2021/07/06 のログ
ご案内:「常世公園」にラヴェータさんが現れました。
ご案内:「常世公園」にラヴェータさんが現れました。
■ラヴェータ > 夏の間は陽が昇っている時間が長い。
とはいえ、流石にこの時間にはすっかり周囲は暗くなり、夕暮れの中空しい主張を続けていた街灯もその役割を委細無く発揮できている。
危ないから外に出ではいけないと幼子が諭されるような暗闇の中、灯の真下に設置されたベンチで足を組みながら分厚い「スライム全集」のページをゆっくりと捲る少女。
可も不可もないといった表情でひたすらページを捲り続けており。
一度本ごと膝の上へと手を置いて
「はぁ」
と、退屈そうなため息をついた。
自身の飼い主に「心配させるな」と言われてから一週間程度が経過した。
言いつけを破る趣味はなければ、別に危険な目にあうことが好きなわけでもない少女はいいつけ通りに危険な場所を避けるようにしており。
人気がほとんどない公園が危険ではないかと言われればそれはまた違う気もするが...
再びページを捲りだすまでそう時間はかからなかった。
■ラヴェータ > 「...人型のスライム、擬態できるスライム、魔法が使えるスライム...ふむ...
ひとまず分かったことがあいつがかなり力を持っているという程度だな...」
読み終わったわけではないが、退屈に耐えきれずにスライム全集をパタンと閉じる。
膝の上に置き、眉をひそめてふむ、と手を顎に添える。
スライム全集には、名前通り様々なスライムについての記載があった。
中には異世界の神話のスライムなんてものもあるぐらいには充実していた。
スライム駆除法のコラムも序盤に用意されていたがそちらは大したものはなく。
到底先日であったあいつには効くように思えなかった。
別に駆除しようという考えはないが、他の記述と合わせて考えると想定していたより危険な輩であることは間違いない。
...まあ
「そんなことわかったところでなぁ...なんともならんのがな...」
危険だ、ならどうする?だったらどうなる?というだけの話でしかない。
理央に報告したところで困り顔と小言を食らいそうだ。
あまり収穫はなかったな、と指先で表紙をなぞりながら思案顔で見下ろした。
ご案内:「常世公園」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
陽が落ちて、夏夜が島を包んでも蒸し暑さを掻き消す事は出来ない。
少し動けば、長く続いた雨の残り香の様な湿気が汗を滲ませるだろう。
そんな夜。読書に耽る少女が居座る公園に近付く一つの足音。
石畳を叩く革靴の音と、小さな歩幅は、少女に取って聞き慣れたものであるかもしれない。
「……おや。こんな所で読書とは。大人しく空調の効いた場所で過ごせば良いだろうに」
何時もの様に、尊大さを讃えた声色で言葉を投げかける。
少女が視線を向けるのならば、其処には何時も通り――いや、何時もよりも少し荷物の多い少年の姿があるだろう。
具体的には、如何にも荷物が詰まっています、というような書類鞄を片手に握り締めている。
その表情も、目立った疲労の色は無いがちょっとだけお疲れ気味、という具合。
「静かではあるが、読書に最適とは言えない場所だろうに。
それとも、多少なりとも自然が恋しくなったか?」
額に少しだけ滲んだ汗が、自身の金髪を湿らせる。
それに不快そうな表情を浮かべながら、すとん、と少女の隣に腰掛けた。
■ラヴェータ > こちらへと歩み来る人の気配を察しとり、顔を上げて人影を捉える。
闇の中でも見通せる瞳は見慣れた背丈、髪色、そしてその顔つきを映し出す。
「どこにいようと私の自由だろう?そういう気分だった、それだけだ」
実際は暇だから適当に行こうとした場所の候補が危うい場所だらけであったがためにひとまず違うことを考えようと本を開いたというのが真実。
別に責められる事ではないのだろうがそのまま口にするのは気が引けた。
これといった冗談も思いつかずに適当な事を口走っただけである。
少女らしい軽薄な口調で述べて。
「貴様こそどうした?この蒸し暑いだろう中そんな仕事帰りのような格好で
いつものように砲撃してきたわけでもないだろう?」
本の表紙をなぞっていた指を書類鞄に向けながら瞼を僅かに伏せながら問う。
純粋な疑問と、わずかな憐みのような、心配のような情が混ざった声音で。
