2020/07/04 のログ
雨見風菜 > 相手は動揺している。
そんな反応を見てもなお、微笑んだまま。
コレ以上手を進めることもなく、相手の反応を待つ。

逃げるかもしれないとも予想しながら。

水無月 斬鬼丸 > まぁ、まて、落ち着け。
さっきのは聞き間違えかもしれない。
ジッパーを下ろしたのも暑いし、しかたないことだ。きっと。

「………ふぅ…」

一息。
ひとまず一息。
そして改めて彼女の方に向き直り…
胸元に視線がいかないようにしつつ

「…………もう一度、言ってみてくれます?」

雨見風菜 > 復唱要求だ。
ならばもう一度。

「お疲れでしたら、おっぱい揉みます?」

腕でおっぱいを持ち上げるように強調して。

水無月 斬鬼丸 > うん、確実に聞き間違いではない。
三回も聞いたんだ。間違いない。
このおとなしそうな少女はおっぱい揉むか?とスナック感覚で言っているのだ。
なんで?

みてみれば、それはそれは、とても立派なものだ。
自信があるから、癒しとして無償提供しているのだろうか?
いや、そんな馬鹿なことがあるか。どういうお店だ。いったことないけど。
突然こんなことに遭遇するなど…それなんてエロゲだよ。やったことないけど。

「ぁー………おっ…胸をもむと疲れが取れる異能…とかなんでしょうか…?」

雨見風菜 > 相手はさらに混乱している。

「いえ、私の異能は糸です。
 男性でしたら、おっぱい揉むと元気が出ると思って」

にっこりと笑顔で。
まるでジュースを勧めるがごとく。

水無月 斬鬼丸 > はい、そうですね。
元気になるでしょう。一部が。
むしろ今のチラ見せだけでもやや効果があるぞ!
というか、普通に優しげな笑顔を浮かべる彼女とその行動に大きなギャップがある。
一体どういうことなの……

「いや、でますけど!でますけど!!
えぇ…」

なんと言っていいのか。

「さ、流石に初対面の人の胸とかは流石に…えんりょしてしまうというか、ですね?」

一体どうすればいいのか。
悩んでいるのだが…視線はさらされた谷間に吸い寄せられてしまう。

雨見風菜 > 「でしょう?
 遠慮せずに、どうぞ」

もう一度腕で軽く持ち上げ、強調する。

「それとも、もう少し下ろしましょうか?」

水無月 斬鬼丸 > わりとグイグイ来る。
積極的に胸を揉ませようとしてくる。
強調してくる仕草、エロ漫画かなんかであれば、頭の悪い書き文字が踊っていたことだろう。

「…もう、少し…だと?」

これ以上下げたらこぼれだしたりしないのだろうか?
今でさえ凄いボリュームだ
というのに

雨見風菜 > 「なんなら、下げてもらっても。
 好きなだけ」

さらなる爆弾が投下される。

水無月 斬鬼丸 > 「………えぇ…」

どうすればいいのだ、なにがおこっているのだ?
夢でも見ているのか?

思わず自分の頬をつねってしまう。

雨見風菜 > 彼が頬をつねるのを見て。
まあそりゃあ誰だって夢じゃないかと疑う。

「相当お疲れでしょう?」

水無月 斬鬼丸 > 実際、電車の中でぐったりとしてたし
居眠りしていたのは事実だが…
そんな自分を見て心配してくれているのだろう。おそらく、きっと。

「…ああ…えーっと…えーとですね?
俺、その…初心者なので……
今日のところは、その…あれです。
ちゃんと出来るかわかりませんし?えー…」

なにを言っているんだ自分は。
とにかく、うまく流す言い訳を考えるんだ。

雨見風菜 > 「誰だって最初は初めてですよ」

くすくすと笑い。

「揉むだけ、何も難しいことはないかと」

水無月 斬鬼丸 > 確かに、一理ある。
揉むだけであれば、なにが難しいというのだろう。
しっかり動いてるか?脳みそ。
寝てないか?

