2020/10/31 のログ
ご案内:「常世公園」に火光雷鳥さんが現れました。
■火光雷鳥 > 本日は10月最終日――そしてハロウィン!が、ぼっちなのとアルバイトで楽しむ余裕があまり無い。
「…まぁ、でも意外と本土のハロウィンと差異が無さそうでそこはちょっぴり安心っつーか」
馴染みがある光景だとほっとする。環境がかなり変わったのでついついそういう気分になってしまいがちだ。
「そろそろ、異能のきちんとした制御も学んで行かねーと…下手すりゃ今は自爆の危険もあるっぽいし。」
生憎と自殺願望なんて欠片も無いので、異能の制御は矢張り重点的に学んで行きたいものだ。
…まぁ、その授業に付いていけるかどうかはまた別問題なのだけども。
意欲だけではどうにもならない事は世の中割と多くある。勉学も然り。大事ではあるけど。
学生街の憩いの場の一つでも或る公園のベンチに腰を下ろしながら、私服姿でぼんやり空を見上げ。
夕方からまた肉体労働のバイトがあるが、それまではどうにも時間を持て余す。
ご案内:「常世公園」に火光雷鳥さんが現れました。
■火光雷鳥 > 「まぁ、たかが発火能力だからなぁ…暴走しても俺が自滅するだけなんだろーけど…。」
いや、勿論暴走なんてしたくないが。どうにも自身の能力で一部不可解な点があるので気にはなる。
正確には、能力というより自分の一時的な記憶の欠落だ。友人の話では自分は爆破も起こしたらしい。
(俺の発火能力に爆発までするパワーはねぇ筈だしなぁ。やっぱ暴走してたんだろうかなぁ)
うーーん、と腕を組んで一息。所詮凡人、常世島初心者で異能初心者の自分には考えても分からない。
近くの自販機で買ったペットボトルのお茶を口へと運んでごくり、と一口。ふぅ。
ご案内:「常世公園」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 「今日はハロウィンだというのにお悩みのようですね。
良ければ相談に乗りましょうか?」
日光対策の為の日傘を差し、空いている片腕には白い毛並みを持つ青目の仔猫が
見知らぬ相手に訝し気な視線を向けている。
少し前から目立つ髪色の相手を見つけ、様子を伺っていたのだが
どうやら何か悩んでいそうな雰囲気だったので
今回も何か力になれないかと思い声を掛けた。
パンプスのヒールを鳴らしながらもう少し近付いて行けばゆるりと首を傾げてみせ。仔猫も一緒に首を傾げる。
■火光雷鳥 > 「うぇ!?…あ、あぁ吃驚した。よぅ、セレネさん。この前は有難うな!」
呆けていたのか一瞬変な声が漏れてしまったが、慌ててそちらへと赤い視線を向ければ、何時ぞやお世話になった美女の同級生。
彼女に挨拶と共に会釈をするが、その抱えた白い仔猫をきょとんとした目で見遣り。
「んーーと、セレネさんの飼い猫?」
と、仔猫にしてはやたらと落ち着いた感じのその青い瞳が特徴的な猫と彼女を交互に見て首を傾げる。
「…って、あーーまぁハロウィンについては俺、どうせバイトで潰れるし友達あんま居ないからなぁ。
悩みっつーか…まぁ、異能の制御の事でどうしたものかなぁ、と。」
肩を竦めて苦笑い。特に一時的とはいえ記憶が欠落していたのが今後を考えると怖いものがある。
自分が覚えていない時に本来の出力以上の現象を起こした、というのは正直気味が悪いからだ。
■セレネ > 「いえいえ、私は包帯を巻き直しただけですし大したことは。
あれから怪我の様子はどうですか?」
驚かせてしまったらしい。それもそうか。
すみませんと一言謝罪した後己も軽く会釈を返し。
「えぇ。此処で捨てられていたのを拾ったのです。
元は五匹居たのですが、最後の一人がなかなか見つからなくて困っていて。」
仔猫について聞かれれば素直に答える。
ついで、里親も探しているのだということを告げた。
相手が無理でも誰かしら良さそうな人を知っているかが気になったから。
「お忙しいのですねぇ。
異能の制御、ですか。この間はそのせいで大怪我をしたのですよね。」
