2020/09/20 のログ
■日下 葵 > 「とはいえ、初めて山本さんを見たときは
”絶対忘れない見た目してるな”って思いましたけど」
彼の見た目――主に髪型はインパクトという意味では凄まじい印象だった。
だからといって、彼の人間性が推し量れたわけではないのだけれど。
「はっきりさせると、あとから都合が悪くなったりしますからね。
ダブルスタンダードを避けるために、規範を持たないという意味では」
曖昧な生き方というのも、アリなのかもしれない。
「最初はナイフなんてなんでもよかったんですけど、
使っているうちに愛着が湧いてきちゃって。
煙草の銘柄は――こだわりたいですねえ。
好き好みもそうですし、何かと”こだわり”のある人も多いでしょうし。
好みと儀式は確かに区別は必要かもしれませんね。
でも、好き嫌いがルーティンになって、儀式になることもあるかも」
何気ない行動が、気持ちを整理するのに必要不可欠なものになることは、
往々にしてあり得るはないである。
「あっはっはっ!!
それは随分と厳しく言われましたねえ?」
彼の話を聞いて、思わずお腹を抱えて笑ってしまった。
辛辣過ぎて、不憫過ぎて、可哀そう過ぎて、
それなのに面白くて、笑ってしまった。
「そんなもんですよ。何やったって後悔するんです。
後悔してやろうくらいの気持ちで朝を迎えるほかありません」
そんなもんだ。
正解なんてわからない。誰かに『お前は正しい』と言ってほしい。
幸い、自分にはそういってくれる人が居た。
彼――山本さんはどうだろうか>
■山本 英治 >
「でしょう? 自慢の髪型ですよ……」
「名前を覚えてもらえる確率かなり高いですからね」
両手を広げて髪を触る。
中からアフロコーム(アフロ専用の櫛)を引き抜いて見せる。
「ダブルスタンダードってかなり格好悪いですからね…」
「ま、真実なんて見る方向で表情を変えるものなんですが」
そして真実は人に残酷で。そんな部分に人は惹かれるのである。
DV彼氏みてぇだな。
「ルーティンも多すぎると神経症って扱いになるので悩ましいところ」
一定の手順を踏まないと日常生活が回らない人ってそこそこいるのが怖い。
いつもの箸じゃないと落ち着かない人を見たことがあるが。
箸って消耗品だよな……?
笑われると肩を竦めて苦笑して。
「それからタメ口を許してもらったので良い女ですよ」
「園刃華霧って言うんですがね」
はははと笑って立ち上がる。
そろそろまた別の“やるべきこと”がある。
良い休憩になった。
「後悔と反省の関係性を考えると悩ましい」
「そして後悔は苦くてなかなか飲み干せないものでもありますからね」
大きく伸びをして、月から彼女の瞳に視線を戻す。
「長話になっちゃいましたね」
「楽しい時間でした、それではまた」
大仰に敬礼をして、去っていった。
■日下 葵 > 「ええ、本当名前よりも先に髪型を覚えちゃうくらいには
良い髪型だと思います。
私もそういうの狙って髪を染めてはいるんですけど、なかなか」
奇抜な色に染めれば目立てるだろうか。
そんなことを思っていると、彼がアフロの中から櫛を引き抜いた。
――ほかにもいろいろ入っているのだろうか。
「ですねえ、格好悪いし、自分の首を絞めてしまいますから。
過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですね。
”ちょうどいい”の塩梅は難しいです」
幸運なことに、自分はそこまでルーティンにこだわりはない。
「ため口を許してもらえるなんて良かったじゃあないですか。
って、園刃さんですか!意外なところでつながりがあるものですねえ」
過去に一日だけ、謹慎明けの彼女の監視をやった旨を伝える。
監視といっても、一緒にご飯を食べたり、ほとんど遊んでいたのだが。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる、ですよ。
折り合いのつけ方は人それぞれですけど」
後悔はしないようにしてもしてしまうものだ。
そしてそれに折り合いをつけるのは難しい。
「おっと、意外と長いこと話してしまいましたね。
私もお話に夢中で時間を忘れてしまってました」
立ち上がって、こちらを見る彼に視線を合わせれば、
こちらも返事をするように手を振る。
彼が去っていく彼を見送って、私も公園を後にするのであった>
ご案内:「常世公園」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から山本 英治さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に葉山翔一さんが現れました。
■葉山翔一 > 休日の昼間の公園。
家族連れや散歩をしてる様子の老人たちから少し離れた隅の方にあるベンチ。
そこに腰を掛ければ持ってきたケージを開き仔猫を外へと出す。
引き取って数日は元気いっぱいだった仔猫も落ち着きを覚えたのか駆けださずに膝に乗って丸くなる。
あのやんちゃがおとなしくなった事に驚きはあったが手が掛からないのも良い事と考えることにして。
「しかし、少し大きくなったな」
まだ大きさ的には仔猫ではあるが引き取った時よりは大きくなっているその身体。
起こさないようにと優しく仔猫を撫で、特にやる事の浮かばなかった休みの時間を日向ぼっこに充てて。
■葉山翔一 > 「そろそろ帰るか」
仔猫と共にしばしの日向ぼっこ。
気が付くと仔猫は膝の上で完全に眠り込んでいる。
起こさないようにそっとケージに戻せば立ち上がり公園を後にする。
ご案内:「常世公園」から葉山翔一さんが去りました。