2021/11/23 のログ
ご案内:「常世公園」に毒嶋 楽さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から毒嶋 楽さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に毒嶋 楽さんが現れました。
■毒嶋 楽 > 「っ、はぁ~~~~~~~~~………。」
ひとり、公園のベンチに座って溜息を吐く男が居た。
風紀委員の制服をだらしなく着崩し、上着なんかはベンチの背に掛けている。
時折吹く風が長時間のデスクワークで火照った体を心地よく冷やし、男、毒嶋楽は一度手で顔を拭った。
「まあ、前よりは幾分かマシには思えて来たよねぇ、この仕事も。」
時刻は夕方、既に日は沈みかけ。
公園で遊ぶ子供たちは、そろそろ帰り支度を始めようとしている。
そんな光景を眺めながら、楽は目を細めた。
■毒嶋 楽 > 「思えば数奇なもんだよなぁ、人生てのは。
子供の時に異能が発現して、中学出てこの学校入って。
そんで卒業して、就職して、ちょっと下手こいて仕事辞めて、またこの学校来て。
俺ちゃん、普通の人生を普通に進んでたいだけだったんだけどな~……それがそれが。」
ふへぁ、と気の抜けるような吐息を溢し、頬杖をつく様に両手で自分の頬を押さえた。
夕日に照らされていたから、というには少し高過ぎる熱が手の平をじんわりと暖める。
「山も谷も紆余曲折も、無けりゃそれに越した事ぁ無いってのに。
学生やり直してる上に、まーもー、よりにもよってだ。
………人間じゃないものに、恋までする?」
唸りながら目を瞑れば、浮かんでくるのは飄々としながらも整った天使を自称する女性の顔。
頬に当てていた手をそのまま頭に回し、楽は文字通り頭を抱えた。
自然と頬が緩んでしまう。元からヘラヘラしている顔が、ヘラヘラ5割り増しくらいに緩んでしまう。
■毒嶋 楽 > 海釣りでの一件からというもの、平時の思考の何割かは持って行かれてしまっている。
それでまあ、仕事が出来ないほどかと言えばそうではなく、
これまで通りに業務はこなし、残業もし、睡眠時間も削り、目の下の隈も一向に消える気配は無いが。
それでも、どこかおかしいと言うのは周りに伝わってしまうらしく、今日に至るまで『ラクちゃん、何か良い事でもあった?』と聞かれるのが日に数度、毎日あった。
ヘラヘラしてるのが常だと言うのにも関わらず。
「よもやだよなぁ……俺ちゃん、そんな事とは無縁だと思ってたのにサ。
若い子たちが青春してんのを、あーあー若いって良いねえって冷やかしながら過ごして卒業しようと思ってたのに。
う~~~~、あ~~~~~~」
とまあ、仕事の時以外は万事こんな調子なので、『彼女』が居る保健室には中々足を運べていなかった。
いつでも休憩しに来て良い、とは言われてたものの。
■毒嶋 楽 > 「あー、いかんいかん。いかんと分かっていても……うぅ。
みんなこんな気持ち抱えて普段生活したりしてんの?凄くねぇ?
いやまあ、どっかで折り合いは付けてるんだろうけどさ、凄いよな……。」
よいせっと上体を起こして、地面から正面へと顔を向ける。
どうせどこを見ても油断すればぼんやりと想い人の顔が浮かんでくるだけなので、せめて他人から心配されない姿勢を保とうと。
風紀委員がベンチで項垂れてるとか、何かあったのかと要らん心配を掛けることになりかねない。
いやまあ、厳密には楽は風紀ではないけど、それはそれ。
「よーし、よし、よっしゃ、切り替えてこ切り替えてこー。
ひとまず今夜の夕飯何にするかだよな、久々にうどんでも食いに行くかねぇ。
あー、そういやうどんって天使も食うのかな。今度紹介してみても……
………、
………あ゛~~~~~~~っ!!」
切り替え、瞬時に失敗!!
ご案内:「常世公園」に幣美奈穂さんが現れました。
■幣美奈穂 >
休日である。
昨日の激闘での惜敗を糧にしながら、祝日なので常世神社にお手伝いに行った帰り。
暗くなってきた時間を、とてとてと家路にと小走りな美奈穂です。
小走りと言っても、ちょっと遅め?ですけど。
「・・・・・・」
公園を通ると出会うお友達との歩みも楽しいものです。
が!
「なにか、怪しい感じのおじ様がおられます・・」
見つけてしまった不審者。
日が暮れてきておりますので、お顔も服装もはっきりと見えませんが大きい方です。
なにか落ち込んでいたかと思うと大きなお声。
びくっとします。
お友達のうさぎさんと一緒に、木の陰から顔をのぞかせて見張るのです。
そう、美奈穂は風紀委員を4年もやっているベテラン。
犯罪などは未然に防がなくては!
と、身体が半分ぐらい出ているのですが、隠れてるつもりで見張る美奈穂です。
■毒嶋 楽 > 「あー、だめだめ。とりあえず腹に何か入れて仕事に戻るかぁ。
こういう時は美味いもん食って頭空っぽにして業務に没頭するに限るわ……」
実際ここ数日寝落ち寸前まで残業するのを繰り返してきた楽である。
あまりに働き過ぎるものだから、『どうにかしてラクちゃんを休ませる会』まで立ち上げられ掛けた。未然に気付いて事なきを得たが。
なにか仕事以外にも熱中できる趣味などあれば良かったのだろうが、趣味らしい趣味も持ち合わせていない。
「さてそうと決まれば閉まる前に二天一行って……と?
