2021/05/23 のログ
ご案内:「常世公園」にアーテルさんが現れました。
アーテル > 「くあぁぁぁ………---」

猫。
どこからどう見ても、猫。
飼い猫にしては鋭い眼に、野良猫にしては整った毛並みのそれ。
夜の闇にとぷんと沈む黒色の体躯が、ベンチの上で伸びをしていた。

「………んぁー……暇だあ………」

眠くもないのに、あくびが出る。
それをごまかすように、後ろ足で耳の裏をかいた。猫の姿だからできること。
ただ、饒舌に人語を解するその様は、とても猫のそれとはいえない。

「なんか、おもしろいこと、ねーもんかねえ…………」

人気がないのをいいことに、猫としての異様さも改めず、実に人間臭い悩み事を独り言つ。
そのままベンチの上でごろごろと、手持無沙汰を紛らわせるように体を動かして。

アーテル > 「ん。」

ごろん。
黒い塊が、うつぶせになった。
ベンチの上に放り出した四肢に少しずつ力を籠めるように、緩やかに立ち上がって。

「ん、ん、んんん。」

ぷるぷると体を震わせて、わずか早い気さえするわずかな眠気を振り払うと、ふうと一息つく。

もうじき夏が来る。
そうなればここにきて一年になるわけだが、時の経過とは早いものだ。
…いつまでも、身分を固めないままでいるのもよくない立場ではあるのだが。

「………さて、俺もどうするかなー。」

首を二度、三度、左右に倒して、目をしぱしぱと瞬かせる。
夜目はもとより効くのだが、これでより鮮明に映る。
未来がどうなるかまでは見通せないが、少なくとも数メートル先の危険は見分けられるだろうか。

黒猫は自分の在り方をわずか悩みながら、夜の闇へと駆けだしていった。

ご案内:「常世公園」からアーテルさんが去りました。