2021/07/24 のログ
ご案内:「常世公園」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 日課の夜の散歩。しかし夏場は愛猫は連れない。
陽が落ちた時刻でも蒸し暑く、暑さも苦手な己にとっては正直涼しい室内でゆっくりしていたい気持ちがあるけれど。
これも体重を少しでも落としたい一心、運動は一日にしてならず、だ。
己はただでさえ、日中陽の強い時間帯は他者より外に出づらい体質なのだ。
ここで稼いでおかねば、と寮から此処まで只管歩いていたものの。
少し休憩と水分補給の為立ち寄った公園。
自販機で冷たいペットボトルのアイスティーを選んで手に取り、体温の上がった頬に当てる。
『んー!冷たい!』
少しばかり赤らんだ頬も、冷やされれば元に戻る筈だ。
近くのベンチに腰を下ろせば深い溜息一つ吐いてキャップを開けて飲み物一口。
■セレネ > 体内に冷たい飲み物が染み渡る感覚を覚える。
暑さは苦手だが、この感覚はなかなかに癖になる。
ちょっと歩いただけ、そして動かずじっとしたままでもじんわりと皮膚に汗を搔いている。
タオルハンカチで滲む汗を拭いながら、時刻とこれから歩くルートを確認する。
『あまり遠くまで行くと帰る時が大変だから…。』
うん、これくらいにしておこうかな。
スマホで地図を出して細い指でなぞる。
もう少しだけゆっくりしてからウォーキングの続きといこう。
ご案内:「常世公園」にアーテルさんが現れました。
■アーテル > 「あづー………」
公園に猫が来ました。
毛艶のいい、黒い体毛の猫。
気だるそうにふらふらと公園の中にやってくるなり、
先客を認めて、目をきゅっと細める。
「…………。」
あれはここに来た時にたいてい寝そべってるベンチだ。
先客もあの様子だとすぐに去るだろうか。
迂闊に喋らなければ怪しまれることもない。
とりあえず場所は確保することにして、近づいてみる。
「んなぁ。」
傍によるなり、場所を譲れとばかり、猫の言葉で喋ってみた。
人語じゃなけりゃ大丈夫だろうと高をくくりながら。
■セレネ > 『…あら?』
んなぁ、と鳴く声。
其方に蒼を向ければ夜の色と同じような艶やかな黒い毛並みを持った、己と似たような蒼目の猫が一匹。
己も猫を飼う身。とはいえ、彼女はあまり鳴き声を発さないけれど。
恐らく己が座っている此処はこの猫にとって縄張りの一つ、もしくはお気に入りの場所なのだろうか。
であれば攻撃されるのは御免なので、大人しく席を譲る事にする。
ベンチの端に位置をずらす、というより。
席を立ってそのベンチごと場所を明け渡す形。
普通の猫にしては、なんだか皮膚が少しひりつく感じというか。
そんな感覚がしたもので。
『ごめんなさいね、貴方の場所を奪ってしまって。』
口遊む言語は異国の言葉。相手は猫だから、と気を緩めている証。
■アーテル > それっぽく鳴いたら、思いのほか容易く場所を譲ってくれた。
気をよくして尻尾をゆらりと遊ばせていたが。
「……!」
耳をぴこんと立てて、その目を見開いた。
今の言葉、なんていったかさっぱりわからない。
だが、明らかに何かしらの意味のある言葉だった。
「……………。」
すっ……と目を細める。
先客の一人とあまり意識してなかったものの、今一度その姿を眺めて気付いたが、彼女とは一度図書館で会っている。
ただあの時は、彼女はそんな言葉は使わなかった。
今の自分と同じように、彼女もまた別の国か世界から来た存在か。
…なんか、この姿にかこつけて秘密を暴いたような、申し訳ない気分になった。
「なにも、すぐに出てけとは言わねえさ。」
秘密には、秘密を。こちらは人語を解せるというカードを切った。
何と言ったかわからないなりに、彼女の行動を見て言葉をかける。
■セレネ > 緩く振った尻尾、どうやら気を悪くする事はなかったらしい、内心安堵。
した後何に驚いたか耳を真っ直ぐ立てて蒼目を見開いたではないか。
この子、もしや言葉が分かる子なのだろうか?
