2020/12/31 のログ
■セレネ > 「…そうですね。なるべくなら、そういった事は伏せてくれると有難いです。」
己の本質に触れる事以外なら、構わないけれど。
真名にしても己の種にしても”認識”されるのは困るから。
「甘く審査はしませんので悪しからず。」
お洒落な父や師からの贈り物を受けていた己だ、多少なりとも評価は厳しいかもしれない。
相手の言葉にクス、と喉を鳴らして笑っては
「――私のお守りが多少の効果は発揮するかもしれませんが。
それでも危険な場所に行かない保証はありませんので。」
彼の身体を考えて、神性の付与も強くはしなかった。
だが彼が望むのなら、今以上の効果を追加で付与するのもあり得るかもしれない。
彼が凡人気質故か、それとも元々の価値観からか。
己を”否定”せず受け入れる姿勢に蒼を細め。
…本当に、この人は良くも悪くも善人であると。
「いいえ。また何か分からない事がありましたら遠慮なく聞いて下さいね。」
そうして水の鎖を消し、氷の剣を砕け散らせては。
冷えた両手を暖めるように擦りながら答えた。
■火光雷鳥 > 「や、なるべくというか誰にも言わないって。友人が隠しておきたい事をべらべら喋るほどロクデナシじゃないつもりだぜ?」
我が母親も言っていた。「女の秘密をベラベラ吹聴する男は死んでいい」と。
…うん、まぁちょっと過激だけどそういう母親の教育もあり、そこはきっちりしている。
「…来年のクリスマスのハードルが凄い上がった気がするが良いだろう!凡人の意地を見せたらぁ!!」
と、拳をぐっと握って宣言するが、内心はめっちゃ自信が無かった。
まぁ、でも。少しくらい厳しい方がこちらも贈り甲斐があるというものだ。
「…ほんと、方向音痴でも何でもないのに、立て続けにやばい場所に迷い込むからなぁ最近。
…絶対俺の頭の中の『奴』が何かしてる気がするわ…。」
自分の頭を軽く小突きながら。実際、その可能性も無い、とは言い切れないのが困り者だ。
未だに明確な正体は不明――そもそも、こちらに語る気が全く無さそうであるし。
もし、今後、自身の『迷子』が悪化するようなら、神性の追加付与も友人に頼む必要も出てくるかもしれない。
そして、良くも悪くも善人なこの自称凡人な少年が、得体の知れない爆弾を抱えているのが何とも皮肉な訳で。
そして、この少年も含めて――彼女の周りの友人達は、きっと彼女との付き合いは『浅くは終わらない』かもしれない。
「おぅ、そん時はよろしくなセレネ先生!…あ、ちょい失礼。」
と、言いつつ彼女が摩る手へと軽く左手を向ける。…初歩的な発火能力。
その応用…発火はさせず、熱だけをじんわりと彼女の両手を包み込むように送り込む。
『奴』の存在を自覚してから、以前よりも異能補助器具無しで能力の操作が向上しているのだ。
■セレネ > 「…まぁ、それは今後の貴方の行動を見て判断しましょう。
言葉より行動に本心が出るというのは経験しておりますので。」
相手を見る蒼が鋭く細まった。
己が人を信用しなくなった理由でもある事だ。
いくら友人とはいえ、言葉と行動が一致しない事も充分あり得る可能性がある。
「私も来年のプレゼントをどうしようか悩みますよ。
何せ二つも贈りましたからねー。」
来年のクリスマスの前にもイベントはいくつもあるが、
相手と同じように己も悩む始末。
とはいえ、悩むのも醍醐味ではあろうけれど。
『本当に貴方が仕組んでいるの?』
彼の言葉に、”彼”へと英語で問いを投げかける。
とはいえ答えてくれるかは分からないけれど。
己との関係が、彼も含め浅く終わらないのなら。
己には酷く厄介で、同時に有難くもあるかもしれず。
「――…。」
ふと送られた熱の感覚。
ふわりと両手が暖かく感じる。
「有難う御座います。」
ご案内:「常世公園」に火光雷鳥さんが現れました。
■火光雷鳥 > 「…りょーかい、改めて肝に銘じておくよ。うちの母親にもきっちりその辺り言われてきたもんでね。」
友人とは対照的な紅い視線を向けて。目は逸らさずにそう言って頷く。
経験している、と彼女は言った。つまり以前そんな事があったという事だろう。
それが、トラウマなのかどうかまでは分からないが彼女の言動やその視線からして――…
(人間不信、かはわかんねーけど、そこが大きな原因か)
なら、尚更だろう。問題は自分が黙っていても、『奴』がどう出るか分からない事だが。
「俺はむしろ、来年はセレネさんに二つ贈らないといかん気がしてきたからな…。
ま、こういうのって悩むのもそれはそれで楽しみみたいなもんらしーしさ。」
あまり悩み過ぎたりするのも良く無いだろう。それに、1年も先の話だ。
『――知らん。小僧――否、《門》の性質だろう。』
英語で問い掛ける彼女に、不思議そうにする少年。それとは別に、彼女の脳内に響く声が一つ。
とはいえ、それっきり黙りこんでしまったかのように声は気配も残滓も無く消えてしまうが。
「ん、どういたしまして。ま、初歩的な発火能力の応用だけどな。」
魔術と違い、異能のほうはある程度制御なども順当に少しずつ成長はしているらしい。
もっとも、派手な威力やら何やらは勿論『彼単体では』無理だが。そして、ぽつり、と。
「――まぁ、アレだ。…何ていうか…人間関係って、煩わしい事も多いだろうけどさ?
