2020/06/25 のログ
■不凋花 ひぐれ > 「フフッ、それは素敵ですね。思い合うのって、とってもロマンティックですね」
最初に口にした言葉に繋がる。ああそれは素晴らしい事なのだ。夢見がちな女子高生にとって、明るく眩しい在り方だ。
己にはまだまだそうするだけの経験値が足りないけれど、いつか、きっとがまだまだある。
「ええ、もちろん。いの一番にヨキ先生にお伝えします」
ぐっと刀を押し込むように力を込めて立ち上がる。何度か地面を鞘で突いてから歩き出そうとして、横目にヨキの姿を捉える
「平和な事が一番ではありませんか。こうして在ることが何よりの幸福ですよ」
きっと何もない方がいい。その方が良いに違いない。
そう容易くないことはとうに理解しているものの、やはりそうあるべきなのだと痛感する。
口元を緩ませ、ごちそうさまでしたと手を合わせてヨキに礼をした後に、彼女は元いた持ち場へ戻るべく公園を後にするのだった。
ご案内:「常世公園」から不凋花 ひぐれさんが去りました。
■ヨキ > 「ヨキは夢見がちだからな。いつでも現実離れしたようなことばかり考えてる」
にやりとする。後から立ち上がるひぐれを見守って、彼女の言葉に頷いた。
「そうだな。風紀委員も、公安委員も。皆みんな、穏やかで居られることがいちばん良い。
幸福の形としては、最も中庸だ」
波風立たず、静かに凪いだひととき。
寛いだ表情をして、ひぐれを見送る。
ヨキもまた、彼女へ背を向けてその場を辞する。
ご案内:「常世公園」からヨキさんが去りました。
ご案内:「常世公園」にカラスさんが現れました。
■カラス >
公園の木陰、遠目に他の公園の利用者を眺めながら、
芝生の上に腰を下ろす青年がいた。
手にはアイスクレープを持ち、傍らに小さな白い竜。
「家の中すごかったねセイル…。」
黒髪に赤眼、腰翼の目立つ青年は小竜にそう話しかけている。
天気は晴れ。未だ暑さの残る午後の時間。
そろそろ季節を勘違いしたセミが出現しだすのでは? という頃
のんびりと少し遅いおやつを口に運ぼうとしていた。
ご案内:「常世公園」に阿須賀 冬織さんが現れました。
■阿須賀 冬織 > 授業の空きコマとなった昼下がり。
一応試験期間ということで勉強を始めたものの早々に飽き、こうして公園に気分転換にやってきた。
「試験とかマジでだりー、さっさと終わってくれねーかな。」
さっきまで冷房の効いた室内にいたからか残った暑さが気持ちいい。
ぶらぶらと園内を歩いていると木陰に座る青年と小竜が目に入った。
「おっ、すっげー! 竜じゃん、俺本物初めて見たかも!」
そう言って興味津々に彼の方に向かって駆け寄り始める
■カラス >
「久々の、妹か弟…だったけど、この時期に、熱がいる卵は大変だよね…。
え? あぁうん……君は暑いの苦手だもんね…。」
至って普通に青年は小竜と会話をしていた。
飛んでいたその竜を肩口に留まらせ、
さぁさぁ一緒にアイスクレープを………?
と、言った所で、遠目に見えていた利用者の一人が走っているのが見えた。
あれこっちに走って来ていないか?