すぐさま目を細めたのを見て、己は少し首を傾げる。
まさか一度会った事がある人物だとは思っておらず、内心困惑していたが。
「…!!
あら、まぁ。貴方は言葉を話せるのですね?」
猫の口から発された言語に蒼を瞬かせれば、同じ言語で話しだそう。
ただ、以前会った彼だとまでは分かる事なく。
膝を折り目の前の相手となるべく目線を近付かせながら、
「お散歩の休憩で寄っただけなのです。貴方のお気に入りの場所を奪おうとした訳ではないのですよ。」
伝わる言語で、改めて。
■アーテル > 「いいさ。
俺も、別に誰かを押しのけてまで居座ろうとは思っちゃあいない。
お前さんの散歩を、妨げるつもりもな。」
すぐに去ると思ってはいたが、自分が退かせてしまってはわけが違う。
膝を折り、しゃがむようにしてこちらに目線を合わせてくる少女に対して、
黒猫がベンチの空いたスペースにとんと飛び乗れば、そちらも視線が高くなるわけで、多少は負担が軽くなるだろうか。
「とまあ、お前さんの言う通りここのニンゲンが使う言葉を喋るし、聞けるわけだが。
…さっきの言葉はてんでわかんなかった。
それに驚いて、俺もついニンゲンの言葉を出しちまったってわけさ。」
その猫は、一度人間の言葉で喋り始めると、表情も言葉も饒舌なもので。
「奇妙な猫だろ?
こんなやつ、俺以外に滅多に見ねぇから…
まあ、そういう意味では安心していいと思うぞ。」
念のために、こんな猫がたくさんいるわけでもないとは告げておく。
自分一人のせいで猫全体が変な目で見られるのは本意ではない。
■セレネ > 「でも自分のお気に入りの場所を誰かに取られるのはあまり好い気はしないでしょう?」
己だってそうなのだ、猫もそうである可能性もある。
自分よりお猫様の方が上なのは、人間も神族も同じなのかもしれない。
…己の場合、人に近い価値観を持っているのもあるのだろうが。
軽やかな動きでベンチに飛び乗る黒猫。先程より視線が高くなった。有難い。
「この国とは違う言葉ですからね、分からないのも仕方ないでしょう。
動物相手だとつい気が緩んでしまうので…。」
むしろ理解出来てたら驚くくらいだ。
尤も、多種多様な人種がいるのだからいてもおかしくはないのだが。
「んー。まぁ喋る猫もいるものでしょう。
世界が違えば常識も違うものでしょうし。
ケットシーとか、そういう種族も人の言語を話す子もいるそうですから。」
初めは驚いたけれど、己は元々異世界から来ているので。
きちんと他の猫のフォローもする辺り気が回る子だと感じた。
ちょっと微笑ましい。
■アーテル > 「いずれ退くとわかっているなら、そうでもないさ。
…焦らされるのは好かないが、お前さんの様子はそうじゃなかったからな。」
時間をかければ、いずれ退くだろう。
人の埒外にあるものの考え方は、割とのんびりだった。
だが、目の前で堪能され続けるのは違うのだとも添えておく。
「……そうかい。ま、そういう手合いはここに沢山来るわなぁ。
かくいう俺もそうだし。」
彼女が自身のことを話すなら、こちらも自分のことを話す。
過去に会ったことがある相手と思っているかは別として、
彼女が話す分には止めようともしなかった。
「…まあ、そーだが。
その……なんだ、俺のせいでお前さんの見る猫全てに容疑がかかると思ったら、なんか申し訳なくなってなあ。」
流石に彼女の過ごしていた世界に、そんな種族がいるとまではわからない。
だが、ここで自分の思うなりの動機を話しておかなければ、
なんか常世に住まう猫に濡れ衣を着せかねない状況だというのは理解していたもので。
「……気にしてないなら、それでいいさ。」
猫はちょっと気恥ずかしそうに、そっぽを向いた。