2020/10/13 のログ
■セレネ > 「私は貴女のようなラミアでもないですし、貴女の苦しみや悲しみは分かりません。
…無責任な事を言っているというのは自覚しています。
もしかしたら、傷つけてしまっている事もあるかもしれませんね。」
元からではなく、後天的なら猶更。
励ます為に伝えた言葉でも、彼女にとっては刃になる可能性は十二分にある。
彼女が優しい人だから、余計に。
眉をハの字にさせて。
「――そう、ですね。」
未だに傷は癒えていない。
この時期になると思い出して、胸が苦しくなる。
深い深い溜息をつくと
「…で、先輩は何の本を読んでいたのですか?」
暗い話題を切り替えるよう、相手が先程まで読んでいた本へと疑問を投げかけて。
■藤巳陽菜 > 「……私の場合はこんな異能があるから極端に目立つけど人間なんて皆そんなものじゃない?
人の事なんて何も分からないし何を言って傷つくかも分からない。
でも、一つだけ……こんな身体でも私は人間だから……ラミアって言わないでくれると私は傷つかないかな。」
陽菜は人間だ。異能の影響を受けているだけで少なくとも本人は自分がまだ人間であると思っている。
悪意は一切ないにしても……ラミアと呼ばれるのはあまり気持ちのいいことではない。
……別にラミアが嫌いとかではないのだけども。
陽菜は人間だから。
「……。」
一度、呼吸を置く。
暗い話は終わり。ここからは本の話をしよう。
「…これ?これはねちょっと前に流行った少女漫画で『トキメキ!ハート学園恋愛部』ってやつよ。
実写映画にもなっててそこそこ話題にもなってたのだけど…知ってる?」
■セレネ > 「人の心が分かる異能があれば、もっと上手く生きられたのでしょうかね。
――そうですね。そうでした。貴女は人間です。
貴女は正しく”人”なのですよね。
大変失礼致しました。申し訳ないです。」
姿は違えど、彼女は人だ。
それは忘れてはならないし、間違えてはいけない。
頭を下げて謝罪をする。
少しして頭を上げた後。
「――いいえ、知らない漫画ですね…。
私此処に来たのはつい数ヵ月前なので。」
なんとも、題名からして恋愛モノだとすぐに分かる。
だが残念ながら己は知らず首を横に振った。
■藤巳陽菜 > 「それはそれで神経すり減らしちゃいそうな気もするけど……異能なんて無いほうが良いわよきっと。
うん、よく言われるし……まあこんな見た目だから仕方ないみたいなところもあるし……。
そんなに気にしないでね。」
そう、実際そうなのだ。
見た目で判断されてしまうのはどうしても避けられない。
それが特異な見た目であればあるほど顕著になる。
……だから、陽菜は元の身体を取り戻したい。
「えっと、ひたすらイチャイチャし続ける感じの漫画でストーリーもないし話の起伏もあんまりないんだけど……。
面白……うん。主人公の子はいい子だし相手の子も本当カッコいいからその二人が好きになれたら楽しめるわ!」
お世辞にも面白いとは言わない。
面白くはないけどもドキドキする描写なんかはあったりする。
■セレネ > 気にしないでね、と言われても気にしてしまう己だ。
帰ってから自己嫌悪で死にたくなるに違いない。
相手と同じように、己も自分に自信はない。
けれどそれを言ってしまったら嫌味に思われる可能性もある。
外見で判断するなとは今までも言われてきたし、実際経験もしているのに。
「貴女は優しすぎますね。」
言う所はきちんと言うけれど、それでも優しいと己は感じた。
「……そ、そうなのですか。」
内容の雰囲気的にはお世辞にも良いとは言えないようなもので。
読んでみたいかと言われると…そうでもないなぁと思ってしまった。口には出さないけれど。
■藤巳陽菜 > 「……優しいっていうか本当にもう慣れちゃっただけだから。
…本当に優しかったら嫌な想いをさせずに伝えられると思うし……。」
初めの頃は落ち込んだ、言われるたびに傷ついて理不尽に相手に当たったりもした。
けど、今はもう慣れてしまった。嫌な事ではあるけれども言われるたびに傷ついていては心がもたない。
