2020/08/02 のログ
ご案内:「常世公園」に227番さんが現れました。
227番 > 公園を歩く少女。
目的地はいつもの定位置。……池の前のベンチ。

頼まれたことは、その直後に達成してしまって。
預かったものは、コンギクに任せた。
まだ自分は落第街で自分の身は守れないから、信頼できる人に任せるのが一番だ。

定位置にたどり着いて、ぼんやりと周りを見る。

227番 > ベンチに座って、今後することを整理する。

向こうで会った人で、こっちにきてまだ会ってない人に会う。
コンギクに、てかげんの仕方を教えてもらう。
ゆーかにとしょかんに連れて行ってもらう。
教えてもらった電話番号に連絡をする。

これぐらいだろうか?
なにか忘れてるかも知れない。

……早く色々学びたいところではあるのだが、人には都合があるということを弁えているので、
タイミングを見計らうぐらいはする。

227番 > 足をパタパタする。
道を覚えるための街歩きは続けているが、新しい出会いはほとんどない。
おかげで迷うことはなくなったものの、案内板……
地図の見方をおおよそ覚えたので、知らない道でもそこまで迷わない気がする。

ずーっと歩いてるので、靴も大分傷んできてしまった。
新しい靴でも買ってもらえるように頼もうかな。
そしてこの靴は、綺麗にしてしまっておこう。貰ったものだから。

227番 > ひょいっと立ち上がる。

もっと、勉強ができる場所に行くのも有りかも知れない。
といっても、知っているのは学校ぐらいだが……。
だれか、"先生"を頼っていいいのかもしれない。

保護されて1ヶ月弱。今の所学籍はない。
生徒として行けるのは当分先である。

227の今後の課題に、行動範囲を広げることが追加された。

227番 > 違う場所に行こうとして、もう一つ思い出した。

ラ・ソレイユというという所に行くこと。
睡蓮以外に知り合いがいたりして。そんな事も思う。

連絡先……睡蓮のも聞きたいな……というか、
こっちで会った人ももう一度会って、貰ったスマホに登録したいな。

そんな事を思いながら、公園を後にした。

ご案内:「常世公園」から227番さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に御白 夕花さんが現れました。
御白 夕花 >  
長かった梅雨もようやく明けた。
連日の雨に悩まされることがなくなったのは幸いだけれど、蒸し暑さは相変わらずで。
寝苦しさに目が冴えてしまった私は、ふらふらと寮を抜け出して。
気が付けば、いつかの公園に足を運んでいた。

「ナナちゃんは……いないか」

この前よりずっと遅い深夜帯。いたら嬉しいなくらいの淡い希望だった。
実際は人っ子ひとりいない公園の中に入って、ベンチに腰掛けて空を見上げる。
よく晴れた夏の夜空には、今日もたくさんの星が瞬いている。

御白 夕花 >  
あれから特に星について勉強はしていない。
ナナちゃんと一緒に図書館で本を探す約束をしてるのに、一人で先に知ってしまうのはズルい気がして。
どうせなら、学ぶ楽しみも共有したかった。

「ちょっと冷えるかな……」

薄手のパーカーを着てきて正解。夜風に触れた肌がひんやりする。
もう少しだけここにいて、冷えきらない内に帰ろう。

ご案内:「常世公園」に東山 正治さんが現れました。
東山 正治 >  
カツ、カツ、夜の公園にわざとらしい程響く足音が聞こえる。
蒸し暑い空気を遮るように、気だるげな男の溜息。
ベンチに座る少女へと近づくのは、目に隈をこさえた人相の悪い男。

「よォ、お嬢ちゃん。小さい子があんまり夜中にうろつくもんじゃないぜ?」

へらへらと軽薄そうな笑みを浮かべ、片手を上げて会釈した。

御白 夕花 >  
ぼんやりと星を眺めていたところに足音。一気に意識が引き戻される。
音のした方を見ると、ガラの悪そうな男の人がこっちに近付いてきていた。

「あ───こ、こんばんは。すみません、すぐ帰ります……!」

見回りの人だろうか。こんな時間に出歩いていれば注意されるのは当たり前だ。
ぺこぺこ頭を下げて、急いで帰り支度をする。
と言っても、鞄を肩にかけ直したくらいだけれど。

