2020/12/15 のログ
ご案内:「常世公園」に白い少女さんが現れました。
■白い少女 >
ひろいこうえんのベンチの上に、女の子がねむっています。
ゆうがたにくる前のあたたかいひざしが、さむい空気をあたためてくれているけれど、でもやっぱり、お昼ねをするにはすこしさむい気がします。
そんなところでも女の子は、すやすやねています。
とてもきもちよさそうに、すやすや。
「――――、――――――」
すぅ、すぅ……と、ねいきが聞こえます。
その音はちいさくて、風がふくとぜんぜん、きこえません。
ご案内:「常世公園」に照月奏詩さんが現れました。
■照月奏詩 >
今日は集まりなどもなく丁度帰宅する時間。
いつもより少し早くバイトに迎えるだろうか。別に何かお金が入用というわけではないが稼げるときに稼いでおきたいわけで。
そんなことを考えて歩いていると視界の端に少女の姿が映る。彼女の周りだけ春かと言わんばかりに気持ちよさそうに寝ているが。
「……」
携帯で確認する。雪の可能性がある地域まであるほどの寒空。そんな中で眠っていていいのだろうか。いいわけがない。少し迷ったのち。
近寄ると軽くゆする。
「おい、こんな場所で寝てると風邪ひくぞ。せめて風を防げる場所で昼寝しろ」
無視はできず、そう話しかけるのであった。
■白い少女 >
「――――、…‥‥んぇ?」
こえがきこえて、女の子がゆっくりと目をひらきます。
うっすらとあおくて、おおきな目は、とてもきれいです。
とてもねむそうで、ひらいた目はまだしょぼしょぼとしています。
「あ――――」
女の子の声は、はっきりと聞こえますが、どこかふんわりと、そこにないかのような気がする声でした。
女の子も、どこかそこにいないみたいで、とてもふしぎなふんいきがします。
「―――――――おにいさんも、おひるねですか?」
きもちいいですよ、と…女の子はくすりとわらいました。
ゆきのような女の子は、ぜんぜんさむそうではありません。
■照月奏詩 >
「お昼寝しないって。というかこんな場所で寝たら凍っちまうわ」
寒いの苦手なんだと肩をすくめて。
それから一瞬感じた違和感に少しだけ首をひねった。近くにいるのにいないような。どこかフワフワとした雰囲気。
色々と考えていたがまぁいいかとおいておいて。
「全然寒そうじゃないんだな。もしかして邪魔しちまったか?」
まだ眠そうなその様子を見て少し笑いかける事にした。
別に相手がだれかなどあまり気にしないし、仮に幽霊だとかそういう存在であったとして話せてこっちに危害が無いならなんでもいいかというこの島にだいぶ毒された思考であった。
■白い少女 >
「おひるね、じゃないんですか?」
きょとん、としながら、すこしずつ女の子は、まわりに気がつきました。
どこかの木でできたベンチでねむっていたみたいで、お空が見えます。
こうえんだということに、今気がついたみたいです。
「あれ――――こう、えん?
……あ」
そして、あらためて女の子は、お兄さんに気がつきました。
さっきはうとうとしていたみたいです。
「こん…にちは?
こえ、きこえるんです、か?」
目をぱちぱち、として、お兄さんを見ます。
すこし、びっくりしたようでした。
■照月奏詩 >
「ああ、あんたが心配で起こしにきたんだよ。寒くないみたいだから結果邪魔しちゃったみたいだけどさ」
悪い悪いと少し罰が悪そうに笑う。
その後の反応を見て2重の意味で笑ってしまう。
一つ目はやっと目が覚めたらしい事。
もう一つは声が聞こえるという幽霊説に信憑性が増してきそうなセリフが飛び出しからだ。
ヒラと手を振って。
「おう。こんにちは。ぐっすり寝てたみたいだな。それに声はバッチリ聞こえてるぜ。それにしても声が聞こえるとは不思議な事を言うな。人に見えるけど本当は雪の精霊とかそういう類か?」
この学校色々と種族がいるからななんて軽く笑いながら一歩後ろへ。
現在ゆする為にそれなりに近い距離だったし見降ろしていたしでしっかり目が覚めたなら彼女としても嫌だろうという判断。
一応幽霊説以外に思いついていた可能性を上げる。それなら別に聞いてしまっても失礼にはならないだろうと。
■白い少女 >
「あ―――す、すみません。
せいれい…?
