2022/08/03 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」にシャンティさんが現れました。
シャンティ > 「……へ、ぇ……?」

静かに歩く。女はほどほどに気を使ってはいるが、今や認識ができない。できないものに気を使うのは難しいものだ。
それでも、久方ぶりに見る服というものはどこか興味深くはあった。

「浴、衣……あぁ……民族、衣装……ね。」


女も自らのアイデンティティを示す服を持ってはいる。最近はすっかりと縁がなくなってしまっているが。


「……いま、いち……イメージ、が……うか、ばな、い……わ、ねぇ……?」


女に浮かぶのは文字列にすぎない。それを補助するのはあくまで想像力でしか無い。

シャンティ > 「……ん」

ふと、足を止める。女は奇妙な感覚を味わっている。


「……私、なに、して、るのか、しら、ねぇ……」


人差し指を唇に当て、首を傾げる。自分の見るのは、人の営みであって……自分ではない。ここ最近、少し動き方が違う気がする。


「……舞台、の……上……」


小さく吐息をはく

シャンティ > 「ま、あ……いい、わ……な、ら……せい、ぜい……おど、って、みま、しょ……」


前に広がる服の森に足を踏み入れていく。ちょうど、浴衣特集、なるものが行われているようだ。


「サリー、に、近い、と、いえば……近い、の、かし、ら……ね、ぇ……?」


仔細を見ながら、考え込む


「色……材質……柄……そう、いう、のは……こっち、の……ほうが、複雑、ねぇ……?」

シャンティ > 「……」

女は思い出す。自分の顔、自分の肌、自分の肉体。それも年単位で昔の記憶しかない。どれだけ変わったのだろうか。文字から読み取ったものと現実はどれだけ違うのだろうか。答えは――永久に出ない。


「ま、ぁ……しか、た……ない、わ、ねぇ……」


浴衣の布に触れてみる。それだけは女にもわかる、本物の感覚だから。


「……材、質……だい、ぶ……ちが、う……わ、ねぇ……」


いい素材と悪い素材。高いもの、安いもの。底には純然たる違いがある。


「せ、っかく、だし……いい、モノ……が、いい、かし、ら……ね、ぇ?」


あとは、柄などだろか。