2022/08/03 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」にシャンティさんが現れました。
■シャンティ > 「……へ、ぇ……?」
静かに歩く。女はほどほどに気を使ってはいるが、今や認識ができない。できないものに気を使うのは難しいものだ。
それでも、久方ぶりに見る服というものはどこか興味深くはあった。
「浴、衣……あぁ……民族、衣装……ね。」
女も自らのアイデンティティを示す服を持ってはいる。最近はすっかりと縁がなくなってしまっているが。
「……いま、いち……イメージ、が……うか、ばな、い……わ、ねぇ……?」
女に浮かぶのは文字列にすぎない。それを補助するのはあくまで想像力でしか無い。
■シャンティ > 「……ん」
ふと、足を止める。女は奇妙な感覚を味わっている。
「……私、なに、して、るのか、しら、ねぇ……」
人差し指を唇に当て、首を傾げる。自分の見るのは、人の営みであって……自分ではない。ここ最近、少し動き方が違う気がする。
「……舞台、の……上……」
小さく吐息をはく
■シャンティ > 「ま、あ……いい、わ……な、ら……せい、ぜい……おど、って、みま、しょ……」
前に広がる服の森に足を踏み入れていく。ちょうど、浴衣特集、なるものが行われているようだ。
「サリー、に、近い、と、いえば……近い、の、かし、ら……ね、ぇ……?」
仔細を見ながら、考え込む
「色……材質……柄……そう、いう、のは……こっち、の……ほうが、複雑、ねぇ……?」
■シャンティ > 「……」
女は思い出す。自分の顔、自分の肌、自分の肉体。それも年単位で昔の記憶しかない。どれだけ変わったのだろうか。文字から読み取ったものと現実はどれだけ違うのだろうか。答えは――永久に出ない。
「ま、ぁ……しか、た……ない、わ、ねぇ……」
浴衣の布に触れてみる。それだけは女にもわかる、本物の感覚だから。
「……材、質……だい、ぶ……ちが、う……わ、ねぇ……」
いい素材と悪い素材。高いもの、安いもの。底には純然たる違いがある。
「せ、っかく、だし……いい、モノ……が、いい、かし、ら……ね、ぇ?」
あとは、柄などだろか。