2021/02/09 のログ
ご案内:「常世公園」に刀々斬 鈴音さんが現れました。
刀々斬 鈴音 > 左手の包帯がいまだに取れない刀々斬鈴音。
それでも副部長として訓練に参加したり部室でぐでぐではしていたが今日は完全な休日。

異世界の魔道書。『6さいからのげんそまじゅつ』が握られていた。
異世界では一般的に流通している本で見た目もこの世界の小学生が使う教材と酷似している。

「えっと……このマークを手に写して……。」

緑色のマジックで魔道書に書かれたマークを左手の甲にかいて……。

「─風よふいて!─」

その言葉と共にぴゅるると風が木の葉を飛ばす。
……当然だこれで身に付くのは魔力の量にものを言わした大雑把で効率の悪い魔術、人を傷つけないリミッターのかかった魔術。
術式を理解しなければ本当に扱う事はできないだろう。

「うーん……弱くない?」

刀々斬 鈴音 > ひゅーひゅーひゅるる。ひゅーひゅるる。
木の葉を飛ばす程度の風、細かい制御ができるわけでもない。

「こんなんじゃ魔術役に立てるなんて無理だよ!
 紙とばして相手の顔にぶつけるくらいしかできないもん!」

……そう鈴音は新しい戦闘の手段として魔術を身に着けようとしているのだ。
特務広報部の魔術を得意とする者に話を聞こうとしていたものの面倒が見切れず……。
基礎から学ぶことになったのだ。

「そもそもなんで風なの?炎とかの方が強くない?」

『……血を媒介とする私とは風の属性が相性が良い。
 血は熱と湿の性質を持つため4大元素で言えば……』

刀の言葉を遮って鞘に納める。

「あーあ、楽して使えるようになんないかなあ……。まほう。」

そもそも鈴音は魔術の才能はないわけではない。
魔力は多く有しているし、その質も良い。
ただ出力の手段を知らないだけなのだ。

刀々斬 鈴音 > 携帯端末から流行りのポップスが流れてくる。
広報部からの連絡だ。

「はーい、もしもし、えー……鈴音は今日おやすみなんだけど……。
 うーん。ルークの子が今日は近くにいたんじゃない?もう向かってるの?」

ひゅるる……ひゅるると風が舞う。

「別に鈴音はいかなくても大丈夫でしょ?
 今、学生街だし……準備してたら終わるでしょ?」

この公園から落第街までの距離はそこそこ離れてる。

「はい、じゃあいつも通り自分の命を大切に……傭兵の人はまあ外の人だしどうなっても……
 死んじゃったら可哀そうだけどね……こっちが死んじゃったらよくないからね。
 うん、じゃあねーバイバーイ。」

部員からの通話を切って再び本を眺める。

「─風よ吹いて!─」

ひゅーひゅるると木の葉が飛ぶ。

魔術がものになるのはまだまだ先の話のようだ。

ご案内:「常世公園」から刀々斬 鈴音さんが去りました。