東山 正治 >  
「まぁまぁまぁ、落ち着けって。」

帰ろうとした少女を軽く右手を振って静止する。
へらへらとした笑顔を崩さずに、遠慮なく隣へと座り込む。

「そりゃァ、褒められたことじゃないけどね?
 この島でもさァ、深夜徘徊って結構危ないからさ。
 形式上の注意。けど、静かな夜だよなァ。考え事するにはうってつけ。」

くつくつと喉を鳴らして笑う。
黒い双眸が、ちらりと夕花を一瞥した。

「何か考え事でもしてたかい?
 ほら、随分とぼーっとしてたしさ。
 や、言いづらいことならいいんだぜ?
 お嬢ちゃん、結構年頃だしさ。」

御白 夕花 >  
「はひっ……」

立ち上がろうとしたら隣に座られてしまった。
警戒心を表面に出しすぎるのもよくないし、なるべく平静を装う。
合わせられない視線が宙を彷徨った。

「え、えと……考え事ってわけじゃ……
 寝付けなかったので、お散歩に出て星を見てたんです」

訊かれた事には正直に答えてしまう。
ぼんやりしていた間の思考は正直、自分でもあんまり覚えてない。

東山 正治 >  
徐に懐から煙草を取り出せば、おっと、とその手を止める。

「煙草は……流石にマズいか。お嬢ちゃん、一応未成年でしょ?
 ああ、『一応』ってのはね。ホラさ、此処ってさァ、色んな奴がいるのよ。
 それこそ、見た目だけじゃ年齢わかんないし、煙草が"ダメ"って奴もいるんだよ。
 『こんな時代』だからさ、一応気ィ使わないと、肩身狭いのよね、喫煙者。」

「アー……難しい話だったらごめんな?」

年齢以前に『種族』を気遣う時代。
<大変容>後の多数の種族が入り乱れる世界だからこその思考。
夕花の緊張をしり目に東山はフレンドリーに話しかける。
ピンッ、と箱から弾いた煙草を口に咥え、火はつけない。

「おじさん、小難しいこと考えるのが仕事だからさァ。
 此の前、ちょ~っと年下だって舐めて掛かったら酷い目にあったんだよねェ~。」

背もたれに思いきり持たれて、夜空を見上げた。
瞬く星々、夏もそろそろ終わる頃合いと考えれば
この星空もまた別物になるのだろうか。

「寝付けなかった?アー、まだまだあっちィモンなァ。
 クーラーとかつけてる?電気代はケチっちゃダメだぜ?
 つーか、お星さまとか好きなワケ?」

御白 夕花 >  
「たばこはその……すみません」

取り出された煙草に一瞬びくっとして、火を点けないと分かれば脱力する。
未成年なのはもちろん、個人的にもあまりいい思い出がないから。
気を遣わせてしまっていると感じて小さく頭を下げた。

「わ、私はなんでもないただの学生なので」

ただの人間、と言うのはどことなく憚られる気がして、そんな言い方。
逆に訝しまれてしまったかもしれない。気を付けなきゃ……

「学生寮で、あまり電気を使うのも悪い気がして。
 あっ、星を見るのも好きです……最近、好きになりました」

東山 正治 >  
「ハハ、いいよいいよ。」

喋るたびに煙草が上に下へと上下。
火のつけられない煙草は何だか若干しょんぼりしてるようにも見える。
相変わらず軽いふわふわした、それこそ煙の様な声音。

「急にどうしたのよ?此処にいる未成年なんて、大体学生でしょ?」

「それとも、もしかして──────。」

東山 正治 >  
 
 
          「『なんだか、後ろめたい事でもあるの?』」
 
 
 