……でも、心の中には慣れちゃいけない、認めちゃいけない…そう思ってる自分もいる。
「まっまあ……変わらない安心感みたいなものはあるから。
時間があれば実写の映画の方でも見て見ればいいかも。」
イケメン俳優が起用された実写映画その出来は完全無欠の原作再現。
原作の雰囲気が好きなファンからの評価は高いが、普通の映画のファンからはまあ……うん。
■セレネ > 「それは慣れてはいけないものだと思いますよ。
元に戻りたいのなら猶更。
慣れてしまったらそれこそ人ではなくなってしまいますし。」
相手に嫌な思いをさせずに言葉を伝えるというのは、非常に難しい。
それにそうする事だけが優しさではないと己は思うのだ。
時には厳しく言うのも一つの優しさではないか…と。
「機会があれば、見てみますね。」
折角勧めてくれたのだし…。
勉学の合間にでも見てみようかと考えて。
みぅ、と小さく鳴いた仔猫。
下ろして欲しいのだろうかと、抱き上げていた腕をそっと下ろし。
ぽてぽて、もう一度相手の傍へと歩み寄った。
■藤巳陽菜 > 「……わかってる。わかってるけど。」
元の形を取り戻すならば慣れてはいけない。
人である事を諦めてはいけない。
……それでも先が見えないこの道に諦めがちらちらと頭をよぎる。
何もわかってなかった頃よりも色々と調べて知識を得た今の方がその頻度が増えてきた気がする。
「会う合わないがかなりわかれるけど頑張ってね!」
映画を勧める時に頑張ってという言葉を使う事は少ない。
つまりはそういう事なのだ。
こちらに来た仔猫……。
さっきまでより警戒心が減ったその子を抱く。
「……よし、捕まえた!温かい……生きてるって感じがするわ。
……そういえばこの子ってなんて名前なの?」
腕の中で固まってしまっている猫。
■セレネ > 他人である己が言うより、本人が一番よく分かっているか。
それはそうだよな…と考え直し、これ以上は何も言わないでおく。
大方何を言っても彼女を傷つけそうだし。
「…が、頑張ります。」
せめて初めの5分…いや10分くらいは見てみよう。
それで合わなかったらやめようと決めた。
仔猫は相手から抱き上げられると、じっとしたまま顔を見上げて。
「名前はアルミナと言います。女の子なのですよ。」
名前を聞かれれば答えよう。
仔猫は名に反応したか、みぅと鳴き、尻尾をぴんと立たせて。
■藤巳陽菜 > 「アルミナちゃんかー可愛いねー。」
抱き方は適切なのに明らかに緊張しているその子を撫でれば
身をよじって離れようとする。
……やはり、警戒されてるのかもしれない。
「嫌なの?でも離さないよーもうちょっとだけいてねーアルミナちゃん。」
もう少しだけ離さない。
「はあ…やっぱり、猫はかわいいわね。」
自らの飼い主の方へ何かを訴えるような視線を向けている仔猫。
■セレネ > 普段は大人しくて己の膝に一度乗れば離れないあの子が、何故だか彼女を嫌がっている。
「可愛いですよね。
もう可愛すぎて毎日写真や動画撮りまくりですよ。」
何かを必死に訴えている仔猫には、英語でもう少しだけ我慢ね、と苦笑しつつ宥めよう。
後々怒りそうだが、彼女の気が済むまで腕の中に居て欲しいと願う。
猫好きなのに猫に好かれないなんて、とても悲しいだろうから…。
■藤巳陽菜 > 「う、羨ましい…また私にも今度送って!」
どうしても猫に好かれない。
この異能が発現してからというもの猫、猫だけじゃなくて他の動物にも警戒されてしまいがち……。
その為、猫と触れ合うことも叶わない…おのれ異能…。
「……はあ、堪能した。」
助けてくれない主人を見て絶望の表情を浮かべていた仔猫がついに解放される。
ぐったりとした様子で陽菜のそばより離れていく。
「……うちのアパートがペット飼えたら彼氏欲しいとかいってなかったかもしれない。」
■セレネ > 「良いですよー。沢山ありますので。」
広がれ猫の輪。動物が好きな人に悪い人は居ないと思う。
