2021/11/20 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」にフィールさんが現れました。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」に黛 薫さんが現れました。
フィール > 「さて」
薫と共に待ち合わせの古書店へと入り、並んでいる書物を調べる。

ここは、古書店が立ち並ぶ中でも魔導書を取り扱う場所だ。

その中で…『魔力の籠もっていない書物』を取り、レジへと渡す。

代金を支払い…書物と共にキーカードを渡される。

レジに居る御老体は目線だけをある扉に向ける。

フィールはその先にある扉に行き、すぐ近くの端末へキーカードを差す。

重厚な扉が開く。
濃厚な魔力の気配がする。

フィールは、その先へと入っていった。

黛 薫 >  
常世学園に於いて特に危険/貴重な書物は禁書庫の
管轄になる。自然、申請無しで入手や閲覧を望む
場合はアンダーグラウンドに頼らねばならない。

大抵その手の取引は落第街を中心に回るものだが、
こと『書物』に限っては古書店街でも密かに取引が
行われている。

「……あーしだけだと、入れてもらぇねーのよな」

魔術に関する一切の素養を持たない少女のぼやき。
貴女に続くように奥の部屋へと誘われていく。

フィール > 「私も入るのは初めてですよ…この辺りはツテのあるフィーナに感謝ですね」
フィールもフィーナの情報がなければこの場所のことなど知りもしなかった。
最低限の電球に照らされながら、奥へと進んでいく。
並べられた書物は、表に並べられたものとは比べられないほどに上質なもので………中には、禁書と取れるものまで含まれている。

勿論、此処にあるのは商品ではなく…先程払った書物の支払いによって閲覧が可能になる、というシステムだ。

目移りしながらも、奥へ行くと…ふよふよと浮いたまま、魔導書を読み耽るフィーナの姿があった。

フィーナ > 「………とりあえず、今までで考えついた方法。纏めておいたから。確認して」
中に書かれた文字が浮き出している魔導書を片手に、魔導書とは別に置かれたフォルダを指差す。

その中身は、彼女の言う通り薫を救うための手段の模索の内容だった。
法術を利用した結界術式による魂の隔離、精霊術を利用した加護による魂の保護。
錬金術を利用した人体錬成という禁じ手。禁術を利用した魂の複製。
召喚術を応用した魂のみを呼び出す術式など。

魔術以外の方策が多岐にわたって書かれている。

黛 薫 >  
「ツテ、なぁ」

どれだけ広くアンテナを張っても、相手方の望む
物品/情報を差し出しても、魔術の素養を持たない
その一点で触れることさえ許されなかった黛薫には
気が重い話だ。今みたいに付き添いがいれば別だが
立場上自分にそんな権利はなかったのだし。

「その領域になると、あーしから手ぇ出せるコト
 残ってねーだろーけぉ。寄り道兼手掛かり兼
 人助け的な?案件を1個拾ってきてんすよね」

ひら、と血文字が刻まれた紙を振ってみる。

黒魔術のようでいて、呪術めいてもいる魔法陣。
生贄を捧げる術式をベースに召喚/変換の記述を
重ねたソレは死を遠ざけるまじないに似ており、
しかし同時に命を吸い上げる冒涜的な構造。

「コレ、魔力を生命に変換する術式らしくて。
 その上で変換された生命を贄に適した規格に
 変換する……つまり『魔力を犠牲に人工的に
 贄に適した存在を作る外法』っぽぃのよな。
 似てんだろ?あーしの現状と。

 直接の解決に繋がるかはしょーじき分かんね。
 でも並行して掘り下げられそーで、解決すれば
 祭祀局絡みで個人的に報酬が貰える案件だから
 資金繰りもちょっと楽になる」

フォルダを手に取り、代わりに血文字の紙を置いた。

「んで、フィーナのまとめたヤツはさわりだけ
 見んなら『フィールが提案した召喚ベースで
 対象のエッセンスを抽出して独立させる手法』、
 その中の魔術だけじゃ実現が難しぃ領域を別の
 分野で解決するための手法ってコトでよろし?」

