに絡みついている。
 つまり、花に触れるとそのまま感覚が伝わったりするのだ。
 今回の場合に合う表現をするのなら性感帯みたいなものなのである。
 それゆえか、少し顔を赤くしながら、少女に右手をぐっと差し出す。
 握手を求めるように、余った袖から細くて小さい指先が少しはみ出した。
 

黛 薫 >  
「……そゆ顔されっと、その。反応に、困る……」

本来なら、どんな感触が貴女に伝播したのかは
触れた側の少女は知る由もない。精々表情から
推察するのが関の山。

その割には頰を染めて余り気味な袖で口元を隠して、
恥ずかしそうに俯いていて。まるで感じた気持ちが
そのまま伝わってしまったかのよう。形は違えど
彼女もまた『感じやすい』性質なのだろうか。

前髪の下でうろうろと落ち着かなさ気に揺れていた
瞳は、伸ばした貴女の指先を目ざとく見つけていた。
僅かな逡巡の後、応えるように袖口から覗く指──
絆創膏と細かな傷跡が目立つ手を差し出した。

「……黛薫(まゆずみ かおる)。あーしの名前」

『おともだちになれるといいな』なんて内心まで
伝わっていたかのように、名前を教える呟きを。

紅李華 >  
 
「――太好了っ!
 叫、李華!
 嗯――みょーじ、ホン、なまえ、リーフア!
 あのね、けんきゅーくでお仕事してて、せんせーもしてる!
 你好! かおる!」

 かおる!
 すてきな名前だ!

「――哎呀!
 そーだおかいもの!
 好了、拜拜かおる!」

 がらごろがらごろ。
 かおるに手を振って、お買い物の続き!
 こんどはがっこーで会えたりするのかなー?

 ――とても嬉しそうに自己紹介をして、大喜びな様子を身振り手振り、お団子もお花も揺らして表現する。
 けれどすぐに、なにかを思い出したように声を上げると。
 慌ただしく、カートを転がしてショッピングに戻っていくのだった。
 

黛 薫 >  
「ホン・リーファ。ん、覚ぇ……えっ先生?」

研究職については自分も卵ながら、分野毎の差が
大きいから一概に一緒とは言えないからな……と
聞き流していたところに予想外の一言。

見た目と職業(たまに年齢も)が一致しないのは
この島では日常茶飯事だが……いつまで経っても
慣れそうにない、だなんて首を横に振ってみたり。

買い物に戻る新しい友人……後に先生相手でも
友人を名乗っていいのか一頻り悩むがさておき。
遠ざかる貴女の背を見送ってから、本を抱えて
レジへと向かうのだった。

ご案内:「扶桑百貨店 久延毘古書房(9F)」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 久延毘古書房(9F)」から紅李華さんが去りました。