東山 正治 >  
だからこそ、一瞬混ぜられた底冷えするような声音が際立った。
夏の蒸し暑ささえ凍えさせるような、低い、低い、低音。


「……なんてな、冗談だよ冗談。脅かしてごめんねェ~?
 へェ、お星さま好きなの。やっぱキラキラしてたりとか?」

すぐに声音は軽薄さを取り戻す。
何処となく胡乱な黒い瞳が、赤い瞳を覗き込んだ。

御白 夕花 >  
あはは、と苦笑いで流そうとした時だった。
不意に投げかけられた"問い"に心臓を掴まれたような気持ちになる。
息が詰まって、喉が ひゅっ と掠れた音を立てた。
それは一瞬のことで、冗談と言われてもすぐには落ち着けない。
全身から嫌な汗が噴き出すのを感じながら息を呑んだ。

「い、いえ……そういうわけじゃ……
 その、見た目通りってことを言いたくて……」

辛うじて、絞り出すようにそう答えた。
嘘は言っていない。ただ、本当の事も言ってはいけないと直感が告げている。
真っ暗闇のような瞳から逃げるように目を背けた。

「お友達が、星を見るのが好きなので……」

ここで出会った小さなお友達───
ナナちゃんの笑顔を思い浮かべて、ようやく少しマシになってきた。

東山 正治 >  
「──────。」

見ている。
ずっと真っ暗な瞳が、宵闇がじっと夕暮れを覗き込むように見ている。
一瞬だけ目が合った夕花ならば、きっと子供でも分かるはずだ。
……あれだけ口元が笑っているのに、その光無い"闇"はずっと、『笑っていない』
冷ややかな目線がずーっと、見ている。瞬きすることなく、ずっと。

「そんな慌てなくてもいいじゃない。ホラさァ~、『こんな時代』じゃん?
 だからさァ、今時『訳アリ』なんて人間、ゴマンといるのよ。
 だから、つい、『お節介』で……まぁ、何事もないならいいんだよねェ?」

異能だと異邦人だの、それこそ誰も彼もが『訳アリ』ばかりで嫌になる位だ。
そんな中で本当に『お節介』な連中もいるだろう。
東山の腹心算は……少なくとも、先の言葉通り。
『見た目通りなんて信用しちゃいない』

「いいねェ、お友達。好きな奴の好きなもんって、自分も好きになるよなァ。」

「どう、お友達とは楽しく過ごせてる?案外、『君より小さくて』、手間かかったりしてな?」

軽薄な言葉のまま、くつくつと喉を鳴らして笑っていた。
さりげなく、その肩に腕を回す様に
ベンチに両腕を広げる。

御白 夕花 >  
───ああ、同じだ。
笑っているように見えて、感情を一切感じない瞳。
それは施設にいた"彼ら"によく似ていた。

恐怖に心が押し潰されそうになる。
あの頃のように、なにもかも諦めて身を任せてしまいそうになる。
私はずっとそうやって生きてきたから。そうしなければ生きてこられなかったから。

「…………っ!」

けれど、彼が口にした言葉。
まるで誰を思い浮かべたのか見透かしたような───錯覚かもしれないけれど───その言葉にはっとする。
咄嗟に体が動く。腕が回ってくるより先に、飛び跳ねるようにベンチから立ち上がっていた。
『兵士』として培われた反射神経、対応できる人間はそういない。

「ご、ごめんなさい! 私もう帰りますっ……!」

これ以上ここにいてはいけない。
これ以上、この人に呑まれてはいけない。
迫り来る闇を振り払うように、駆け足で返事も聞かずに公園を後にする。

東山 正治 >  
東山の体が、僅かに乗り出した。
その瞬間、まるで跳ね飛ぶように少女の体が立ち上がる。
掛けられていた鞄に押し出されるように手が触れ、東山はわずかによろけた。

