2020/08/01 のログ
ご案内:「常世公園」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に227番さんが現れました。
神代理央 >  
やるべき事は多い。
孤軍奮闘に近い現在、同志を増やす努力をしなければならない。
違反部活への取り締まりは、今迄以上に力を入れて行わなければならないだろう。
警邏のシフトも、暫くは穴だらけだろうが…こればかりは、仕方あるまい。

「建前とはいえ謹慎中の身であればな。大人しくしておらねば、神宮寺の顔に泥を塗るだろうし…」

一応、庇ってくれた恩義は感じているのだ。
それに――

「……沙羅が狙われている、という情報の真偽を、確かめなくてはならんしな」

ギシリ、と握りしめた缶が僅かにへこんだ。

227番 > 沙羅と別れ、とりあえず当初の目的地である公園にたどり着いた。
人影が2つ。……遠くから覗き見てみる。

紫陽花 剱菊 >  
夏至の夜。
静寂の空気が嫌いでは無かった。
男は静寂を好んでいた。
其れを乱さないような静かな足取りで、公園へと訪れた。
黒糸のように、涼風の揺らぎに身を任せ、静かに少年の前で足を止めた。

「……久しいな、理央……随分と、焦りが見えるようだが……。」

何時もと変わらない、何も変わらない
静かで、穏やかな声音で問いかける。

「……なな。どうか、此方へ……。」

そして、感じた気配に振り替える事も無く
声だけで、誘う。

神代理央 >  
「…紫陽花か。確かに、久しい気がするな。最後に会ったのは、恋煩いの相談を受けた時だったか?」

夜の帳に紛れる様に現れた、凛とした立ち振る舞いの男。
風鈴の音が良く似合う公安の剣客の姿に、小さく手を上げて答えるだろうか。

「…いや、何。因果応報という言葉の意味を噛み締める日々でね」

と、彼の言葉に苦笑しつつ缶珈琲を一口。

「……なな?」

他にも誰かいるのだろうかと、彼の言葉に怪訝そうな表情を浮かべながら周囲に視線を巡らせるだろう。

227番 > 「……、」

気付かれてしまった。気配を隠しておくべきだったか。
木陰から帽子を被った少女を顔を覗かせた。

(女の子のような男の人……)

じーっと青い瞳が、見定めるように視線を送る。

紫陽花 剱菊 >  
「……面映ゆい限りだ。だが、其方達のおかげで、今の私は此処に在る……。
 在り難き縁に、私は唯、一時も其方への感謝を忘れた事はない……。」

故に、此処に帰ってきた。
其の縁の一つも、彼のおかげ。
大層生真面目な剱菊は、深々と理央へと頭を下げた後、227へと視線を向ける。
さながら獣の様に見定めているようだ。

「……おいで。乙に澄ますように見えるが、悪人に非ず。傍で話をしよう。なな、話したい事も多い故に……。」

理央への評価を入れつつ、227へと手招き。
其の表情は陽のように朗らかで、穏やかなもの。

「……さて、因果応報か。何か、人前では話しづらい内容か?」

神代理央 >  
「……子供?」

剱菊の呼びかけに応じて現れたのは、探偵を模したかの様な可愛らしい服装に身を包んだ少女。
それが此方をじっと眺めるものだから、妙に居心地が悪い。

「……ええと。私の顔に何かついているか?」

と、ちょっと首を傾げつつ。
救いを求める様に剱菊に視線を向ければ。

「……別に、そこまで大層な事はしていないし、言っていない。
あの時は、山本の方が間違いなくお前の事を良く想っていた。
だが、お前が諸々無事であったことは、素直に嬉しく思うよ」

日ノ岡あかねを生きた儘捉えたのは、彼である。
となれば、何かしら二人の間に――少なくとも、バッドエンドではない何かが――あった筈なのだ。
剱菊からの礼の言葉と深々と頭を下げる動作に少し困った様に首を振り――

「……話辛い、と言う程でも無いが。少しばかり、悪行を曝け出されてしまってな」

と、手元の端末を操作して彼に差し出す。
端末には『殺し屋』がアップロードした動画が表示されており、彼が画面を操作すればすぐに再生されるだろう。

227番 > 「……わかった」

促されて、気弱そうな声で返事。
剱菊の後ろ3歩のところまでやってきた。

「こんばんわ……あなたが、りお……?」

コンギクは、彼をりおと呼んだ。
思った以上に早く、目的の人を見つけてしまった。困ってしまった。
それはそれとして、視線はじっと目を見ている。

神代理央 >  
「…如何にも、私が神代理央、だが」

この少女とは初対面の筈だが、何故か少女は此方の名前を知っている。
疑問符が次々と頭に浮かびつつ、取り敢えず少女の問い掛けには素直に頷くだろう。

「…私の事を知っている様だが、私に何か用事でもあるのかな?」

一応、子供相手であるし。
少し柔らかな言葉遣いと声色で、此方を見つめる少女と視線を合わせて首を傾げるだろう。

紫陽花 剱菊 >  
理央の言葉に、剱菊は静かに首を振った。

「……私は其方の様な決断力は持ち合わせていない……。
 此れを"是"とし、確固たる意志を持ったのは後にも先にも、あかねだけ……
 其れを促したのもまた、其方で在れば、礼を述べるのも必定。」

