2021/03/01 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
風紀委員として精力的に活動していても、本来は学生。
即ち――そろそろ、期末試験を考える時期である。
と言っても、己の場合は大概風紀委員としての活動で単位は満たしている。一般教養や必修科目は、恙なく、と言ったところ。

しかし、趣味で受講した科目や苦手な科目だって存在する。
成績そのものはトータルで上の下から上の中を行ったり来たり、というところではあるが、油断すれば平均点くらいまでは落ちてしまうかもしれない。
『鉄火の支配者』は勉強が苦手――だなんて、沽券にかかわる。

「……ええと。西洋経済史はこれで大丈夫だな。後は…芸術科目……はぁ…」

因みに、数ある科目の中でギリギリ平均点レベルなのが体育。
浮き沈みが激しいのが芸術科目である。
今回の試験は『近代美術史に関する小論文』と『なんでもいいからなんかつくってもってこい』の二つ。

(何でもとか、そういうのが一番困るんだけどな…)

献立に悩む主婦みたいな溜息を吐き出しつつ、古書店街の路地裏を彷徨う少年が一人。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > 期末試験が迫る中、焦る学生と焦らない学生がいる。
雨見風菜は後者である。
いや特に体で点数を稼ぐとかそんなことはせずノーガード戦法なだけなのだが。

「~♪」

そんな風菜は、今日は古書店巡り。
何を探すかといえばゲームの攻略本。
とはいえ持ってないゲームでも面白い攻略本なら買うつもりだが、現在はまだ一冊も買っていない。
そんなこんなで、路地裏を通って別の通りに……

「?」

向かうところで、後退。
曲がった角の先に、見知った顔を発見した。

「あら、神代先輩じゃないですか」

神代理央 >  
吊った左腕に本の入った紙袋を差し込む。
最近包帯にも慣れてきたな、なんて考えていれば――投げかけられる言葉に、おや、と視線を向ける。

「……誰かと思えば、雨見か。奇遇だな。雨見も期末試験用の買い物か?」

年度末の近いこの時期に、古書店街を訪れているとなれば、大体の生徒の目的はそっちだろう、と。
小さく首を傾げながら、彼女へ歩み寄るのだろうか。

雨見風菜 > 「いやぁ、期末試験用というわけじゃないですね。
 そういう神代先輩は試験用ってこと……」

彼の、吊った左腕を見て。

「左腕、どうしたんですか?」

心底心配そうに問う。

神代理央 >  
「ああ。そろそろ小論文の資料くらいは絞り込んでいかないといけないからな。試験間際に焦っても仕方あるまい」

まあ、試験が近いとはいえまだ焦る様な時期でも無い。
彼女が試験目的ではないと聞いても、特に咎めたり小言を続ける事は無いだろう。

そんなやり取りの中で浮かべていた穏やかな表情は、左腕に向けられた視線と言葉に、小さな苦笑いへと変わる事になる。

「ん、まあ委員会での活動中にな。其処まで酷い怪我、という訳でも無いが、入院を控えた分少し治療が長引いてな」

ぷらぷら、と軽く左腕を揺らしながら肩を竦めてみせるのだろう。
その拍子に支えていた紙袋を落としそうになって、右手で支えながら小さな溜息。

雨見風菜 > 「駄目じゃないですか、きちんと治療しないと……怪我が長引くと、それだけ響くんじゃないですか?」

そういえば、先の落第街での大きな争いのときに特務広報部が矢面に立っていたという話を聞いた気がする。
もしもこんな怪我をしたままそういった戦いに参加することになれば影響はあるだろう。

「怪我だけ、なら。
 私の異能でなんとかなります……すごく痛いみたいですけど」

ああ、そういえば。
人に『糸』以外の異能を見せる機会は今のところ……初っ端の友人以外にはなかったなとも思いつつ。

神代理央 >  
「…まあな。とはいえ、あまり現場を離れる訳にもいかんからな。
私の異能は、私自身の身体能力に影響するものではないし…」

と、答えはするものの。
治るか治らないかで言えば、治った方が良いに決まっている。
何時までも任務の度に包帯を外して痛み止めを飲むのも、正直面倒ではあるし。

「…ふむ?何とかなるなら助かるが……そんなに痛いのか?」

今日は痛み止めの類は持ってきてないな、なんて思いつつ。
ちょっとだけ悩まし気な表情と共に、考え込む様な仕草。

雨見風菜 > 「とっても痛いらしいです。
 使ったことはないんですけども」

異能自体からの話であることは伏せた。
だが、じゃあなぜ痛いらしいと知っているのかという話になるだろうことまでは頭が回っていない。

「でも、人間の怪我ならすぐにきっちり治るそうです。
 ……折れたまま生活しちゃうなら大丈夫ですよね?」

にっこりと。
笑顔の裏に圧を込めて。

神代理央 >  
「…それは何と言うか、私を体のいい実験台にしようとしていないか?というか、使った事が無いのに痛いのは分かるのか。まあ、異能というのは得てしてそういうものかも知れぬが…」

使った事が無い、という言葉に向けるのはジト目。
そんな会話の中でも、左腕をちょっとだけ動かしてみたりぐーぱーしてみたり。

「……まあ、長々腕を吊り下げているのも面倒だからな。
構わんよ。まあ、あれだ。痛みには慣れているからな」

何だか悲しい事を言っている気がしないでも無いが、一年間で入院した回数を考えれば本当に慣れたものである。
一応、左腕に収めていた紙袋を地面に置いて、何時でもどうぞ、と言わんばかりに左腕を差し出した。