2019/06/16 のログ
ご案内:「常世公園」に天月九郎さんが現れました。
天月九郎 > 「ふ、ふふ……買ってしまった……」

強化された身体能力のおかげで荷運びやら体力を使う系のバイトが出来たのが大きかった。
仕送りは貰っているがあれは生活費や必要経費のためにあるもの、そりゃ小遣い分も含まれているけど高価な買い物にそれを使うのは罪悪感を覚えてしまう。

なのでバイト代で買ってしまいましたフロートボード。
知人に教えられて以来ずっと欲しかったのだ。
思い出されるのはロデオのように暴走したした挙句すっ転んだ恥ずかしい思い出。
今こそ俺は過去に打ち勝つ。

天月九郎 > 「とりあえずあんまり人も居ないし……適当にやってみるか」

取り説はしっかりと読んだ。吹っ飛ばした場合に備えて手元に呼び寄せる機能のついたモデルを購入してリストバンドもつけた。
転倒のダメージは……たぶんその辺のヘルメットより俺の頭の方が固いから良し。
肘と膝にプロテクターを着けて準備良し。

スロープなんかもあるがまずは平面で真っ直ぐすべる事から……。
【目標値3 上方判定】
[1d10→1=1]
天月九郎 > ブンッ!と風を切る音が響いた。
体が柔らかく大気を切り裂く心地よい感触。
視界が猛スピードで回転し青い青い、落ちてしまいそうなほどの青空が見える。

ああ…今日はこんなにも、空が綺麗だ……。

そんな現実逃避的モノローグを浮かべながら、ごしゃぁ!と背中から地面に叩きつけられて頭が思い切りバウンドする。
足を乗せた瞬間最大加速を始めたボードが思い切りすっ飛んで行き、見事なサマソを決めたのだった。

吹っ飛んでいくボードを視界の端に捉え、追いかけるように手を伸ばしてハンドジェスチャーでボード呼び戻しをし……。

「ふぐぅ……」

手元めがけてすっ飛んでくるボードを掴みそこね、腹にドゴォ!と突き刺さる。

天月九郎 > 天月九郎は改造人間である。
超古代の遺物を身体に取り込んでしまったせいで骨格や筋肉は強化され頑丈に。
切り傷程度ならすぐに治ってしまうほどに治癒力も高い。
だが痛いもんは痛いのである。

そりゃもうお腹もお尻も痛いしなにより心が痛い。
かっこよくボードを乗り回す光景を夢想していたら第一歩から大失敗。
男の子心が重傷でござる。

「よし、休憩終わり」

欺瞞とは時に心を護る鎧である、とかたぶんニーチェが言っていた。
どうも足を乗せた部分がターボ用のペダルになっていたらしい。
何も考えずに最新モデルを買ったせいでどう考えても初心者には不似合いな機能がついている。
だってスポーツモデルとかスタンダードモデルとかエクストリームモデルとかわからなかったんだもの。

今度は慎重に足を乗せ、地面を蹴ることですいーっとすべるように動き始める。
うん、快適。

天月九郎 > まずはバランス感覚が大事だ。
バイクの練習をした時もそうだがバランスというのは咄嗟の判断、それこそ無意識で対応できるようになってようやくスタート地点。
まずは身体の一部のように、多少の揺れはバランスを保とうという意識すらなしに補正出来てこそ。

なのでこうして地面を真っ直ぐ、しかも蹴りながら進む地味な光景も大事な練習の時間なのである。
こうして地味な……

「ちょっとスピード出してみるか」

地味な反復練習がしたくて買ったわけじゃねぇんだと言わんばかりに勢いよく地面を蹴って両足でボードに乗る。
これこそが皆が思い描くボーダーの基本形だろう。

【目標値3 上方判定】
[1D10→2=2]
天月九郎 > フロートボードというのは文字通り浮くボードである。
すなわちタイヤという接地部位がないおかけで小石など細かな障害を気にする必要がない。
が、反面タイヤというボードを安定させるためのパーツが無いせいで常に不安定な状態を強いられる。
ほんの僅かに左右にかけるバランスが狂うだけで横にこけてしまう。

ごらんのように

「ウッソだろおい……」

運動神経には割りと自信があったはずなのに二連続転倒。
これは男の子にとってはショックな結果だった。

天月九郎 > おかしい、本来なら何度か練習するうちに軽々と乗りこなせるようになりスロープを使ってくるくる回転できるようになっていたはず……。
理想を追いかけ現実の壁にぶつかり苦悩する少年……。
まあ基礎練習を切り上げていきなり次のステップに飛んだのだから当然である。
目玉焼きを作れるようになったから次は出汁巻き卵でも作ってみようか、とか言うようなもの。

「きっとスピードが遅かったからだな……。自転車だってビビってスピード落としたらすぐにこけるし」

だけど憧れは止められねぇんだとばかりに前のめりに。
今度は思い切り地面を二度三度と蹴りつけ加速をつけて。

【目標値4 上方判定】
[1D10→7=7]
天月九郎 > 「よっし……俺は出来る子……!」

スピードが上がればその分僅かな操作でも急な変化を起こしてしまうものなのだがどうもそっちの方があっていたらしい。
慎重に微調整を繰り返すよりも反射で咄嗟に修正をかけるほうが性にあっている。
ゆっくり動くものを上手く認識できない野生動物みたいな感覚である。

軽くバンクをかけて緩やかなカーブを描き、スピードが落ちればまた地面を蹴って加速。
自転車やバイクを使うのとは違う浮遊感と一体感に思わず笑みがこぼれる。
過去の自分には勝ったも同然である。

ご案内:「常世公園」に佐藤重斗さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から佐藤重斗さんが去りました。
天月九郎 > そうして目の前では小学生くらいと思われる男子がハーフループを勢い良く駆け上がり、グラブをしながらくるくると3回転をして滑らかな着地をして駆け抜けていった。
うん、出来る子っていうのはああいう事を言うんだろうねきっと……。

「なーなーそれどうやったのー?」
しばらくぐぬぬっと悔しく思っていたがかっこいいトリックを見せる姿に我慢できず、物怖じせずに話しかけに行くのだった。
とりあえず段差から飛んでこけずに着地くらいはできるようになりました。

ご案内:「常世公園」から天月九郎さんが去りました。