2020/09/21 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」にリルムさんが現れました。
■リルム >
学生街のなかに、「書海」があるとの噂を聞いて、近くの水場からやってきた。
腐っても魔術使いのはしくれ、知識を深めるのには興味がある。
面倒を起こしたくはないため、髪を結んでメガネをかけて、簡単な変装。
それから、簡易の認識阻害魔術をかけて、
自身がアストロであると結びつくまでに、時間がかかるようにしておく。
■リルム >
収集しに来た知識は、勿論水に関する魔術に関するものだ。
既存の魔術はもちろん、異界の魔術にも興味がある。
こういう場所では、目標をどれだけ絞るかが肝心だ。
幅広く探していては"書海"の情報量におぼれてしまう。
とはいえ、単一の物を調べようとしていては途方も無い量である。
水に絞るのは自分が持つ特性上の問題だ。
水の要素を持たない魔術は燃費も悪ければ効果も弱くなるというのがある。
しかし、路地に入れば右を見ても左を見ても古書店。
ジャンルごとに看板を立ててくれればいいのに、なんて図書館みたいな
光景を思い浮かべながら、書店を物色していくことにする。
■リルム >
一軒目。なんか当たり障りのない名前のお店だ。
人入りのいい場所なのだろう、店員も気さくなおじさんだ。
「すみませぇん、ここは魔導書の類はあります~?」
『うちはそういうのは教科書レベルぐらいしかないねぇ。
探してる本はあるかわかんないけど、そっちの角のコーナーだよ』
店員もなれているのだろう、少女相手でも普通の接客をしてくる。
して、コーナーは小さい。古めの教科書といったような魔術の本がいくらか。
パラパラとめくって、数冊目を通して、1冊の本を手にとった。
《『NEW-LEARNING-MAGIC』精霊魔術》
この島で使われている教科書の一つのようだ。
ぱっと見た感じ入門故にかなり程度は低いようだが、
この学校の教育がどういうものかを知るための触りにはなるだろう。
「これ買っていきますー。いくらですかぁ?」
お金の心配はない。
先日助けてやった一般学生から多少貰っている。
それにこういう場所だ。足りなければ手持ちの魔導書を売ればそれなりの価値になる。
■リルム >
1冊が入った袋を手に、二軒目へ向かう。
一軒一軒虱潰しに回ることはしない。こういうものは一期一会。
ふらふらと歩いて、次の書店を選ぶ。
すると、角を曲がったところ、裏路地に気になる書店があった。
《拉莱耶堂》
え?嫌な予感がする。でも気になる。
少女は数秒ためらって、足を踏み入れる。
『イラッシャイ』
店員のおじさんはどうみても魚人だ。
こんなところにもいるのかと、少女は意外そうな表情を浮かべる。
「えぇっと。ここは魔導書ありますかー?」
なにはともあれ買い物だ。
古書店は外から見てもラインナップはわからないところも多い。
『アッチ』
とがった爪の指でコーナーを指差す。
「ありがとうございまぁす」
■リルム >
早速コーナーに来てみれば、目を丸くする少女。
一冊だけ目を引く書物があるのだ。他は普通の本なのだが。
《Cthat Aquadingen》
「……こんなの売ってていいの?」
紙の材質からして、これは写本だが……買いだ。
幾らぐらいするんだろう。
「これ、いくらですかぁ?」
『アナタナラエラブトオモッテイマシタ。500エンデス』
「……じゃあ、買っていきま~す。お釣りはいいです」
『マイドアリ』
ああ、見抜かれていたのか。なら、話は速い。
万札を置いて、本を受け取り店を後にする。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」にクロロさんが現れました。
■リルム >
2冊が入った袋を手に、三軒目を選ぶ。
いくつか角を曲がって、次に選んだ書店はここだ。
《天宝》
古臭い店構えだが、見える範囲の本の状態はかなりいい。
店に入ってみると……。
爺さんがレオタード姿で足を上げていた。
「……」
■クロロ >
同じくして、腐っても魔術師の端くれ。
知識欲は深く、禁書庫以外にも"そう言う本"が紛れてる噂を聞き
ここ、古書店街へとやってきた。
『深き海底<Deep blue>』
『千の顔を持つ月<Hydra>』
ただ、普通の人間ではないクロロは一工夫凝らさねば練り歩く事は出来ない。
属性的に苦手な水属性の魔術。急激に体温が下がっていくのを感じる。
と言っても、漸く人並み程度だ。少し加減を間違えれば、"消火"一直線だ。
これでようやく、此処を火事にせずに済むと言う訳だ。
適当にジャケットにポケットを突っ込み、練り歩いていると……。
「ンァ……」
見知った後ろ姿を見つけた。
自然と足が向かい、自らもその店へと入っていく。
「おう、アストロ。こンな所で何してンだ?万引……」
「…………」
爺さんがレオタード姿で足を上げていた。
「なンだコイツは……」
訝しげに顔を顰めた。
■リルム >
少女はわかる。この手の人は──
『なんじゃ、シブタク……じゃないんか。
お客さんかい?今日はもう店じまいじゃ──おや』
爺さんが少女を見つめる。
『お嬢ちゃん、可愛いねぇ、安くしとくから、また今度来ておくれ』
スケベだ。しかし店じまいなら仕方ない。
「はぁい、わかりましたぁ。出直しますぅ。」
くるりと踵を返すと、見慣れた顔。
「……だそうですけど、お兄さんはお爺さんにご用事ですかぁ?」
認識阻害魔術を強めておく。
■クロロ >
「オレ様こンな爺に用事は無い」
真顔だ。真顔で全力で拒否したぞこの男。
知識の奥は深淵だ。そこに至れば大抵の奴は奇人変人だと言うのはわかるが
流石にあれと一緒になりたくない、喋りたくない。
思い切り首を横にも振っておいた。目を合わせたらやられる……!
