2021/12/24 のログ
ノア >  
「……」

笑うマヨはまるで惚気話でもしているかのように気分よさげで。
マヤが人を殺める事を忌避している事が知れたのは一つの収穫だった。
咎められたとしてもマヨがマヤの為ならその力を振るってくるであろうという事も同様だ。

「あのおっさんナンパなんかしてたのか……
 いや、仕事なもんでね。あんたはゆっくり寝てくれ」
 
なんなら暫く起きないでくれると助かる。
彼女が起きるという事は、マヤの身にヨクナイ事が起きているという事でもあるのだろうから。

紅龍の事についてキラキラした目で聞いて来たり、猫のように遊んで疲れたら寝ると言ったり。
まるで子供のようで、どこか安心してしまう。

「……要らねぇんだけど」

落ちるよりも先に器用に指先でそっと掴んだ袋は投げられた気軽さに反して重く。
はずみで顔を見せた紙幣を見るとげんなりとした顔もするというもの。

「まぁ、形の上で黙らせたって事にしてくれると動きやすくて助かるし良いか。
 大々的にばらして回ったりするような真似は元からしないっての。
 アンタとマヤちゃんの両方にとって不都合だろ、んな事したら。

 奇遇だな、俺も探偵って職業嫌いなんだよ。
 ――起きた後にしか何も解決出来ねぇんじゃ、誰も救えねぇだろ」

家主に黙って犬を飼って怒られた名探偵と一緒にされると、それには苦笑して。
疲れたような足取りを見るとその背中に一言おやすみと、聞こえるかどうかも知れない声で呟く。

ノア > 「……いや、これどうすんだよ」

去り行く背中を見送って、黒いケースの中身を開けて一人呟く。
既に日も落ち切って、子供たちの姿も無く。

「渡されたって金の使い道なんて困るだけなんだよ」

言いつつ、思いついた使い道として女子寮の住所宛てに一つ配送物を注文しながら。

差し出し人名義にサンタクロースと設定した小包み。
クリスマスの晩に届くであろう赤と黒のストライプのマフラーが、
受け取られるかどうかは分からない。

不審物やゴミの類として消えるならそれでもいい。

ただ、良い子か悪い子かは知らないが、良い子であろうとしているマヤに
プレゼントくらい届いても悪い事では無いだろう。

「……マフラー1個でアンプルと同じ金額とか、どうなってんだこのブランド」

ため息交じりにぼそりと呟き、街の中へと探偵は姿を消した。

ご案内:「常世公園」から藤白 真夜さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からノアさんが去りました。
ご案内:「常世公園」にノアさんが現れました。
ご案内:「常世公園」からノアさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > 斬奪怪盗ダスクスレイとの美術館での激闘からはや数日。
左腕切断、右腕の筋肉断裂と骨折と神経損傷、全身あちこちに火傷、胴体に深い裂傷、と重傷で病院に担ぎ込まれたが。

「――大人しくあんな辛気臭い場所に居るのは性に合わねーっつーの。」

見事に脱走していた。――まぁ、第一級監視対象には常に何らかの監視の目がある。
どうせ、数時間もすれば居場所もバレて病院へ強制連行しにでも来るだろう。
で、それまでの猶予時間の間に私服姿で街を適当にうろついていたが…やたら賑わってお祭ムードだったが。

「クリスマス――ねぇ?そういや、そんなもんもあったなぁ。」

正規学生になって既に3年以上経過するが、正直殆ど関心が無かった――今もそれはあまり変わらない。
で、そんなお祭ムードを他所にこうして常世公園のベンチで、ブラックの缶コーヒー片手に管を巻いている訳だ。

追影切人 > 「しっかし、あの野郎――土壇場で覚醒とかしやがって。」

ぼやきながら、”左手で持った”缶コーヒーを口元に運んで。
そう、左手…切断されたはずの左腕である。
何でピンピンしているのかといえば、単純に”くっついた”としか言い様がない。

勿論、男には再生能力の類は一切無い。怪異化しかけている腕だからこその芸当だろうか。
それに比べ、まだ人間のままの右腕は普通に包帯とギプスでがっちり固定され殆ど動かせない。

「――怪異化に助けられてるっつーのが腹立つが…まぁ、いいか。」

やや半眼の色違いの双眸で左腕を眺めつつ。包帯の下は相変わらず例の黒い封印布が巻かれている。

ご案内:「常世公園」にシャンティさんが現れました。
シャンティ > 『ベンチに座った男は、包帯に包まれた左の怪腕で持った缶コーヒーをすする。「――」小さく、ぼやく』

「……へ、ぇ?」

公園の外。ややベンチより離れた場所に佇む女は、小さく謳うように唱えて……薄く、笑う。


「……ふふ。」

ゆったりと歩き、ベンチまで迷わず進んで……件の男に近づく。

「……こぉ、ん、にち、はぁ……? あ、ら……あな、た、けが人、さん……?」

のんびりと声をかけた。

追影切人 > 「……あ?……まぁ、見ての通り普通に怪我人だがよ?ついでに言えば病院を脱走中。」

声を掛けられるまで気付かなかった。
気が抜けていたのか、別の事に意識が向いていたせいだろうか?
だが、のんびりと声を掛けてきた女を色違いの双眸で胡乱げに眺めつつも返事は返す。

(つーか、何だこの女。…癖があるっつーか独特の喋り方だな)

彼女のような喋り方をする知り合いは皆無の為、自然とそちらへも関心が向くけれど。
銀髪に褐色の肌―――虚ろな目。目に光がないというか焦点が合っていない様にも感じるが。