<知るか、そんな事>

あの我儘を通す決断をさせた鉄の意志は
彼から習ったものに間違いない。
紫陽花 剱菊と言う個は叩かれ、未だ研ぎ澄まされる未完の器。
だが、其の成長の是非を問うのであれば、恐らく前者で在る。
陰陽以て人と成す。清濁併せて呑み込む事こそ、人の強さ。
事実、あれだけ不愛想だった表情も
彼の前でも変わらず穏やかである。

「成る程……其れは因果だ。斯くも、其れだけで落ち込む事はあるまい……。」

少なくとも、自分の知る神代 理央ならば其の程度の"悪事"は鼻で笑う。
そうではない、もっと重大な事が其の心に蟠りを残していると剱菊は見た。


やってきた227を一瞥すれば、「大丈夫」と付け加える。
彼女の発言からすれば、恐らく自分の推察は間違いではなさそうだ。

「……理央、其方はななを知らぬとみるが……彼女もまた、初対面ともすれば……
 『第三者』……ななの知る其方が、心の蟠り、即ち悩みの種と見た……違うか……?」

227番 > まだ整理もできていないのに。
いつだってチャンスは準備していない時に来る。

少し考え込んでから、ポーチから何かを取り出す。

「……」

それは風紀委員の腕章。
少女が持つには相応しくないもの。

「ことづて、がある」

神代理央 >  
「…お前ほどの男に其処まで言われてはこそばゆいというものだ。
 どの様な経緯にて日ノ岡を捕らえたのかは知らぬが、お前の顔を
 見るに納得の行く結末だったのだろう。
 であれば、その決断に至ったのも、其処に至る迄の努力と行動
 も。
 全てはお前自身の選択の結果だ。礼など言わず、素直に誇ると良
 い」


彼の言葉に、少し気恥ずかしそうに笑う。
とはいえ、その笑みは次いで投げかけられた言葉に陰る事になる。
己が気に病んでいる事は。彼の言う通り今回の一件そのものに対しては無いのだから。

「……弱くなった、と告げられた。
 『神代理央』としての機能を失っていると。
 罪を自覚して、奪ってきた命の重さを知ってしまったと」

「その通りだ。私は、確かに弱くなった。
 だから、それを是正しようとした」

「……そう思った矢先。この動画が投稿された夜。
 同棲していた恋人に出ていかれてしまってな」

「挙句、今度はその『殺し屋』とやらが私の恋人を狙っている等と
 いう噂が立ち始めた。
 気落ちの一つや二つくらい、しても仕方ないだろう」

深く溜息を吐き出すと、缶コーヒーを勢いよく煽る。
相変わらず、このカフェラテは甘くない。

神代理央 >  
「…確かに、彼女と私の共通の知人、という可能性は高いな。しかし、一体誰の――」

と、剱菊の言葉に答えかけて、少女がポーチから取り出したモノを見てしまう。
それは――それは、風紀委員の腕章。
別に名前が書いてある訳でも、目だった特徴がある訳でも無い。
しかし、少女と己の共通の知り合いで、風紀委員であり、今その立場を隠そうとしている者は――

「……ことづて、とは。いったい、なんだ」

幾分震える様な口調で、腕章から引き剥がす様に視線を少女に向けて。
静かに、しかし何かを畏れる様に少女に尋ねるだろう。

紫陽花 剱菊 >  
理央の肩に、剱菊の手が添えられる。
冷たい鉄の如き体温だが、トントン、と気を落ち着けるように軽く叩かれる。

「────……落ち着け。」

まずは、彼の気を落ち着かせる。
己への問答の答えは、少女の言葉を聞いてからでも遅くはあるまい。

「吉報か、凶報か……いずれにせよ、理央には聞かなければならない義務がある。」

「……なな、教えてくれ。其の言伝を。」

227番 > 剱菊の後ろだった場所から、理央の前まで移動する。
足取りは少し重く、それは少し怖れているのを感じられる。

そして少女は口を開く。

『私が、『鉄火の支配者』からあなたを取り戻します』

言い切る様に、区切り無しに。

「"さら"から、あなたに」

そして、腕章を差し出した。
……少女は、彼女が今何処に居るかを知っている。

神代理央 >  
肩に触れられるのは、底冷えする様な体温の男の手。
しかし、その冷たさは怯える様なものではない。
寧ろ、焦り急ぐ己の心を落ち着かせる様な、そんな体温とリズム。

