2021/01/14 のログ
セレネ > 「命あっての物種と言いますもの。
生きてさえいればあとはどうとでもなりますよ。」

それこそ誰かに頼るなり、もっと力をつけるなり、だ。
自身の事をモノと同義に扱う己が言っても説得力はないだろうが、彼にはその一面を見せていないから大丈夫だろう。

「…紐の異能。…ん?聞いた事があるような。
勘弁して欲しいと思っていても、もしもの時があった事を考えると自衛の術(すべ)は覚えておいて損はありませんよ。」

彼の迷子体質を考えると猶更だ。

「えぇ、私の育った世界も主にそのような世界でした。
異能や魔法なんて空想やゲームの中の世界で、実際に能力者が居たとしてもそれは隠すべきことだと…そのような世界に。
ただ、私は世界を渡る力があったので、それを使って別の世界に渡った事もありますけれどね。
…それこそ、中世のヨーロッパのような世界で、科学の代わりに魔法が発達した世界なんてものもありますよ。アニメや小説にあるような、ね。」

此処に迷い込んできたのは、その世界を渡った際≪門≫に巻き込まれたせいなのだが。

「四季もありますし、学校もあります。
此処の本土と変わりないかと。
……世界にもよりますがその世界の常識やマナーを覚えないと大変ですよ。」

火光雷鳥 > 「そりゃ同感。俺は別に英雄でも愚者でもねー訳で、命あって生きていれば儲け者って感じで。」

いや、前にタロット占いして貰って愚者のカードが出た事があったけど、それは黙っておこう。
勿論、彼女のそんな面を見た事が無い少年がそこに気付けることも無い訳で。

「えーと、雨見風菜って人なんだけど…あーー…最近の俺の『迷子』もあるしなぁ。」

ここ最近、もう去年になるが立て続けにまず迷い込まないである場所にも迷い込む羽目になった。
ただの偶然か、それともそういう何らかの力が働いているのかは彼にはわからない。

『世界渡りか――口惜しいものだ』

不意に、彼の口から飛び出たのは『誰か』の呟き。もっとも、その発言それきりで後は何時もの少年に戻るのだけど。
ただ――…

「……。」

不意に黙り込んで考え込むように。それから自分の頭を軽く小突くように叩いて。
「…あぁ、たまーに俺の意識が飛ぶのってもしかして…。」と、ぼそぼそ呟いていたが。

「…っと、悪い。しかしまぁ、事実は小説より奇なりっつーけど、ほんとそんな感じだな。
……あーその世界のルールとかそういうのを覚えるだけでも大変そうだ。」

苦笑い。そこまで頭が回る訳でも学習能力に優れている訳でもないからしんどそうだ。
結局、少年は凡人なのだろう――自身が《門》というよく判らないモノでもあるが。

「ま、アレだ。今度時間取れそうな時とか、自衛の手段とかアドバイスとか実践方式でも座学でもいいから教えてくれよ。
さっきも言ったけど、俺は強い力は興味ねーけど、やっぱまず最低限自分自身を守れる程度にはならんとさ?」

と、笑って口にしながら手に持っていた缶コーヒーの残りを飲み干して、ベンチ脇の空き缶専用ゴミ箱に放り捨てる。

「さって。俺はそろそろヒメも腹を空かせてる頃合だろうし引き上げるけど、セレネさんはまだ散歩の続きか?」

セレネ > 「命は大事にしなければいけませんね。
ご両親やご友人を悲しませたくないのなら。」

両親より先に死ぬのは親不孝だと聞いた事がある。
血は繋がっていないが、”親”でもあった己には、それは凡そ間違いではないのだと理解出来る。

「…雨見さんとお知り合いでしたか。
そうです。私も万が一の事を考えて、学んでおりましたし。」

まさか共通の知り合いがいるとは。
蒼を瞬かせる。

『私の世界では”界渡り”と呼んでいたわ。
まぁ、此処ではただの転移魔法になっているのだけど。』

変わった口調とその呟きに、己は英語で返す。
そして何かに気付いたような彼には、己は口を閉ざすのみで。

「いいえお気になさらず。
他世界でも言語は通じるという事は幸いでしたけどねぇ…。」

己が日本語や英語が流暢なのもそういう理由だ。
頑張って覚えた結果なのだ。

「えぇ。実践から自衛の心構えまで教えて差し上げますとも。
自身の身を守れない人は誰も守れませんからね。」

飲み終えた缶をゴミ箱に捨てる様を眺めては、

「…帰るにはまだ早いですし、寄りたい所もありますので。
此処でお別れですね。」

火光雷鳥 > 「親父は兎も角、母さんは悲しませたくねーなぁ…。」

何とも言えない苦笑い。まぁ父親とは殴り合いコミュニケーションとか言い争いが日常茶飯事なので問題ない。
まぁ、少なくとも――死体になって両親の元に戻るつもりは毛頭無い。

「あれ、セレネさんも?案外共通の知人友人が他にも居そうだなぁ。
俺は多少喧嘩慣れしてるくらいだから、護身程度の自衛手段でも有り難いって感じだなぁ。」

たまーに見せる思い切りの良さとかは喧嘩慣れしているからこそ、だ。まぁ当然喧嘩レベルではあるが。

「あーー成程、言語の壁とか問題は地味にデカいから、通じるのはそれだけでありがたいわな。」

そして、彼女が口を閉ざす一方で、少年も何事も無かったかのように。
薄々勘付いてはいたが、どうにもこの頭の中のヤツは面倒な奴らしい。

「あはは、俺はど素人だからその言葉は色々と身に染みるな。
と、りょーかい。んじゃ、俺は一足先に帰るな?また今度!」

と、彼女と仔猫に手を振って歩き出す―――その後姿。

ほんの一瞬、幻影のように”紅い龍”が浮かび上がり、女神へとちらり、と視線を向けた――それも、直ぐに消えたが。

勿論、少年はそれに気付く様子は無く、公園の出口でもう一度振り返って彼女達に手を振ってから寮へと戻るのだ。

セレネ > 「お父様とは仲が悪いので…?」

この間もそうだったが、父親への態度が大分蔑ろだなと苦笑しつつ。
死ぬ気はないのであれば、死なないように努力するしかない訳で。

「えぇ、以前少しご相談を受けまして。
そうですねぇー。色んな人がいますから。」

一般人なら自衛の方法なんて知らないだろうし。
知っている、知らないでは対処の仕方も違うものだから、覚える事はプラスだろう。

「文字は追々覚えれば良いですけど、言葉が通じないと日常生活もままなりませんからね。」

何もなかったかのように話すのなら己はそれに乗っかるだけで。
彼の脳内を介して存在する者は、気紛れだから尚厄介そうだと思う。

「まぁ、素人から心得がある人くらいにはランクアップしましょうよ。
私もお手伝いしますので。
――えぇ、また。」

挨拶をして公園を出る彼の後ろ姿を眺めていれば。
一瞬見えた龍の姿に表情が消える。

『…紅いドラゴン、ね…。』

呟く言語はロシア語。
そうして、再度己と仔猫に向かって手を振る相手を己も小さく手を振って見送れば。

己も公園から出て散歩を続けよう。
調べる事がまた増えたな、とどこか楽し気にしながら。

ご案内:「常世公園」から火光雷鳥さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からセレネさんが去りました。