「え、えっ?」
青年は耳羽根をびくっと跳ねさせると赤眼がそちらを見た。
■阿須賀 冬織 > 竜に気を取られて一瞬気が付かなかったが、よく見れば黒髪の青年の方も翼が生えている。
竜関係の異能や異邦人だったりするのだろうか。
こちらに気付いたようだ、ぴくっと青年の背中の羽が跳ねると、赤い瞳と目があう。
よく考えたら見ず知らずの人間が自分に向かってくるのである、驚かせてしまったかな……
とりあえず謝らないとと彼にまで届くであろう声で伝える。
「あっ、えーっと驚かせたならごめん。俺、竜見るの始めてでさ、よかったらさ、ちょっと見させてくれないか?」
■カラス >
「え、あぁはい…えーと、セイル、どうしましょう…。」
先程とはうって変わって敬語になり、肩口の小竜に話しかける。
近くまで来れば、竜は頭に青い宝石のような二角を備え、
腕がそのまま翼となっているタイプだというのが分かるだろう。
キュ、キュィと鳴声を青年に返し、しばしの会話。
「『食事の時間を邪魔しないなら見ていても構わない』だそうです…。」
と、青年も背中の翼が一番目立つが、足も良く見ればただの鳥のそれではない。
緑色の鱗が樹々の葉の隙間を縫う光を反射し、光る。
■阿須賀 冬織 > どうやら彼は竜の喋っている言葉がわかるらしい。
(俺にはキュイキュイとしか聞こえないからやっぱり異能か何かなのかな。)
「ありがと!突然でわりーな。俺、阿須賀って言うんだ。にしても本当にこの竜はかっこいいな!」
近くで見てみると額には綺麗な宝石のようなものが付いていて、翼は腕と一体になっている。
恐らく竜の中では大きいほうではないのだろうが、それでもまさしくファンタジーに出てくるドラゴン、といった姿からは威厳のようなものを感じた。
「この竜ってお前の相棒なのか?お互いに喋ってる言葉がわかるみたいだけどスゲーな!」
聞きたいことは沢山あるが、あまりしつこく聞きすぎると食事の邪魔だと追い返されるだろう。(ブレスなんかを生で見れるならそれはそれでいいかもしれないが……)
■カラス >
「阿須賀…さん。俺は、カラスって、呼ばれてます。
竜の方は、セイルという名前、です。」
かっこいいな! と褒められると、
アイスクレープの皮をかじっていた小竜はドヤドヤと踏ん反り返っている。
嬉しいらしいのが分かると、青年も頬を緩めた。
「あ、いいえ…ええと、セイルは"お父さん"の竜です。
人語を理解できる、賢い個体で…。
俺の方は…… 一応、変換が、あるのと……その、セイルは、お兄さんみたいな、モノなので…。」
素直に褒められることに慣れない青年は、しどろもどろになりながら質問に答える。
クレープを食べる手も止まっているせいで、セイルの方がぱくぱく食べてしまっている…。
■阿須賀 冬織 > 「カラスっていうのか、よろしくな!」
どうやら青年の方はカラス、竜の方はセイルというらしい。
俺の言葉に気を良くしたのかセイルが踏ん反り返っている。可愛いと思ったが、これは言葉にしないほうがよさそうだ。
少しつまりながらの説明に、俺の方の勢いが良すぎたかなと反省する。
「へー、お前の家族って竜の研究をしているのか。賢い個体ってことは他にも竜がいたりするのか?」
("お父さん"の言葉がなんだか普通の意味とは違うような気がしたが、まあ様子を見た感じ他人が節介をかける必要はなさそうだな。)
なんて、説明を聞きながら質問をしていると、カラスの持っているクレープをセイルが食べていた。
「っと、そのセイルがお前のクレープまで食べちまってるぞ。」
■カラス >
「え? あ、セイル、半分こって……。」
セイルに対して話す時だけ若干言葉が崩れる。
『話していたらアイスが溶ける』とばかりにキューキュー反論されているが、それはまぁ、こちらの話。
冬織の語調が緩くなったとしても、カラスのたどたどしい言葉遣いはそのままで、
どうやらこれが、他人に対する青年の素の状態なのだと分かるかもしれない。
「あ、よろしくお願い、します…そう、です。
家にはいっぱい、小さい竜がいて……
えっと、お父さんが皆小さくして、一緒に住んでます。」
赤眼は時折冬織の青緑眼を見るのだが、あまり視線を合わせることをせず。
「阿須賀さんは、何年生、なんですか?」
■阿須賀 冬織 > 「っはは」
セイルの言葉はわからないが、まあさっきの威張った様子と言い、態度に言葉が出るようだ。
言い合う二人――いや片方は人ではないが、のコントのような姿に思わず笑いがこみ上げる。
「仲のいい家族なんだな。」
竜を小さくするというのも中々気になるが、流石に詳しい研究内容までは知らないだろうし、知っていたとしても時間が足りないだろう。とりあえず素直に思ったことを言っておく。
「おっと、そういや学年言ってなかったな。俺は一年だよ。そういうカラスの方は?」