異能か、と納得した顔を浮かべる。
確かに制御が出来ないと自身だけではなく他者も大怪我を負わせてしまう可能性も今後あるかもしれないし。
しかし己は制御する異能も持ち合わせていないから、どうアドバイスをすべきか悩んでしまう。
■火光雷鳥 > 「あぁ、お陰さまでこの通り!幸い酷い火傷じゃなかったみたいでさ?」
軽く服の左袖を捲って肘の辺りまでを晒してみせる。以前は彼女に包帯を巻き直して貰ったそこは今は何も巻いておらず火傷痕も無い。
「あーー捨て猫かぁ。じゃあセレネさんのその白猫含めて4匹はもう里親が決まってるのか。」
成程なぁ、と頷きつつも生憎と数少ない交流しかない自分では里親になりそうな心当たりは…いや、友人とか行けそうだがどうだろう?うーん。
(俺が飼う…って、いや、そもそも寮暮らしで飼えんのか?実家に猫居るから世話とかはまぁ出来なくもねーけど…)
正直、友達か誰か身近にもっと環境が整っていたり経済的に余裕がありそうな人に振るべき話だろう。
とはいえ、割と凡人な少年はついついそう考えてしまう。暫し悩んだ挙句…。
「…よし、分かった!セレネさん、その最後の一匹は俺が引き取るぜ。」
どういう猫かも全くこの時点では分かって居ないのだが、そう申し出てみつつ。
ちなみに、先の事は全く考えていないがそういう話を聞いて何もしない訳にもいかない。
「まぁ、生活にはそれなりに金銭必要だし…うん、まぁ制御というか…正直、その時の事を”覚えてない”のが問題かなぁ、と。」
苦笑い。記憶障害なのか本当に、この腕を火傷した時の事を含めて記憶がすっぽり抜けている。
魔術に関してはとある理由で展望が絶望的なので、異能を重視するしかないのだ。
■セレネ > 「それは良かった。心配だったのですよ。
…うん、ケロイドにもなってないみたいですし…大丈夫そう、かな。」
診た所、ではあるが。何かしらの支障もなさそうだし問題ないと判断。
わざわざ見せてくれた相手に礼を述べて。
「そうなのです。だから残っている一人が寂しがっていて。」
白猫と一緒に面倒を見てはいるが、やはり二匹は少し大変だ。
無理強いはしないけれど、引き取ってくれる人が居れば嬉しいし有難い。
悩んでいる相手に不安そうな表情で見守る。
「え、宜しいのです…?!」
まさかのOKに蒼を瞬かせた。
茶トラの子なのですけど、とスマホで撮った仔猫の写真を相手に見せながら。
「…確かに、そうですね。何故記憶がないのかも気になる所ですし…。
何かがトリガーになっているのでしょうかね?
例えば、命の危険に晒された時とか。」
記憶が抜けている部分の前の記憶を掘り下げれば原因が分かるかもしれないが…。話してくれるかは分からない。
魔術については相手の適正が絶望的という事は分からないので問う事は無く。
■火光雷鳥 > 「元々そこまで酷い火傷じゃなかったからなー…いや、でもケロイドはそれでも残るかもしれなかったから、良かったよ本当に。」
冬場は兎も角、夏場とかは半袖になるのでケロイドが残ったら正直辛いものがある。
見た目だけでなく、実際に軽く左腕を動かして見せるが特に支障、後遺症の類は無さそうなのが分かるかもしれない。
モソモソと袖を元の位置まで戻しつつ。意外そうな彼女の反応に頷いて。
「まぁ、男子寮暮らしだから許可は一応必要かな、とは思うけどさ。
別に相部屋とかでもない一人部屋だし、本土の実家で猫と犬飼ってるから経験者ではあるし。」
とはいえ、流石に仔猫の面倒を一人で見る、というのは初めての経験だけども。
彼女がスマホで残った最後の一匹らしき仔猫の画像を見せてくれる。茶トラの可愛い仔猫だ。
「おーー茶虎の子だ。ちなみにオス?メス?」
と、性別も一応尋ねてみる。オスの場合、もし将来的に考えたら去勢手術も検討しなければならないのだ。
流石に、引き取った以上はしっかり最後まで面倒を見るつもりだが仔猫を増やす気は無い。
「その時は模擬戦闘を友人としてたんだけど、何か爆発を起したみたいでさ?
