2020/12/30 のログ
ご案内:「常世公園」にセレネさんが現れました。
セレネ > 今年最後の満月。12月はコールドムーンと呼ぶのだとか。
今回は仔猫は連れず、一人の月光浴。

今夜も冷えるが、年末年始は更に冷えるらしい。
…雪が降るかもしれないな。

『まぁ、雪景色の島の景色を見るのも良いかもしれないけれど…。』

元々己は雪国出身だ。暑い夏より寒い冬の方が過ごしやすい。
冷たいベンチに座り金色の月を見上げる。

冷たく澄んだ空に浮かぶ月は綺麗で、とても心地良い。
蒼を満足げに細めた。

ご案内:「常世公園」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > 「うーーすっかり寒くなってきやがったなぁ…本土よりも熱帯気候じゃなかったっけか?」

年末年始といえどもバイトというものはある。特に配送業などがそうだ。
流石に明日から三が日は休みにして貰ったが、今日も今日とて街のあちこちに配達して廻った帰り道。
この寒さであれば、さっさと寮の自室に戻ってエアコンの暖かさと飼い猫に癒されたいものだけれど。

「――なーんか、こう、たまーにこうフラッと寄り道したくなるんだよなぁ。」

特にこれといった大袈裟な理由は無くても、だ。そのまま、公園を横断するように歩いて――ふとベンチに先客の姿を発見する。

「――ん?あれは……おーーい、セレネさーーん!」

世話になっている友人の姿が。この寒い中、平然とベンチに腰掛けているように見えるが寒くないんだろうか?
とか思いつつも、少し遠くから呼び掛けながら、右手をヒラヒラと振って歩み寄っていこうかと。

――その右手の中指には、早速というか彼女に依頼していたリング型の魔道具が嵌められており。

セレネ > 人気のない公園のベンチに腰掛けていれば流石に誰でも気付くだろう。
ぼんやりと月を見上げていれば、己の名を呼ぶ声に蒼を瞬かせた。
其方に顔を向ければ、見慣れた赤い髪の友人。

「あら、こんばんは雷鳥さん。
もしかしてバイトの帰り道です?」

小さく首を傾げながら問いかければ、その手に嵌められているリングに蒼が向いた。
己が作成した魔道具でもある装飾品を付けてくれているらしい。
嬉しい事だと内心で安堵。
お洒落の一つとしても使えるよう、学生の身分としては大枚を叩いた甲斐があったというものだ。

火光雷鳥 > 「ああ、配達のバイトをメインでやってて、その帰り。流石に明日の大晦日と新年の三が日は休みにして貰ったけどさ。
…つーか、公園に立ち寄った俺が言うのもアレだけど、セレネさん寒くねーの?ベンチすげー冷たいと思うんだけど。」

本土の割と温暖な気候が多い地方都市で育ったのもあり、暑さ寒さには強くない。まぁ人並み程度か。
あと、このリング後で調べてみたら値段が地味にやばかった事をふと思い出して。

「…あ!そういえばこのリングとガムランボール、だっけ?二つもありがとな!早速身に付けさせて貰ってる!」

と、右手中指のリングともう一つ、マフラーを軽く緩めて懐をゴソゴソと漁れば。
チェーンを通してネックレスのようにしたガムランボールを取り出してみせる。
どちらも、メッセージカードに大まかな効果は書かれていた…のだけれど。

「えーと、ちなみにこのリングに込められてる属性はどうやったら使えるんだ?
ガムランボールの方はこれ、多分自動でもう加護が付いているって感じなんだろうけど。」

そう、リングに彼女が込めてくれた水と氷の属性付与。その使い方を聞きたかったのだ。

セレネ > 「そうでしたか。…今の時期、配達業は大変でしょうしねぇ。
……?あぁ、確かに冷たいですが、私雪国出身なのでこれくらいは平気なのですよ。」

勿論それなりに冷たいとは感じるが我慢出来ない程ではない。
そして己が贈った二つの品を見せてくれたなら、

「いいえ、貴方の助けになれればと思っただけですのでお気になさらず。
此方こそ、可愛らしいブローチを有難う御座いました。」

嵌めているリングだけでなく、わざわざ首に下げているお守りも見せられれば口元に笑みを浮かべ。
彼の言葉を受け、そういえば詳しい使い方については書いていなかったなという事を思い出し。

「あぁ、魔道具についてですか。
それは使いやすいように貴方の想像力を元にして使用出来るよう調整しています。
なので、水を思い浮かべれば水属性を、氷を思い浮かべれば氷属性を使えるようにしておりますよ。」