再び、視線を彼女の胸元に。
これ以上下げろと?こぼれない?いろいろと。
先日あった先生の胸に耳を当てたことを思い出す。
同じ女性でこうも違うものなのだろうか?どっちがいいとかどっちが好きとかは言わない。
今はそんなこと些細なことだ。

「…えーと…下げ…?これを?」

思わず手を胸元に近づけ、彼女の服のジッパーを指差した。

雨見風菜 > 胸元が見られている。

「ええ、一番下まで下ろしてもらっても構いません」

むしろそのほうが、風菜には都合がいい。

でも童貞がそんなこと出来るかってんだ、いや童貞でなくても難しくないかコレ?

水無月 斬鬼丸 > まぁ、まて、落ち着け。
実はこれは彼女が脅かすためになにかの策で
ジッパーを一番下までおろしたら、びっくり箱的なギミックがはたらいて

ひっかかったー、あーこりゃまいったー的な?
場を和ませる手段なのかもしれない。

「……ええと…こんな、感じで…??」

恐る恐る。比喩無しでおっかなびっくりジッパーをつまむとゆっくり下までおろしていく。
出来ることなら早く種明かししてくれ。

雨見風菜 > 何も仕掛けていない風菜は、何かが仕込まれてると疑っている相手の考えまでわからない。

「ええ、もっとぐっとやってもらっても構いませんよ」

おっかなびっくりジッパーをおろしていく様子を眺めて。
そうして開かれた肌は、縄で縛られている。

水無月 斬鬼丸 > 手が止まった。
今のなんだ。
え?なに?下着?質感的にそれはありえない。
縄?なんで?
いや、まさか。まさかな。
目を閉じて、もう一度開く。
うん、だめだ。縄だ。

「えーと………………」

痴女だァァァァァァァァァあ!!

と、叫びそうになるが、ぐっと堪える。
もしそうであるなら……え?どうすればいいのこれ。
ひとまず、おろしてから考えよう。
実は中身はちゃんとなんかネタが仕込んであるのかもしれない。
そのギミックに縄を使ってるだけかもしれない。

希望にすがりつつも、ぐっと、下ろしきってしまう

雨見風菜 > ぱさり、とパーカーが開く。
だがそれは乳首あたりで引っかかり、完全には開かない。

風菜は笑顔のまま、斬鬼丸の様子を見ている。

水無月 斬鬼丸 > あ、あかんやつだ。
種も仕掛けもないやつだ。

「……………うぉぁ!?」

一瞬の間。
それを理解すると同時に思わず身体を引く。

「え?ええ?えーっと……仕掛けとかがあるわけでは……?」

ない、よね?

「ご、ごめ…………ごめんなさい!?」

雨見風菜 > 「仕掛け?
 ああ、ドッキリと思われた、と」

くすくすと笑い。

「いいえ、私が誘ったのですから。
 悪いのは私、でしょう?」

と、斬鬼丸の謝罪に応えて。

水無月 斬鬼丸 > 誘ったと、わりとダイレクトに答えてくれる。
まさかこれはあれだろうか?
いつか食えなかったあれ。据え膳。

「えぇ…と、ですね……その…
思ってました…」

ベンチの上で正座。
そしてそのまま土下座スタイルで頭を下げる。

「貴女はとても可愛いですし?その、おっぱいもでっかいですし?
凄く魅力的ですし?触りたいかって言われりゃそりゃそうなんですが?
でもその、なんていいますか…こういう流れでなぁなぁにっていうのは……」