俺、発火能力者だけど初心者も初心者だし、そもそも爆破を起こすパワー無い筈なんだけどなぁ。」
記憶がない時に本来出来ない筈の爆破――出力の高い攻撃を行った、という事らしい。
記憶、といえば――…。
「まぁ、でも俺って異能が目覚めた時に1年間入院してたんだけど、そこの記憶もなーんか”曖昧”なんだよな。
勿論、病院の場所は覚えてるし両親が見舞いに来てくれたのも覚えてるんだけどさ。」
例えば、具体的にどういう検査をされたのだの病院の他の患者の名前や顔だのがうろ覚えだ。
ただ、少なくとも特殊な病院、という感じではなかった気がするが肝心の記憶が曖昧だ。
「まぁ、それよりも異能制御学をきちんと理解しないと行けないんだけどさ…本当、異能も魔術も初心者にはきびしーわ。」
決して怠け者ではないのだが勉学は人並みだ。秀才でも天才でも異常な努力家でもない。
■セレネ > 「男性とはいえ傷跡が残ると色々困りますからねぇ。お洒落も難しくなりますし。」
己の場合日光が天敵なので夏場でも長袖なのだけど。
動かしてみせる腕を改めて診ても通常通りに動かせているみたいなので、
本当に良かったと心の底から安心する。
「私も寮住みですし、他の方も寮住まいですが許可を取ったという方もおりますから大丈夫かと。
へぇ、ご実家の方で。それは猶更安心ですね。」
ワンちゃんも可愛いですよね、と思わず微笑む。
茶トラの子の性別を聞かれたなら「女の子ですよ」と答えよう。
「因みに。…私これでも、元の世界で医者をしておりましたので、動物も人間も診れますし治療も施せます。
まぁ、最も魔術で治す形になりますけどね。」
だから仔猫が病気になったり体調を崩したら教えて欲しいと、連絡先の交換も提案してみよう。
「爆発?それはまた、模擬戦にしては高火力な…。」
本格的な模擬戦をやったなら兎も角、彼にはその心得もないと聞いた。
なのに爆発を起こしたのは何故だろうか。謎が深まる。
「…んー。病院って本土の方…ですか?」
入院中の記憶も曖昧。その際に何かされていた可能性も捨てきれないものの、
憶測でものを言うべきではないので心の中に留めておくとして。
「初めてで出来る人はそうはおりませんよ。
まだ一年ですし、少しずつ覚えるしかないですね…。」
己で良ければ教えるから、と苦笑しつつ答えた。
■火光雷鳥 > 「まぁ、あと傷跡とかで変に敬遠されたり気を遣われるのも正直苦手っつぅか…気まずいというか。」
凡人気質なので、そういう気遣いは悪気は相手に無くても、何となくこう、萎縮してしまい申し訳なかったり気まずい気分になるのだ。
まぁ、ご覧の通り、特に傷跡も後遺症も何も残らなかったので結果オーライ!