何だあれ。おぉい、何をしてるのかなそんなとこで、もう暗くなるの早いんだから、さっさとおうちに帰んなさい。」
ベンチから腰を上げて、上着を羽織る。
さて歩き出そうとした矢先、こちらを窺う不審な子供を見つける。
一応風紀委員に詰めてる立場上、指導がてら声を掛けた。
■幣美奈穂 >
こういう、張り込みのお仕事も何度か体験しています。
(美奈穂の中では)もうベテランなのです。
ただ心配なのは、張り込みの時に必須のアンパンと牛乳がないことですが――。
きゅぃっ
冬毛に代わりふわふわしたうさぎさんも、真似してるのか、一緒になって覗いているのです。
今日の美奈穂の相棒と言えるかもしれません。
張り込みとかなら相棒も大事です。
「何かお話しされてますわね・・あっ、立ち上がりましたわ!」
良く聞こえないので、もう少し身を乗り出してしまうのですけど。
追いかけなくちゃ!
とか思うのですが・・こっちを見て、お声が!
ささっと隠れるつもりの美奈穂、巫女服も袖が隠れてません。
あっ、うさぎさんも隠れませんと、と。
しゃがんでお顔を見せて抱き上げましてから、また木の後ろに。
――5秒もすれば、またそぉ~っとという感じで顔をのぞかせるのです。
「風紀委員ですのっ。
こ、ここは包囲されておりますの!
無駄な抵抗はやめまして、大人しく縛につくのですわっ」
ちょっと震えているお声。
まさか、あの大きなおじ様も風紀委員だとは思わずに、そんなお言葉です。
包囲、美奈穂+腕の中のうさぎさん一羽。
■毒嶋 楽 > 「ああ、そういう―――
なるほど、風紀のお仲間さんってわけだ。」
なら別段口を出すことも無いか、と羽織った上着に袖を通しながら一人合点がいって。
何故か警告を受けているが、向こうは同じ風紀委員に場違いな発言をしているのに気付いているのだろうか、と訝しむ。
しかし、まあ部署が違えばこういう誤解もあるか、と訝しむことさえも納得の末に止めた。
「うーん、でもまあ余計なお世話で口を出すなら……。
そうだなぁ、その観察力の無さは子供だからで片付けられちゃいけない類の落ち度だよねぇ。
風紀を名乗るんならサ、ちゃんと責任も背負わないと。」
へらり、と締まり無い笑みを浮かべて警告してきた風紀委員の少女へと声を掛ける。
■幣美奈穂 >
――暗がりでごそごそ。
怪しいのです!
いえ、たんに上着を着ているだけなのですが、日が沈むのが早い季節です。
「――風紀委員さんなのですか?」
首をちょこりと傾げさせます。
赤い服装、暮れて灯りが乏しいと黒々と見えてしまうのです。
お目めをぱちくりっ。
「こんなところで、ぶつぶついったり大きなため息つきましたり。
大きなお声を出すなんて怪しいのです!」
きりっ、としたお顔のつもりです。
でも基本怖がりなので、ささっときに隠れましてから、幹の逆側からお顔を出すのです。
「わたくし、きちんと見えてますの!
あっ、風紀委員なら、風紀委員会の歌、歌ってくださいませ!
それとも・・あっ、そうですわ!
受付のお姉様で、どなたが好きですかしら?」
風紀委員のだーれも覚えてないような歌です。
受付のお姉様がたのお名前や風貌容姿があっていれば、本局に訪れている方なのでしょう。
一番簡単なのは、腕章とか服装をきちんと確かめる事ですが。
そんな美奈穂は、プライベートでもお仕事でも、巫女服姿なのですけど。
■毒嶋 楽 > 「まあ怪しまれたりするのは割と慣れっこだけどねぇ俺ちゃん。
あんまりへらへらしてるもんだから、何か企んでんじゃないかって。酷いよなぁ。
ま、それはそれ。今回はちょっと……あからさまで傷つくね。
その理屈だと、外で演技練習してる演劇部とか不審者集団になっちゃうでしょ。」
まったくもう、と小さく息を吐きながら肩を竦める。
仕事熱心なのは感心だけど、と呟いて苦笑を浮かべて。
ここで問答していても、日は沈んで寒さは増してくるし、お互いに良い事なんて一つも無いだろう。
「だからまあ、ごめんねぇ。
疑うなら本部でも行って、ぶすじまらく、で調べてみて。
何かしら出てくるはずだから、サ。」
うーん、この場合教育不行き届きで報告すべきだろうか。
そんな事を考えながら、さっさとその場を立ち去ろうとする楽である。
急がないと行きつけのうどん屋さん閉まっちゃうし。
■幣美奈穂 >
「えっ、えぇえ~?
そんなの、慣れちゃダメなのです!
ほら、自信を持ってくださいませ!
大きく深呼吸をしまして、背筋伸ばして、ぴ~んと・・・あぅ・・ごめんなさい・・」
あわわっ、おじ様は何やら落ち込んでいるご様子。
慌ててフォローっぽくいうのですが、傷付いた、というお言葉に、しゅんっとなってしまうのです。
「あ~・・前に、白い全身タイツで練習されていた時は。
わたくし、注意しましたの!」
やっぱり、不審者に見えますわよね~?
と、なんか間違った方向で共感してしまったのです。
「まらくおじ様・・とおっしゃいますの?
あっ、わたくしはミテグラって言います!」
お名前を聞いてしまえば、素直に自分のお名前も伝えてしまいます。
本当に、怪しいおじ様ではないのかしら、と。
うさぎさんを抱えたまま、そろりと木の後ろから出てくるのです。