2021/06/29 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
日々強力になっていく違反部活や怪異に対抗する為に、高位の魔術を行使する為の魔術書を探しに来た。
――なんてことはない。偶々、巡回の帰り間際に通りかかったのでちょっと寄ってみただけである。
部下達にも教養を深めて欲しいし、何か本でも差し入れようかな、とか。
何時ぞや見た映画の原作小説とか。
そういった本を眺めていたり、ちょっと立ち読みしたり。

「……まとめ買いするから、宅配のサービスとか……ああ、そういうのは無いのか…。いや、すまない…」

立ち読みばかりじゃ、と思って購入しようとするも、持ち運ぶ手段に欠ける少年は宅配サービスを希望したが敢無く撃沈。
ニ、三冊くらいにしておこうかなあ、なんて溜息を吐き出しながら、古書の香り漂う街をぷらぷらと散策していた。

神代理央 >  
流行の漫画とか、小説にも興味が無い訳では無いのだが。
そういった本は、別に此処でなくても手に入る。
であれば、古書店街だからこそ手に入れる事の出来る本との出会いを喜ぶべきなのだろう。

「………あ、懐かしいなこれ。昔、映画で見た事あるっけ…」

書店の軒先で見掛けたのは、幼い頃使用人と見た映画の原作小説。
銀河を舞台にした壮大なスペースオペラ。
懐かしいな、なんて思いながらつい立ち止まってパラパラとページをめくってしまう。
店の中には人の気配を感じるので、迷惑にならない内に離れようとは思いつつも…つい、道端で立ち止まって読みふけってしまう少年の姿があった。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」にラヴェータさんが現れました。
ラヴェータ > 「なかなかに珍しい様子じゃないか理央。
貴様でも思い出に耽ることはあるのだな」

いつものように影の中から...ではなく本棚の角から姿を現す黒い軍服の少女。
どう揶揄ってやろうかとやらしい笑みを浮かべながら少年の方へと歩み寄っていく。

「にしても奇遇だな、今日は私も貴様に着いてきた訳ではなくてだな。
ほれ、面白い本でもないかと思ってな」

本棚の本が抜けた隙間の陰に手を突っ込み、先ほど正当に購入したスライム全集と書かれた古びた装丁が妙に整た分厚い図鑑を取り出して少年にただ見せびらかして。

神代理央 >  
「…お前は私を何だと思っているんだ?これでも、16年分はきちんと人生経験があるんだがな」

と、呆れた様に彼女の言葉に答えつつ、本を閉じて視線を向ける。
相変わらずな彼女の軽口や揶揄いにも慣れたもの。
とはいえ、現れた場所には少しばかり意外そうな表情なのだが。

「……へえ?まあ、読書に励むのは良い事だ。それを別にどうこうは言わんが…」

「……スライムに興味があったのか?確かに、最近の雨と共に目撃情報が増えているとは聞くが…」

彼女が見せびらかす本のタイトルに、不思議そうに首を傾げつつ。
そういう趣味なのかな、と改めて彼女に視線を向けるだろう。

ラヴェータ > 「さあな。だがまあ、血も涙もないやつだとは思ってないさ。
それよりどうした?私が影の中から出てこなかったり本を買うだけでそこまでのものか?」

こちらの軽口やちょっかいに表情を変える少年は見慣れたものだが、ほぼ何もしていないうちからそういったリアクションだと、むしろ偏見の目で見られている気がしてならない。
影の中からでなくてはならない理由は特にないのだ。

「昨日面白い輩に会ってな、それで少しスライムについて興味がわいてただけだ。
その矢先にこれを見つけたものだからついつい手にしてしまったわけだ」

先日のあのスライムは今何をしているのやら。
あの調子だと何かしでかしてていそうなものであるが、自身の知るところではない。
にしても目撃情報が増えている、と聞けばやはり何かしらしているのだろうか、とthinkingfaceのようなポーズをとって。

神代理央 >  
「本を買うのは別に気にはしないが…私の影から現れない、というのがちょっと新鮮でな。他意は無い。気にするな」

と、肩を竦めながらクスクスと笑う。
こうやって、偶々同じ場所を訪れていた…というような。
謂わば普通の学生の様に彼女と出会う機会は滅多に無いのだし。

「…面白い輩?スライムの研究者にでも出会ったか?
それとも、スライムそのものか?後者であれば、幾分気がかりではあるが…」

スライム程度なら、力を封じられている彼女でもどうとでも対処は出来るとは思うのだが。
それも個体差による。彼女なら無事で済んでも、普通の生徒が無事で済む様な相手とは限らない。
真面目な表情――言うなれば、風紀委員の顔つきと雰囲気に様変わりすると、彼女の出会った相手について尋ねるのだろうか。