なんという意気地なし。

雨見風菜 > 「あらまあ」

土下座した斬鬼丸を眺めて。
そして可愛い、魅力的と言われて嬉しくなる。

「良いんじゃないですか?
 先も言いましたが、誘ったのは私、ですよ」

水無月 斬鬼丸 > たしかにそうだ。
誘ったのはむこうなのだから、何を負い目を感じる必要があるのか。
脳内悪魔的なものがゴーサインをだしてくる。

「でもっ!」

思わず顔を上げる。
下から見上げるとそのボリュームがよく分かる。
いや、そうじゃない。

「俺、あなたの名前も…知らないので……」

雨見風菜 > 「一年生の雨見風菜です。
 これでよろしいです?」

微笑みながら、首を傾げて。

「まあ、あなたが嫌ならば。
 この場から離れられても仕方がないとは思っていますよ」

一度、言葉を切る。

「もちろん、このままおっぱいを揉むのも。
 そして、初めてを済ませてしまうのも」

水無月 斬鬼丸 > あっさり名乗った少女。
一瞬ぽかーんとしてしまう。

「あ、はい。一年生の水無月斬鬼丸です…」

名乗りかえしてしまった。
いや、これ、どうする?どうすればいいんだ?
嫌だっていうのも、なんか、あれだろ。
相手の体が汚らわしいものと扱ってるようで、そういうのはなんか嫌だ。
かといって、彼女の言うように…この流れで卒業とか…いいのか、それでってなる。

「あー…その……それじゃ、はい…」

引っかかったままのパーカー。
肌が露出している部分ではなく、パーカーの上から…そっと触れてみた。

雨見風菜 > 「ん……もっと、しっかり触ってもらって。
 揉んでも良いんですよ」

斬鬼丸の手の上から自分の手をかぶせ、揉ませるように。

「こんなふうに」

水無月 斬鬼丸 > 「ぁ゛ぃ゜!?」

やわらかっ!?なんだこれ!?
ふかってしてる。人間についてていい部位なのか?
人を駄目にするアレの類似品かなんかじゃないのか?
めっちゃ指埋まってね?いや、そうではない、そうではなく

「ぇぇぇぇっとです、ねっっ…はい、その、ですね…
その…元気出ました!でましたので!!」

指が全く動かせない。

雨見風菜 > 「ふふ、それは良かった」

ニッコリと笑いかけ、自分の手を離す。

「さあ、これからどうしましょう?」

意地悪かな、とも思いつつ問いかけてみる。

水無月 斬鬼丸 > 手が動かない。
離れたがらない。いや、緊張でこわばっているのか?
触れていない方の手で腕を引いてようやくだ。

「元気っ…でましたのでっ!!でたのでっ!!!」

ガクガクとできの悪い人形のようにぎこちない動き
立ち上がろうとするも明らかに腰が引けている。無理もない。
あれがああなってああなってるのだから。無理もないのだ。

「あ、あ↑り↓がとう↑ございまひたっ!
俺は…お、いっぱいいっぱい、でしてっ……つづきはまた?こんどということで?はひ」

言い訳としては3点ももらえないだろう。
が、嘘は言っていない。

雨見風菜 > 男の本能に必死に抗う姿。
なんとか必死にこの場を抜け出そうとする姿に。

「今度。
 何時になりますか……いいえ」

すい、と斬鬼丸に顔を近づけて。

「今度って、今じゃないですか?
 ほら、勇気を出してください」

斬鬼丸の頬を撫でる。

水無月 斬鬼丸 > 今度って今…なのか?
いや、まて。まて。
乗り切れ。がんばれ、俺。
がんばれ、理性。偶然であった女の子
おっぱい触っただけでもだいぶあれだが、そのまま致していいわけないだろ。

頬に触れる指の感触がくすぐったくも心地良い。
だが…だがぁ……

「こ、今度はっ!そのっ……せ、せめて……
好きな女の子ができてそういう事態になったときまで保留していただけるとぉ!」

雨見風菜 > 果たして、斬鬼丸の勇気は振り絞られた。

「そうですか。
 でも、その前にしちゃったほうが良いと思いますが」

そういいつつも、近づけた顔を元の位置に。
流石にこれ以上押すのも自分らしくない気がして。

「好きな女の子ができたら、大切にしてあげてください。
 あ、私は逆がいいんですけどね」

本当に、中身は清楚とは正反対である。

ご案内:「常世公園」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
水無月 斬鬼丸 > 顔が離れると、ベンチから転げ落ちるように体を引いて
呼吸も荒く立ち上がり