「……っ、と……。」

触れた手先を確認すれば、思わず肩を竦めた。
東山は『兵士』ではなく、ともすれば裏方の人間。
その反応速度についていけるはずもない。

「……お気をつけて……?」

男は追いかける事も無く、早足で立ち去る少女を見送った。

……鞄にぶつかる際に付けておいた、小型の『盗聴器』
全体的に"カマ"を掛けておいて正解だったかもしれない。

「……なァ、だから言ったろ?『夜は怖い』ってさ……。」

勿論こんなものは何時かバレる。
遅いか早いかのちゃちな細工だ。
だからこそ、"足が付かない細工"はしてあった。
ワイヤレス式のイヤホンを装着すれば、笑みを絶やすことなく東山も立ち去っていく。


────果たしてこれが、真白の日常を蝕む宵闇になるか。誰にも分からない。

ご案内:「常世公園」から御白 夕花さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から東山 正治さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > 「・・・・・でもアール殿に、今度こそやったら、本当にべっこべこにいわれるでござる」

言いつつも公園のベンチで座っている

ひとまず自分を救う方法だろう、そして仲直りの方法だ。

まず何で自分は救われるか・・・考えるが。いまいち本気でピンとこないが、やはり

「モテたい・・・?か・?」

言いつつも考えてる、そして、アール殿と仲直りする方法は

「やはり土下座か、足をなめるか・・・?」

ずれている事を考えていた。

持流 童男 > 「いやいや待て待て持流、結論をせくな・・・・多分彼女には」

メイド服が結構似合う。そう、そのはずだ

いーやスク水だ、いーや、タスマニアンデビルのコスプレだ。

「誰だ!!某の頭の中ですっげぇ胡乱なこと言ってくるやつ!!」

スク水とメイド服はすっごい似合うと思った。

持流 童男 > 「仲直りする方法だっつってんだろ!?逆に遠のいてどうする!!!今度こそ、生身の肉どころか、上半身押しつぶされるは!!!」

自分に自分でツッコミを入れつつも

「なんだ・・・!仲直りする方法は・・・!」

多分 アール殿を見る、ケバブを与える。

メイド服、スク水、 ・・・ベストマッチ!!!

「なんで融合してんだよ!!!すっげぇ似合ってるじゃないか!!」

メイドスク水のアール殿を想像して少しだけにやける。

「あー!!駄目だ!これ今のまま突撃したら今度こそ体がめっきょめきょになる!」

持流 童男 > 大の字にベンチに横になりつつも

「あーーーーー!空が青い!!!」

くっそう!空が青い!!、横になりつつ言いつつも、

「おっぱいもみてー!!!!!」

欲望のまま言った。この後、持流の風紀委員にボッコボコにされたが、事なきを得た。

風紀員 > 「オラァ!俺だってもみたいわ!」」

「あぁん!!?俺のでいいだろ!!」


「いや何いってんだお前!!?」

言いつつも撤収していく

持流 童男 > 「ふっ、流石某の風紀委員の部員たち、どこから強襲仕掛けてくるかわからないでござるな・・・!」

ぐはぁ!と言いつつも大の字でベンチに横になりながらも

「さーって本当にどうするでござるかな。アール殿のメイドスク水をみたいでござるけど、仲直りする方法が、思い浮かばないでござるし。あの幼女・・?殿、に会うにしたって、どうするべきでござるかなぁ。連絡先知らぬでござるし」

伸びをしながらも言いつつも

持流 童男 > 足掻く、それでも、

「足掻くでござるし、焦る必要ないでござるけど。アール殿がピンチのときは必ず助けに行きたいでござるしなぁ」

言いつつも自販機に、いきつつコーヒーを買いに行く。

「(うーんやはり誠心誠意謝るでござるかぁ・・?でもそれやったら今度は某、上半身無くなりそうでござるし)」

(あそこで、諦めて帰ったのが痛かったでござるなぁ。でもあの幼女殿もすっげぇ怒ってたでござるし。)