「あれ、そうなん?じゃあ俺も許可取れたら普通に部屋で飼うかなぁ。」
改めて、もう一度スマホ画像の茶トラ仔猫を覗き込む。性別はメスらしい。ほぅほぅと頷いて。
「へぇ、医者―――医者!?すげぇな!?いや、セレネさん頭良さそうだし魔術方面とか詳しそうな感じはしてたけど。」
マジかぁ、と驚きつつもぽかーん、とした顔でまじまじと彼女を見つめていたが。
ただ、落ち着いてみれば色々納得できる気もしたのか成程なぁ、と呟いて。
「いや、いざという時は有り難いから便りにさせて貰うかもしれない。
流石に、獣医さんとか数が多いって訳でもないだろうし。俺は魔術が『使えない』みたいだから、尚更助かるよ。」
仔猫の具合が急変したら、獣医よりも彼女を頼るのがいいかもしれないな、と思う。
もっとも、彼女の都合も当然あるだろうしそこは時と場合と状況次第、なのだろうけども。
と、連絡先の交換を提案されれば、「お?おぉ、いいけど?」と、少し戸惑ったが確かにその方が便利なのでこちらもスマホを取り出しつつ。
「いや、まぁ何か爆破の後に追い討ち掛けそうになってたっぽくて、そこで意識がはっきりしたんで追い討ちをキャンセルしたら、まぁ左腕を火傷したって感じで。
多分、慌ててキャンセルしたから制御をミスって火傷したのかなぁ、と。」
確かに、模擬戦とはいえ物騒ではあるが、対戦相手の友人も結構容赦なかった気がしないでもない。うん。
「本土だけど、俺の地元からは距離があるかな。異能者が多く入院してるらしいけど。」
自分みたいに、異能が目覚めた直後に倒れて入院、というのもレアケースらしいが皆無では無いとの事。
ただ、1年間も入院というのはそれでも特に珍しいようだったが…。
「まぁ、そうだよなぁ…いや、本当付いて行ける自信ねーけどさ…。」
がくん、と項垂れる。あくまで凡人、突出した分野の勉学の才は無いのだ。
努力は勿論するが、それも人並みの範疇であり結果的に成績も平凡でしかない。
■セレネ > 「ですよねぇ。仕方ない事かもしれませんが。」
今回は幸いな事に傷跡も残らなかったが、今後また火傷を負った際もそうなるとは限らない。
だからこそ異能の制御は重要課題になりそうだと思う。
「みたいですよ。」
後で引き渡す為に一緒に女子寮に来てもらわないとなと考えて、
「独学ですけどねー。こっちではただの生徒です。免許も何も此方では持ってないですから…。
えぇ、まぁ…魔術に関しては自信がありますよ?」
赤い目が呆けたように己を見るので、少しばかりのドヤ顔。
腕の中の白仔猫も釣られたか、凄いだろうと言うように耳をピンと立たせている。
「猫ちゃんだけじゃなくて、貴方自身も何かありましたら言って下さいね。
…魔術が使えない。あぁ…成程。
扶桑百貨店に魔道具や異能の制御に使える道具が販売されているフロアがあるので、
そこで探してみるのも良いかもしれませんね。
魔術って、自分の魔力を使用して発動するものだけじゃなく
外部からの魔力を使用して発動するものもあるので自身に魔力が無くとも扱える魔術もあるのですよー。」
なんて、魔術についての知識を披露しつつ己の連絡先を相手に見せて。
無事に交換出来たなら「友人が増えましたね」と笑みを向けたり。
「そこで冷静に威力を調整出来たら怪我を負わなかった…少なくとも、左腕を火傷するまではならなかったかもしれない…?」
咄嗟に威力調整なんて、熟練でもないと難しいか。
やはり実際に見てみないと分からないなぁと悩む。
…いっそ己も彼と模擬戦をしてみようかなんて考えも浮かんだ。
「本土の方でもそういった場所はあるのですね。」
己はこの島内での事しか知らないので、そういった話を聞けるのは新鮮だ。
とはいえ、まだまだ来たばかりだから熟知しているとまではいかないけれど。
「自信は後からついてくるものですよー。
どうしても難しいというのなら、私も力になりますから。」
だから頑張って、と励ます言葉。白仔猫もみぅ、と小さく鳴き声を上げた。
■火光雷鳥 > 「まーだから、自分自身の為にも周りに変に気遣いさせない為にも、目下の俺の課題は異能の制御をきっちり学ぶ事、かなぁ。
実際、俺が本土からこの常世島に来たのも本土より異能関係の研究が進んでいるからだし。」