カラスからの質問で学年を伝えてないことに気が付き答える。
(カラスの方はどうなんだろう。見た目的には俺と変わらないんだが……ここはあんまりそういったのがあてにならないしな。)
■カラス >
途中から促されているのか、何度かアイスの部分を口に運んでいる。
いいお兄さんをしているのである。この小竜。
「喧嘩するのは、お父さんが困るので……
皆、お父さんに、拾ってもらった、から。」
そう、おそらく説明しだすと長い。
しかもカラスの言葉だとたどたどしい為、容量を得にくい。
冬織が一年生だと答えれば、耳羽根がぴこりと跳ねた。
「あ、今同じ学年、なんです、ね。
俺も一年生、です。多分来年も、ですけど……。」
冬織が異邦人かと推察する一方、青年の言からはポロポロと違和感が生まれる。
姿かたち、首元の黒い首輪もそうだが、
同じ一年生という生徒なのに、どこか異世界を覗き込むかのように、
別々の世界のことを話しているかのよう。
■阿須賀 冬織 > 「そっか、ちょっと踏み込んで悪いな。」
皆お父さんに拾ってもらった。つまりまあそういうことだろう。
「えっ、同じ学年だったのか!」
カラスから返ってきた返答に驚く。たしかにこの学校は一学年の人数がかなり多い。
とはいえ、特徴的な彼の姿は噂になっていてもおかしくなく、交友が広い方である――少なくとも彼自身はそう思っている、彼に全くそういった話が来ないとは思っていなかったからだ。
(今同じ学年、来年も……? )
どう考えてもそれは彼が留年しているということだろう。
人に慣れてなさそうな様子からして、授業などにもあまり参加していないのかもしれない。
(でもまあ、幸せそうだし大丈夫そうだな。)
さっきのセイルとのやり取りを思い出す。
「あっそうだ、携帯か何か持ってる? 同じ学年なんだし、よかったら連絡先交換しないか?」
関わりすぎかな、とは自分でも思うがどうにも俺は関わった人をあまり放っておけないらしい。
■カラス >
「あ、いえ、大丈夫です…。
保健室登校、とかで、あんまり出席しないので…知らない人の方、が、多いと、思います。」
本当に極々稀に学校に来る程度なのだ。
扱い自体も特殊で、学校に行って調べればそれは判明するかもしれない。
学校に通っているのも、それこそ表向きは社会勉強だが、色々な事情があってのこと。
「えっ……あ、えと…持ってます…でも、使い方、よくわからなくて…。」
両手で食べていたクレープを片手にして、ポケットからスマホを取り出す。
割と機種は新し目、飾っている様子も無い。
画面が目に入れば、デフォルト状態のままで、待ち受けもアイコンの整理もしていない。
スマホというよりは、本当に電話をするだけの機械である。
■阿須賀 冬織 > 「ちょっと借りていいか?」
登録するのを手伝おうとスマホの方に手を伸ばす
■カラス >
「はい。前の時は、登録してもらってて…えっと。」
携帯を素直に見せると、アドレス帳には数件名前があった。
数が少ないのだから嫌でも目に入るだろう。
ひとつはおとうさん。これは分かる。
後はれもな、アキ先輩、残り先生の名前がいくつかあった。
「これで、出来ました? ありがとう、ございます。」
そうこうしているうちに、遠くで予鈴の音が……。
■阿須賀 冬織 > 「ん、ありがと。」
新しい機種ではあるものの、飾り気はない。
見せられた画面に映る連絡先もその数は少なく、どこか浮世離れした雰囲気にも納得がいく。
「よし、これでできたぞ。」
ふと時刻を見ると、教室を出てから結構な時間が経っていた。思えばただの暇つぶしだったのに、中々ない経験をできたな……
あれ、ともう一度時間を見直す。どこかで予鈴のなる音がした。
「やべっ、もうこんな時間じゃん。ごめん、授業あるから俺そろそろ帰るな。今日はありがと、すっごい楽しかったぜ。もし困ったことでもあれば気軽に連絡してくれよな!」
急ぐように台詞を言い切ると、片手を振りながら校舎の方へ走る。
「まてよ、これ次の授業別教室じゃねーか、準備なんてしてねーぞ!」
もしかしたら、どこかの教室から教授の怒りの声が聞こえてくるかもしれない。
ご案内:「常世公園」から阿須賀 冬織さんが去りました。
■カラス >
「ありがとう、ございます。」
登録作業をしてもらうと、おどおどしていた中でもふわりと笑みを浮かべ、頭を下げた。
しかしそんな時間も束の間、この予鈴の音である。
そういえばこの時間、普通の生徒は授業の時間だった。
自分が授業に出ていないだけ、しかも今は試験期間である。
慌てて駆け出す冬織を見送ると、僅かばかり楽しそうに笑い、
セイルと互いに頬ずりをした。
「…賑やか、だったね……っていうか、セイル、ほとんど食べちゃって…ない?」
残された木陰では、そんなやりとりがされていた。
ご案内:「常世公園」からカラスさんが去りました。