2020/08/03 のログ
紫陽花 剱菊 >  
「立ち話もなんだ……座ろう。」

そう言って剱菊は近くのベンチを顎で指して座る様に促した。
227が座れば、隣に静かに腰を下ろすだろう。

「左様か……ともすれば、其方の保護者の事を聞いてないな……。
 其方の事を良く思ってくれる御人に、興味がある。良ければ聞かせてはくれまいか?」

思えば、落第街で出会い、定期的に世話をしていた以降の事は良く知らない。
曲がりなりにも彼女の生活を支援し、其の安否を案ずる者としては
如何なる人物は興味が沸くのは必然。
善意を信じれば、善良な人物だと思うが
無垢を騙すのは容易く、其の様な疑いも胸中に無くはなかった。

227番 > 「うん」

言われる通り、ベンチにひょいっと座る。
思えば、この公園で池の前以外のに座るのは初めてかも知れない。

「ゆーりの事?うたが、上手な、男の人。こうあん、らしい」

説明下手で、情報量も殆どないが……"親"のことを話す少女の声色は、少し弾んでいる。

あんまり詳しい身の上のことは知らない。
聞いてもよくわからないから、尋ねていない。
相手が話したいと思ったなら、頑張って聞くつもりではあるが。

紫陽花 剱菊 >  
「ゆーり殿と言うのか。成る程……。」

公安新人、余り同僚と親しい訳でも無く
御覧の通り静寂を愛する男故に、交流関係が広い訳でも無い。
然れど、其のゆーり殿の事を話す少女の声音は何処となく明るく
其れは間違いなく嬉しいものに違いないだろう。
隣で思わず、朗らかに微笑んだ。

「……左様か……ん、そうだな。なな、其方から見てゆーり殿は、如何なる人物に見える?」

「所感で構わない、話してくれ。」

尚の事、興味が沸いてきた。
其れに、楽しいなら余計に話をさせてあげたくなるものだ。

227番 > 「どんな……えっと。
 優しい、人。わたしのこと、考えて、くれてる。
 わがまま?も、聞いてくれる」

相変わらず説明は上手くないが、言葉はするすると出てくるようだ。
それぐらいには信頼しているのだろう。
わがままについては、名前の件である。
227で籍の登録をするのは、ちょっと考えもの故に。

「今のせいかつ?は、楽しい」

言いたいことは、これに尽きる。

紫陽花 剱菊 >  
「……左様か。」

少女の信頼は余程硬いものと見える。
純一無雑。騙されているとも見えまい。
ともすれば、杞憂で良かったと胸を撫でおろした。
少女が其れほどまでに、"今"を楽しんでいる。

「……安心したよ、なな……。」

だからこそきっと、此の少女は其の"今"を護りたいのだろうか。
力とは、下手を打てば其の"今"を自らの手で壊しかねない。
力とは須くそう言うものだと、良く知っている。
ボトルの蓋を開け、喉元からせり上がる苦味を
苦い緑茶で流し込んだ。
思わず彼女から目を離した、其の横顔は苦いもの。

227番 > 缶をじっと目を落としたまま、横顔には気づかず。

「でも」

今の生活は楽しい。しかし、少女はまだ満足はしてない。
少女が落第街から出ると決めた最大の目的は……。

「わたしは、わたしの、昔のこと、知りたい。本当の名前も、知りたい。
 そのために、勉強して、らくだいがいとか……色んな場所に、行く」

"今"に立ち止まるつもりはなかった。
そのために、戦い方の教えを乞うたのだ。

茜色に照らされた少女の選んだ道は、まだまだ果てしない。

紫陽花 剱菊 >  
「…………。」

少女の表情を一瞥する。

「『227番』……か……。」

確かに其れを名と呼ぶには余りにもご無体。
何かを示す数字。到底なとは呼べぬもの。
自分が知らぬうち少女はより成長していた。
自分とは比較できぬ、人間的に大きな成長。
未知は恐怖とは言うが、其れの克服を抱く勇気とも呼べる代物。
思わず、はにかんでしまった。
……ともすれば、己の杞憂は彼女の覚悟を踏みにじる事になる。

「……長い旅路に成るぞ。ゆーり殿には、伝えてあるのか?」

憶測では在るが、其の先にある道はきっと果てしない。
長旅は必然だろう。

227番 > 「……でも、本当の名前、わかるまで、わたしは、にーにーなな」

そうすると決めている。

「……ゆーりにも、名前、みつけるまでって、伝えてる」

保護者にもそう伝えて、仮の登録にしてもらった。
本当の名前を見つけたからって、それを名乗るとは限らないが。
ナナやニーナを始めとした、人によって違う呼び方をしてくるのも、少し気に入っている。