研究が進んでいれば、それだけ制御法というか或る程度のカリキュラムや研究成果が立証されている筈だ。
――まぁ、現実は授業にぎりぎり付いて行くのが精一杯なのだけれども。
それでも、赤点…補習を免れているだけ、異能や魔術のど素人としてはマシかもしれない。
「んーと、そうなるとセレネさんの所に一度立ち寄らないとなぁ、引き取りもあるし。」
…いや、女子寮にお邪魔したらアレだから出入り口で待つ感じになるかもだけど。
どのみち、夕方からバイトがあるのでその前に引き取りに行かなければなぁ、と思いつつ。
「独学でも免許が無くても普通に凄いじゃん。医者って…多分こっちでもセレネさんが居た世界?でも簡単になれるイメージは無いし」
相応の頭の良さと人体への理解、そしてそれに伴う技術や経験、あと彼女の場合は魔術の腕前か―が、要求されるだろうに。
自分みたいな凡人には及びも付かない苦労などがあるんだろうなぁ、と感心したように同級生を眺めて。
あと、口には出さないけどドヤ顔のセレネさんと一緒にドヤ顔みたいに耳をピン!と立ててる白猫の組み合わせは可愛い。
「俺自身?…うーーん…じゃあ、魔術方面と…あと、また何か記憶が飛んだりしたら相談させて貰うかなぁ。
こっちで身体検査を受けた時は脳の記憶領域?とかには問題ないって判定出てるんだけどさ。」
彼女は医者だし魔術の腕前も立つのだろうから、その知識と経験、アドバイスは参考になりそうだ。
とはいえ、記憶云々に関してはまだ分からない事が多いので、そこは難航しそうだが。
「扶桑百貨店、まだそういや行ったことねぇんだよなぁ。
あ、それは少し考えてたんだよな。魔術が使えないなら、それっぽいアイテムで補うとかさ。
――って……外部からの魔力を利用して発動…あー、つまり内部の自分の魔力に頼らないでって事か…。」
やべぇ、盲点だったわ、と目を丸くする。魔術の素養がない判定を受けた自分は自力で己の魔力を使って魔術を用いる事が出来ない。
ならば、外部の魔力を使わせて貰えば素養がなくても一定の魔術は使えるのでは?
と、凡人なりにそこまで考えてみるが…魔道具とかどのくらいの値段なんだろうなぁ、という現実問題。
ともあれ、連絡先交換すれば確かに友達が増えた…あ、普通に嬉しいわこれ。「お、おぅあんがと」とぎこちなくなるのはご愛嬌。
「一応、記憶が途切れる前に結構追い込まれてたからなぁ。気絶寸前まで行ったかも。
多分、意識が曖昧な状態になりかけたから、そこで何かがトリガーになって本来の出力以上の能力を発揮、とか俺なりに考えたんだけどサッパリでさ。」
結局分からないことだらけだ、ただ、記憶が飛ぶ事から脳みそ関係かなぁ、と漠然と凡人なりに考えてはおり。
勿論、専門的な知識も無いのであくまでそう予測しているだけに過ぎないが。
「ああ、大きい場所となると数は限られるし、そもそも絶対数は多くないみたいだけどさ?」
と、本土の病院に付いては頷くがまさか目の前の友人がこちらと模擬戦も一考しているとは想像ついていない男であった。
「…うん、補習だけは回避したいからいざとなったら頼むわ…あと、白猫ちゃんもありがとなー」
何となく励ましてくれてるのは分かったのか、飼い主の彼女と共に仔猫にも礼を述べて。
さて、と顔を挙げてベンチから立ち上がれば。
「悪いセレネさん、俺、もうちょいしたらバイトあるからさ。
その前に仔猫の引き取りに一度セレネさん所に寄りたいんだけど大丈夫か?」
と、彼女に尋ねようか。もし問題ないなら、バイト前にそのまま今から仔猫の引き取りに出向こうかと。
■セレネ > 「そうですね。発火能力とはいえ炎は充分危険なものですから…。
周りに延焼してしまうとそれこそ大ごとでしょうし。」
魔術はその後からでも大丈夫だろうし、相手の言う通り優先事項は異能の制御だろう。
本土から来て魔術や異能にほぼ触れる事無く過ごしてきたのに
現在赤点や補習になっていないのなら充分凄い事だと思うのだ。
「外で少し待って頂く事になりますが…。」
流石に中に入らせるのは駄目だから、仔猫を連れてくる形になるか。
これで漸く五匹全員の引き取り手が見つかった。良かったと安堵。
「ほ、褒められると照れてしまいますね…!