例えば、と両手を少し上げて、右手には水の球体、左手には氷の球体をそれぞれ浮かべてみせた。

魔法陣は浮かばず空間から水を集め、球体となり。
氷はその球体を凍らせる形でふわふわと手の平の上で浮かぶ形となるのが分かるだろう。

火光雷鳥 > 「まぁ、俺はただのアルバイトだからなぁ。本業でやってる人なんかは休み返上の所もあるし。
とはいえ、バイトは幾つか掛け持ちしてるからスケジュールのやり繰りは少し気は使うかもしれんけど。」

実家からの仕送りはあるにはあるが、こちらから頼んで最小限にして貰っている。
クソ親…もとい父親は兎も角、母親がやや心配性だからあまり気を遣わせたくない、というのもある。

「…うん、本人の口からそう聞けてホッとしたわ。正直誰かにプレゼント経験なんて全然無くてさ。
こう、俺なりにリサーチはしたんだけど中々迷う所で…まぁ、気が向いたら付けてくれると有り難い!」

そう告げて気楽に笑いつつも、彼女から使い方について軽くレクチャーを受ける。
ほほぅ、と頷くがつまり…これは自分の想像力を試されているという事か。

「…つまり。イメージが大切って事だよな?とはいえ、限度はあるんだろうけど。」

魔術にはそういう想像力、発想が大事だというのは授業でも習った事だ。
自身は魔力が無いので魔術は使えない身…だから、代わりに想像力を働かせるのが重要なのだろう。

「…って、すげぇあっさりとやるんだなぁ。いや、セレネさんの魔術の腕前がすげーのは知ってるけど。」

自分にはこのリングのように魔道具によるサポートが無ければ魔術はまず使えない。
とはいえ、感心はすれど変に羨む事は無い。無いもの強請りは意味が無いのだから。

「想像――イメージ……んーー…。」

友人の『お手本』を横目に、頭の中でイメージを働かせていこう。
まず、仮に怪異やら何やらと『戦う』と仮定して。素人の自分はどうするべきか?

(切った張ったは正直怖いしなぁ。…と、なると逃げる…あるいは――拘束?)

動きを封じる。そういえば、とある先輩は糸を使っていた。それをヒントに想像をもう少し具体的に。

「――糸や紐じゃなくて、もっと丈夫そうな…こう…。」

すると、リングが薄っすらと青く輝いて――そこから水が発生する。
それは、段々と一つの形を成していく――細長い、蛇のような龍のような…否。

「―――『鎖』。」

次の瞬間、イメージが固まったのか、水で形作られた鎖が宙に出現する。
…で、やった本人が一番驚いているのかぽかーん、とした表情でそれを眺めて。

「……え?出来た?」

セレネ > 「掛け持ちですか…それは、何とも大変でしょうね。
心身の不調等、異常があれば言って下さいね?」

友人として、一人の医者として、心配する言葉をかける。
己から見れば実の両親が健在しているという時点で充分に羨ましいと感じるものではあるものの。

「あら、もう少し厳しい意見の方が良かったですか?
なーんて、冗談ですけど。」

クスクスと小さく笑いながら揶揄う。

「えぇ。流石に部屋を埋め尽くす水や、地域一つの天候を変えるなんて芸当は無理ですが。
陣を丸々暗記するより想像力を元にした魔術の方が分かりやすいと思いまして。」

無論それぞれのメリット、デメリットはあるけれど、魔術を扱えない人にとっては分かりやすい方が良いだろうし。

「魔術には詠唱、陣、想像と様々な種類がありますからね。
…これでも習得するにはそれなりに大変でしたよ。」

どれもこれも、独学だったから猶更。

「――悪くないですね。」

すると、彼が試しに使用した魔術を見て蒼を細める。
筋は悪くなさそうだと今の所はそう感じた。

己は球体にした水を同じように鎖に、そして氷を一振りの剣の形にしてみせる。

「慣れれば武器の一つとしても使用出来ますよ。」

火光雷鳥 > 「あーセレネさん医者だもんなぁ…いや、もしもの時は有り難く頼りたいけどさ?
…なーんかこう、友人として世話になりっぱなしなのも申し訳ないっつーか。」

うーん、と苦笑い。とはいえ、『凡人』の自分が例えば彼女に何か手助けが出来るだろうか?
無い、とは言わないが…出来る事はきっと多く無いだろうなぁ、という客観的な分析くらいは出来る。

「うっ!セレネさんズバズバと指摘してきそうだから心にグサッと来そうだな!
…まぁ、でも意見があれば遠慮なく言って欲しいかな。次の参考にしたいし。」

彼女の明らかに揄うような笑みにややジト目を送るが、小さな吐息と共に苦笑気味に肩を竦めてみせて。

「あーー…うん、魔術に関しては正直、座学を何とか付いていくので精一杯だから助かるぜ。
俺みたいに全く自前の魔力が無い場合は多分、魔力は道具に肩代わりして貰って『制御』にリソースを割く方が効率?もいいだろうし。」

