2021/04/21 のログ
セレネ > 「心は確かに難しいですよね。
頭でわかっていても心がついていかないとかありますし。
…たまーに、ストレートに伝える方もおりますからねぇ。」

それが良い気持ちであれ、貶したり下心のようなものであれ。
直球に伝えられるとどうして良いか分からず困ってしまう、
もしくは嫌な気持ちになる、というのは己も経験があるから。

マイナスな言葉にやや苦笑を洩らしながらも共感する。
十代というのは多感な時期だ。普通なら彼女のように不安定さを持つのが当たり前なのだろう。

「そうですか。
…好きだったものでも、良いと思いますよ。私は。
そのお陰でこうしてお話出来ているのですし。」

少なくとも今こうやって共通の話題があるのは、彼女の努力の賜物だから。
それを否定したくないし、してはいけない。

「えぇ。今回は過呼吸も起こしておりませんし、落ち着いてお話も出来たではありませんか。
確実に進歩してますよー。」

狼狽える事もなく、比較的落ち着いているように見えたから。
相手の改めての礼は素直に受け取って、立ち去る彼女を微笑んで見送った。

『――あ、一緒にカフェにお誘いすれば良かったかしら…。』

相手の姿が見えなくなった後。
ゆっくりと受け取った本を片手に目的地へと歩き出せば、誘えなかった事を少し後悔。

次に機会があれば誘ってみようと意気込みつつ、その場を後にするのだった。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」からセレネさんが去りました。