「大体オレ様が用があるのはお前……、……?」
少女の方を見下ろし、睨むもすぐに訝しげな表情を浮かべた。
確かに知ったような後ろ姿だったが、如何にも違う気がする。
簡易的なものであれば、魔術師の端くれであるクロロにはある程度看破も出来るようだ。
僅かな魔力の流れに思考を巡らし、何かが強まった事を感じれば"そう言う事"だとしておく。
魔術師の端くれである以上、そう言った小技魔術も知っている。
特に最近は"場合によっては"使う必要も出てきた。
だから、溜息を吐けば後頭部を掻いた。
「なンでもねェよ、クソガキ。おい、一人か?」
お互い日陰者だ。そう言う気遣いもする。
■リルム >
アストロの使っている認識阻害魔術は、
非常に簡易のものなので縁の深さでも看破されやすくなる。
とりあえずまぁ、意図が通じたので一安心だ。
「まぁ、そうですよねぇ」
全力の拒否。まぁそうだよね。
でも此処は間違いなくなにかがある気がする。。また今度来ようと思う。
なんなら色仕掛けも考える。通用しそうだし。
「またねぇ~お爺さん」
愛想よく爺さんに手を振って店を後にする。
「で。私は一人ですけどぉ、なにか用ですか?」
メガネクイッ。
■クロロ >
「じゃァな爺。次来る時はそれ脱いどけよ」
何となく"自分向け"の物がありそうだが
今は関わりたくない。とりあえず此方も一声通して
少女と一緒に店を後にした。世の中凄い奴もいるもんだ。
「…………」
眼鏡。滅茶苦茶訝しげな顔をしている。
「に、似合わねェ……」
そしてクロロは、お口が比較的正直だった……。
「用ッて、何してンのか気になッただけだ。
……で、お前の事は何て呼べばいいンだ?」
今、アストロと呼ぶのは拙いと判断している。
だから、"少女の名"を訪ねた。
■リルム >
「……クロロ君の感性はアテにしてないです」
別に期待していない。持っているものであざとく振る舞うのはただの癖だ。
眼鏡に手を添えたまま、ぷいっとそっぽを向く。
「名前、知ってるでしょ。リルム。」
目の前で書いて見せた学生証の名前だ。
アストロにも恩の考え方はある。
例え知らなかったとしても、犯罪者に協力した店がどうなるかなどに
気が回らないわけではない。
仮に処罰が無くても、悪い噂はつきまとうものである。
「それで、何してるかは、知識の蒐集ですよぉ。
これでも魔術使いですからねぇ」
見上げる視線で、またメガネクイッ。あざとく振る舞うのはただの癖だ。
■クロロ >
「…………」
頬を掻いて、適当に周囲を見渡す。
どこもかしこも、本だらけだ。この雰囲気は、嫌いじゃない。
「オレ様は眼鏡が無い方が好きだ。ソッチのが可愛げがある」
そっぽを向いたリルムに、それだけを告げた。
普段の姿を見ているというのも在るが
クロロ的には眼鏡が無い方が可愛げがあっていいらしい。
「どう呼べばいいかッて話だよ、リルムでいいンだな?」
とりあえず、"その状態"はリルムだと記憶した。
クロロは表も裏も行き来するが、まだ"器用"に生きている方だ。
単純に、お互い交わらないように、それぞれの作法を
"スジ"を通して生きているからに過ぎない。
相手の目立ちっぷりを考えれば然もありなん、と思うが、窮屈そうだとは思った。
「ほォン、お前にしちゃ中々勤勉じゃねェか。で、収穫はあッたか?」
■リルム >
「……じゃあ、リルムはクロロ君の好みじゃないってことですね」
意外な言葉をかけられ、少しだけ動揺して目を逸らす。
それもすぐに元のペースを取り戻すが。
「うん。リルムでいいですぅ」
メガネは外さない。容姿が普段と違った方が、認識阻害の補助になるというもの。
知り合いはクロロ以外だとほとんど風紀委員しか居らず、
気休め程度ではあるが、しないに越したことはないだろう。
「収穫はー。精霊魔術入門。この学校の教科書の一つだって。
どういう事してるかを知るにはちょうどいいでしょ?」
袋から1冊取り出してみせる。朱い表紙の古い版である。
「それから……《水神クタアト》の写本」
こっちは見せない。良からぬことが起こるから。
■クロロ >
「アァ?そうは言ッてねェだろ。……眼鏡似合ッてねェけど、いいンじゃね?