…同時に、有り難いこともきっと多い筈なんだよ。俺はこの島に来て実感してる。」
決して彼女の心を読んだ訳ではない。そんな異能も魔術も無い。ただ、何か察したのかそう述べて彼女に視線を向ければ、笑って気楽に肩を竦めておどけるように。
■セレネ > 「そうですか。」
表面上では体よく理解した風を装うだろう。
だが本質は、疑っている。信用してはいないのだ。
己の目で確かめない限りは何一つ、信用する事は無い。
だが、目の前の彼と”彼”では事情が違ってくるので、そこは区別をつけているつもりだ。
「――なら来年を楽しみにしますね?」
己からしてみれば、クリスマスと誕生日のプレゼントがそれぞれ贈られるようなものなのだ。
勿論、誰にも伝えて等いないが。
”彼”の答えに己は無言となる。
嘘を言うような気質ではないと考えているが…彼の気質であれば、尚厄介そうではある。
とはいえ半神である己には出来る事もそうない。
だが彼が困っているのなら手を差し伸べるまでだ。
己に出来るのはそれくらいしかない、
「……貴方の周りの人物が優秀だからでしょう。」
ポツリと呟いた言葉に、思わず舌打ちを洩らしかけた。
けれどそれは寸での所で止め、別の言葉を投げかける。
己に向けられる赤に、俯いたまま視線を合わせる事は無く。
■火光雷鳥 > ああ、これは根が深いなぁ、と凡人の己ですら何となく分かる。彼女は表面上は理解したように振舞っているけれど。
なら、こういう時はどうするか?簡単だ、有限実行、今己が言った事を愚直に守り続けるだけだ。
そもそも、自分に疑心暗鬼の腹の探り合いみたいな腹芸やあれこれが出来る筈もない。
彼女が評したように、良くも悪くも善人ならばただ、『愚者』の如く己の言った言葉を遵守するまで。
「へーーい、ハードルどう飛び越えたもんかなぁ。」
と、口ではゲンナリしているが実際は笑っている。何だかんだ楽しんではいるのだろう。
そして、彼女が突然英語でこちらに話しかけてきた事にはきょとん、としていた。
意志の疎通は出来るようだが、気軽に話したり出来る仲でもない。
そもそも、ただの人間と■■だ。存在の差異が在り過ぎるし、何よりその『本体』は別世界に居るのだから。
「…うん、悪い。何か知った口でいけしゃあしゃあと言ってたな俺。スマン。
――…で、だ。周りが優秀だから?そんなの関係ねーだろ。優劣基準で俺は周りと付き合ってる訳じゃない。」
流石に、変に説教臭くなったなぁ、とそこは素直に非を認めて彼女に頭を軽く下げる。
が、それはそれ。彼女が舌打ちの代わりに漏らした言葉に、少年の声の温度が一気にスゥ…と下がる。
が、直ぐにハッ!と我に返り「うわぁ、やっちまった」と頭を抱えて。
■セレネ > 世間体や諸々を考えないのなら、己は真っ先に自室に引き籠って好きな事をやるに違いない。
己の父と似たように。けれど反面教師として育ったから、そうはならぬよう振舞って。
結果、腹の探り合いをするように生きてしまった。
「フフ、まぁ…頑張って下さいね。」
こうすれば良いなんてヒントは言わない。
本当に困っているのなら兎も角、それ以外は彼の為にはならないと思っているから。
己が”彼”に英語で話しかけるのも、彼に理解出来ないようにする為だ。
いつかは”彼”の詳しい事についても解明したいとは思うものの、そう簡単には行かないであろうことは分かっている。
だからこそ、面白いというものだが。
「…なら、貴方はどんな理由で付き合っているのです?」
利がある、利がない。己はそんな理由で他者への付き合いを決めている節がある。
だが彼はどうなのだろう。
気になって問いかけてみた。