「…そう、だな。ああ、そうだ。落ち着いて、落ち着かなければ」

己の思考の奥底で。『神代理央』の底の底で。
小さくナニかが舌打ちする。

「……そう、か。沙羅が、そんな事を……。
 …馬鹿だなアイツは。そんな事の為に、俺の元から離れたのか。そんな事の為に、アイツは……」

深々とベンチに身を預け、俯いて大きく息を吐き出す。
数秒、そのまま大地に視線を落としていたが、やがて決心したかの様に再び視線を上げて少女に向き直ると――

「……沙羅は、無事か?元気に、しているか?」

居場所を――聞く事は出来なかった。
代わりに、彼女の無事を。彼女が、健やかでいるかどうかを。
僅かに怯える様な口調で、少女に尋ねるだろうか。

紫陽花 剱菊 >  
成る程、と一つの納得を得た。
生憎、異邦人でかついざこざの後処理で降板された身。
如何なる事情が風紀に在ったかは知らないが、彼の恋人が原因か。
そして、曰く『神代 理央』は機能を失った。
政ではあるまい、恐らくは"人間的"欠落。
立て続けに『鉄火の支配者』としての側面も失い
此の少年は不安の真っ只中、頼るべき相手も今は、彼の為に奔走する。

「…………。」

成る程、成る程。
かつての私も、『そういうもの』だったか。
黙って理央と227のやり取りを先ずは見守る事にした。

227番 > 目を伏せた様子を、じっと見ている。
やがて視線が上がれば、すこし、身じろいで。

「いまのとこ、無事」

と、返事をする。調子悪そうだった、とは言わなかった。

「少しの、間は、大丈夫だと、思う」

これについては、少し自信有りげに。自分の隠れ家の備蓄を提供したから。

「あと、これも、渡しといて、って」

腕章を手渡そうと。

神代理央 >  
ゆっくりと、恐る恐る。
少女から差し出された腕章を受け取る。

「…そうか。無事、か。……良かった。ああ、良かった」

安堵したかの様に、表情を綻ばせる。
しかし、少女が発したのは"いまのとこ""少しの間"。
その言葉に、瞳に浮かべた色は不安と疑念に揺れる。

「……それは一体、どういう意味だ。アイツに、沙羅に何かあったというのか。
何か、危険に晒す様な事が、アイツにあったというのか?」

かつて刃を交えた男に見守られながら。
焦燥感に駆られたかの様に、少女の肩を揺さ振ろうとするだろうか。

紫陽花 剱菊 >  
沙羅。あの屋上で出会った少女……がそう呼ばれていた気がした。
よく覚えている。強烈な"一発"だった。
ともかく、彼女は今、自ら何かしらの渦中に飛び込む気の様だ。
少なくとも、現状を知るべく、理央も落ち着かせる必要がある。
理央が揺さぶろうとすれば、そっと二人の間に割り込み、理央に頭を振ってみせた。

「……焦燥に身を焦がされる気持ちはいみじくも理解出来る。かつての私が、そうだった……。」

「然れど、私とは状況が違う。ななの言葉に虚偽無くば、直ぐに事が広がる事はない……。」

「急いては事を仕損じる。」

日ノ岡あかね。彼女を生かすだけに、唯只管に駆け抜けた。
そして、己の我儘を通しきった。
必死だったが、今思えば気が気では無かっただろう。
其の気持ちを汲んだ上で、冷静さを取り戻す様に理央を諭す。

そして、227へと向き直った。

「……言伝を先ずは感謝を……なな。
 彼、理央は……沙羅の事を大事に思っている。」

ゆっくりと、しゃがみ込む。
水底の様に黒い瞳。
其の奥に宿す一筋の光で、青色を見据える。

「故に、彼女の事を心配している。だから、焦燥を感じている……。
 ……なな、其方も、其方の大切な人々が危機の渦中へと身を投げれば……
 恐らくは、理央の様に落ち着いてはいられまい……然れど、沙羅は"少々の暇は大丈夫"なのだな?」

「疑いではなく、確認だ……なな、怖がるようで在れば私が理央の代わりに謝ろう……。」

「だが、理央の気持ちも汲んでくだされば幸いだ。……なな、話してくれ。今、沙羅に何があったのか、どうしているか。」

「其方の言える範囲で、構わない。」

ゆっくりと、理央の言葉を咀嚼し、なるべくわかりやすいように227へと伝えていく。

神代理央 >  
差し出した腕が、遮られる。
何を、と見上げた視線の先で首を振る剱菊の姿。
そして、彼の言葉を聞き入れていれば、浮かんでいた焦燥感と不安に揺れる瞳は徐々に落ち着きを取り戻す。