■神代理央 >
「……ふむ?まあ、お前の行動を精査する必要はあれど、制限しようとは思わない。
だから別にお前が何処で何をしていようと構わないが……」
その口調や言葉は何時もの少女の様であるのだが、何と言うか…思い切りが無い、というか。
いつもならもう少し、自由を謳歌する言葉があってもおかしくはないのだが。
とはいえ、先日少女に対して危険な場所に行くな、と告げたばかり。
故に、公園で大人しく本を読んでくれていたのなら此方もそれに対してどうこういう事も無い。
小さな違和感に首を傾げながらも、少女の言葉に頷くのだろうか。
「どうしたもこうしたも、仕事帰りだからな。
鉄火の支配者とて、常に現場に立つ訳にもいかぬ。
デスクワーク、というものも相応にこなさなければならないからな」
ふう、と小さく溜息一つ。
しかしその表情は、少女の心配そうな声色を耳にすれば小さな苦笑いへと変わるのだろうか。
「……大した事は無い。明日は七夕だからな。
学生街や歓楽街の警備体制を決める会議が少し長引いてな。
それで疲れただけだ。血が流れない事が前提の会議は、私も余り得意ではないから」
ベンチの背凭れに身を預け乍ら、籠る様な蒸し暑さに辟易しつつ。
そんな答えを、彼女に返すだろうか。
■ラヴェータ > 「ああ、なるほどな
祭りの警備も貴様ら風紀の仕事の一つか...定点監視やら巡回やら程度であれば協力するから言ってくれ」
なるほど、と納得半分、労わり半分の表情。
自分のような輩の監視やら違反部活、犯罪者の対応だけでも手一杯であろう風紀のブラックっぷりにこの狐といえど優しくならざるを得なかったのか、協力するという言葉に偽りは感じられない。
尻尾でも差し出してやろうかと思ったが、ここだと暑さのせいで何とも言えない感じになりそうなため後にすることにした。
「にしても七夕か、ひこぼしと...なんとやらが結ばれた日であったか?
願いを細長い紙に書いて飾ると叶うんだろう?
ところどころでらしきものを見かけたが明日だったとはな」
七夕について知らなくはないが、どこか間違った知識を披露する異邦人。
願いが叶うという点に少しばかり興味を記しているようで。
■神代理央 >
「風紀委員会の仕事ではあるが、私の出る幕があるのかどうか疑問だがね。
皆が楽しむ祭りの場に、異形の群れで乗り込もうとは私も思わないさ」
自嘲半分、本心半分、といった言葉。
しかし、少女の労わる様な言葉にはぱちくりと瞳を瞬かせた後。
「……ありがとう。しかし、お前にだって祭りを楽しむ権利はある。此方は気にする事は無い。どうせ暫くは其処かしこで騒ぎ立てるだろうし、祭りの雰囲気や空気を楽しむと良い」
クスリ、と微笑んで少女に告げる。
多くの人が行き交う祭り。きっと、少女にも良い刺激になるだろう。
それを仕事で取り上げる様な無粋な真似は、流石にしたくはない。
「良く知っているな。そうだ、彦星と織姫、だな。
恋物語が何故願いが成就する催しになったのかは私も知らないが。
願い事があるのなら、学園でも商店街でも好きな場所の笹に願いを書いた短冊を吊るすといい。
何を書くんだ?チュール一年分、とかかな?」
少年の方も、そういった催しに詳しい訳でも無い。
そもそも、短冊など書いた覚えもない。
従って、興味を示す少女とは対照的に…やってみれば良いんじゃないか、みたいな反応。
ぱたぱたと自分の手を団扇にしながら、そんな言葉を返すのだろう。
■ラヴェータ > アレが乗り込んで来たら祭りどころではないだろうな、と肩をすくめて鼻で笑う。
「ふむ...それもそうか
なら貴様の言うように楽しんでくるとするか
屋台のあの微妙な料理はそれはそれでアリだからな」
なんて失礼な事をいいつつ。
特に祭りに参加する予定はなかったが、確かに楽しそうだと何があるかなんて楽しみにしている様子で。
「...貴様は私を何だと思っているんだ?
確かにチュールは...好きだが...
そういうのではないだろう普通...な?」
いまいち否定しきれない様子でそっと目をそらす。
「まあ...何を書くかは考えておくが...
ずいぶんと暑そうだが理央、大丈夫か?
冷えた水ならあるが」
暑そうにしている少年を片手で同じように団扇にして扇ぎながら問う。
水は影の中であり、手の届く手ごろな影がないためまだ出していない。