普段と違うッつーか、大人しげな感じッつーか、甘やかしたくはなるな」
評価しろと言われれば(言われてない)割と真っ当な評価はする。
クロロは嘘を吐けるほど器用では無く、見たままありのままを評価する。
その金の瞳がまじまじとリルムを見つめていた。
「……お前、マジで結構真面目ッつーか、一からしッかりやるタイプか?
割と見直したッつーか、結構適当な奴だと思ッてたンだが……」
目をぱちくりと瞬かせて驚いている。
一体どれだけリルムに対しての評価が悪かったのか…ある意味聞かない方が吉だ。
「クタ……ッ」
表情が苦痛に歪む。
確かにその名前は記憶にある。
属性的に"使う"事は少ないが、何故人から聞くとこうなるのか。
ずきずきと内側から痛みような頭痛を片手で抑えながら、軽く首を振った。
「つー事はやッぱり、あるンだな。"オレ様向け"の本が……!」
楽しげに、ニヤリと口角を吊り上げた。
■リルム >
「ふぅ~ん?」
対する少女は素の"アストロ"の反応だ。
そろそろ誂えるようになってきたのだろうか、とほんのり思う。
まぁ、この場ではやらないが。覚えておこう。
まじまじと見る視線には、真面目そうな少女の視線が返る。
「まーね。私は精霊ちゃんの力借りてるんだから、それなりの礼儀は守りますよぉ」
得意げにメガネクイッ。
精霊に依存しているといえばそうだが、そうなるにはそれなりの過去がある。
まだ話すときではないが、いつか話すこともあるやもしれない。
「……やっぱり?」
予想していた反応。
見せなくて正解だったか。
「あるんじゃないかなぁ。魚人さんのお店も有りましたし」
何処にあるとは言わない。
あの手の店は、同じ場所にある保証がない。
■クロロ >
「何だよ、オレ様の顔になンかついてンのか?」
何だか何時になく真面目な視線に眉を顰めた。
クロロも別に心の中が覗けるわけではない。
ただ、何となくよからぬ事を考えられてるような気がする。
「そりゃァ、御尤もだな」
精霊のみならず、力を借りてる以上
そう言う礼節は通すのが"スジ"だ。
その道理を弁える姿は素直に感心し、強く頷いた。
……だとすると、己の魔術はなんだ。
未だ借りる相手に対しての対話はほとんど出来ていない。
喋れる奴と言えば、それこそ一握り程度だ。
自分のルーツすらわからないのに。口にも顔にも出さない不安が、僅かに過った。
だからこそ少し、浮足だったかもしれない。
「魚人なァ……へェ、悪かねェ。おい、リルム。ちょッと付き合えよ」
「オレ様好みの本を探す」
そう言ってクロロはずんずんと奥へと歩き出した。
■リルム >
「ううん、別に?」
少女らしくにこっと笑う。憎たらしい笑顔ではない。
……演技というよりは、道具による切り替えだ。
「わかればよろしい」
信心の加護ではないが、ちゃんと"手続き"を知っていれば、
魔術の効力だってより良くなるものである。
彼の魔術はもっと禍々しいものであるが……答えてくれるのだろうか?
それはアストロにもわからない。
「探すのは良いけど……ここは広いから、見つからなくても根気よくですよぉ?」
何かを思い立って歩き出した男の背中を、とてとてと小さい歩幅で追いかける少女がいた。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」からクロロさんが去りました。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」からリルムさんが去りました。