「…ああ、そうだな。少し。少しばかり焦っていた様だ。
私らしくない。焦っても、手に入れられるものなど無いというのに」

はやる心を抑え、呼吸を整えて。
彼の言葉を素直に聞き入れ、頷くだろう。

「…すまない。少しばかり気が急いてしまった。
もしよければ、良ければで構わない。君が知っている沙羅の事を、教えてくれないだろうか」

剱菊の後に続く様に。
少女に哀願する。恋人の現状を、教えて欲しいのだと。

227番 > 「っ……」

迫られようとして、びくりと肩が跳ねる。
鉄火の支配者。聞いたことが有った。
路地裏生活で、地形が変わった場所で、誰かが話してたのを聞いた。
実際にその火力を見たわけではないが、
自分を守るために避けるべきものとして、記憶に残されていた。

しかし、彼は剱菊に遮られた。
彼が居て助かった。下手すれば、すでに逃げ出していたかも知れない。

一度息を落ち着けてから、聞かれたことに答える。

「すこし、疲れてた、から。
 寝るとこと、しばらくの分、食べ物、貸した」

自分の隠れ家にあった物を知っている剱菊になら意味が伝わるはずだ。
彼のことは信用している。
これぐらいは伝えてもいいだろう。悪いようには、しないはず。

「……せいかつ、ふべん?、してる、みたい」

紫陽花 剱菊 >  
人見知りによる恐怖……とは些か違う。
或いは、理央の持つ"因果"か。
一難去ってまた一難とは言うが、今宵も休む暇はなさそうだ。
前の時の様に大掛かりな事にならなければ幸いでは在るが……。

「……成る程。あそこか……。」

幾度となく訪れた彼女の隠れ家。
落第街で身を隠すなら相違ないはずだ。
あの時置いていった保冷用の抹茶ババロアは元気だろうか。
沙羅が食べたなら、其れは其れで良い。

「……寝床にするには十分とは言え、普通の生活とは言えまい……。」

真っ当な屋根の下で暮らしていたら、浮浪者然とした生活は致し方ない。
少なくとも、彼女は其処までの執念があるようだ。

「……とのことだが……?」

如何するんだ?と理央を一瞥する。

神代理央 >  
怯えた様な仕草を見せる少女。
当然か、と小さく溜息を吐き出しながら、ゆっくりと。穏やかな口調で少女に語り掛ける。
――そうしなくては、此方も落ち着いて等いられない気がしたから。

「…怖がらせてすまなかったな。教えてくれて、有難う」

だがそれは。激情を抑え込んだかの様な穏やかさ。
観察眼鋭い剱菊なら気付くだろうか。
眼前の少女を怯えさせない様に堪えてはいるが、本当は何故そんな事にと。
今すぐ彼女の元へ案内しろと叫びたいのだ。
彼女と会って、話がしたいのだ。
しかし、それは。己の我儘だ。

「……これ、を。これを沙羅に、わたしてくれ。
これなら、あしがつかない。必要な物は、買い揃えられる。
君も、つかっていい。情報の、れいだ」

懐から取り出したのは、艶やかな朱色の皮財布。
それを押し付ける様に、少女へ差し出す。
中身は、単なる紙幣の束。どんなに技術が発達しても、目に見える現金というものは威力を発揮する。
そういう者達の為に、忍ばせている"弾丸(賄賂)"

「……今の私には、彼女に合わせる顔が無い。
無事でいてくれるなら。きちんとした生活を送ってくれるのなら。
……それで良いんだ。今の俺は、きっとアイツが望む俺じゃない」

剱菊から投げかけられた問いと視線に、弱々しい笑みで応えるだろうか。
『鉄火の支配者』から取り戻す、と少女に言伝して己の元から去った恋人。そんな彼女に、今己はどんな風に見えるのか。
賄賂をばら撒き、己の理想の為に策を巡らせ、再び鉄火場に立とうとする己を。

見せるのが、怖かった。

227番 > 「コンギク……ありがとう」

剱菊には伝わったようでホッとする。
抹茶ババロアのことを考えてるとはつゆ知らず、感謝の意を込めて小さく笑う。


それから、理央を見て。

「……ううん。大丈夫」

分かっているつもりなのだ。剱菊も居る。大丈夫。大丈夫なはずなのだ。
それでも、本能がどこか警戒する。
もしかすれば、それは肩書ではなく、もっと奥底の……

「わ」

押し付けられるように渡されれば、取り落とさないように慌てる。
1ヶ月近くこちら側で暮らして、多少のお金も持たされるようになっている。
故に、これが意味する価値は理解できるようになっていた。

「サラに……」

頼まれたことは、引き受けたい。
沙羅の願いのために、できることはやりたかった。
しかし、今の所、落第街までは一人で向かうことは出来ない。
故に……渡すのは、後で剱菊に頼むことになるのだろう。