だからこそ彼女にはなるべく触れさせてあげたい。
…仔猫からの無言の抗議が突き刺さるのが痛いけれど。
よたよたしながら、震えている仔猫を再度抱き上げる。
よく頑張りましたと小さな頭から背中を撫でて労おう。
「ペットが先か、彼氏さんが先か…ですね。」
何方にしても寂しくはないからねぇなんて思いつつ。
彼氏ねー、と一瞬浮かんだのは己が片想い中の人だけれど、苦笑しては小さく溜息を吐いた。
■藤巳陽菜 > 「助かる…助かるわ。」
可愛い猫の写真や動画はいくらあっても助かるものなのだ。
ありがたい……とてもありがたい。
「どちらにしても……頑張らないとね。」
自身の下半身を少し見て言う。
この身体ではネコも彼氏もゲットできない。
「……冷えてきたかしら?」
結構時間長い話していたのが原因かさっきまで抱いていた猫が離れたのが原因か急に寒くなって来てしまった。
…外で本を読める時期もそろそろ限界かもしれない。
■セレネ > 「少しでも癒しになれれば。」
寮に帰ってこの子の機嫌を直しつつ写真や動画を送れば良いかな。
これくらいで良ければいくらでも力になるつもりだ。
「そうですねー。お互い頑張りましょう。」
己は二度目の幸せ、手に入れられれば良いけれど。
――道はまだまだ長そうだ。
「ん、そろそろ帰りましょうか。私は兎も角先輩が凍えてしまっては大変ですし。」
己は暑さには弱いが寒さには強いので。
冷えてくる時期は相手の身体が心配だ、と視線を下半身に向け、すぐに逸らした。
■藤巳陽菜 > 「頑張っていい相手見つけましょう!」
セレネに片思いの相手がいることもそれが自分が知っている教師である事も知らないままそんな風に。
「そうね、名残惜しいけど……今日はアルミナちゃんも抱かせてもらってありがとうね。」
そう言ってひざ掛け、本、魔法瓶なんかを鞄の中にしまっていく。
ひざ掛けが大きいので鞄はパンパンになってしまっている…。
「……本当に不便な身体。」
■セレネ > 「は、はい…!」
現在己の片想いの相手を知っているのは、この間一緒にお茶会をした小さな教師のみだ。
目の前の相手に知られたら、色々と気まずいような気がして言えない…。
「後で写真と動画送りますから、今日はまだ楽しみはありますよ。」
お礼を言われれば首を横に振るも、仔猫は己にしがみ付いている。そんなに嫌だったか…。
もう少し大きくなれば良くなるかなぁなんて思いながら。
彼女が荷物を詰め込み鞄がはち切れそうなくらいになっているのを見て。
「…私も手伝いますし、何ならラピス先生に相談してみるのも有りかもしれません。
薬でどうにかなるかは分かりませんが。」
■藤巳陽菜 > 「本当?楽しみに待ってるわね。」
ああやってしがみついてる様子も可愛い。
少し、傷つく気もするが猫は可愛いので許す。
ネコは正義なのだ。
「……ありがとうセレネさん。
また、ラピス先生にも相談してみるわね。」
手段は多いほうがいい、助けてくれる人は多いほうがいい。
……すぐに治るなんて都合のいい事はないにしても何か助けになる薬なんかはあるかもしれない。
「本格的に寒くなって冬眠しちゃう前に帰るとするわ。
それじゃあねセレネさん。アルミナちゃんもまたね。」
そんな一人と一匹に手を振って蛇の身体を持つ人の少女は家路に向かっていくのだった。
■セレネ > 「えぇ、落ち着いたらすぐに。」
この子のケアが先かもしれない、と仔猫をあやして宥めつつ。
「むしろ、これくらいしか力になれず申し訳ないです。」
呪術に関する知識や変異する異能についてもう少し覚えておいた方が良いか。
また図書館に入り浸るけれど、本は好きだから苦ではない。
それにあの小さな教師なら何かしらの手段は考えてくれるかもしれないし。
「はい、お気を付けて。」
仔猫の代わりに小さく手を振り返しては、己も寮に戻る為公園を後にした。
ご案内:「常世公園」から藤巳陽菜さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からセレネさんが去りました。