2021/11/08 のログ
■ルリエル > 「ベッピンサン……美しい人のことを指す、古めの日本語でしたっけ?
まぁ自分が綺麗だっていう自覚はありますけどぉ……改めて言われると照れるかも? ふふふっ♪
あなたも自分でフツウって思ってるだけで意外とイケてる子だったりするかも?
……うん、今はクマさんですけど」
ルリエルを褒めるような言葉に、天使は謙遜することなく屈託ない笑い声をあげる。
……とはいえ、さすがに触りすぎくすぐりすぎ、もとい圧迫しすぎな気もしてきた。
話を聞くに、彼はまだまだ人形作りの途中のようである。ベンチで休憩中だったんだろう。
休ませるどころか疲弊させてしまうようでは彼のためにもならない。
そっと小脇をかかえ、胸の柔肉の下から解放してあげる。膝の上に乗せたまま、くるりとこちらを向かせて。
……それはそれで目の前には圧倒的質量が薄い布地に包まれて鎮座するわけだが、ルリエルは気にすることもなく。
「私に憑依できるなら、クマの身体で作業するよりも効率はよくなるかなって思っただけですよ。
……って。その人形から出る方法もわからないんですか? それは……」
いつ透悟の魂が天使の肉体にお邪魔してきてもいいようにこっそり心構えをしていたルリエル。
しかし、とぼけた顔の人形が拍子抜けのセリフを吐くと、さすがの彼女もポカーンと呆けてしまう。
「……それじゃ、代わりの人形がちゃんと完成しても乗り移れなくないです?」
未だ粗い人型にしか造形できてない土塊を横目でちらりと見て……ぷぷっ、と思わず吹き出してしまう。
「……あははっ♪ ふふっ、トーゴったら面白い子ですね♪
賢いかと思ったらとぼけてみせたり、肝心なところでツメが甘かったり。
もしかして可愛らしい人形に憑依したせいで、考え方も引っ張られてたりしませんか?」
無邪気な顔で膝の上の人形を見下ろし、詰まった笑いを漏らす天使。
悪気はないつもりで、そこそこ刺さる物言いをしてしまっているだろうが、状況が状況だけに止めおけない。
「ふぅ……ご、ごめんなさいね。つい笑っちゃいました。
でもまぁ、魂の移し替えなんて気分の問題もあるかもしれませんしね。
急にオンナの身体に移ってみてって言われても戸惑うのもわかりますし、
渾身の出来の人形ができたら、意外とすんなり乗り移れちゃうのかも。
……ええ。私はトーゴのこと、信じてますよ。あなたは聡明な天才魔術師ですものね?」
ひとしきりの笑いが落ち着くと、ルリエルは元のアルカイックスマイルを取り戻して。
人形を抱き寄せると、むに、と再びその豊満な胸に抱きしめ、すぐ離した。
「さて、お休み中のところお邪魔しちゃってごめんなさいね、トーゴ。
そろそろ帰ろうと思うけど、いいかしら?
……トーゴがどうしても手伝って欲しいって言うなら、少しくらいは手伝ってあげてもいいですけど?」
立ち上がり、未だ温もりの残るベンチにそっと人形を置くルリエル。
深く屈み、鼻先が触れるほどに顔を寄せて別れの挨拶を切り出しつつ、問いかける。
■深見 透悟 > 「そうそう、美人さんって意味
くっ……自覚があると明言したうえで照れるのはズルい……
そ、そんな事ないって。俺なんて。元の世界じゃ『庶民顔』とか散々言われてたし!