勿論医者になるのはそう簡単な事じゃないですよ。
下手をすると人の命を奪ってしまうのは何処の世界でも同じでしょうし。
五歳の頃から勉強してたんですけどね、色々大変でした…。」
褒められれば頬を赤く染めて恥じらうも、えへへと照れ笑い。
可愛いなんて口に出されていれば猶更恥じらっただろうこと。
「分かりました。
…あと、何かまた悩んでる事がありましたら気軽に相談して下さいね。
私ではなくても良いですが、溜め込むのは良くありませんので。」
己は溜め込みがちだから相手の事は言えないのだけど。
医者であるので、口は堅い方だし。
記憶については今後も経過を見ないといけないなとは思うのだ。
彼が医師から受けた診断も気になるし…。
「一度行ってみるのも良いと思いますよ。
お友達と一緒に行くのも良いですし。
そうです、空気中には酸素や窒素等と同じように魔素も漂ってますから
その魔素を利用した魔術やアイテムもあったりしますし。」
己の異能の一つはその魔素や魔力の流れを視る事が出来るもの。
なのだけど、そこまではまだ口にはせず。
魔道具は学生には少し値段が張るものだろうけれど…相手は買えるか否か。
ぎこちなくも礼を言う相手に微笑ましさを感じ、ニコニコと笑みを浮かべ。
「そう考えるのが妥当ですよね。
…うん、やはり同じような状況を作って実験するしかないかなぁ…。」
うーん、と考え込む。難しい問題だ。
本土についての話はまた別の機会に伺うとして、模擬戦もどうするかは時間がある時に聞いてみよう。
急ぐ問題でもないだろうから。
励ましの言葉に対する礼を述べられたなら、気にしないでと首を横に振り。
「あ、えぇ勿論。
バイトがあるのですね…なら急がないと。」
今の時刻を確認し、相手の言葉に頷いて。
その後は彼に仔猫を引き渡す為少し待ってもらう事になるだろうけれど。
ご案内:「常世公園」に火光雷鳥さんが現れました。
■火光雷鳥 > 「ああ、何かこっちの異能のレベル判定?みたいなヤツだと、俺の発火能力は一番下の段階らしいんだけどさ。
もしかしたら、実際はもうちょい上の段階なのかもしれねぇなぁ。」
それは調子に乗っている訳でも自惚れでもなく。
爆破、なんて一段階高度な応用が出来るなら初級の発火能力では不可能だろう。
もしかして、自分が思っているよりも己の発火能力はレベルが高いのでは?と、こうして雑談の中でふと思う疑問。
(一度検証っつーか自分なりに探ってみねぇとなぁ。制御が不完全なのは間違いねー訳で)
等と思いつつ、一先ず魔術の光明も彼女の助言で少し見えたが今はあくまで異能の制御が優先だろう。
「うん、俺も流石に女子寮に堂々と入るなんて流石に無理だわ…。」
ただでさえちょっと小心者なのにそこまでの度胸は無いしそもそも許可が下りないだろう。
まぁ、無難に女子寮の出入り口で待機しているこちらの元に彼女が茶トラ仔猫を連れてくる形になるだろう。
「…いや、5歳から勉強って普通にやっぱ凄いんだけど。本当にすげぇなぁ。」
やっぱり感心したように。お世辞でも何でもなく、表情どおりの率直な感想だ。
そもそも嘘とかついても顔に出るレベルで判り易いし。あと誤威力が足りないがそこは勘弁。凄いものは凄いのだ。
勿論、彼女自身が言うように大変な苦労もあったのだろう。それでも――きっと彼女は努力と向上心、知識欲が凄いのだ。
「あーーうん…けど、それさ?俺だけじゃなくてセレネさんもだからな?