神代理央 >  
「…すまない。有難う」

何時もの己であれば、少女が警戒している様子も、それを気にする余裕もあったかも知れない。
しかし、今の己にそんな余裕は無い。
あるのは唯、己の元を離れた恋人への想いばかり。

「…出来れば、で構わない。その金は、君への謝礼も兼ねて――」

そこで、ふと気づく。
剱菊は少女の事を『なな』と呼んでいたが――

「…名前を聞いても良いだろうか?謝礼を渡す相手の名を知らぬのも、無礼な事だと思うのだが…」

と、僅かに首を傾げて少女に尋ねるだろう。

紫陽花 剱菊 >  
あれ程までに傲慢を振り回し、冷酷を振りまいたあの理央の声が震えている。
成る程、楔か。成ればこそ、此処にいるのは一人の少年相違なくば
紛れもなく、かつての己。

「……否。ななも良くぞ、此処まで……感謝の意を示す……。」

「後程、落第街へと向かうなら、私も。」

ついでに、そう言う意図も汲んだようだ。
二本指を口元に立て、一礼し

「……案ずるな……。」

穏やかに、そう告げた。
何に不安を覚えているかは分からない。
そも、見当違いなら其れで良い。
だが、双方己の憶測通りであれば、其れこそ怖がる内容でも無い。
夜風に黒糸のような髪が揺れる。
水底の黒が、理央を見た。
静かで、穏やかな声音が言葉を紡ぐ

「……理央……。」

「先ず、『罪には咎』を。贖うべきは、贖うべきと心得よ。」

「其れとは別に……女性の強かさを、私は身を以て知っている。
 ともすれば、沙羅は肝胆を砕くに相違無い……。」

「あの紫陽花の園で、其方は私を見た。……あれこそ今の鑑合わせ。恋煩いに悩む、其方也……。」

「……私とは状況が違う。ともすれば、沙羅とは、如何なる『神代 理央』も受け入れる所存と見た……。」

「……『鉄火の支配者』、或いは私の知る『神代 理央』無くば立てぬ程で在れば、きっと私の見込み違いだろう。」

「其方は、確かに人として変わった。王道を歩まんとする未完の君主。」

「今、其方は『試されている』」

「即ち、此れは兆し也。然るに……」

「其方を変えた、沙羅は、今の其方にとって大切なもので在れば……」

「其の『我儘』は通すべき、と言わせて頂く。」

かつて、『真理』に挑もうとした少女を『我儘』で止めた。
其れは間違いなく、紫陽花 剱菊個人の『我儘』に他成らず
数多の意図が紡ぎし結果。
『殺し屋』、神代 理央は殺されると聞いたが、剱菊はそう思わない。
此れは、今まさに少年の成長の兆し。

「咎を受け入れ、贖いを。そして、其方の心が揺れる程大切成れば……」

あの青年の言葉が脳裏に過る。

「……此度の予言(かねごと)は、間違いなく『無責任』だ。然るに……」

ああ、そうだ。そうなのだな。
君も伝える時は、こんな気持ちだったのだろうか。
わからない。だが、伝えねばなるまい。

紫陽花 剱菊 > 「私から言わせれば、其れほど心を震わせる
 穿つ程大切だと言うのであれば、合わせる顔も、恥じらいも、周りの声さえも……」

紫陽花 剱菊 >  
 
  
             「一切合切」
 
 
 

紫陽花 剱菊 >  
 
 
 
       「"……知るか、そんな事"。」
        <──知るか、そんな事。>
 
 
 
 

紫陽花 剱菊 >  
「……然るに、しかと伝えたぞ。迷える少年よ。此れを機に其方が如何動くかも、其方次第……。」

一礼、会釈。

227番 > 剱菊に言わずとも察してもらえれば、一安心。
"預かったもの"を落とさないよう、ポーチにしまった。
……少女は、そのお金に手を付ける気は無い。

名を問われれば、そういえばそうだ、とはっとする。
一方的に名を知っている人がそれほど居なかった。忘れていた。

「今の名前、数字で、にーにーなな。呼び方、任せる。
 さらは、ニーナって呼ぶ」

神代理央 >  
ぽかん、と剱菊の顔を見つめる。
湖面の奥に漂う漆黒の様な彼の瞳を、見つめる。
しかし、暫く浮かべていたその表情は――苦笑いと微笑みと泣き笑いが全て同居した様な、珍妙なものになるだろうか。

「…まさか、俺がお前に恋愛指南を受けるとはな。そして、そのどれもこれもが的を射ているのが非常に腹立たしい」

言葉とは裏腹に、珍妙な笑みは浮かべた儘。

「ああ、そうだとも。我儘の一つや二つ、通さずして何が鉄火の支配者か」

「此の俺が何時までも気を病み、悶えている無様な姿など俺自身が許せぬ。俺は何時だって、選んだ選択を後悔しない。違わない」

「であれば、受け入れるさ。今迄背負い、自覚した罪も。
あの道化師風情に突き付けられた言葉も。
それは全て、俺が選んだ道で、俺が選んだものだ。
"あの時、ああすれば良かった"などと、俺は決して思わない」