■火光雷鳥 > そして、良くも悪くも少年はこの島に来るまで――否、異能に目覚めて1年間入院するまでは普通の家庭で生まれ育った。
平凡な家庭、平凡な環境、友人はそこそこ居て嫌いな奴もそこそこ居て、偶に喧嘩はあれど最後には仲直り。
ありきたりで詰まらない、だけれどだからこそ愛すべき日常を送ってきた。
きっと、良くも悪くも善人というのは、つまりそのありきたりな環境だからこそ育まれたもので。
「分かってるよ。セレネさんに頼りっぱなしじゃいかんし結局は俺がどうにかしなきゃいけねー問題だからな。」
助けは求めるが、何でもかんでも手助けして貰う訳にはいかない。自分に出来る事はやらなければ。
英語に付いては、彼女が流暢なのもあるが単語は聞き取れても文法だとこれが難しい。
ただ、漠然と自分にではなく『奴』に何か語り掛けているのだろう、というのは察したが。
「そもそも、優劣…と、いうか利害?そういう面倒臭いので俺はいちいち人付き合い決めちゃいねーよ。
反りが合わないなら兎も角、普通に話して普通に気が合って、楽しく時間を過ごせりゃそれで十分『理由』になる。
俺は、セレネさんの事を深く知ってる訳じゃねーから、セレネさんの考え方にどうこう口を挟むつもりは無い。
俺と君で考え方が違うのは当たり前だし、そもそも生まれた世界も環境も違うしな。
それに、俺は馬鹿な凡人だからそこはシンプルに行きたいんだよ。誠意には誠意を、好意には好意を、敵意には敵意を。」
まぁ、だらだら捲し立てたが、もっとシンプルに分かり易く纏めるならば。
「俺は君や他の友人知人といちいちあれこれ理由付けて交流してる訳じゃねーって事だよ。
セレネが俺にどういう利を見出しているのかとか、それが理由で友人やってくれてるのか?とか。
そういうのは正直気にはなるけどさ――…、極論そんなのどうでもいい。
それに、さっき言ってたろ?言葉より行動で見るって。なら、俺がどれだけ言葉を尽くしてもそっちも納得はできねーだろ、多分。
――だったら、後は行動で示すまでだ。俺はセレネをダチだと思ってるし、そこに利がどうのとか関係ねーってのを示してやる。」
感情がやや荒ぶっているのか、彼女の名前をさん付けではなく呼び捨てにしながら、真っ向から紅い視線をそちらへと向けて。
『――フン、下らんし青い小僧だ。切り捨てるなら今の内だぞ半神の娘』
一言、吐息じみた呆れと共に『彼』の声が彼女に語り掛けた。
■セレネ > この島に来たのは偶然であり、己の意思ではない。
だからこそなのか、今でも元の世界に戻りたいという意思はあるし、その術があるのならどうしてもそれにすがりたい気持ちはある。
だから、この世界の人々に対し情を抱いてはならぬと己自身に言い聞かせている。
己はこの世界にいるべき存在ではないのだから、と。
相手の言葉に蒼を細める。
己も彼の一部に触れた側だ。責任を以て見届けねばならないし、何かあれば手伝わねばならない義務はあろう。
仮にないとしても、それは己の気質が許しはしない。
少しでも一端に触れたのなら、最後まで責任を持たねばならぬ。
そう思う生真面目な気質が足枷にもなっている。
「……。」
彼の言葉に、言葉を詰まらせる。
『神』としては、言う事は決まっている。
だが、それ以外ではどうか。
「……貴方の言葉を今は信用しましょう。
ただ少しでも疑問を抱く行動をした場合は。
容赦をしないと、覚えておいて下さい。」
己は常に行動を見ているのだと、伝える。
”彼”の助言にも耳を傾けていたが…一抹の希望に賭けてみようと思った。それだけだ。
■火光雷鳥 > 勿論、彼女のそんな思いも考えも、凡人は何一つ知らないし分からない。
もし、彼女がそれを口にしていたら?少年は何と答えるだろうか?