フィーナ > 「………これまた、趣味の悪い術式で。ただ…これに似た術式は見たことはある。これをどうすればいいので?」
使えそうだな、と思いつつ紙を拾い上げて。

これは、永久機関を夢見た禁術だ。魔力を用いて贄に適した存在を作り上げ…その存在が持つ魔力を用いて更に贄を作り出す、という。

「とりあえずその認識で間違いない。現状、薫に対する魔術的アプローチは絶望的。他の術式に頼ることになる。

手法を考案することはできるけれど…魂という存在の根幹を扱う。セーフティーは設けられない。絶対に成功するとは言えない」

フィール > 「……私にはわからないですね…」
血文字の魔法陣を覗き見ながら、呟く。
「でも、言ってることが本当なら、使えそうですね、その術式。」

黛 薫 >  
「魔力を通じて『生命』の規格を変える術式だから
 ソレを刻まれてっと『魔術』は使えなくなるだろ。
 依頼主が知りたぃのは『その上に重ねて魔力を
 通せるような術式が存在するか/作れるか』かな。
 
 魔力を吸い上げられる外法より優先して通せる
 パスがあれば魔術の行使自体は可能になるって
 理屈かな。あーしに応用出来るかは不明だけぉ、
 要はそっちに魔力を奪われないための抜け道を
 用意出来ねーかってトコ」

「あーしの立場に置き換えんなら『魔術の行使』
 っつー目標を阻んでる『体質/障害』そのものを
 解決すんじゃなくて、迂回路を探してる感じ。

 障害そのものが目標の阻害に密接に関わるなら
 『阻害が意味を為さなくなった』っつー結果を
 先に用意するコトでプロテクトに綻びを作れる
 目が出るかも。フィールとフィーナの提案した
 手法がダメだった時の二の矢を用意する知見に
 繋がるかもしんなぃ」

興味のある/理解出来る分野になると途端に口数が
増えるのはいつも通り。人並み以下でも行使さえ
出来ればこの熱量は役に立てていたのだろうか。

「んで、あーしの方に話を戻すと。セーフティが
 万全に用意出来なぃ都合上、出来得る範囲内で
 不安要素を潰して成功率を上げるのがほぼ唯一
 打てる手段になってくる、か。その場合、1番の
 不安要素と言ぇば──」

左の瞳……『何もない』が見える目に触れる。

「『捧げられるべき存在』が何か、ってトコか」

「身も蓋もなぃコト言ぇばやろぅとしてんのは
 儀式の途中/捧げられた後に、寄越した生贄を
 取り上げよーとしてるよな行為だ。

 『供儀の対象』があーしを手放そうとしなぃ、
 妨害してくる前提で詰めていかねーとかもな。
 『捧げられている』っつー縁を握り込んで
 離さなぃだけであーしが概念的に引き裂かれる
 リスクが生まれるワケだし」

フィーナ > 「ふむ……」
ぱたむ、と片手に持っていた魔導書を閉じ、棚へと仕舞う。

そして、新しい魔導書を手に取り、開く。

「一番簡単なのは、魔力も術式も外部に依存して行うこと。要するに魔力媒体とスクロールを用いた方法。細かいことは出来ないけど、これなら自分の魔力が使えずとも術の行使は可能。」
自分の魔力を変えられてしまうのなら、外部に頼るという手段だ。
勿論、制約はあるし、出来ることも少ない。

「もう一つは、その禁術と同様に、魔力発現の為の術式を定着させること。但しこれは力の食い合いが起きるから、発揮できて元の素質の半分。最悪暴走も起こり得る。」
魔力の発現と、魔力の変換。要はショートを起こしかねないということだ。

「薫の……その儀式が途中であるのならば、阻害は可能。術式を発現している最中は、介入の余地がある」

逆に言えば、その儀式が完了してしまえば、術式に依る介入は絶望的とも言える。

「もう一つは。その縁よりも、強固な縁を作ればいい。」

フィール > 「……すごいなぁ」
付け焼き刃の自分では、理解できて半分程度だ。
フィーナはその上それを構築する理論まで持ち合わせている。


「敵わないなぁ」

ぽつり、とそうこぼしながら、手持ち無沙汰な手で魔導書を手に取る。

黛 薫 >  
「多分前者の手段……行使に掛かる全リソースを
 外部依存にする方法は試してっと思ぅのよな。
 あーしが魔術使ぇねーって分かったときだって
 真っ先にソレを提案されたから。