ラヴェータ > 少年が笑うのに首を傾げ「そこまでか?」とこぼす少女は自覚がない。
少女にとっては誰の影だからといったものは特にないのである。影は影である。

「ふむ、そうだな。こちらから話す気はなかったが...まあスライムに出会ってな。
特に私は何もされていないし何もしていないさ、精々会話を交わしたのと...ああ、指先でつついたぐらいだ」

人の触感だったがな、と残念そうに付け加えて指先を見つめる。
言葉通り特に誰かに、特に風紀の人間に話す気はなかったが、約束したわけでもなかったはずだ。
理央ならばまあ、と軽々しく口を開くが、大事にしては面倒だから、と何もなかったことを前面に押し出す。下手に手伝わなくて正解だったな、などと思いつつ図鑑を足元の影の中へと落とした。

神代理央 >  
「…ふむ。会話を交わしたのか。害を加えられなかったということは、知性と理性を持っている、ということになるが…」

少しばかり思案顔。
怪異であれば問答無用で処分対象だが、他者に危害を加えていないとなると判断が難しい。
まして、言葉を交わせる程度の知性があるのなら、彼方から手を出さない限り風紀委員会が討伐に動く事は難しいだろう。

「……因みに、出会ったのは落第街か?下手に学生街や歓楽街だと少し面倒ではあるが」

同じ理由で、学生街や歓楽街に出現されては出撃せざるを得ないかもしれない。
此方としては、怪異退治は慣れたものなので問題は無いのだが。

「…まあ、何にせよ。ラヴェータに怪我が無くて良かったよ。
私の知らぬところで怪我等されては寝起きが悪くなる」

と、色々と考える事はあれども。
取り敢えずは、彼女の無事を素直に喜んでおくことにしよう。

ラヴェータ > 「...落第街あたりといえばまあそうだが...
そうだな、ここだけの話にしておいてもらえると助かるのだが、黄泉の穴だ。それも結界の内部だな」

風紀本部にバレたところでおそらく処罰はないだろうが、ありえない話ではないわけで。
ただ行っただけならともかく結界を超えるような存在と結界内部で二人きりだったという状況は何か疑われてもおかしくはない。
恐らく少年であれば理解してくれるであろう、という信頼...というより都合のいい解釈というか。
バツが悪いようでらしくもない困り顔で。

「...。
...大丈夫に決まっているだろう、そう不安に思うことではないさ」

素直になれない狐は無事を喜ばれたことを素直に喜んでみせれない。
ただまあ、言葉の棘がすこしはとれているだろうし...マシになったかもしれないが。
以前であれば目をそらして尻すぼみになるのではなく意気揚々と少年を鼻で笑ってみせただろう。

神代理央 >  
「…………黄泉の穴の、結界の中?それはまた……全く」

はあ、と深々溜息を吐き出す。
それは、悪戯した妹を叱る兄の様なソレ。

「お前は、自分が監査対象である事を理解しているのか?
黄泉の穴はただでさえ危険な地域だ。
そんな場所に、監査対象のお前が赴く事が、上にどう思われるか分からない訳でもあるまい。
挙句の果てに、其処でスライムと出会ったなど…偶々、相手が理性的だったから良かったものの、より危険な怪異と遭遇していたらどうするつもりだったのだ。
私とて、瞬間移動だの危険察知だの出来る訳では無いのだぞ。
自分から死地に飛び込む様な真似を、私が笑って許すと思ったか?」

マシンガントーク、ならぬ機関銃小言である。
ガミガミ、というよりは訥々と。しかし途切れる事無く。
暫くお説教の雨霰が続いて。

「………だから、その、なんだ。不要な心配をさせるな、ということだ。
お前を拘束したり監視したりはしないが、それでもそんな話を聞けば心配するだろう」

何時もの様な態度では無く。
殊勝、とも言える様な少女の態度に、此方も最後は折れてしまうのだろう。
心配させるな、とだけ告げて。もう一度小さく溜息を吐き出して。
ぽんぽん、と少女の肩を叩くのだろう。

ラヴェータ > 「あ...その、あれだ...すまん」

少年の長い説教が止んで一拍二拍おいて。
少年の言葉に小さく相槌を打つぐらいしかできていなかった少女の口から、小さく謝罪の言葉がこぼれた。
らしくもなく俯く少女の心情にあるのはあくまでも心配している少年に対する申し訳なさからか。
少年の深く重くも霧散していくため息が、そこに在り続ける棘のように胸を刺し貫いているような錯覚にすら陥る。
こうも心配されては無下になど到底できず、好奇心に負け無下にしてしまった後ろめたさを感じているようで。
止めに、肩をたたかれればもう言い返す言葉も気力も理由も尽きるだろう。

「少しは...気を付けるようにする...すまなかった」

目を合わせられない。きっとすぐに持ち直すだろうが、すぐにとはいかず。
少年と同じ程度の背丈が普段より小さく見えるだろうか?
それこそイタズラをした妹...もしくは叱られる年少と叱る年長のように周りの目にも写るだろうか。