せいれい、いるんですか?」
きょろきょろ、と女の子は周りを見ます。
自分のことだとはぜんぜん思っていないみたいです。
そうしながら、どこにもいないなぁ、と思ってようやく、女の子は自分のことだと気がついたみたいで。
お兄さんを見ながら、すこしあわててせつめいをします。
「わたし、人に見えたり、見えなかったりするみたいで……
おにいさんは、みえる――――んですよね?
おはなししてくれる人、とてもすくないので……うれしいです」
すこしうれしそうに女の子はわらいます。
人と話すというのが、とてもたのしいのか、そのかおはとてもとても、うれしそうです。
「――――あ。
えっと、はじめまして。クロエ――――って、いいます。
おにいさんは、なんて名前なんですか?」
■照月奏詩 >
「ああ、違うんだな……気が付いてもらえないねぇ。なるほどそりゃ話せる人がいたらうれしいわけだ」
精霊じゃない、その上自覚がないとわかればいよいよもって本当に幽霊説が浮上するわけだが。
だとしてもあまり気にならなかった。この島の場合幽霊なんて探せば見つかりそうだからというのもある。
「俺は照月奏詩。そうだな、それじゃあ少しだけ俺とお話していくか。もっとも話が得意な訳じゃないから楽しいかは別だけどな」
元々話すのが苦手で今もまだ恩人の真似をしているだけ。
だけどせっかくだからとそう提案をするとベンチの空いているスペースに座る。
「そういえばもうすぐクリスマスだけどさ。なんかお願いとかしたか。プレゼントの」
思いついたのはすごく子供っぽい会話内容だった。
■白い少女 >
「はい、とっても――――――うれしいです。
このしまにきてからは、いろんな人とおはなしできるので…とてもたのしい、ですよ」
くすり、とわらいながら、女の子はちょこんとベンチにすわりなおします。
ぱっぱっとふくを直して、かみの毛をすこしととのえて、また、にこりと。
「――――いいんですか?
じゃあ、おはなし…したいです。
くりすます?
あ――――せいじんさまの、おたんじょうびですね?
プレゼント‥‥…を、おねがいするんですか?」
クリスマスは知っているらしいですが、プレゼントをおねがいするのは、しらないみたいです。
プレゼントはもらったことがないのでしょうか?
■照月奏詩 >
「この島普通じゃない奴多いからなぁ。ああ変な意味じゃないからな」
変な意味だと俺まで変な奴になっちまうしと少し笑った。
外では認識できない存在だとかを認識できるのはこの島でもかなり多いだろう。
そしてお話したいと乗っかってくれればよしと言って。
「そうそう、って聖人の誕生日まで知ってるのか。俺が子供の時なんてクリスマスっていう日としか知らなかったものだけどな」
そもそもクリスマスだとか行事とは縁が遠い子供時代だったが。
それから指を軽く振るって。
「ああ、お願いすると貰えるらしい。まぁ条件は色々とあるらしいんだけどな。いい子であることとかちゃんと受け取れる場所があるとか他にも地方によって色々あるらしい」
前者はよく言われてる話。後者は自分から始めた話を早速ぶち壊さないようにした上でもらえない理由作りをしただけである。
他にも色々というのも結局は家族によって変わるので間違ってはいない。物はいいようであるが。夢はある方が良い。
だがこの島の場合いないというのを否定できないのは自分だけだろうか。
■白い少女 > 「神父さまが、かんしゃしましょうって言っていたので。
――――そうなんだ、くりすますって、プレゼントをもらう日なんですね」
はじめてしって、女の子はほあ・・・としました。
プレゼントがもらえる…せいじんさまが、くれるのかな?なんて思ってるようで。
どんな風にもらえるんですか?なんて、きょうみしんしんに聞いたりします。
「いい子だともらえるんですか?