「はぁ・・・・どうすらばいいんでござるか」

言いつつもコーヒーを飲みつつも

持流 童男 > 「ただ、何を足掻いたら良いか分かってないでござるし、自分自身をすく方法だってわからないでござるよなぁ今の某」

うーんといいつつも腕を組みながらも、本気で悩んでいる


「あー!!!もどかしい!もどかしいでござるよ!。正直自殺しようと思ったでござるが、よく考えたら、それ最悪な、逃げでござるし!。ぬおおおおお!!!」

本気で考えている。ベンチに座って腕を組みながらも

持流 童男 > 「某を救う方法は、なんでござろう。モテたいからでござるか・・?」

言いつつも腕を組みつつも考える。

「恥ずかしい理由でござるなぁ。本当に」

未だ結論は出ていないが、多分これも某のヒーローになりたかった
その意味なのでござろうなぁ

「本当に・・・恥ずかしいでござるなぁ」

神妙な顔をしつつも。

持流 童男 > 「誰かを助けたい、誰かを守りたい、友達を助けたい・・・・そう思うのが本当に某には分不相応だったのでござろうか。」

思わず弱音を吐いていしまう。
さんさか弱音を吐いて立ち直れたと思ったらまた折れている。

「はぁ・・情けねぇでござるよな。」

しまいには
「初めてできた友達にも嫌われているのに仲直りしたい方法を未だに画策してる・・・未練がましいでござるよなぁほんと」

はぁ・・・ため息を一つこぼしつつも

持流 童男 > (命を捨てて、覚悟を決めて、戦うのは・・慣れてるんでござるが)

言いつつも自分の手を見る

(・・・・それはいやだなぁ。なんででござろう、嫌って思っちまうんでござるよなぁ)

(未だ仲直りもできてないでござるし)

思案しつつも

持流 童男 > 「・・・・まぁしばらくはアール殿に会わなくてもいいでござるよな。あちらも会いたくないでござろうし」

言いつつも公園を後にする。

ご案内:「常世公園」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に227番さんが現れました。
227番 > 夜の公園。街灯に照らされるは白い髪の少女。
目指すは定位置。池の前のベンチ。

目的はいつもどおり星見。
名前は知らなくとも、それを見るために。

227番 > と、道中にある自動販売機の前に止まる。

街灯と月明かり以外で明るく光るのは、この自販機たちぐらいである。
並んでいるものを1個ずつ見ていく。
なお、少女は背が足りないので、一番下の段以外は見上げる必要がある。

パッケージを見ても、ひらがなしか読めないので、何が何だか。
例えば、お茶の茶ですらよめないので、緑のボトルであることしかわからない。

ご案内:「常世公園」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
紫陽花 剱菊 >  
夜の公園。宵闇に溶け込むような静かな足取り。
生温い夜風に黒髪を揺らし、見覚えのある人影に男は近づいていく。

「……なな……。」

静かで穏やかな声音で、声をかけた。

「……喉でも乾いたのか?」

227番 > 「……こんぎく?」

聞き覚えのある声に振り向く。

「ううん。なに、あるか、見てた、だけ」

まぁ、見てもよくわからないのだが。

紫陽花 剱菊 >  
「如何にも……。」

二本指を立てて、一礼、会釈。
自動販売機に視線を移す。
眩い人口の光。己の国にも似たような光は在ったが
些か此れは眩しい。夜の灯り代わりでもあるようだ。

「左様か……然りとて、喉も乾くだろう。訓練の労いも在る。
 ……然るに、好きな味などは在るだろうか……?」

227番 > 少女も眩しいのだろう。
この光は猫の目を細くしている。

「好きな、味……」

これと言って思い当たらない。
イチゴの味は懐かしい感じがして好きだが、そんな飲み物があるのか?

