2020/08/22 のログ
ご案内:「常世公園」に小南 美奈子さんが現れました。
小南 美奈子 > 「ゼェ……ッ、ハ……あつ……」

両手に二つずつ巨大なゴミ袋を持った女生徒が公園のベンチに座り込む。否、座るというより倒れ込むという表現が適していた。
長時間熱にさらされて熱くなった表面の熱も気にした様子もなく、大仰な仕草で項垂れる。
ゴミ袋は彼女自身で集めたものなのか、多様な可燃性のゴミがパンパンに詰め込まれていた。

小南 美奈子 > ゴミ拾いをしてから公園近くのゴミ捨て場に置いて行こうとしたものの、あまりの暑さでギブアップして休憩を挟み、今に至った。

「もっと木陰……寄って……」

太陽は真上にあり、日陰となる木の陰に頼るべくもない。セミの鳴き声は五月蠅く響き渡り、深いため息をついて体を持ち直し、ベンチに体を預ける。

「みず……」

喉渇いた。

ご案内:「常世公園」に阿須賀 冬織さんが現れました。
阿須賀 冬織 > こんな暑い日でも家の中でじっとしていることより外に出ることを選び、
特に目的もないためにこうして公園をぶらぶらと。
そうしてたまたま通りかかったベンチから、水を求める声が聞こえた。

「……これ、飲むか? あんまり冷たくはねーけどまだ口はつけてねーぞ。」

そういって持ち歩いてたスポーツドリンクを差し出してみる。
熱中症なんかで倒れられでもしたら寝覚めが悪い。

小南 美奈子 > 「あ……うん、それなら頂く」

冷たくないに反応したのか口を付けてないに反応したのか、茹だった頭で答える言葉は要領を得ず、ゾンビのように這いずる腕を伸ばしてスポーツドリンクを手に取った。
ふたを開け、浴びるように内容物を口に含む。ほんのりと甘みがあって美味しい。

「……助かった。ありがとう」

ようやく頭が回り切るようなった頃、中身は半分も残っていなかった。

阿須賀 冬織 > それ、全部飲んで構わねーから、と言ってそのまま渡す。
流石に女子が口にしたものをそのあと飲む気はない。

「んあ、別に……目の前で倒れられでもしたら寝覚めがわりーだけだから。
……こんな時間に掃除でもしてたのか? あんまり無理すんなよ。」

どうやらある程度回復したようで、無理すんなよと思いながらも気になるのはゴミ袋。
パンパンに膨らんだものが4袋だろうか、見た感じ男子でも持つのは結構きついように思えた。
ましてこんな真夏の昼間にだ。なぜ、と少し興味を覚えて聞いてみる。

小南 美奈子 > 「そう……」

貰っていいなら、とさらにもう一口。

「委員会活動。奉仕の精神の云々……っていう感じで。
 もうすぐ次の学期も始まるから、節制して綺麗にせよっていう。
 朝から動き回ってたけど、切り上げるタイミングをしくった」

ぐ、と自分の右腕に着けた『生活委員会』と書かれた腕章を見せびらかす。
曰く委員会活動の一環である、という。日没になっては危ないし、日が高い内の方が安全である、ということから。
――それでここでぐだぐだになるのとどちらがマシかは敢えて言うまい。

阿須賀 冬織 > 「あー、生活委員。……そういやそんなのもあったなあ。
……やっぱ大変だなあ委員会って。俺はそんなに真面目じゃねーから無理だ。」

委員会、風紀や鉄道、図書館なんかはまだ知ってるがそれ以外はちょっと印象に薄く……
見せられた腕章を眺めて、ご苦労なもんだなあと思いながら。

「まあなんだ、マジであぶねーから気を付けろよ。
……んで、切り上げるタイミングをミスったってことはその掃除はもう終わったのか?」

にしてもさっきの飲みっぷりはいいものだった。つまり、それだけ喉が渇いていたということなのだろうが。
他人とは言え流石に心配になった。

小南 美奈子 > 「わたしたちは縁の下で日々活動を続けているから……道路にゴミが無いのもわたしたちの活動のお陰」

 ところによって落第街や路地に行けばゴミなんて山ほど転がっているが、あれらは風紀委員が跋扈していて怖いし、それ専用の委員もいるから自分は通わないし。
 さりとてこうして草の根的に活動を続けられる手前、いわゆる真面目という部類に自分も入るのだろう。

「真面目じゃなくてもやれる子はやれる子はやれる。私みたいな清掃員なんかは誰でも出来るから。
 ……うん、終わった。もっと早くに日差しから逃げる心算だったけど。あとは向こうのゴミ捨て場に置いたら仕事は完了する」

