2020/06/22 のログ
ご案内:「常世公園」にアイノさんが現れました。
アイノ > スケートボード。
車輪のついた、お馴染みの道具。昔の彼女の相棒。
フローターボード。
浮き上がる機能をつけた最新鋭のボード。この島に来てからの彼女の相棒。

そして現在。
昼間の公園をすいー、っと滑るように進む金髪ツインテール女子。
小柄な身体ながら、素肌のほとんどを晒すような恰好で、公園を滑る。
彼女が乗っているのは、捨てられていた竹ぼうき。
それを念動力で浮かして自分は立ち乗りという、見た目だけならファンタジーな少女。


「だーいぶ、慣れたな。」

もう、何でも構わない。自分の体重が乗っても壊れないものがあれば、彼女はいくらでも楽に移動できるのだ。

そんな彼女はフワフワと公園を滑って、空いているスペースを探す。

アイノ > 「よ、っと。」
浮いた竹ぼうきの上に立ったまま、ぐ、っと念動力を強めれば箒はフワフワと浮き上がる。
魔法少女かよ、なんてぼやきながらも、普通にいえば2階ほどの高さに浮いた箒の上に、器用に片足で立って。

「そろそろ、訓練の場所に行ってもなんとかなりそうだな。」
両目を閉じたまま、中空に浮いた箒の上で片足で。
よ、っと声をあげながらジャンプすれば、くるりと半回転して後ろ向きに。

精神統一と、肉体制御。
二つを高度な次元で実行しなければなかなかにできない、見た目以上に難易度の高い技だ。

アイノ > 彼女の能力は念動力。
触れたもの、凝視したものを己の思い通りに動かすことができる「だけ」。

目覚めた時にはバスを止め、体中から血を噴き出し。
その結果人を超えた悪魔などと言われて迫害も受けたけれども。
今は、ほんのちょっと丸くなった。


「もうちょっと高くまで行けるかな?」
口笛一つ。目を閉じていても箒から落ちなくなった。この状況なら、どんなものに乗ってもそうそう転落ということもあるまい。

スケートボードを己の能力で浮かせばいいことに気が付いて、それならもうスケートボードでなくても何でもいいことに気が付いて。

現在は目についたものを乗りこなす練習中。
これが完璧になれば、どんな場所でも足元に注意を払わずに空中戦までが視界に入る。

アイノ > 「ヘーイ、いい具合。 スカートでも良かったな。」
公園の一番高い木よりも高い場所に箒一本で浮き上がれば、小悪魔じみたことをつぶやいて。

「………さて、そうなると。」
出来るかな、なんてポケットからビー玉を取り出せば、それもまた中空にふわふわと浮かせる。
箒を浮かせ、それとは別にビー玉を複数個浮かせて。
よし、と一人呟く。

「よーっし、………ミサイル!!」
いぇーい! っと腕を振り下ろせば、そのビー玉が唸りをあげて空を舞う。
上空という圧倒的優位を手に、遠隔攻撃にも磨きをかける少女。

アイノ > 「よっし、いい具合。
 また次のテストでも私がTOPだな。」
ふん、っと鼻を鳴らしながらゆっくりと高度を落として、箒から飛び降りる。


彼女は自分の能力が嫌いだ。
圧倒的に自信があるようにふるまいながらも、あった方がよかったか、無かった方がよかったかと聞かれたら、まず間違いなく無かった方がよかった、と思っている。

思ってはいるが、そうやって喚いて、嘆いて、涙を零して、理不尽を恨んで。
彼女はこの年齢で、もうそれに飽いてしまった。

アイノ > その涙も、体の中の感情も、何もかも、すっかり乾いてしまった。


自動販売機から炭酸のペットボトルを買いながら、あちーなくそ、と不満げにベンチに腰掛ける少女。
今はもうそんなことは考えていない。

二度と同じことが起きないよう、能力を完璧に使いこなし、完璧に自分のものとして、完璧に己の身体の一部とする。
それが現在の目標である。

アイノ > 「やっぱ、飛ばすなら釘だよな……」
思考が乱暴というか、暴力に寄るのはそんな彼女の本当に悪魔っぽい部分なのだけれども。
ケケケ、と舌を出しながら悪い笑顔。


悪魔と名指しされて非難され、その結果悪魔でいいからかかってこいや! したのだからその地方では有名な悪い子である。

高校に各中学の番長が集まるようなアレだ。この島には各地区のとんでもないのが集まるのだ。北欧代表の悪ガキである。

アイノ > ………。
暑い。こっちに来て暑いと思うことは増えたけれど。

「……バスケでもやって帰ろ。」

自分の持っているスキルを、自分の思うように、自分の伸ばしたいだけ伸ばして、他人の目も気にしなくてもいい。


彼女は今、それなりに幸せだった。

ご案内:「常世公園」からアイノさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 放課後。夕日の差し込む常世公園の池の畔。
一人ベンチに腰掛けて……ウェーブのセミロングの女、日ノ岡あかねは本を読んでいた。
何処にでも売っている文庫本。
ゆっくりとページをめくりながら、静かに読書を楽しむ。

日ノ岡 あかね > ぱたりと本を閉じて、立ち上がる。
文庫本を鞄にしまって、軽く髪を直す。
最後にスカートの皺を軽く伸ばしてから、ぐっと伸びをした。

日ノ岡 あかね >  
「さて、今日は……どんな『楽しい事』をしましょうか」
 

ご案内:「常世公園」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
ご案内:「常世公園」にアイノさんが現れました。