それは今はまだ分からぬ事だが――きっと、変わらず馬鹿正直に、人間らしく凡人らしく真っ向から口にするのだろう。
そして――結局の所。この世界に居るべき存在ではないと己に言い聞かせている彼女が。
なのに、この世界の少年の顛末を見届けようと責任感と義務感を持つのが矛盾であり。
それはつまり、情に繋がってしまい本末転倒になりかねないという事で。
――なんて事は、勿論少年には分からない。だって馬鹿で凡人なのだから。
ただ、それに気付いたならばこう言うだろう。「俺は友達の足枷になるのは御免だ」と。
「上等だ。凡人舐めるなよ。『この世界の』人間の、俺のちっぽけな意地を見せてやる。」
彼女が神様だろうと、知った事か。神様の言葉だろうと彼女の言葉だろうと。
信用はそれで十分有り難い。なら、後はこちらがその姿勢を貫くまでだ。
揺らぐ事も惑う事も無いとは言い切れない。ただ『折れる』事は許されない。
――だって、間近で『神様』が見ているのだから。
「…ああ、うん。やっぱりそうだよな…お互い、こうして意見と言葉をぶつけ合うのも大事だよな。」
何か一人納得したのか、そう呟けば小さく笑って。
■セレネ > 己が真に神であれば、きっとにべもなく切り捨てていたに違いない。
人を下種として見ていたならきっとこんな考えはないだろう。
だが己は人に育てられた神だ。
矛盾も全て孕んだ存在だ。
何方かに偏るのは、半神である今の身では難しい。
何れにせよ、己は半端者なのだ。
「まぁ、期待はしない程度に見ていましょう。」
自称凡人の意地がどこまでか、見守ろうではないか。
己の手ずから作った物を身に着けているだけに、猶更分かりやすい。
良くも悪くも見張られている、と言えるかもしれない。
「……逃げもせず真っ向からぶつかってくれるのは、嬉しいものですね。」
蒼は相手に向けないまま、そう答える。
■火光雷鳥 > むしろ、彼女が完全に真なる神では無いからこそ、きっと少年も不器用ながら彼女に己の意地と言葉を通せるのだろう。
そうでなければ、たかが人間の詰まらない戯言など切り捨てられて当然なのだから。
彼女が矛盾を抱えているからこそ、彼のちっぽけな意地も彼女に届いたのだと。
「そもそも、セレネさんは最初から俺に何か期待なんてしちゃいなかっただろ?
だったら、別に今まで通り――で、俺のやる事は変わらんってね。」
自虐的にも聞こえるが間違いだとは思わない。そもそも、彼女が誰かに期待するとしたらよっぽど、彼女の心を動かした人だろう。
そして、それを彼なりに理解しているからこそ、この意地は通す――信用は裏切らない、期待されていないならさせてみせるまでだ。
見張られているなら、それはそれで好都合だ。彼女も把握し易いだろう。
「――ここで逃げたらそれこそ俺はセレネさんの友達失格だろ。
俺は器用じゃないし、頭が回る訳でもない。だからこうやってセレネさんの信用を勝ち取るしかねーって事。」
そりゃプレッシャーもあるし、情けないが逃げ出したい気持ちもゼロではない。
けれど、それは許されないし何より自分自身の心がそれを許しはしない。
「ま、そういう訳で…俺から『目を離すなよ』。見ててくれないと俺も困るし。」
と、努めて明るく笑ってそう述べる。それが、多分彼の強い部分なのだろう。
■セレネ > 小さな意地だとしても、それが真っ直ぐで芯が通ったものだと思ったから
それを信じてみよう等と。ほんの気紛れで思っただけかもしれない。
「……。」
彼の言葉には図星過ぎて二の句が告げられなかった。
己が彼に興味を抱いたのも、彼の持つ異能や体質についてであり、彼自身ではなかった。
それがまさか、その興味を示さなかった人物から言われたとなれば驚く。
己の本質まで偶然かもしれないが見抜くとは、と。
「…向き合おうと決めて、目の前で逃げた人を知っている手前。
それが本当かを信じる事は難しい所ですけれど、ね。」
泣きそうな蒼を、伏せた後。
一息吸って吐いては心を落ち着かせて。
「――あと、私は弱い一柱ですけれど、同時に異性であるという事もお忘れなくー?」
その言葉、聞きようによっては口説いているようにも聞こえるぞ、なんて揶揄うように。
赤へと蒼を向けた。
■火光雷鳥 > 今は気紛れでも何でも構わない。多少なりともこちらの言葉を信じてみようと思ってくれた、それで十分だ。
どのみち、凡人と嘯く彼に出来る事なんて限られているのだから。
そして、二の句が告げずに居る彼女の様子に、やっぱりなぁ、と言いたげに苦笑い。
そう、彼女が興味を抱いたのは、関心を向けたのは自分の脳の中に居る『奴』であって己ではない。
勿論、それを承知の上だったから、殊更にショックを受けたりだとかはしない。
変な所で勘が良いというか、何だかんだで相手をちゃんと見ている少年だった。
「――本当か嘘かは今後の俺を見届けてから判断してくれ。
あと、その逃げた相手が誰かは知らんけど、俺はソイツじゃないんだから同じような目で見られるのも勘弁だ。」
同じ結果になるかもしれないし、彼女の信用を勝ち取れるかもしれない。
だが、一つ言えるのはソイツはソイツ、俺は俺だという事で。
泣きそうな彼女の瞳を目を逸らさずに見つめながら、敢えてそう言っておく。
そう、自分は誰かの影でも後追いでもない。火光雷鳥という凡人だ。
――そう、見届けるつもりなら、『奴』や『ソイツ』の前に『俺』を見て貰わないと意味が無いのだから。
「――俺も薄々言ってから思ってたけど。敢えて言わないようにしてたんだけどなー!?