「今迄の咎を、罪を、奪ったものを。そして此れから奪うモノを。
知るか、と片付ける事はしない。それは全て俺のモノだ。俺の罪だ。俺が背負うべきものだ」

「……だが、それを他者に。まして、殺し屋風情にどうこう言われる事など、それこそ"知るか、そんな事"
俺の選択を責める事は許せど、違えていたと断じる事など許すものか」

そして、残った缶コーヒーを一気に飲み干す。
今度は、ちゃんと甘さを感じる。
穏やかで、しかと己に向けられた甘さを。

「――そして、俺が背負うべきものを、共に背負うと言ってくれた女がいる。なら、そいつを。俺の女を放っておくことなど、するものかよ」

飲み干した缶を握る掌に力が籠る。
非力な筈の己の手が、空になった缶を歪める。
ゆっくりと、ベンチから立ち上がる。

「……第一、此処で腐っていては違反生達をのさばらせるだけ故な。あんな動画一つで、此の俺が手を緩める事など無いと、教えてやらねば」

立ち上がり、剱菊に向けた表情は。
何時も通り、尊大で傲慢で――再び己の矜持を取り戻した少年の表情だったのだろう。

神代理央 >  
そしてそのまま。
恋人についての情報と、預かり物を受け取ってくれた少女へ視線を向ける。

「にーにーなな、227か。ふむ、不思議だが良い名だ。
では、アイツを見習って俺もニーナと呼ぼう。
有難う、ニーナ。君のおかげで元気が出たよ」

と、穏やかに。しかし強い意志を宿した笑みで少女に小さく頭を下げる。
少女がいなければ己は今頃――この公園で、剱菊と再び刃を交えていたかも知れないのだから」

紫陽花 剱菊 >  
「……ふ……。」

静かに口元が緩んだ。
少しは立ち直れはしたか。
だが、まだどう転ぶかは分かるまい。
相変わらず其の傲慢さは言ってしまえば薄氷である。
何時砕けても可笑しくはない。
だが、其れを『弱さ』と断言する事はない。
此の『薄氷』の裏を断ずるような真似はしない。

「……好んで剣を取る訳では無い。
 其方に委ねられた"背刃"は、抜かれぬ方が今は良いと判断した迄。」

今はまだ其の時ではない。
月下で交わした約束は未だ此処に在り。
即ち、此の刃抜かれる時は


       "『神代 理央』が本当の意味で死ぬときだ"。



「……夜更けだな。後は、予言通り……。」

剱菊は元より、口数が多い訳では無い。
曰く、口下手で不器用。
意図が伝わったので在れば幸いと言わざるをえまい。

「なな……もういいか?」

227の方を向けば、伝え忘れが無いか確認。
そっと右手を227へと差し出した。

227番 > 「……いい名?」

番号らしい名前に対してそういう反応は初めて。
不思議そうに首を傾げた。

「ううん。さらの、願いだから。」

だから、きにしないで、といいたげに、小さく礼を返す。
頼まれたものは、確かに届けた。


「うん。頼まれたのは、これだけ。大丈夫」

そういって、剱菊の手を取った。

紫陽花 剱菊 > 227の言葉に、静かに頷いた。

「では、参ろうか……なな。」

「理央……。」

「『先走り』はするな。」

最期に、釘だけは差しておいた。
そのまま227の手を引きながら、宵闇の中へと静かに消えていく。

ご案内:「常世公園」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
神代理央 >  
「私は風紀で有る事も、違反生への厳しい対処も止めるつもりはない。
私の行動があの夜の約束を違えたとお前が感じたのなら――
その時は。いや、その時が訪れない事を、切に願おう」

剱菊の言葉に、変わらず浮かべる高慢な笑み。
それが危ういものである事は、己もまた理解している。
だから、彼の刃を否定しない。彼が首元に突き付けた刃を、決して否定しない。

「呼びやすくていいじゃないか。覚えやすいし、分かりやすい。
……そうか。ありがとう、ニーナ。教えてくれて、言伝を託してくれて。本当にありがとう」

少女の名を良い、と褒めた理由はちょっとズレたものであったのだが。
それでも少女に向けるのは、剱菊に向けるものとはまた違う。
感謝の色を滲ませた、穏やかな口調と笑み。

そうして、立ち去ろうとする二人を見送る間際。
投げかけられた言葉に、ふと動きを止めて――

「……そんな事をお前に言われるなんてな」

"先走りするな"とは、トゥルーバイツ騒動で駆けずりまわっていた剱菊にこそ、相応しい言葉だと思っていたが。
何が起こるか分からないものだ、と苦笑い。

神代理央 > 「…ああ、それじゃあ、また」

そうして、立ち去る二人を見送って。
己もまた、前へ進む為に公園を後にする。

己の立つ場所は、未だ弱く、脆い。
それでも、取り戻すと言ってくれた恋人の為に。
その弱さも受け入れて、歩いていくしか無いのだから。

ご案内:「常世公園」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から227番さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > 「・・・・某は、怖いんでござろうな」