 公園から出た先の公道を真っ直ぐ続く道を指さす。それでもまだまだ距離はある様子だった。

「あなたはどうしてここに? 夏休みに飽きて散歩でもしていた?」

阿須賀 冬織 > 「……いいな、そういうの。まあなんだ、あんまり道とか汚さねえように気を付けるわ。」

元からそこまでポイ捨てなんかをしていたわけではないが、こうやって活動する人たちのことを知ればやはり認識は改まるもので。
そこまで真面目じゃない分、自分にできることくらいはしておきたい。

「なんていうかあんまり部屋に閉じこもってるような性格じゃねーから。
用事なければ割とこうやってぶらぶらしてるってだけで。こことか結構お気に入りなんだ。蝉以外うるさくねーし。
……そっか、もうこんな時期か。夏休みは…飽きてねえかな。今年がここでの初めてだったけど色んなことがあったから。」

隠すこともないのでまあそんなに大した理由でもないがここに来た理由を話す。
夏休みに飽きたかと聞かれて、そういやもうこんなに過ぎたんだなと思う。
今まではもっと暇を持て余していたものだが、ここにきて最初の夏は色んな事があって楽しかった。

小南 美奈子 > 「そうしてくれると嬉しい。風紀委員は犯罪が無くなると嬉しいだろうけど……それと同じでわたしたち生活委員も、みんなが美化活動を自主的にやってくれれば仕事が減る」

こうして夏休みの朝から活動をして四つの袋が満杯になるまで詰め込む必要もなくなるのだ。
仕事そのものがなくなるわけでもないが、負担は軽い方が矢張り良い。

「じゃああなたは一年か。一年の初めて自分なりの穴場を見つけるなんて良いこと。
 ここは秋になれば焚火もやるし、冬になると雪合戦もやるから、時間がある時に覗いてみると良い」

ぐ、と伸びをする。ようやく体に余裕が出てきた。

「私は小南 美奈子。3年生。あなたはなんていうの?」

阿須賀 冬織 > 「まあ自分でできる範囲くらいならな。もともとそんなに捨てたりはしてねーし。」

そう言って軽く見まわした公園にごみは見当たらない。彼女たちの努力の賜物なのだろう。
当たり前のように思っていたが、そんな環境に感謝しないといけないな……

「まあ、穴場って言うほど隠れてもねーけどな。いっつもここか図書館に浸ってる感じだよ。
……雪合戦! やったことねーし、冬を楽しみにしなくちゃ。」

雪合戦。雪とは縁がなかったので一度はやってみたいと思っていた。
焚火なんかも楽しそうだがやはり体を動かす方が好きなようだ。

「ん、俺? 俺は阿須賀 冬織。お察しの通り一年だよ。学年違うしあんまり会うことはないだろうけどよろしく。
……生活委員って手伝ってもらったら行けねーとかそんな感じのわけわかんねー規則とかあったりする?
無ければそのごみ袋半分くらい持とうか? 流石に四つ持つのはきついだろ。」

自己紹介を返してからそう尋ねる。流石にあのゴミ袋四つは誰でもきついだろう。
全部は無理だし言うつもりもないが、二袋くらいなら何とかなるだろうか。

小南 美奈子 > 「アウトドア派なのに、図書館にも入り浸っているの。どことなく気が合いそう。
 私も図書館の常連だから」
 
 雪合戦の方に反応する手前、二方の在り方は対極的というか、反対に位置する場所なものだから、ついつい疑問を提示した。
 もう少し過ごしやすい季節になれば体育祭やらこの公園でもスポーツに興じる人らも出てこようが。

「私はいつもゴミ拾いをしているから、何かの拍子でひょっこり和えたりはするかもしれない。
 こうして優しい後輩にそう言われたら、断るのにも少々引っかかりを覚えてしまう。
 だから持ってくれると非常に助かる」

 相手の好意に甘えることにした。よいしょっと立ち上がってゴミを片方差し出す。

阿須賀 冬織 > 「あっいやまあ、その……別に部屋に閉じこもってるのがあんまり好きじゃないだけだから。
……そしたら今まであった事あったのかもしんねーな。」

言えない。好きな人が図書館に住んでるから約束以外で会えないかなと通っていますなんて。
……まあ嘘は言ってないし大丈夫だろう。実際勉強も読書も嫌いというわけではないから。

「あいよっと。……うっわ、見た目通りの重さ。
よく一人でここまで全部運んできたなこれ。そりゃまああんなに疲れるのも納得するわ。」

差し出されたごみ袋をに手をかけて、声を出して持ち上げる。……うん。思った通りの重さだ。
どこから持ってきたのかはわからないが、半日ごみ拾いをしてこの袋を持ってここまで……そりゃまあああなるのも頷ける。