2020/09/25 のログ
ご案内:「常世公園」にラピスさんが現れました。
ラピス > 今日のへっぽこ教師は、ゆるっと散歩に出向いていた。
学園から、住宅街や商店街を経由して、目的もなくふらふらと。
当て所もなく彷徨っていれば、辿り着くのは長閑な雰囲気の公園だった。
そのまま中をぽてぽてと歩み進めば、やがて池と自販機が見えてくる。
なるほど、少しばかり休憩も良さそうだ。自販の前まで行くと、ちゃりんと硬貨を差し入れて。

「さってっと、どれがいいですかねー……ここはさっぱりとお茶なんて――」

ぽちり。がこがこ、がこん。冷やっこいお茶を注文。そっとしゃがんで缶を取り出す。
そこにあるのは、なんとも涼やかな緑のパッケージ……ではなく、紫を基調とした何か。

「……あるぇー?」

冷やし汁粉だった。

ご案内:「常世公園」に綿津見くらげさんが現れました。
綿津見くらげ > 常世の島にも、秋の気配。
少し前まで聞こえていた蝉の声は鳴りを潜め、
爽やかに吹く風には、肌寒さも感じ始める。

そんな、秋の始まり。
この季節に最もふさわしい、飲料とは。

「冷やし汁粉、一択……。」
誰に告げるでもなく、一人呟く少女、
彼女の名は綿津見くらげ。

なんだか隣で困惑している小さいのを横目に、自販機に小銭を投入。
紫を基調とした缶の下のボタンを押せば……


「………?」
首を傾げるくらげ。
出てきたのは、何の変哲もない緑茶では無いか。

ラピス > 自動販売機を見た時に決めていた。冷やっこいお茶を飲むと。
心に決めていたからこそ、口は完全にあの渋みを楽しむノリだった。
しかし、不意打ちのようにやって来たのは、冷やし汁粉。紫のニクいあん畜生。
かしゅっと開ければ、だだ甘なあんこがお出ましだ。お茶の対極待ったなし。
――どーすっかなぁ。へっぽこ教師は割と真面目に困惑して、自販機を二度見。
すると、そこにはいつの間にやら一人の少女がやって来ていた。伸ばす指の先は、冷やし汁粉で。

「……おぅ?」

がこん。彼女が自販機から取り出したものは、買うつもり満々だった緑の子である。
渋みが素敵なさっぱり緑茶である。さては、補充し間違えたな自販機の会社の某。
さて、どうしたものか。ほんの少しだけ悩んで、んー、と思考を回してから。

「……もし良かったら、交換しませんかー?」

彼女が買うつもりだったである、冷やし汁粉を差し出しながら問うてみる。

綿津見くらげ > 「………。」
何故だ。
自分の完璧なチョイスを裏切り、
姿を見せるタダの緑茶。

気分は完全に甘味であった。
あの喉をさらに乾かせる様な、濃厚すぎるほどの甘味であった。
すっきり爽やかな糖分freeなど、お呼びではないのだ。

ここ数週間で最低の絶望を感じながら、
途方に暮れた視線を周囲に泳がせれば。

「………?」
なにやらさっきの小さいのが話しかけてくるではないか。
しかも、その手には自販機の主たる重厚なオーラを放つ、冷やし汁粉の缶。
それを、このチンケな緑茶と交換しようと持ち掛けてきたのだ。

「………!
 い……良いのか……!?」
思いがけない申し出。
当然、断る理由は無い。
くらげは緑茶を、小さいのに差し出す。

ラピス > お互いに自販機に裏切られ、欲しい物を得られなかった。
本来欲しかったはずのものが、互いに相手の手元に転がり込んだ。
それは、不運というべきか、僥倖というべきか。少なくとも、数奇ではある。
実際の所は、恐らく自販機への補充の最中で、うっかり入れ間違えただけなのだろう。
しかし、お茶を求めて冷やし汁粉を買ったへっぽこと、その正逆だった彼女。
この二人が、同時にこの場所にいるのは、中々に運命的なのかもしれない。多分。

「えぇ、勿論です。先生は、そっちのお茶が欲しかったので!
 貴女は冷やし汁粉を買おうとしていたみたいですから、ちょうど良いかと」

という訳で、遠慮なくどうぞ、と缶を差し出して円満トレード。
これがいわゆる、ウィンウィン、というやつだ。決して掃除機ロボットの駆動音ではない。
ともあれ、緑茶を受け取ると、かしゅっとプルトップを開けて、一気にぐい呑み。実に美味だ。

綿津見くらげ > 「神か。」
ラピスをそう称して物々交換。
……そんなに飲みたいか、汁粉が?

