2021/02/26 のログ
■神代理央 >
物思いに耽りながら歩みを進め――人気のない公園を抜けて、少年は家路へと急ぐのだった。
ご案内:「常世公園」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に幣 美奈穂さんが現れました。
■幣 美奈穂 >
夕刻、神代様とお喋りした後。
美奈穂はとほとほとのんびりお家方面・・から、少しずれて公園に向かいます。
なぜなら、今日はレオンベルガーという犬種のブロッサムちゃんが一緒だからです。
先生から暫く預けられることになったのですけど、走るのが好きで、30分ぐらい走るのを好むと言われたからです。
そんなブロッサムちゃんの背中には、毛布が括り付けられてます。
ブロッサムちゃんの好む寝床とする毛布・・先生の毛布です。
先生は、学会で暫く奥様と一緒に海外です。
そこには理由があって連れていけないそうなので、預かったのです。
レオンベルガーという犬種はとても大きく、美奈穂の腰ほどまで体高があります。
頭の位置は建っている美奈穂の胸ぐらいまで。
そんな子を連れて、のんびりいつも通り帰ります。
ブロッサムからすると、とても遅い歩み。
ゆっくり四肢を動かすだけで、置いていきそうになり足を止め振り返ります。
主と共にあれば、常なら主の番を守り日が暮れるまで住処を守り。
日が暮れてから、公園まで主のジョギングに合わせて15分ほど。
ジョギングで身体を温め、そこから公園で30分ほど身体を動かして帰るのだが。
主の住処よりも近い学園から公園に向かい、同じ時間で道半ばにも達していないのだ。
主は強い。
その番も強い。
ある組織にてバイオノイドとして生まれたブロッサム――この名前も主が付けたものだ――は、
自分の意志で身体を強化したり、体毛の硬化や簡単な四属性の精霊を纏える。
主に保護されるまでの記憶はない。
その頃は、場所を守り近付く者を殺す事しか意識になかったからだ。
主に保護され、徐々に自意識を持ち始めたのは1年ほど主に飼われて頃。
そう3年ほど前だ。
それまでは主と契約で縛られていたが、今は自意識で命を主に捧げているブロッサムだ。
そんな主からしばし守るよう託された幼子が、遅い歩みの幣美奈穂だ。
ブロッサムは人で言えば成人ほどの知能もある。
とても弱い幼子を主の言いつけを守り、暫し護衛せねばならない。
■幣 美奈穂 >
「あっ、ありがとうございます!」
美奈穂はしばしば足を止めます。
声をかけられてり、物を頂いたりするのです。
ついでに、暫く妹になるブロッサムちゃんも紹介です。
大きなわんこさんのブロッサムちゃん。
毛布は大きかったので、ブロッサムちゃんの背中に括り付けてしまいました。
ついでに、頂いたものなどを袋に入れてブロッサムちゃんに持っていただきます。
力持ちな強そうな子です。
大きなわんこさん、紹介されて顔を合わせました。
黒いお鼻を持つブロッサムちゃん、優しそうな目をした子です。
毛並みももふもふしていて、家に帰ったらブラッシングが楽しみです。
にゃんこさんの二郎三郎宗右衛門ちゃんがいるので、あの子の妹になる感じです。
仲良くして欲しい所です。
ただ、足が速いので、美奈穂も頑張って歩きます。
いつもより早歩きなのです。
姉として、しっかりしませんと!
背中に荷物が増えるたびに、まじか、と振り返ってしまうブロッサム。
いや、自分の身体であれば誤差の様な重さだ。
ただ、その少しが護衛の任を遅らせる場合もある。
できれば載せないで欲しい・・のだが。
そういう目で見ても、「どうしたの?、なでなでいります?」と背中や頭を撫でてくる護衛対象だ。
とてもか弱い存在だ、注意せねばならない。
途中で猫が数匹近寄ってきた。
「どこいくんだ?」「今日は喰うものないのか?」「撫でろ」と近づく猫たち。
相当に親しいらしい。
そんな猫を撫でたり抱えたり、自分の背中に乗せ――乗せないで欲しい――
縄張りから離れない猫たちは、ある程度いけば離れていく。
我慢強く遅い歩みに合わせ。1時間ほどもかけて公園だ。
そのドッグランに連れていかれる。
この公園から幼子の住処までも近いらしく、徒歩で15分・・主とジョギングすれば3分ほどで付く場所らしい。
幼子と共にケージの中に張れば、他の犬たちが近寄ってくる。
「おっ、遊ぼうぜ!」「撫でろ!」「ちっちゃい子きた!」
と尻尾を振って嬉しそうにだ。
自分が来るのはもっと遅い時間だから会ったことないが、匂いはこのスペースについているので知っている。
・・フレンドリーな奴らだ。
だが、自分がいるからか「誰だ?」「新入りか?」と今一歩踏み込め――
小型犬の一頭が、自分も気にせず幼子の足元に突撃していった。
「遊んできていいのよ?」
と幼子が言うので、いつもの運動と少し駆けだした。
■幣 美奈穂 >
ブロッサムちゃんをドッグランに連れていくと。
嬉しそうなご様子です。
背中の荷物を下ろして上げまして、遊んできていいと伝えます。
足元にきゃっきゃんと縋りつくわんこさんに微笑み、
いつもならのしかかってくるおっきなわんこさんも大人しいです。
ふふふっ。
ブロッサムちゃんを連れて来たので、お姉さん力が上がったのかもしれません!