何か、失礼かもしれねーけど、セレネさんも結構溜め込む、というか我慢するタイプに思えるんだよな。」
誰かの相談に乗ったり助言はしてくれるのに、自分の事になると背負い込んで我慢して、自分だけで片付けようとしそうな。そんな感じがする。
そういう意味では自分よりよっぽど危うい…凡人の自分がそう思うくらいだから、気のせいではない、と思うのだ。
「空気中にも魔力があるのは俺でも勿論分かるけど、それを利用した魔術かぁ。考えれば分かりそうなのにマジで盲点だったなぁ。
…うーん、じゃあ今度行ってみるか。…魔道具は値段が買える範囲なのを祈ろう。」
一人暮らしだし、あまり遊びに金は使わないので多少は蓄えもあるけども。
まぁ、今度扶桑百貨店に出向いてみれば分かるだろう。百聞は一見にしかず。
「何か実験というのが穏やかじゃないんだけど!?ま、まぁセレネさんと模擬戦闘っつぅのもありといえばありかも。」
少なくとも魔術方面はかなり多彩だろうし、むしろこちらがあっさり負けそうな気もするが。
ただ、彼女が検証したいのはおそらく自分が追い込まれた状態からの『再現』なのだろうし。
と、なると模擬戦闘とはいえ遠慮なく攻められそうだなぁ、と漠然と思いながら。
どのみち、連絡先も交換したし仔猫の事や相談あれこれも含めて、模擬戦の打ち合わせも出来ようか。
「おぅ、まぁ一人暮らしの学生だからアルバイトは欠かせないってな。
んじゃ、ぼちぼち良い時間だし行きますか!」
と、彼女と共に歩き出そう。道中、「そういやセレネさんのその白猫ちゃんの名前は?」とか雑談も兼ねて尋ねていたとか。
その後は、女子寮の出入り口で少し待機してから、茶トラ猫を抱えてきた彼女から無事引き渡しされるかもしれない。
余談だが、女子寮に向かう道中で男子寮の管理人さんに許可は電話で取ったとか何とか。
■セレネ > 「可能性はありますね。威力が低いとかそういうので、たまたま一段階下の判定を受けたかもしれませんし。」
異能や魔術判定は己は受けていないし受けるつもりもないけれど。
その可能性はあるかもと思った。
魔術で考えてみても爆発の魔術は中級以上になるのだし…。
見た目は派手だが中身は小心者、というより一般人だから
一般的な教養もある。己的には安心できる人だ。
「私に出来る事はそれくらいしか出来ませんでしたので…。」
家がお金持ちとか、英才教育とかでもなく。
己に出来る事は何か、を考えた末の行動だった。
戦争を経験した記憶は今でも鮮明に覚えている。
相手の言葉には少し苦い感情が滲んだかも。
「……貴方って案外人見てますよねー?私が分かりやすいだけでしょうか。」
図星を当てられれば流石に少し黙り込むも、己も気を付けるとだけ言っておこう。
なまじ一人で出来るから猶更、自分の問題は自分で解決したがる傾向がある。相手の推測は正しいものだ。
「…最悪、魔力の籠った魔道具を持ってきてもらえば改良出来ますから…。」
ちょっと時間かかるけど、と。相手がどうしても魔術を扱いたい!というのなら
そういうのも出来るよとは告げておこうか。
後は相手次第だ。
「ある意味人体実験ですからねぇ。死なない程度に頑張りましょうか。」
具体的な日にちとかはまた今度相談するとして。
此方の世界での模擬戦は初めてだ。大丈夫かなぁと少し不安。
再現できるレベルまで達せれば良いのだけれど。
「私もバイト頑張らないとですねぇ。
――あぁ、この子はアルミナという名前でして。」
彼の隣を歩きながら、仔猫の名前を聞かれれば答えたりして。
寮に着くなり少々小走りで自室に戻り、茶トラの子を抱えて相手に引き渡すだろう。
幸せにしてあげて下さいね、との言葉と共に。
ご案内:「常世公園」から火光雷鳥さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からセレネさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
■水無月 斬鬼丸 > 10月も過ぎ去ろうという夜。
少年はベンチに座ってアルバイト情報誌をめくっていた。
10月も過ぎ去る。そう今日はハロウィンだった。
だが、少年は特に興味がない。
仮装パーティーだとかストリート練り歩くだとか
陽キャの営みなどやってはいられない。
そもそもこの島なんて年中仮装してる奴らで賑わってるようなもんじゃないか。
今やるべきことはバイトを探すことだ。
自分のバイトを探すだけならまだ簡単だっただろうが
彼女のバイトも一緒に探すとなると、色々と難しい。
「もうファミレスでいいかなぁ…」