……んまあ、今はクマなんだけど」
笑い声から何から何まで言動に品があるようで、天使と言われれば確かに間違いないなと思う透悟
そんな彼女に抱っこされてるのは、結構幸せ者の部類に入るのではと改めて状況を確認し胸を躍らせる
が、そんな事を考えている間にくるりと向きを変えられ、直前まで自分の頭に圧を掛けていた質量と対面する
思わず面食らって怯む透悟。よろろ、と重心が後ろに崩れかける。
「それは……ありがとうルリエルさん。
でもその……ホントに出る方法、まだ試してなくって……」
親切心を無下にしてしまったようでバツが悪い
居心地悪そうにそわそわしていたが、吹き出し笑い出したルリエルの言葉にハッとなる
「そ、それはっ……とりあえず土人形が完成したら抜け出しを試そうと思って……!」
言われる通り、詰めが甘いのは生来の気質
考えてたもん、ホントだもん、と虚勢を張る姿はまだまだ子供のよう
「そ、そんなに笑うなよぉ!
別にクマに引っ張られたりなんてしてまーせん!
そしたら今頃ごろごろしながら蜂蜜三昧してますー!」
少々ムキになって反論する透悟
自分の言う事が正しいなら、肝心なところで抜けてるのは自前という事になるのにも気づいていない
「ぐっ……ぬっ……
そ、そんな風に言うんなら、次会ったときは憑依しちゃうからな!抜け出し方もちゃんと覚えて!
後で嫌だって言っても聞かないかんな!!
そう!俺は天っっ才魔術師だからそれくらい簡単に出来るんだか……!!!!」
ピーピーと騒がしく怒っていたが、ルリエルの胸に抱きしめられれば静かになる
後頭部に感じていたものが顔じゅうを覆い、プチパニックに
呆然としているところをそっとベンチに戻されて
「べ、別に邪魔なんてしてないよルリエルさんは
てか顔が近……うぅ。
て、手伝わなくても良いから、も、もうちょっと居ても良いんだけど!」
接近したルリエルの顔から逃れる様に視線を下ろせば
絵柄モノのTシャツの襟元から柔らかそうな肌色が覗いていて
気恥ずかしさよりちょっとだけ助平心が勝った透悟だった
■ルリエル > 「そう? もう少し居てほしい? ふふっ、意外と寂しがり屋なんですかね、トーゴは……。
まぁ別に家で夜ふかしするのもここで夜ふかしするのも同じですから、居てあげていいですが♪」
そう言うとルリエルは再び、大きいお尻をベンチに下ろす。今度はテディベアを抱えず、その隣に。
ぎし、と木製の座面が鳴る。
「ふふ、でも本当に、油断してたら魂が身体に引っ張られちゃうこともあるかもしれませんよ?
今でこそ稀な話ですけど、神代の頃にはよくあるケースでしたから。
……そういえばこの時代のクマさんはハチミツが大好きなんでしたっけね♪
野生の好みも変わるものなんですねぇ、ふふふ。そういえばハチミツで思い出しましたけど、商店街のぉ……」
――その後、透悟は作業に戻るだろうか、それともルリエルの隣で休憩を続けるだろうか。
どちらにせよ、彼に頼まれた通りにルリエルは話し相手としてしばらくそのベンチに居座り続けていた。
■深見 透悟 > 「わ、悪い!?これでも単身で知り合いが誰も居ない世界に来てるんだから!
……か、風邪ひかないようにね あ、ありがと」
残ることを了承し、隣に腰を下ろしたルリエルを見上げる。
寂しがり屋と言われれば否定はしない。実際そうである自覚はあるから
「そこは重々気を付けるし……魂だけの時はもっといろんなものに引っ張られかけたし
友達にも注意されたから、油断だけはしないようにしてるから!
……この時代って昔は違ったのかぁ。てかルリエルさん昔の野生の熊知ってるの?あ、御使い様だもんな……思ってるよりずっと長生きだったりするのか
それで、商店街の……?」
そのまましばしルリエルとの雑談を休憩と称して過ごし
少ししたら談笑を続けつつも、土人形の作成も再開したりしたのだった
そんな光景がすっかり夜が更けてしまうまで見られたという
ご案内:「常世公園」からルリエルさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から深見 透悟さんが去りました。