言いつつも震える。

「・・・・・恋をしたことがなかったので、わからないんでござるけど・・・」

拳を見ながらも。

「それでも本気で告るでござる。やってみないとわからないでござるからな」

言いつつも空を見上げる。

持流 童男 > 「ただの一人の持流童男として、人間として」

言いつつも公園で遊ぶ子供たちを見ながらも

「ロベリア殿の言っていたことは本当でござったな。某は、自己満足してて相手のことを考えず相手の立場を見ないで、目をそらしてたでござる」

自分自身を見つめる。

「・・・本当に最低の人間だったんでござるなぁ某」

わらながら、レナード殿の言葉を思い出す

持流 童男 > 「傷つくのが、何もできないって、理解するのが嫌だって思ってずっと逃げてきたでござる」

下をうつむきながらも言いつつも

「だけどいろんな人たちに助けられたでござる。色んな人達に支えられたでござる。色んな人たちに教えられたでござる」

理解すること、

知ろうとする事

救いたいだけじゃ救えないこと、

自分勝手のエゴを突き通すこと。 

悪を悪と断ずること

救いたいと思ったら嫌がられても救うこと

話をすること

救われる側の気持ちも考えること

その人を見ること、その人自身を見つめて相手の立場に成ること

考えること

そして

「某自身を救うことでござるか」

少し笑いながらも

「本当に雷火殿の言ってたとおりで御座るな。某は最低な人間でござったよ、人として」

「自分自身でかってに傷ついて、風菜殿に心配かけて、勝手に恋までしてる。」

少し笑いながらも、デモと一言付け加えて

「これが『恋』ってやつなんでござるなぁ。なかなかいいもんでござる。」

本心を言った

持流 童男 > 「・・・・某は、恋をされたい男になれてるでござろうかな」

少し自信なさげに言いつつも

「やはり告白は延期したほうがいいのでは・・・?」

臆病になりながらも
ベンチに座りつつも悩みつつ。

「そういうのに詳しい男の友達って誰か、いたでござるっけ・・!」
うーむうーむと悩んでいる。

持流 童男 > 「ベニ殿は・・!?いや待てよ・・?うーむむ・!」

言いつつ、はっと気づいて

女性の友達は誰かいたっけってなりつつもテンパっている

「アール殿は・・・!!駄目でござる!まだ!喧嘩中でござる!!! うおおおお!!駄目でござる!白衣の女性は連絡先知らないでござるし。うおおおおおおロベリア殿は・・駄目でござる!あれ!?某の周りあまり恋愛経験してる人いなくないでござるか!!?」

言いつつも頭を抱えている。

持流 童男 > 「なにかできないでござろうか・・!このままでは一%どころか0%になるでござるし!!!」

と言いつつもベンチから立ち上がろうとして

「諦めるのは嫌なんでござる精一杯本気でやってみたいでござる!!」

言いつつも走り出そうとして

「でも何も思い浮かばないでござる!!!!恋をした事ないから何をすればいいかわからない・・!!」

言いつつもすっとベンチに座る。

持流 童男 > 「よし、斬鬼丸殿と、ベニ殿と、山本殿と、レナード殿に巡って見るでござるか!!・・・斬鬼丸殿とベニ殿と、山本殿は連絡先知ってるでござるから。連絡いれなければ・・・!」

言いつつ立ち上がりつつ

「レナード殿にも、教えてもらわなければ!恋って何をすればいいかを!!」

言いつつもベンチから立ち上がる

ご案内:「常世公園」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にジャムさんが現れました。
ジャム > 蝉の音も景気の良い夏の常世公園。
木陰で本読む人影や、レジャーシートを芝生に引いた上で寝そべりサンオイルを塗る強者に、タンクの付いた水鉄砲で戯れる男子生徒たち。

――と、不意に池のほうから轟音が響いた。
どばっ、しゃーん。
中世の軍艦から放たれた大砲が海に落ちたような音。
そんな音の主は池に広がった大きな波紋の中から水面に顔を出し。ぴゅー。気持ちよさそうに水を吐く。

「涼しー……!
公園の池の中で泳いじゃだめって前に生徒会の人に注意されたけどー、こんなに暑い日はきっと例外だよねー!」

暑さに耐えかね、勢いよく池に飛び込んだ後に
ワイルドな水浴びをしているのであった。
周囲の人目も全くもって意に返さず、水に濡れて肌透かす制服姿で池の縁まで泳ぎ着くと、そこで腰かけ。
お日様が衣服を乾かしてくれるのを待ちながら、両足をぶらぶら、池の中で泳がせて。