と、意外と彼なりに考えてはいるのかそのように述べて。とはいえ、想像力を磨くのは課題になりそうだ。

「ああ、セレネさんすげー努力してるとは思うぜ。その場面を見た訳じゃねーけどさ?
うん、何ていうか妥協せずに自分が納得するまで取り組むタイプに思えるし。」

良く言えば生真面目で真摯に取り組む、悪く言えば『遊びが無い』…と、これは友人に失礼か。
口には出さないが、もしそれがあながち外れて居ないのなら、少々懸念もあるといえばある。

「…いやー、その方が便利なんだろうけど、俺は剣術やら何やらは素人だしさ?
だから、まずは相手の動きを封じる方向性で試しにイメージを働かせてみたんだが…。」

この3ヶ月、どんなに頑張っても使えなかった魔術が使えた感動はある。
ただ、矢張り課題はある……そう、不慣れなのもあるがこれは『集中力』も必要なのだ。

「……そうか、想像力で形を定めて、集中力でそれを維持する…って感じになるんだなこれ。」

感覚的にだが理解は出来たのか、呟くようにそう口にする。難なく鎖や剣に形を変えてみせる彼女の腕前にさすがだなぁ、と思っていたら…あ。

「…あ、クソ。集中切らしちまった。」

ぱしゃっ!と、鎖が溶け落ちるように水へと戻って地面を濡らした。

セレネ > 「友人としても、色々と問題が多いとは自覚しておりますよ。」

己の種にせよ、秘匿主義にせよ。一般の友人としては大分難易度が高いという事は自覚済み。
だからこそ、なるべく浅い関係を築こうと思っていたのだけれど。

「特に異性に贈るプレゼントは厳しく見ないとですねー?」

必要な事なら遠慮なく言うのが己だ。
無論、相手は選ぶけれど。

「座学も必要ですが、一番は経験です。
いくら机上で勉強しようとも経験には勝る事は無いでしょうから。
…まぁ、勉強より経験が大事、という事で。」

実際に経験した方が色々と学べるだろうし。

「……。」

己の性質については、無言の肯定。
良くも悪くも完璧主義故、妥協をしない、面白みのない取り組み方と言える。

「頭の隅にでもイメージを置いておかないとすぐに消える魔術です。
…魔術も慣れですよ。」

冷静に、頭の中にイメージを浮かばせておく必要がある。
説明しつつも己の水の鎖と氷の剣は未だ形を保ったままだ。
始めたては誰しもそんなものだし、むしろここまで明確に形を投影出来たのは素晴らしい事だと称賛した。

火光雷鳥 > 「――『神様』っつーのは隠しといた方がいい事…なんだよな?」

彼女の問題…具体的には全然分からないけれど。
ただ、この前、柄にも無く格好つけた時に聞いた事だ。
周囲に視線を緩く走らせる…人は居ない。だからこそぽつり、とだが確認するように切り出したのだ。
正直、凡人からすれば神様とか雲の上の存在である――だが、彼女はその前に友人なのだ。
だから、あの時は割とすんなり受け入れられたし、今でもそれは変わっていない。

「――くっ!セレネ審査員の判定はハードル高そうだな…!!」

こちとら、異性にプレゼント、なんてこの島に来てから初めてなのでハードルは下げて欲しい所だが。
そんな情けない事を言う訳にもいかないので、そこはぐっと我慢した。

「…経験ねぇ。とはいえ、また怪異と対峙したりやばい場所に迷い込むのは勘弁願いたいけどなぁ。」

溜息。ガムランボールのお守り効果が頑張ってくれるだろうが、そもそも自分が迷い込むのが問題だ。
とはいえ、こちらは自覚も無いし進んで危険な場所に行ったりはまずしない。
どうしたもんかなぁ、とついつい溜息を零しつつも気を取り直すように顔を挙げて。

「――ま、セレネさんの気質や姿勢がどうだろうと、友人なのに変わりねーしな?」

ああ、結局の所…結論なんてそんな簡単なものだ。
直した方がいい、だとかそれは良くない、だとか下手な助言や苦言はそれこそ偉そうではないか。
凡人の自分に出来る事は、今の友人を否定せず受け入れる事。そして、仮に彼女が進みすぎたら体を張って止める事だ。

(――まぁ、俺なんかがセレネさん止めれる訳ねーけどな!)

自己評価はやっぱりあまり高くは無い。だが、友人として見ているだけ、というのはどうも性に合わない。
ちらり、と彼女が未だに平然と保ち続けている水の鎖と氷の剣を見遣る。

「――ま、使い方と課題が分かっただけ方針も決め易いし。ありがとなセレネさん。」

レクチャーは簡単だが受けた。後は自分なりに試行錯誤していくしかないだろう。