 学園にいる以上、提案されてねーはずが無ぃ。
 だから依頼が出てんのは上手くいかなかったか
 納得行かなかったかのどっちかだと思ぅんだ」

後者の手段をメモしつつ、依頼主に送るために
仔細をまとめておく。自分にせよ依頼主にせよ
リスクを飲み込まねばならないのは変わらない。

「実現性とリスクの兼ね合いを考えるなら前者
 ……儀式への介入が出来りゃ理想的だよなぁ。

 要は縁の強さで対抗するっつーのはあーしを
 綱にして綱引きする形になんだろ?あーしが
 耐えられる前提でも相手ごと引きずり出して
 分離に失敗する可能性があるし、そも『贄』は
 縁が強力だから普及した手段だ。よっぽどの
 存在強度がなきゃ、んな綱引き耐えらんねーよ。
 多分あーしが真っ先に千切れる」

フィーナ > 「最も。誰もが思いつく方法で…一番危険の少ない手段。
でも、試すべき手法。

必要なら、私が赴く。どういう状態で魔術が定着してるのか、わからない」

つまりは、現物…そうなってしまった者を見たいということだ。
術式だけがわかっても、どう定着しているかによって手段も変わる。

最悪の場合、命を賭けることにもなり得る。

「術式の解析は、得意。その大本が判れば、やれないことはないと思う。

で、縁を作るのは、綱引きをするためじゃない。縁は互いを繋ぐパス。綱引きに使うようなものじゃない。

このパスを通して、その捧げられている相手に対して、干渉を行う。

一番直接的で、確実な方法。
根源を断てば、契約は失われる。」

フィール > 「……………」
フィールは話についていけなくなってしまい、魔導書を読むことにした。

黛 薫 >  
「……ん。そーゆーコトならあーしから連絡を
 入れとくよ。依頼主は祭祀局の『藤白 真夜』。
 似た境遇の辛さは……理解出来るなんてとても
 言えねーけぉ、感じるトコはあるからさ。
 打算抜きでも力になってくれたらありがたぃ」

連絡先をメモして、フィーナにも渡しておく。
次善策、二の矢についての話は一旦脇に置いて
自分の現状に話を戻す。

「ってコトは、あーしと『縁』ないし『パス』を
 繋ぐのはフィーナ自身。あいぁ、複数人の縁が
 繋げるならフィールもか?あーしを中継地点に
 縁を辿って大元の存在……供儀の対象に干渉、
 可能なら儀式の阻害を行うっつー手筈か」

「現状の手札だと、確かにそれが1番現実的。
 でも……それは実現性、リスクその他諸々の
 負担を押し付けるカタチになるワケだけぉ。
 フィールはともかく、フィーナはイィのか?」

フィーナ > 「…わかった。都合つけてくれれば、行く。フィールに話してくれれば、行くから」
フィーナは携帯端末を持っていないため、直接の連絡を取ることが出来ない。
また、表の住人に身を寄せている立場であり、表立って動くことは難しいのだ。

「場合によっては討伐も有り得る。ただ、その場合…貴方の居た故郷が『枯れる』可能性がある。」
生贄を捧げることで、恩恵を齎していたのであれば。
その土地は枯れてしまい、人が住めなくなる可能性が高い。

「大丈夫。化物退治は、慣れてる」

黛 薫 >  
「……それ、は。勘弁願ぃてーけぉ、なぁ……」

ただ自分を『捧げる』ためだけに育てた故郷。
表面上の物でない『愛』なんて受けたはずが
ないのに、黛薫はそれでも躊躇っていた。

しかし、躊躇えど止められないのが黛薫の異常性。
在るべきモノを取り上げられたが故に生まれた歪み。

「……心の準備する時間くらぃは、欲しぃけぉ。
 そっちも都合がつぃたら、教ぇて。やらなきゃ
 あーしは……自分じゃ、どうにも出来ねーから」

もっと頭が悪ければ無駄だと気付かず愚直に
探し求める道もあっただろう。しかし黛薫は
現実を直視するだけの賢しさを持ち、その上で
乗り越える才を取り上げられていた。自力では
越えようがない壁の前でボロボロになるまで
爪を立て続けたその内心は如何程か。