とにかく、少女の決心は……固いものだ。

紫陽花 剱菊 >  
「……左様か……。」

己の事だ。
最も知りたいのは彼女自身だ。
……止めるべきか……。
事実己は一度、判断を誤りかけた事が在る。
恐らく、自分一人では如何しようも無かった事だ。
だが、其れこそ無粋か……其れに、あの時とは状況が違う。

「……私は、"自分より弱い者"を送り出す気は無い。
 力が必要と在らば授けるのも吝かでは無い。然れど……」

「必ずしも一人で行く旅路ではあるまい。
 ゆーり殿も、私も……必要と在らば、どうか此の先も頼って頂けまいか?」

其れこそ残酷な真実で在れば、支えは必要となる。
其の道の先が如何なるものかは分からない。
備えあれば、と言う心算も無いが
言ってしまえば此の頼みこそ、己の"我儘"にすぎぬと言えばそうだ。
ふ、と何処となく自嘲気味に笑い方を竦め、立ち上がる。

「……夜も更けてきた。其方の家は何処だ?なな。
 送ろう……明日からは厳しく行くぞ……?」

実習区の時と同じように、手を差し伸べた。

227番 > 止められれば、少女はきっと跳ね除けるだろう。
自分を思っての事だと分かっていても、きっと"誰か"のように。

「うん。ゆーりも、こんぎくも、みんな、頼る」

頼ってくれと言われれば、快く返事をする。
一人で出来ないことがたくさんあることを知っているから。
……もちろん、餌を待つだけの雛になるつもりはないが。

「……案内は、できる」

誰かに送ってもらうのも何度目か。道も完全に覚えている。
差し伸べられた手を取った。

紫陽花 剱菊 >  
「……嗚呼……。」

ありがとう。唯、心ばかりの感謝を。
未だ己の"役割"を果たせる時が在る。
……成らば、そろそろ休暇は終わりだ。
あの気に入らない上司にそろそろ暇を返さねばなるまい。
小さな手を、鉄のように冷たい手が優しく覆う。

「では、案内をお願いしよう……。」

其のまま彼女に従うように、静かに宵闇を歩いていくだろう…。

ご案内:「常世公園」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
227番 > 「そのときは、よろしく」

夏なら快適なひんやりつめたい手をきゅっと握って。
冬は……想像したくないかも。

そんな事を思いながら、迷うことなく夜道を先導していった。

227番 > ふと、足を止めて空を見る。

広がる星空、きれいな月。

そもそも、公園に来る理由は、星を見るため。
予定外の遭遇でじっくりとは見れなかったが、
少しだけでも目に焼き付けようとする。

……あの人の願いは、ちゃんと届いただろうか。
届いてると、いいな。

ご案内:「常世公園」から227番さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に蕃茄 大地さんが現れました。
蕃茄 大地 > 「聞いてくれよbrothrer.」

日が沈んでも暑いな。
俺に動物が群がってるのもあるだろうな。
今日は、守備力と動物フェロモンの値が高いらしい。
みんなして、俺の腕とか足とかに襲い掛かっている。
痛くはないが動けない。

蕃茄 大地 > だがしかし、そろそろ離れて欲しい。
腕に襲い掛かるカラスを振り払うと滅茶苦茶反撃が痛かった。
さては攻撃力で計算。

行動の自由まで無くなるとは思わなかった。
親切な人が通り掛かったりしないかな。

蕃茄 大地 > 「ああ、でもこういう経験、今まで一度もなかったな」

動物に囲まれて過ごす。
夢物語みたいなことを今になって体験している。
なんで、もっと早いうちになかったのかな。

もう片方の腕を齧っている猫を撫でようとする。
反撃でダメージをくらった。
これも攻撃判定か。

蕃茄 大地 > 否、この程度ならまだいけるさ。
植物人間で何年何か月と過ごしたこともあるんだ。
今更こんな痛みを受けてもなんとかなるだろう。

「今日からみんなが俺のbrotherさ」

ガサガサガサ。バサバサ。ギャアギャア。
みんないなくなった。

蕃茄 大地 > 「……聞いてくれよbrother.」

パラメータがまた変わったみたいだ。
俺の動物ランドが消えてしまったよ。
なんでこう、決心しようとするとこうなるんだろうね。

身動きはとれるようになったが、ショックが大きいよ。
喪失感を味わうのは何度だって辛いな。
結局今日も何もできなかったよ。
帰って寝よう。

ご案内:「常世公園」から蕃茄 大地さんが去りました。