・・と思った瞬間もありました。
ブロッサムちゃんが離れると、とたんにおっきなわんこさんがとびかかるようにして押倒して、
お顔をぺろぺろしだします。
わっぷっ、ま、まってくださいませ!
少し離れた瞬間。
幼子が襲われて・・わけではないようだ。
走り出そうとした身体がとまり振り返る。
嬉しそうにじゃれつく同類たちの姿。
助けて欲しい感じの幼子の様子に、近付いて、鼻で彼らをどける。
害する意思などない様子だが、「お前も嘗めるか?」
いや、自分は舐めない。
こう、幼子がお前を抑えきれてない感じだから・・と伝えると。
「いつもこんな感じだぜ!」と意気揚々とした犬たちだった。
思いっきり走りたいが、気になって離れられない。
そばで見守る事にする。
色々な犬に舐められじゃれつかれ、そして小型犬がボールを持ってくる。
立ち上がってえいっ、と投げる幼子・・・
5mも飛ばない山なりボール。
本気か?、と幼子を見てしまう。
今日はきちんと前に飛びましたと満足そうである。
犬たちは、もっと勢いよく遠くに飛ばしてほしそうだが。
ボールを咥えると幼子に渡す。
・・これは、人が犬に運動させているのではなく。
犬が人に運動させているのではないだろうか?
■幣 美奈穂 >
「ブロッサムちゃんは知りませんの?
あっ、ボールとりたいの?」
えいっ、と目を瞑って思いっきりボールを投げます。
目を開くと前にありません。
不思議そうにしてから後ろを振り返ると、てんてんと転がったボールを素早く
ちっちゃなわんこさんが加えて渡してくれます。
「ありがとう存じます」
持ってきてくれたわんこさんの頭を撫でます。
今のはちょっと、手を開くのが早かったようです。
ブロッサム、まじか、と目を開く。
投げているはずのボール、が前ではなく後ろに飛んだのだ。
しっかり握ってないのですっぽ抜けているのだ。
そのせいか、投げる方向にランダム性があるのだが。
「今日はましなほうだ」と伝えてくる大型犬が傍に。
結局、30分ほど座って見守っていただけだ。
走りたかったが、走るには目を離すのが気になってしまった。
仲はいいのだろう、まだいる犬たちに手を振って帰る幼子。
その住処までの道のりも、途中で色々と寄り道し。
背中の荷物が増えていく。
折角だからと、油や醤油など少し重い物を買ったようだ。
幼子の住処は、広かった。
そして騒がしい区画にあるというのに、大変に静かだ。
この場所を確かめる為に、幼子が母屋に入っている間に調べる。
――走って運動するスペースがあるし、その周囲は、なんだ結界か?
多重に過剰なほどに張り巡らされた結界が、自分の目には見えた。
大変に複雑な結界群だ。
外の喧騒もこれで遮っているようで、まるで深き森林の中に開かれた一軒家のような静けさだ。
――そんな場所にいったことはないが。
自分の寝床になりそうな場所も探しておくが、どこでもよさそうだ。
この敷地内が大変に居心地のいい温度なのだ。
「食事できましたわ?」
と声をかけて来た幼子の言葉に、彼女の元に戻れば。
低い机の上に並べられた様々な食べ物。
・・いつもの食事が、少しだけ皿にある。
いや、これだけでいいのだがもっと多くくれれば。
匂いを嗅ぐと、塩気などが幼子の物よりも薄い。
メニューは同じだが、たぶん、自分用に作っているのだ。
つまり、倍は手間をかけたのだろう。
「・・あの、こういうの嫌いかしら?」
と悲しそうな幼子の様子に罪悪感が浮き、口にする。
――旨かった。
その後、ともに風呂に入れられると。
なんと、寝床は同じ布団だと。
いや、外でいい、と外に出ようとすると。
とても悲しそうな顔をされた。
仕方がない、今宵だけだと傍に寝そべると抱きしめられた。
――人と寝るのもいいものだと知った日だった。
ご案内:「常世公園」から幣 美奈穂さんが去りました。