缶を開け、口をつけてくぴくぴと。

「……甘っ。」
そりゃそうだろう、汁粉なのだから。

血糖値が上昇していくのを感じるくらげ。
2/3あたりまで飲んだところで、
急激な飽きを感じるのであった。
……なぜこんなものを欲していたのだろうか、自分は。


「………先生?」
そういえば、この小さいのは先生を自称していた。
こんなに小さいのに。

……いや、常世の学校では見た目と年齢が乖離している者や、
相当な若さでもそれ以上の学を持つ者などは、そんなに珍しく無い様ではあるが。

ラピス > 「うや、神様だなんて、そんなに大層なものじゃないですよぅ」

半分くらい精霊なだけですし、とお茶をグビグビ。
缶の中程までを一気飲みしたら、残りはちびちび飲むことにして。
なんとなしに彼女の様子を見ていると、彼女もまたお汁粉を楽しんでいる様子。
ならば、言葉を交わすのも野暮か、と一頻り黙ったまま、意中のものを飲むだけの時間。
こちらのお茶は、とりあえず缶を一本飲む程度では飽きない程度にさっぱりだ。
お茶で飽きるとすると、どのくらい飲んだら良いかしら、と不思議な問いを脳裏に浮かべて。

「――ん、これでもちゃんと先生なのですよ。薬学やってます。
 っと、折角ですし自己紹介しておきましょう。ラピスと言います」

よろしくです、とひとつお辞儀。それから、じぃ、と見上げるように彼女を見て。
どんな子なのかなぁ、と職業病チックな観察をしていた。

綿津見くらげ > 「薬学。」
前期はまるまる病院暮らしで休みだったくらげ、
本格的に授業を受け始めたのはここ最近の事。
まだラピスの授業を受けた事もなく、初対面であった。

「綿津見くらげ。
 1年だ。」
名を名乗るラピスに、
短く簡潔に名乗り返す。

彼女を良く見てみれば……
青白い長髪と、変化に乏しい緩い笑顔が特徴的だ。

「先生か。
 その若さで。
 ……凄し。」
くらげはくらげで、
感心した様な目つきでラピスをじろじろと眺めている。

ラピス > 「うぃ、薬学です。お薬をぐるぐる混ぜたり、薬草をごりごりすり潰したりします。
 ――なるほど、くらげちゃんですね。よろしくおねがいしますねー?」

彼女の名を聞いて、にこぱー、と満面の笑顔で応じる。
へっぽこ教師も、この学園島に詳しい訳ではないし、学園の生徒にも明るくはない。
出会った相手のことは覚えているが、それ以外は――。つまり、彼女も初対面だ。
それならばこれから仲良くなればいい。へっぽこ教師のモットーだ。

「うや、くらげちゃんが見た目取りの年齢だとしたら、先生は多分2倍以上は生きてますので。
 こう、長生きな種族の血を引いているので、年を取るのが遅いっぽいのですねぇ、はい」

ですから、ちみっこですけど凄くはないのです、と結論づける。
なにせ、生徒達からは子供扱いである。教師としての威厳は、限りなく零に近い。
それに、好奇の視線にもすっかり慣れたものである。彼女の視線も、特に気にする様子はなかった。

綿津見くらげ > 「ほぅ。
 長生き種族……。」
人に似た、別の種族。
門の向こうから、そういう者も時折訪れるらしい。
話に聞いていたが、実際にそういう者と会うのは初めてであった。


「かわゆし。
 先生と言うには。」
ラピスの見た目は、愛らしい子供そのもの。
先生というよりは、
ちょっと頭のいい近所の子供みたいな雰囲気だ。

ラピス > 「とはいえ、こっちの世界に来るまでの記憶が抜けてるので、本当は何歳なのかわかんないのですけどね。
 まぁ、半精霊で長生きなのは本当らしいので、そんな感じの適当ななにかなのですよー、先生は。」

へっぽこ教師的には、そういうものっぽいからそうなんだ、というライトなスタンス。
記憶が吹っ飛んでることも、特に不自由がないし気にならないから気にしてない。
今が楽しければ、それだけで十二分。刹那主義で快楽主義的だが、それで十分だと思っていたり。

「ふふ、お褒めに預かり光栄ですよぅ。何なら、愛でてくれても良いです。
 先生は、しっかり大人ですからね。可愛がりたいという思いを汲める良い子ですもの」

えっへん。ない胸を張る姿は、正しくそこいらの子供である。
こう、500円拾ったんだぜ凄いだろ、的な雰囲気だ。子供同士ならヒーローである。
とは言え、目の前にいるのは残念ながら子供ではないから、意味はないのだけれど。

綿津見くらげ > 「記憶喪失か。」
何処の、どんな世界から来たのか聞いてみたかったが、
それらの記憶はすべて失われているとのこと。
ちょっぴり残念。

「愛で………。」
愛でてもよい、というがどうすればいいだろうか?
人とのふれあいというのにあまり慣れていないくらげ、
ひとまずその手をラピスの頭の上に置いて何度か撫でてみる。

ラピス > 「ん、どうやらこっちに出てきた時に、頭をすこーんとやったらしくてですね。
 起きたらこっちの世界で、親切なお婆ちゃんに拾われてた感じですから」

彼女が自分の故郷に興味を持ってくれるなら、その内思い出したら話そうと思う。
まぁ、今の所は思い出すなんて夢のまた夢。日夜遊ぶことで手一杯だから当分先だ。

「さぁ、愛でると良いです。他の子は、ほっぺ揉んだり抱っこしたりしますよ?
 ――おおぅ、ふふ、そうです、こうしてなでなでされるのも、中々良いものです」

彼女の手が、少女の頭の上に乗って、なでなで、と動く。
その感触に、ぽわわー、とご満悦なへっぽこ教師は、ニコニコ笑顔で上機嫌。
これでなかよし度アップですね、なんて勝手に思っていたりする。至って真面目に。