「はー…はー……それにも一理ありますが…
ありますが…」

女の子とそうなる前に慣れておいたほうがいいという意見も
確かにある。自分もリードできればいいなぁとは思うところもある。
だが、それはそれ。これはこれ。

「は、はい…あざっす……えと、雨見さん…でしたっけ…
また、その、雨見さんがいやとかじゃないんで…
今度が、その、きたときは…よろしくおねがいします」

そう、いやというわけじゃない。かわいい、魅力的というのは、その場を逃れるための嘘ではない。

雨見風菜 > 微かに残念そうな表情が浮かぶ。
だが今の斬鬼丸にそれを理解する余裕はあるのかどうか。

「ええ、その『今度』がもし来たら。
 ……まあ、私では参考になれないかもしれませんが。
 変態ですので」

いまだパーカーを閉めずに笑って。

水無月 斬鬼丸 > 「変態とかっ…あの、元気は出ましたんで!!
だから、そう…優しい、じゃない、ですか!
なんで、俺としてはその…あざっした!!」

おろおろとたどたどしくも少女に言葉を。
正直いつ風が吹いてパーカーがめくれるかわからないので早くしめてほしいのだが。
それはそれとして、親切にしてもらったことは事実。

自分がしなくても多分他の男であればするのだろう。
それはそれでかなり情けないが…

「それじゃ…えっと…またあったら……こんどは、えーっと……
疲れてたらまた、お願いします…」

残念そうな表情に気づいてか、そうではないのかはわからないが
冗談めかしつつ、頭を下げて、腰の引けた歩き方でベンチをあとにした。

雨見風菜 > 斬鬼丸の願いも虚しくパーカーを全く閉めない風菜。

「ええ、また」

そうやって、ベンチをあとにする斬鬼丸を見送る。

「それにしても、今日は私らしくなかった気がしますね。
 ああも食い下がるなんて」

と、一人この度の行いを振り返るのだった

ご案内:「常世公園」から水無月 斬鬼丸さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から雨見風菜さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に空蝉 藍那さんが現れました。
空蝉 藍那 > 「うははは!!うは!!うはは!!!なにこれおもしろーーーい!!なにこれ!なーーーにーーーこーーーれーーーーー!!!」

深夜の公園に少女の笑い声と叫び声が木霊する。
声の主は回転式ジャングルジムでグルグル回りながら遊んでいる真っ最中。
回転速度が落ちると一度地面に降りて、勢いよく走って速度を上げ直し、ぱっと足を離して飛び乗る。
それを既に10回以上繰り返してはひたすら笑っていた。

空蝉 藍那 > 「はは!はははっ!!あっ……」

けたたましく鳴り響く笑い声が突如ぷっつりと途絶えた。
次の瞬間には勢いよく少女の体が地面に投げ出された。

「おっぐぇっ!?」

潰れる声で悲痛を叫んだ後、両手で後頭部を押さえて転がりまわる。

「~~~~ッ!!!!!ーーーッ!!!」

言葉に出来ないとはまさにこの事である。
思い切りスカートが捲れて薄ピンク色のショーツが覗いているが、転がり過ぎて色気も何も無い。

空蝉 藍那 > 「……っはーーー。ったはー、なるほど、結構……痛いのね……」

砂利塗れになった体で立ち上がり、両手でぱっぱと砂を払う。

「やー、でも面白い物いっぱいあるんだ。これが庶民でも出来るなんて、 あっち じゃ考えらんないなー。」

膝丈のスカートを払い終えると、マスクを一度外して深呼吸。
笑い過ぎて酸欠になった体にめいっぱい空気を吸い込んで、吐く。
それが終わればマスクを両手で直して整えながら、辺りを見渡す。
視界一杯にいろんな遊具が広がっていて、それを見るだけでワクワクする。

空蝉 藍那 > 「ぴあっ!?」

次はどれで遊ぼうかなぁとか呑気に考えていたら、スカートのポケットで強い震えを感じて体を弾ませた。
慌ててスカートのポケットから取り出したのは小さな子供用の携帯電話。