「…んで?街中は今、クリスマスで盛り上がってんだろ?オマエはそっち参加しねーの?」

初対面の相手にオマエ呼ばわりは失礼かもしれないが、男は基本的に誰に対してもタメ口だ。

シャンティ > 男は胡乱な目をして、ぶっきらぼうに言葉を返す。それも、だいぶ普通とは違う内容で。

「あ、は……いい、のぉ? そぉ、んな、こと、してぇ……ふふ。良い、わけ……ない、わ、よねぇ……なぁ、に? 退屈、だった、のぉ?」

くすくすと笑いながら聞く。


「盛る……ねぇ。ま、ぁ……たし、か、にぃ……そう、い、う……こと、多い、みたい、だ、けれ、どぉ」

人差し指を唇にあて、少し考える。

「今、の……とこ、ろ……おさ、そい、は……ない、しぃ……ね? そう、いう……貴方、も。その、口、で、しょ、う? 入院、して、た、のに、逃げる、なん、てぇ……イ、イ、ヒ、ト――いれ、ば、しない、わ、よねぇ?」

くすくすと面白そうに笑う。

「まさ、か……すね、て、るぅ……?」

追影切人 > 「そりゃ良い訳ねーだろ、遅かれ早かれそのうち見つかって連れ戻されるだろーよ。
…それに、退屈なんざ何時もの事だ。まぁ、ちょいと前に刺激的な事もあるにゃあったが。
それも不完全燃焼になったら、余計に退屈な気分にもならぁな。」

具体的な内容こそ口に出さないが、そこ以外は特に誤魔化しも包み隠しも無い。
嘘や欺瞞、虚構といったものは脆い。なら最初からそんなモノは使わなければいい。

「あぁ?オマエ、普通に美人?ぽいし、お誘いとかあんじゃねーの?」

と、クリスマスだとはいえ些か下世話な話題になりかけるが、この男に下心なんてモノは欠片も無い。
ただ、単純明快に見た目は悪く無さそうなこの女にお誘いが無いのが疑問に思えただけ。

「つーか、良い人なつもりもねーよ別に。どっちかっつーと悪党の方が近いわ。」

ハッ!と笑いながら手持ち無沙汰に左手の缶コーヒーを緩く手で弄び。
彼女が面白そうに笑って揶揄ってくるが、僅かにパチパチと瞬きをしてから、

「いや、別に?つーか、良い人とか俺に出来る訳ねーし、特に欲しいと思った事もねーわ。」

強がりでも何でもなく。そういう人間はこの『凶刃』には存在しないのだから。
だから、拗ねる――といった事がそもそも無い訳で。

シャンティ > 「あら……やっぱ、りぃ……? ふふ。じゃ、あ……通報、とか。した、方、が……いい、の、かし、ら、ねぇ……?なん、て……」

その気もなさそうに、笑いながらのんびりと口にする。


「それ、に……して、もぉ……刺激、的な、こと、ねぇ……? そう……きっと、その、怪我も、そのせい、か、しら……ね、え。へぇ……?」

人差し指を再び、唇に当てて考えながら口にする。


「それ、が、ねぇ……ない、の、よ、ねぇ? 朴念仁、なの、か……それ、とも、奥手、なの、か。それ、とも……他に、いい人、が、いる、のか……実は、興味、ない、のか。ふふ。オトコノコって、案外、難、しい、わ、ね?」

じっと、まるで焦点の合わない目が奇妙に覗き込むようにして男を写す


「あな、た……は。興味、ない、方……みた、い、ね? おもい、しろい、わぁ……ふふ。じゃ、あ……なに、に……ご執心、なの、か…… おもし、ろい、から。じゃ、あ……すこ、し、だけ……サービス、ね?」

そういうと、女は、何事か、小さくつぶやく。それとともに、光の粒のようなものが周りに溢れる。しかし、その光は奇妙なことに影を生み出さない、不思議な光だった。

追影切人 > 「通報するのは別に構わねーが、どのみち俺の居場所っつーか現在地なんてとっくに割れてるだろうからな。
単純に遅いか早いかの違いでしかねーよ。」

肩を竦めて。連行されるのは最初から分かりきった上で脱走したのだ。
理由なんてシンプルだ――病院は退屈で辛気臭い。ああいう空気は苦手な部類だ。

「まーな。最終的に『引き分け』になったが、俺からすりゃ『負け』だわ。
…ま、勝ち負けなんざどーでもいいんだが。」

この手で斬れなかった――斬り殺しきれなかったのが悔しいといえば悔しい。
勝ち負けは本当にどうでもいいのだ――ただ、俺は目の前の全てを斬るだけなのだから。

「そもそも、俺はそっち方面疎いから奥手とか以前の問題なんだがな。
つーか、男より女心?ってやつの方が複雑怪奇って周りの奴らはよく言ってるが?」

実際、女心なんてサッパリ分からんけれど。そもそも理解できるかも己には怪しい。
ふと、焦点の合わぬ瞳がまるで”見えている”ようにこちらを覗き込む。

「――はぁ?サービスだぁ?オマエは一体何を言って…何だこりゃ?」

女の言葉に意味不明、とばかりに問い返すも彼女が何事かを呟き始めれば。
突如、周囲に現れる光の粒子。一番妙なのは、その光は周囲に影を映していない事だ。
その意味まではさっぱりだが、そこに気付けはしたのか益々怪訝そうに。

(なんだ、こういう女はミステリアスっていうヤツなのか?さっぱりわかんね。)

とはいえ、彼女が何をしているのか分からないのでこちらとしては出方を見るしかない。