フィーナ > 「何かを求めるなら代償は付き纏う。魔術だって、同じ。」
自分も、自らの魔術の才の代わりに、不随の身体を授かっている。

全てが上手くいくということはほぼあり得ないのだ。

「こっちの都合…というより、薫次第。薫が強い縁を築ければ、それを介して相手に干渉するなり、転移するなりが出来るから。

方法としては……一番簡単なのは、性交渉。一番相手と深く繋がれる、原始的だけど確実な方法。
魔術で縁を作ることも出来るけど…今の薫だと、難しい」

黛 薫 >  
「……あぁ、うん……そりゃ、魔術的な手法で
 縁を繋げねーなら、直接繋がんのが早ぃよな。
 そりゃ、そーだけぉ……ん゛ぅ゛ー……」

事実、神との縁を持つ巫女と交わることで
恩恵を享受するのは原始的ながら有名な手法。
それはまあ、ひとまず諦めるとして。

儀式の対象に干渉する程の強固な縁を得るなら
『交合したことがある』程度では足りなくて。
1番手っ取り早いのは『繋がったまま』儀式を
行う手法になるだろうか。

「……イィよ、もぅ。今更経験人数1人増えたって
 誤差だし。そんくらぃは受け入れますしぃ……」

フィーナ > 「……ただ。私、そういった手法には慣れてない…というか。体力的に保たない。だから、出来るなら、フィールとしてもらうのが、楽。
フィールと私は母子の縁があるし、薫と繋がってくれるならそこから干渉も出来る。

応用が効く私が、実行できるのが、一番いいと思うから。」
フィーナはフィールが薫とまぐわった事を知らない。

「…嫌悪感があるなら、別の方法も、考える。」

フィール > 「……………」
聞いているのか、いないのか。魔導書に目を向けたままである。

しかし、その目には、少しばかり欲情の念が混じっている。不貞腐れているのが大半だが。

黛 薫 >  
「……別に、構わねーです。その辺は」

フィールの方から感じる視線に肩を竦める。
会話の内容、フィールが抱く感情を思えば
不貞腐れるのも然もありなん。

(……コレ、儀式のために『繋がるだけ』じゃ
済まなそーな雰囲気だよな……大丈夫かな……)

自分の腰の心配はさておき。

「とりゃえず、今日の提案は丸ごと受諾します。
 スケジュールとかその他諸々は負担を考えて
 フィーナに一任するのがイィと思ぅんだけぉ。
 どーします?都合とか、あります?」

フィーナ > 「都合は、何時でも。なんなら、今からでも大丈夫。

場所は、移さないとだけど。」

流石にこんな所で性行為に及べば店主が飛んできて雷が落ちる。

「フィールは良いとして…薫。貴方の都合は?」

黛 薫 >  
「あーしに都合なんて、有って無ぃよーなもんだ。
 どーせ、それ以上に優先できるコトなんか無ぃ」

投げやりに聞こえるが、それ以上の言葉はない。
黛薫にとって、言動、理念、心情、それら全ては
ひとつの目的のために捻じ曲げられるモノだから。

「……フィールも、それでイィ?」

フィール > 「…………」
魔導書に顔を埋めながら、コクリと頷いた。

視線で感情を悟られまいと必死な様子。

黛 薫 >  
「……んじゃ、決まり。やろう」

本当はフィールに、フィーナにかけるべき言葉が
有ったのかもしれない。けれど黛薫は必要事項を
口にするだけで、それ以上何も言わなかった。

フィーナ > 「今からで大丈夫なら、移動しよう。
場所は………青垣山。そこなら、祭祀の遺構がある。使えるものも、多いと思うし。

何より、神を呼ぶとしたら。相応の場所が必要だからね」

魔導書を閉じ、棚へ仕舞う。
そして、フヨフヨと浮いて、扉へ向かう。

フィール > 「………覚悟、決めますか」
フィールも、パタムと魔導書を閉じて、棚へ仕舞う。

そして、薫の手を取って、フィーナについていこうとするだろう。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」からフィールさんが去りました。