…って、いうかセレネさんが女の子なのはちゃんと分かってるよ。
と、いうかどうせ見届けて貰うならセレネさんみたいな女神様の方が良いに決まってるだろ。」
と、彼女の揶いに思わず何時もの調子に戻りながらも、その後にサラリと言いたい事は言うのだった。
「さて、まぁそんな感じで話も落ち着いた所で…いい加減に寒いから俺は帰ろうと思うが、セレネさんは?」
どうせ帰るなら一緒にどうよ?と、お誘いしてみつつ。
■セレネ > 己が興味を向ける人物には熱心だが、それ以外は冷淡であるという自覚はある。
それが彼自身も分かって居たか、傷ついたような様子を受けているようには見えなかった。
…人を欺くには、まだまだ己には足りない部分が多いと改めて感じつつ。
「――そうですね。
あの人はあの人、貴方は貴方であると別で見ないといけませんね。」
それは彼自身にも失礼に値するし、何しろ平等ではない。
己を見てもらいたいのなら、相応に同等に接すべきである。
「”女神様”の前につける一言があっても良いのでは?」
敢えて言わなかったらしい彼に追加で言葉を添えつつに。
綺麗だとか、可愛いだとか、なんて。
「それはデートのお誘いで?…なーんて、冗談ですけれど。
えぇ、私もそろそろ戻りますよ。あの子が待っておりますから。」
ウィンク一つ向けながらベンチから立ち上がる。
月は相変わらず静かに見下ろしていた。
■火光雷鳥 > 前向きに考えるなら、彼女に自分自身――雷鳥という人間に興味を持って貰う、という目標が一つ出来たという事だ。
最も、彼女には『見届けて』貰うつもりなので、そういう意味では若干目標は達成していると言えなくも無い。
…と、いうか冷静に考えてみると神様に見届けさせる、とか普通に何やらかしてるんだろうか俺。
「そういう事。俺を見届けるっつーか見極めて貰わないといけねーのもあるけど、そこはきっちり別で見て欲しいね。
…って。…うん、美人でスタイルも良くて、何だかんだちゃんと俺を『見届ける』宣言してくれた素敵な女神様だけども。」
追加で、という言葉に一瞬キョトンとした後に、これまたサラリと追加どころか大盛りで言い切った。
この少年、変な所で肝が据わっているというか照れや恥じらいが無くなるらしい。
「デート!?…あ、でも人生でデートなんてした事ねーから、セレネさんとはしてみたい気持ちは正直あるかも。
ってか、俺もヒメが腹を空かせてるだろうから、早く帰らんとなぁ。」
月は静かにこちらを見下ろして。きっともう数時間もすれば入れ替わりに太陽が昇る。
そんな空の下、女神様と共に凡人は雑談でもしながら寮の部屋に戻るとしよう。
■セレネ > 人間に対し、というかこの島の人達に対し、興味を持たないように努めていたというに。
まさかこんなことになろうとはと、蒼を細めて。
「……あー、その、何というか。思った以上に貴方正直ですね?」
恥じらうかと思っていたのに、まさかの大盛り追加で驚いた。
己の方が恥じらって、頬を掻いたり。
「ふぅん?なら、来年期待しておきますね?
…ほら、何かあった時の為に練習しておかないとですし?」
デートの練習相手が女神という、何とも贅沢なものだけれど。
時折揶揄ったり、ストレートな言葉を告げられたりしながら、
共に寮へと歩いて行くだろう。
別れ際、来年も宜しくと挨拶をしたりして。
ご案内:「常世公園」からセレネさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から火光雷鳥さんが去りました。