いい子―――――――
なら、『――――』は、もらえるのかな…」
すこしかんがえて、女の子がつぶやきます。
でも――――
『――――』という、ことばだけ、ぷつりと音が切れたように、聞こえませんでした。
レコードのはりが外れたように、その音だけ、ぷつりと。
「お兄さんは、今年のくりすますは…何をおねがいしたんですか?
あ…そうだ!
今からでも、プレゼントって……まにあうんですか?」
■照月奏詩 >
「ああ、場所によってはそういう話もあるなぁ」
神様によってはお祈りする日であるというのも間違いではない。むしろ本来はそっちが主流だ。プレゼントももらえるが、それがメインになっているのは世界的に見ても少ないだろう。
「ん? んー……悪い上手く聞き取れなかったが。そうだな、その子が良い子だったなら貰えるんじゃないか?」
名前は聞き取れなかった。だけど彼女にとってプレゼントをもらってほしいと思える人なら少なくとも悪しき人ではないだろう。
間に合うかどうかに関しては悩んだ。
「んー、どうだろうなぁ。とりあえず参考までに聞かせてくれよ。何か欲しい物とかあるのか? ……後、俺はお願いはしてないよ。俺悪い子だからプレゼントもらえなさそうだしな」
なんてケラケラ笑って軽く言った。
だが……事実自身は悪い子。それどころか罪人も良いところだろう。どう考えてもプレゼントからは程遠い存在である。
■白い少女 >
「いい子だったら―――かぁ」
くすりとわらって、お兄さんの方を見ながら話を聞いて。
そして、もういちどわらって。
「――――私も、わるい子なのでもらえません。
でも、レニーおおかみさんや、明おねえさんや、あやめくんや、『――――』
それに、照月お兄さんに、何かすてきなプレゼントがあったら、いいなって」
くすりと笑って、女の子はいいました。
■照月奏詩 >
「ハハハ、そっか。クロエも悪い子だったかじゃあ残念ながらプレゼントはもらえなさそうだな」
クスと少し笑った。
本来ならばそんなことないよーだとか色々と言うべきだろう。だが言わなかった。
出会った数日の相手に言われたところで信頼も何もないし……そもそもサンタなどいないのだ。良い子だろうともらえないのならそのままでもいいだろう。
「俺は無理だけど。他の奴は貰えるといいな、クロエがもらってほしいって思えるって事はいい人なんだろうからさ」
聖人様もそこまで心狭くないだろうしなんて笑って軽く上を見る。
実際にいたとしたら今名前を挙げた人たち。自分以外にはプレゼントを送ってあげてほしい物だ。
「でも、クロエも俺から見れば悪い子には見えないけどな……あれか、実は見た目はそんな風でもかなりの悪戯好きとかそういうタイプだったりするのか」
それなら俺も気を付けないとなんて冗談めかして笑った。
■白い少女 >
「―――――たくさんの人を、ころしてしまったので」
すこしこまったように、女の子は笑ってそう言います。
かなしいような、あきらめたような、そんなかおでした。
――――そして気が付けば、女の子はいつの間にか、いませんでした。
まばたきをした時か、それとも少し目をはなした時か。
ふっと…女の子はいなくなっていました。
そこには、もとからだれもいなかったみたいに、なにも、ありません。
声も、きこえません。
ゆめだったのかと、思うかもしれません。
でも、お兄さんの中にははっきりと、女の子と話をしたことが、思い出せます。
――――それでももう、女の子は、いませんでした。
ご案内:「常世公園」から白い少女さんが去りました。
■照月奏詩 >
殺してしまったという言葉に一瞬だけそっちに視線を向けた。
だがその直後というべきか、向く前か。彼女はいなかった。
「そっか」
殺したという言葉に返したのはそんな小さな返事。
別に驚く事はない。理由なんてひとつだ。
「俺と同じ……だな」
誰もいない虚空にそう呟いてから歩いていく。
一瞬の夢のような世界。それでも記憶は残っていて。
「さてと……メリークリスマスクロエ。かなしいと思えてるならまだ戻れるよあんたはさ」
いつ会えるかわからないからそう付け加えておいた。
まだそれを悲しいと思えているのなら。彼女はまだ悪に堕ちたわけではない。きっとそうだと信じていたから。
ご案内:「常世公園」から照月奏詩さんが去りました。