「えーっと、これは……ここ!」

通話ボタンを見付けて押すと、途端にけたたましい声が電話口から溢れた。

「た、たはは……ご、ごめんなさいお爺さん。……え?えっと、コウエンってとこかな。」

電話を持つ右手とは反対の左手でぽりぽりと頬を掻きながら苦笑を浮かべる。
申し訳なさげにその左手がやがてスカートを掴み、肩を竦める。

「うっ……は、はい。すぐ帰ります……」

小さな声で呟くと、携帯電話をスカートのポケットにしまって、踵を返し一目散で異邦人街を目指した。

ご案内:「常世公園」から空蝉 藍那さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 昼過ぎ。人の溢れる常世公園のベンチに座って……常世学園制服に身を包んだ、セミロングのウェーブの女、日ノ岡あかねは微笑んでいた。
手に持っているのはスマートフォン。
画面に映っているのは……先週の『話し合い』の後に設置した簡易受付サイト。
それを眺めて小さく笑いながら、あかねは目を細めた。

「集まった数は……まぁ、思った通りってところね」

くすくすと……あかねは笑う。

日ノ岡 あかね > あの『話し合い』から一週間が過ぎた。
オンライン上に設置した簡易受付に……名のある異能者からの応募はない。
風紀委員会の方の受付にはそれなりの数は来ているらしいが、それだって想定範囲内程度。
計画は順調に進んでいる。
落第街でも、少なくともこの計画が遠因となって騒動が起きたりはしていない。
つまりは、いつも通り。

「この島は広くて助かるわ」

公園内の売店で買ったクレープを食べながら、あかねは笑う。
十全とは言えないが、手駒は揃った。
盤面に並べて勝負できる程度の数はいる。

「まぁ、ちょっと足りないけど……それも含めて想定通りってところね」

別にこれから集めればいい。
集まらなくても、その時はその時。
どうにでもなる。

日ノ岡 あかね > 「結成式でもしましょうかね」

今回の『功績』で、あかねは風紀委員会元違反部活生威力運用試験部隊の中の一部隊を任せられる事が決定した。
晴れて肩書付き。手勢は奇しくも余十人。
決して数が多いとはいえない。
だが……その数は、『過去』を想起するには十分な数だった。
それでいて、大きな事を起こすには少なすぎる数。
つまりは、丁度いい数。
風紀委員会からしても、日ノ岡あかねからしても……好都合な数。
風紀委員会からすれば、いつでも黙らせることが出来る程度の数。
日ノ岡あかねからすれば、『質』を維持できる数。
互いにとって、全く好都合。
全て世は事も無し。

「増えてくれたらもっと嬉しいけどね」

とはいえ、それは贅沢な願い。
あかねも期待はしていない。
せいぜい、夢に見る程度だ。

ご案内:「常世公園」に山本 英治さんが現れました。
山本 英治 >  
「おっと、美人さんがこんなところで黄昏れてるなぁ」

軽口を叩きながら手を上げて近づき。
片手には甘めのコーヒーの缶。

「君の瞳を逮捕したいもんだ……日ノ岡あかねさん?」
「クレープなんて食べちゃってー、女子力ぅ」

彼女の前に立ってコーヒーを開封する。
嚥下すれば甘く、ほろ苦い味が広がった。

「どうだい、威力運用試験部隊のほうは」
「書類仕事は溜まってないか? 手伝えることがあれば言ってくれ」
「まぁ俺は書類が得意なわけじゃないが……一緒に困ることくらいならできるさ」

