2020/10/01 のログ
■ラピス > 一度捨てられた経験があるからか、二度捨てられることは無い様に、ということなのかもしれない。
そんな心配はしなくてよいのだが、それでもしてしまうのが人の――否、にゃんこの情なのだろう。
それならば目一杯に愛してやらねば。これ以上ないくらいに、ずっとずっと。溺れるくらいに。
「ふふ、アルミナちゃんの飼い主さんは、素敵な人なんですよー?
攻撃力はともかく、可愛さの破壊力なら3000以上ありそうですねぇ」
にゃう、と鳴きながら飛びかかられたら悶絶即死級の可愛さである。
それは頭上の黒猫も、目の前の白猫も一緒。こにゃんこに貴賎なしだ。
「これ、ツンデレなんですかね?デレデレな気がするんですけど」
なぅ、なぅ、なぅー。ぺふぺふ。もっと構えよという意思表示だろうか。
それならば仕方ない、そぅっと顎の下をクシュクシュとこしょぐってやる。
頭上の猫を可愛がりつつ、白子猫には――ふむ、と悩んでから。
「なるほど、この子はリボンとか似合いそうですねぇ」
白衣のポケットに手を入れると、中からするりと一本の青いリボンを取り出して。
どうかしら、と近くに持っていって確認。似合いそうな気もするけれど、どうだろうか。
■セレネ > 飼い主が案外、愛が深いのだとその黒仔猫が気付くのはいつだろうか。
その時をほんのり楽しみにしつつ。
「あらあら、そんな事は無いと思いますよ?
私より可愛い子なんてそれこそごまんといるでしょうし…。」
己より素直で、綺麗で可愛い子なんてこの島でももっと沢山居ると思う。
見た目は兎も角、中身は大分イロモノだと自覚があるから。
「そうなのです?
その子の普段は知らないのですが…貴女が言うならそうなのでしょうね。」
幸せなのなら問題ないと、意思表示をする黒仔猫に蒼を向けつつ。
彼女から青のリボンを宛がわれた白仔猫。
小首を傾げてにぅ、と鳴く。どう?と伺うような雰囲気だ。
「…確かにリボンが似合いますね。」
■ラピス > へっぽこ教師は割と穏やか気質だが、愛情は割と深い方。独占欲も同じくだ。
それ故、案外このこにゃんこは、へっぽこ教師と似た者同士なのかもしれない。
彼女と、彼女の白猫がそうであるように。類は友を呼ぶ、というやつだろうか。
或いは朱に交われば赤くなる、かもしれないが、だとしたら短期間で超侵食である。
「おや、先生はこにゃんこを褒めたんですけれどねぇー、ふふふ。
なぁんて、ちゃんとセレネちゃんも素敵な可愛いレディです。自信を持ちなさい!」
によによ、どこかからかうような雰囲気で、彼女の言葉に意地悪を返す。
どちらかと言えば、じゃれ合うような感じの言葉遊びのような何かだ。
「だって、ずっと頭の上に居るんですよ?ツンデレだったら、ベタベタしないでしょう。
まぁ、こうしてくっついてくる方が、扱い楽で良いのですけれど。分かりやすいですし」
なぅ。頭上のこにゃんこは、彼女の視線にしれと鳴いてそっぽを向いた。照れ屋なのかもしれない。
一方で、リボンを近づけた白いこにゃんこは、どうかしらと首を傾げる雰囲気。今からレディの風格だ。
それならば、するりと緩めに白猫を飾るように、リボンを巻いてやるとしよう。結ぶのは、彼女の役目だ。
「お似合いならば、差し上げましょう。おめかしするのですよ、リトルレディ。
――とか言って、アルミナちゃんが男の子だったら……それはそれでありか、うん」
なんでもよしじゃないか、節操なしのへっぽこ教師め。是非もなしである。
■セレネ > 好きなもの好きなヒトなら愛情も独占欲も深く強くなる。
その気持ちはとても分かる…というか、己も同じか。
「――うっ…!失礼しまし…ふぇっ…?!
そ、そ、そんな、事は…っ!」
己の失言に対し揶揄うような言葉。
白い頬をほんのり赤く染めては即座に否定しようとし。
「…それは、確かに。
まぁ二人とも仲良しなようで安心しました。」
一応は里親に出した元なのだ。
己の観察、洞察眼が間違ってはいなかったのだという証左にもなる。
ゆるりと彼女から巻かれた青のリボン。己が丁寧に蝶々結びにして。
「――この子は私が診る限り女の子なので性別は合ってますよ。
……男の子でも良いのですか…。」
流石は博愛主義だと、目を瞬かせつつ。
白仔猫は礼を言うよう、にゃぅと鳴いて尻尾の先をゆらゆらさせるだろう。
■ラピス > 猫も人も、好きな相手には執着して、手元に置いておきたくなるのだ。
案外、欲望や煩悩、業というやつはどんな生物にも共通しているのかもしれない。
「く、ふふ、いやぁ、その反応が一番愛らしいと思いますよ?
これはからかう甲斐があるというものです。によによー、によによー」
によによ、言葉にした通りの笑みを浮かべながら、へっぽこ教師は心底楽しそうだ。
彼女が頬を赤くして、即座に、懸命に、否定しようとするのがなお微笑ましい。
頭上のこにゃんこは、悪い癖が出たな、と一つてしって、主人を窘めた。
「そりゃそうです。仲良しになるつもりがなきゃ、引き取ったりしません。
大丈夫です。クロには先生が、ちゃんとずっと、一緒に居てあげますから」
頭上をなでぽふ。こにゃんこはまだまだ伸びるだろう尻尾をゆるりとご満悦に振った。
白のこにゃんこは、リボンで飾られてにゃうと鳴く。お礼だろうか。可愛らしい。
「ほほう、それは良かった。どちらも良い飼い主に巡り会えた様ですね。
他の子達も、良い感じに素敵な人に巡り会えれば良いのですけれど」
ねー、と白いこにゃんこに微笑むと、もう一度、頭をくしゅりと優しくなでて。
後はそのまま、のんびりゆったり、他愛ない話に興じる。そんな夜を、月は優しく照らしていた――。
ご案内:「常世公園」からラピスさんが去りました。
■セレネ > 生きている以上、欲望や願望野望や煩悩というものは種に限らず際限なくあるのだろう。
感情があるのなら、それ以外も芽生えるのも不思議ではない。
「――あうぅ…。ぐぬぬ…っ。」
目の前の相手には己が片思いしている相手も知られているのだ。
どうにも出来ない。
楽し気な彼女とは裏腹に己は歯噛みして悔しがる。
常に冷静で居られるよう努めているというに、こういう時に限ってはそうはいかないのが困った所。
「貴女が引き取ってくれて良かったです。」
相手の言葉を受け本当に、心の底からそう告げる。
この公園に捨てた人も何かしらの問題があったかもしれないしなかったかもしれない。
それでもこうして、己が拾った仔猫達は結果的に良い飼い主に恵まれすくすくと健康に育っているのだ。
己の選択は間違っていなかったのだと、再認識する。
「里親になる人が良い人か悪い人かは、一応見極めて引き渡してますので。
…そう、ですね。このまま私が育てるには経済的にも厳しいですし。」
なかなか見つからないものだな、と苦笑を浮かべつつ。
青いリボンを首に巻かれ、頭を撫でられた白仔猫。
にゃぅ、と鳴いた後上機嫌に尻尾を緩く揺らし。
二人と二匹、暫しの歓談を月夜の下で――。
ご案内:「常世公園」からセレネさんが去りました。