「思い、つかない……」

紫陽花 剱菊 >  
「左様か……。」

思いつかない。
遠慮している訳では無さそうだ。
では己で適当に選んでみる事にしよう。
硬貨を入れ、一覧を見る。
正直、異邦人である己も余りこう言うのは分からない。
子ども向けのような飲み物言えば……これだろうか?
徐にボタンを押してみる。

「……飲んでみるか?」

徐に缶を取り出し、227へと差し出した。
黄色いパッケージが特徴的はフルーツミックスジュース。

227番 > 自販機の使い方は知っている。
というのも、他の人が使っているのを何度も見ているから。なので驚かない。

「……ありがと?」

とりあえず受け取って、なんだろうと見る。

「……かたかな?読めない」

りんご、バナナ、オレンジ……いろいろな果物が描かれている。
いろいろ混ざった飲み物なのだろうか?

紫陽花 剱菊 >  
「…………。」

「み↑っ↑く→す→じゅ↑う↓す↑……だな。」

何だか怪しい発音だ。
仕方ない。読めはすれど、カタカナ文化はなかった。
発音がおかしくなるのも致し方ない。
人によっては、仏頂面で放たれる謎台詞が腹筋に悪い。

「……様々な果実を混ぜ合わせたもの、らしい……。」

「舌に合うかは分からないが……甘いようだぞ?」

多分。

227番 > 「みっくす、じゅーす」

平坦に復唱する。
日本語でも怪しいのに、英語だ。

「……甘いの?飲んで、見る……」

じっと缶を見る。

「……」

上を見てみる。なんか輪っかがついてる。

「……」

やがて少女は口を開く。

「開け方、おしえて……」

ボトルは開けられるのだが。

紫陽花 剱菊 >  
「…………。」

明け方が分からないと来たか。
確かに彼女の経緯を考えれば分からないのも仕方ないやもしれない。
じっと缶に目を落とす。
公安委員会本部で良く缶珈琲なるものをくれる同僚に感謝しよう。

「……此の輪に指を引っ掛け、上げて、押し込むように……出来るか?」

身振り手振り動かして教えてみる。
初めてのかんじゅーす。

227番 > 「こう……?」

力加減がわからない。
少女は頭は回るので、開けた衝撃で撥ねる可能性があると予測する。
そのため、かなり慎重にやっているようだ。

「…………」

見様見真似で、ぐっと力を入れる。
時間はかかったが、見た目の割には非力ではないため、
やがて軽快な音を立てて、缶の飲み口は開けられた。

「あいた」

フルーツミックス特有の甘い香りが登ってくる。

紫陽花 剱菊 >  
中々の賢さ。
かつて力加減を間違えて珈琲を床に吸わせた己とは大違いだ。

「うん、偉いぞ……。」

よしよし、と帽子の上から頭を撫でた。
何はともあれとりあえず褒めるのが子どもの教育に良いらしい。
己は対して、褒められた覚えは無いが
甘い香りが鼻腔を擽る。

「……うむ……。」

確かに、子どもが好きな見た目だ。

227番 > 頭を撫でられれば、やはり心地よさそうに。
それから、缶の方に目をやる。

「えと……いただき、ます」

未知の飲み物だが、売られているのだから、よっぽどの変なものではないだろう。
匂いを嗅いでから、口に運ぶ。

数種類のフルーツがそれぞれ主張する甘酸っぱさを、
バナナが中和した飲みやすい味。口当たりもさらりとしている。

「あま……おいしい」

甘いだけではないので、言い直した。

紫陽花 剱菊 >  
「……其れは重畳。」

如何やら口にはあったようだ。
其れなら何より。
しかし、良い飲みっぷりだ。
こう言うのを見ると喉が渇く。
自分も何か買うとするか。
自動販売機へと向き直った。

「……卒爾乍ら、最近、生活の方に不便は?」

なんて、徐に世間話を一つ。
自動販売機から選んだのは、苦味が其れなりに強烈な抹茶。

227番 > 「……ありがと」

両手で缶を持ったまま、改めてお礼を言う。
缶が半分になった辺りで、飲み干してしまうのがもったいなくなって、
じっくり味わうためにちびちび飲み始めた。

「……ふべん?……とくに、してない」

相手の動作を目で追う。
保護者も公安であるので、経済的にも余裕があるようだ。