アフロが風にそよいだ。

日ノ岡 あかね > 「あら、エイジ君じゃない。ふふ、クレープ美味しいわよ? そこの売店で売ってるからあとでどうかしら」

呑気にクレープを勧めつつ、隣の席軽く手で叩く。
嬉しそうな笑みを浮かべながら。

「書類の方は大丈夫よ。だいたい全部カオルちゃんに押し付けてるから」

楽しそうに目を細めながら、受付の赤坂薫子の事を思い出してクスクス笑う。
指先についたクリームを舐めとって、あかねは英治の顔を見る。

「それとも、エイジ君も私の部隊入る? まぁ、入るなら此処で面接するけど」

じっと、英治の顔をみて……あかねは尋ねる。
まるで、学校帰りにカラオケにでも誘うかのように。

山本 英治 >  
「この後、警邏の時間だからな……小腹を満たすのも悪くないな」
「隣の席、失礼しまーす」

遠慮なく隣に座らせてもらった。
今もワンコインの冷たさが掌に収まっている。

「ありゃあ、赤坂先輩も大変だぁ……労うのはあっちだったか」

肩を竦めて缶を軽く揺らした。

「遠慮しとくよ、俺ぁどっちかというと穏健派だしな」
「威力運用ってのも性に合わねぇや」

空を見る。蒼い空。蝉の空。夏雲の空。
どこまでも憂鬱な、青空。

「そんで、栄転めされたあかね様の次の一手や如何に?」
「風紀でも話題沸騰って感じだな。一挙手一投足が注目されるのは、どんな気分だ」

日ノ岡 あかね > 「まるで『次の悪戯はなぁに?』って尋ねるみたいな言い方じゃない。私、別に過激派とか穏健派とかどっちでもないんだけどなぁ」

英治の顔を見て、あかねはとても楽しそうに笑う。
黒い夜の目が、じっと英治の顔を見ている。
誰にでもそうするように、あかねは目を逸らさない。
どこまでも続く蒼穹の元、あかねは英治に笑いかける。

「別に私は私を続けるだけなんだから、何とも思ってないわよ? それに、腫物として扱われるのは慣れっ子だしね」

へらへらと笑う。
いつも通りに。
そして。

「エイジ君、何か私に聞きたいことでもあるの?」

目を細めながら、小首を傾げる。
猫のように。

「言いたいことあるなら……ハッキリ言ってくれていいのよ? ふふ」

山本 英治 >  
「そうかい? 俺はてっきり過激ガールだとばかり」
「従来の枠組みを壊すのは、イタズラじゃ済まないぜ」
「快刀乱麻を断つのは、敵も多いだろ?」

彼女の瞳に射竦められるような気持ちになるのは、どうしてだろう。
自分にやましいことがあるからではないか。
それを見透かされたようで、落ち着かないんだ。

「私は私を続けるだけ、か………強ぇんだな」
「異能や格闘が強いだけじゃ得られない強さだ」

相手に合わせてへらへらと笑ってみる。
ちっとも自分に見合った笑顔じゃない。そう思った。

「そうかい? それじゃ遠慮なく」
「俺はあんたが気に入らなかった……そして、それに対してごめんなさい、だ」

幌川先輩の笑顔が浮かんだ。
彼から教わった大切なこと。

「印象で決めつけてたんだよ、日ノ岡あかねはとんでもないことを企んでる、て」
「でも、それは周囲の噂だったり、空気だったりで」
「そこに俺の意思がなかった」

「だから、ごめんなさい……だ」

猫みたいな女の子、か。確かにそうなのかも知れない。

「俺一人が暴走して誰か救えるわけじゃないが。あんたは大勢のためにプランを実行してみせた」
「それにリスペクトを感じてんだよ……あとは」
「カワイ子ちゃんだしな?」

ニカッと歯を見せて笑った。

日ノ岡 あかね > 「ふふ、御上手なのね。ありがと、エイジ君。可愛いって言われるのは嬉しいわ。これでも一応身綺麗にしてるつもりだし。その一言で、気に入らないって言われた事もチャラになるわ。私、結構チョロいから」

そういって、風に軽く流された横髪を抑えながら……あかねは笑う。
軽く八重歯をの覗かせながら、嬉しそうに。

「別に枠組みを壊してなんかいないわ。増やしただけ。それも私がやったことじゃなくて、実際にやったのは風紀委員会だし……一番頑張ってくれてるのは事務方の子達よ。私は軽く煽っただけ。ま、敵が多いのはいつもの事だから別にいいけどね」

小さく肩を竦めて見せる。
せいぜい、「同じ部活の子と軽く揉めました」程度の感じで。
それくらいに、あかねの口振りは軽かった。

「強いとか弱いとかも……別にどうでもいい事よ。異能とか身体能力とか、大したことじゃないでしょ。異能があってもなくても、抗う事はできるし、挑む事もできるわ。簡単な話よ」

異能を封じられている女は苦笑を漏らす。
実際、あかねは戦いは好まないと公言している。
非効率的だと言い切り、だからこそ、盤面を『最初から争うも何もないように』と調整しただけのこと。
あかねからすれば、たった『それだけ』のことだった。
日ノ岡あかねは嘘など吐かない。
常に聞かれた事には答えている。
だからこそ。