ご案内:「常世公園」に藤巳陽菜さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から藤巳陽菜さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に藤巳陽菜さんが現れました。
藤巳陽菜 > 降り注ぐ8月の太陽!!
熱された地面が直接蛇の身体を焼く。
熱い、熱い…すごく熱い。

そんな中…池で泳ぐ生徒の姿があった…。
普通ならこんなところの池で泳ぐなんてっ…て思うところだがこの暑さ。すごく魅力的に見える。

「…気持ちよさそう。」

池から出てきた猫のような生徒の様子を見てうらやましそうにつぶやいた。

ジャム > やがて池の端まで泳ぎ着くと、よじ登る制服姿からぽたぽたと水が大粒に滴る。
ぐっしょり濡れた姿は行水中の猫そのものである。

下生えの雑草に座り、足と同じぐらい濡れた尻尾もゆっくりと宙を泳がせていると目に入った、下半身蛇の女の子。
何度か睫毛を弾ませると、顔に笑顔を浮かばせ。

「こんにちはー!
ねえねえ!この熱さじゃそのきれいなウロコがカサカサになっちゃう!
一緒に涼まない?
こうしてると涼しいよー?」

ぶんぶん、勢いよく片腕を振りながら挨拶投げかけ。
手招きして自分のそばを指差し。
ちゃぷんちゃぷ。池に入れたままの両足をバタ足にして納涼をアピールし。

藤巳陽菜 > 「制服ぬれちゃいそうだし…流石に池は…」

確かに透明だし涼しそうだし…気持ちよさそうではあるが流石に池に…
でも、すごく涼しそうに見えるし。

「…ま、まあ足だけなら。」

足というか蛇体というか…
確かに…この暑い中にずっといたら干からびるってほどはないが…体温が高くなりすぎてしまう。
それはあまり体にもよくない。うん。体に良くない。

「本当。涼しい…生き返るわ…。」

少女の隣に腰を掛けて蛇の身体を水の中に延ばす。
上から下から熱されていた体からいい感じに熱が抜けていく。

ジャム > 「へへ。でしょうー?
――足が蛇の人って初めて見るなあー。
人魚姫ならぬー、蛇のお姫さまだね!
お姉さんも、他の世界からこっちに来た人?」

目元を緩めて頷くと、全く何も遠慮もなく不躾に蛇の下肢をしげしげと見つめ。
下肢が魚で人魚姫、というルールを彼女にあてはめると声音弾ませる。
故郷の異世界でもそういう種族の話だけは聞いたことがある。それゆえに彼女も異邦人だと誤解しつつ語尾を上げ。

「なんだかさわり心地よさそうー。
ね、ね。触っていい?すりすりしてもいい?」

つやつやの鱗は半分獣である自分には備わっていないもの。
興味と好奇心に瞳輝かせつつ、そっと蛇の下肢に手を伸ばそうとして。

藤巳陽菜 > 「あっいえ違うわ!いや、姫でもないしこっちの世界の人よ!私!」

楽し気に間違われれば必死に説明する!!
間違われてもここまで明るく言われたら特に怒ることもない。
間違われるのは慣れてるし…。

「もともと普通の足だったんだけど…あの、異能でこんな感じになっちゃって…。」

かなり、不便な特異な足。

「それは別に構わないけど…あまり上の方とあと先の方とかは触らないでね?」

ジャム > 「そっかー、ごめんなさい。
てっきり他の世界から来たんだと思って……」

すまなさそうにへにゃりとケモミミを垂れ下げて謝罪し。
この世界の人の足が蛇になる可能性までは思い至らなかった事へ反省顔で顔伏せて。

「そうなんだね。
その異能、いつか解けるといいね。お姉さん。
……うーん。やっぱりやめておくね。あんまり触ってほしくなさそうだし。
――じゃあ、服も乾いたから僕は行くね。良い夏休みをー!」

後天的に変化したものらしい、蛇の下肢を見ながらその回復を願って彼女の顔を覗き込み。
好奇心に伸ばした手は、ばつが悪そうに引っ込めておく。
夏の日差しに制服の袖が乾いている事に気づくとその場で立ち上がり。笑みと共にゆるく手を振って――

ご案内:「常世公園」からジャムさんが去りました。
藤巳陽菜 > そう思うのは当たり前だ。
異能で下半身が蛇になるなんてあまりにイレギュラー。
彼女に獣の耳が生えてるように普通に人間ではない種族の方が多い。

「あっ…さようなら。」

手を振り挨拶を返す。
気を使わせてしまったなあ…申し訳なくなってしまう。

ちゃぷちゃぷと池の中蛇の身体を動かして…。

「はあ、冷たい。」

ご案内:「常世公園」から藤巳陽菜さんが去りました。