2019/03/19 のログ
ご案内:「常世公園」に鈴ヶ森綾さんが現れました。
鈴ヶ森綾 > いよいよ春も本番が近づいてきたのか、夜になっても冷え込みの弱い日が増えてきた。
それに合わせるように、この国の春の象徴とも言える植物、桜の木々も少しずつ花開き始めていた。
しかし開花したとは言ってもまだその割合は五分咲き未満。花見をするには少し物足りない程度で。

「ふぅ…。」

だからこそ、こうして夜の公園は未だ静かなままで、夜桜見物の馬鹿騒ぎとは無縁でいられる。
その静寂をこそ良しとして、僅かに色づいた桜の木の枝を見上げる位置にあるベンチに陣取ると
携えてきた手提げ袋から水筒を取り出し、中身の温かいお茶をコップに注いでほっと一息ついた。

鈴ヶ森綾 > 後一週間もすれば、今は静かなこの公園も手近な花見スポットとして昼も夜も賑やかになってしまう事だろう。
騒がしいのも嫌いではないが、花を見るなら静かな方が良い。
湯気の立つカップの中から漂ってくるほうじ茶の香ばしい香りを深く吸い込み
もう少しとばかり口をつけてから頭上を見上げる。

枝先の小さく開いた蕾を眺めながら暫しそうして時を過ごしていたかと思えば
何かを思い出したかのように脇に置いていた手提げ袋にノロノロと手を伸ばす。
水筒の次にそこから取り出されたのは小ぶりなタッパーが一つ。
その中には餡の入った餅状の生地に塩漬けの葉が巻かれた菓子、いわゆる桜餅が収められていた。

「…んっ。悪くない出来ね。」

取り出したそれを口元へ運んではむっと齧りつく。
程よい甘さと塩気、細やかな花見に彩りを添える役目を十分果たしてくれそうだった。

鈴ヶ森綾 > 「ごちそうさま。」

そうして一頻り夜桜とお茶と甘味を堪能しで満足したところで、荷物をまとめて公園を後にした。

ご案内:「常世公園」から鈴ヶ森綾さんが去りました。