「まぁでも、何も企んでないわけじゃないわね」

それにも……ただ、当たり前のように答えた。
それこそ。

「私は『私のやりたいこと』があるからね」

何でもないように。

山本 英治 >  
「身綺麗って言葉には、やましいことのないって意味も含まれるのは知っているかい」
「確かにあかねさんは身綺麗だよ」

ムヒヒと楽しそうに笑ってコーヒーを飲む。
大嫌いだった青空も、今は清々しい風を送り込んでくれる。

「なるほど……枠組みを増やしただけ、か…」
「俺、大概目立ちたがり屋だからさ……打たれる杭の側なんだ」
「どうだい? 今度、一緒に食事でもしながらその辺りの話でも」

自分も口が軽くなる。
相手の調子に合わせるとかでなく、自分のリズムで話す。

「……挑めるのは強さだ………」
「人間は現状維持と現状打破、二つの二律背反した命題に追われる生き物だ」
「どっちかを力強く選択できることを俺は強さと呼ぶのさ」

日ノ岡あかねは嘘を吐かないし、彼女の言葉には嘘がない。
だからこそ。
聞き返さなければならない。

「やりたいこと?」

と。

日ノ岡 あかね > 「『真理』に挑む」

あかねは笑う。
英治の目を見て、英治の顔を見て。
満面の笑みを浮かべて。

「それが、私のやりたいこと」

それこそ、将来の夢でも語るように。
それこそ、好きな食べ物の話でもするように。
あかねは語る。
あかねは笑う。
ただ、いつも通りに。

「今度私、一部隊任されるんだけど……それが出来る人だけ集めるつもり。それが出来る人しか集めないつもり。だって、それが私のやりたいことだから」

公然とそれを語る。
当然のようにそれを語る。
その人員確保のため。
その頭数確保のため。
今までやったことはあくまで手段。
きっと、それだけ。

「真理に噛み付きにいくの。どう? この話……興味ある? 食事でもしながらゆっくり聞いてみる?」

日ノ岡あかねは……緩やかに笑う。

「やるなら引けないけどね」

ただ、いつも通りに。

山本 英治 >  
「真理に……?」

相手の言葉が上手く飲み込めない。
真理……真実と似ているようで、実態が異なるもの。
正しい法則であること。その言葉。

「今までの行動も真理に挑むための手段に過ぎない、と」

アフロを指先でいじりながら聞いた。
とっくに冷たさを失った手の中の空き缶。

「デートの時に話すには、少し色気のない話かもな」
「だが興味がある。あかねさんが噛み付くからには、落第街の悪党より難儀な相手だろうしな」

携帯デバイスで時間を確認して。
掌のスチール缶を音もなく握りつぶして親指で中空に弾く。

「今度ゆっくり話を聞かせてくれ、美味いベトナム料理の店を知ってるんだ」

立ち上がって破顔一笑。

「今日は話せて良かった。ではホンカンはこれで」

昔の刑事ドラマの警官みたいにわざとらしく敬礼をして。
背を向けて去っていく。

からん、と音を立てて。弾いた鉄の球体が自販機横のゴミ箱に収まった。

ご案内:「常世公園」から山本 英治さんが去りました。
日ノ岡 あかね > 「私も話せて良かったわ。またね、エイジ君。ベトナム料理……楽しみにしてるわ」

にっこりと笑って、手を振って見送る。
そして、その背が見えなくなってから……あかねはぽつりと呟く。

「私はあかね……日ノ岡あかね。だから、私は……」

深い深い……笑みを浮かべながら。

「『私』が『私』だから『私』を行う話をする」

真理に挑む、真実に挑む。
あかねは変わらない。
日ノ岡あかねは変わらない。
いつも通りに、ただ、いつも通りに小さく笑って。

「あの子達はどうするのかしらね……? 全然話聞かないけど」

日ノ岡 あかね >  
 
「いつまで悠長にやってるつもりなのかしら? 私……もう先にいっちゃうわよ?」
 
 

日ノ岡 あかね >  
 
日ノ岡あかねは……楽しそうに、目を細めた。
 
 

ご案内:「常世公園」から日ノ岡 あかねさんが去りました。