2022/01/07 のログ
ご案内:「常世公園」に藤崎 藤香さんが現れました。
■藤崎 藤香 > クリスマス:ケーキ屋でアルバイト、しかしバイト代が土壇場でケーキの現物支給になった。
大晦日:引っ越し屋でアルバイト、しかし段ボール箱の中から死体が見つかり風紀に通報する騒ぎ。
新年:神社でアルバイト。御神籤から大凶しか出ないと謎のクレームを貰う。
「……な~んか微妙にツイてないんだよな。お祓いでも行っとくかあ?」
年が明けて早数日。寒空鮮やかな下で行われる蚤の市にてそんなことを思う。
ちなみに今日はアルバイトじゃなくて単なる物見遊山。
■藤崎 藤香 > フリーマーケットは面白い。
よくわからないものが多々見受けられるのが良い。
多分に胡散臭い品々は良く言えばロマンチックだ。
「これとか中々イケてそうなんだよな……」
雑踏の中で立ち止まり眺めるのは全長1mくらいで木彫りの……なんか動物だ。
獣と言えば獣で魚と言えば魚で鳥と言えば鳥だ。
玄関に飾ると良い味がしそうで、けれども今住んでいるアパートの間取りを思うと頭を振る。
買って実家に送り付ける訳にもいかねえ。
『安くしとくよ。買わない?』
樹木から手足が生えて服を着たような異世界人の店主の誘いを愛想笑いで断って次の店へ。
■藤崎 藤香 > 「…………いや誰が買うんだよこれ」
次に目に留まったのは自動販売機だ。
"自動販売機そのものが売られているのだ"。
買った所で勝手に置いていいのか?とあたしなんぞは思うのだが、そんな事を立ち止まって考えていると。
『今なら安くしとくよ!自動販売機だけに自動で歩くよ!』
人の好さそうな店主の青年(とりあえず普通の地球人に見える)が爽やかな声で話しかけてくる。
聞けば設置すると色々決まりがアレでソレだから、自立歩行させることで解決を試みた意欲作とのこと。
ハンドメイドで作られた仕上がりは、なるほど結構センスがいいじゃんと頷くところでもあるんだが──
「いや、ちょっとその値段は無理っすわ」
流石にお値段が6桁を超えたら無理だった。
店主の健闘を祈りつつ次の店へ。
ご案内:「常世公園」に白銀 隼人さんが現れました。
■白銀 隼人 > こんな寒い中、フリーマーケットをやるなんて気が触れている
そんなことを思う、青年が1人。
レジャーシートを広げて、やる気なさげに声を出す。
「安いよ安いよ~」
目つきは鋭く、開いた口から見える歯はノコギリのようにギザギザしていて
声色も低く、明らかに人を遠ざけるような表情をしている。
売っている者も『加速ブーツ』や『加速グローブ』とか、頭に『加速』が付いているものばかり
当然、そんな危なっかしいもの誰も買うはずもなく、誰も立ち止まらず、不審そうな目を向けて通り過ぎていく。
「そこの巨乳のおねーさん、見ていかない?」
女性にしては身長の高い彼女に声を掛ける。
メッシュのお姉さんとか、黒髪のお姉さんとか、色々言い方はあっただろうに
こういう所が人を遠ざけている要因だろうか
■藤崎 藤香 > フリーマーケットに並ぶのは何も雑貨ばかりじゃない。
人の集まりを当て込んだ食べ物関係の出店やらキッチンカーなんかも出揃っている。
「しかしまあなんでもあるよなあ……」
カレーの良い香りが漂う辺り、何処かにカレー屋でも来ているに違いない。
冬空の下で食べる熱々の激辛カレー。中々の惹句だと頷くが、カレー屋が辛口である保証は無い。
勝手に期待して甘口だったらカレー屋も災難だよな。
なんて与太な事を考えながら歩いていると、随分と直球な言葉が飛んできて思わず視線がそっちに向く。
「……いや、まあ確かにその通りだけどよ。随分剛速球っつか、アクセル全開な声の掛け方じゃね?」
こういうことを歯に衣着せぬ。なんて言うんだろうか?
見ると声の主は衣を着せたら引き裂きそうな歯並びの青年だ。
口を閉じてたら結構な美形で通りそうな、そういった印象だ。
「でお兄さんは何売って……なにこの加速ブーツとか加速グローブとか」
ブーツは何となく足が速くなんのか?とかは思うがそれはそれだ。
目線を合わせるようにしゃがみ込んで不躾に商品を指でつつきながらに訊ねてみた。
■白銀 隼人 > キッチンカーの匂いを嗅いで、腹減ったと口にする。
が、何かを買おうにも金欠の状態。
今回、このフリーマーケットで珍品を売りさばいているのも『加速研究会』…もとい、自分の生活資金調達のためだ。
いっそ、誰にも見られないスピードで盗っちまうか?なんて考えつつも
タイプの女性が足を止めてくれたことに驚いて、口を三日月の形にして
「ククク、いーじゃねェか?アクセル全開、フルスロットル。
下手に遠回しに行くより速攻直球の方が爽快感があるだろ?」
アクセル全開、という言葉を聞いて嬉しそうに笑う。
実際、青年の顔の造形は良い。がこの言葉遣いや雰囲気のせいで人は中々寄り付かない。
本人もそのことを自覚してか、敢えて取り繕うような『遠回り』なことはしない。
「オウ、スピードこそ命。
徒競走で一着になりたくねェかい?
嫌いなアイツをバレないスピードでぶん殴りたくねェか?
そんなときはこいつらよ。
まぁ、金さえくれれば、後者は俺がやるんだけどな」
ニシシと笑いながら、人差し指と親指で丸を作る。
加速ブーツもグローブも、金属で構成されていてバイクのマフラーのようなパイプが突き出ている。
到底、目の前の彼が作ったとは思えない作品だが、果たしてこれらの商品で彼女の気を引けるだろうか
■藤崎 藤香 > 三日月のように店主が笑うと特徴的な剣のような歯列は何処となくサメを思わせた。
夜道であったら吸血鬼にも見えそうで、それは結構オカルトチックだな。などとも思う。
「回りくどくて何が言いたいのかわかんねえ~ってよりはよっぽどいーけどよぉ。
今時結構ほら、なんつーの、喧しい所は喧しいから気を付けたほうがいいぜ?」
例えば角の生えた異世界人、或いは角の生える異能の地球人を指して「角の人」なんて呼んだら結構面倒だ。
「ほら、エルフを耳長とかドワーフをチビとかさ。下手したら学園生活が速攻通り越してマッハで終わ……
いや徒競走で履いたら怒られるんじゃねえかなあこれ!?」
余計なお世話と言ったらごもっとな事を一応注釈しかかって、次には商品説明に思わずツッコミが入った。
空を切る手刀のジェスチャーも添えておく。
「あと殴ったらダメだろ殴ったら……いやまあでもモノに罪は無いよな。
特にブーツは場合によっちゃ便利そうだし。ほら、追いかけられた時とか」
オカルトスポットに突撃配信したら現地にオカルトと程遠き不良の皆様がいらっしゃいやがった。
なんてことはままあるもので、そういう時の逃走用には便利そうに見える。
「見た目は金属製の機械仕掛けって感じだけど、動力源は何で動いてんの?」
流石に手に取って持ち上げるくらいは良いだろう。そう思ってひょいと手にして眺めてみよう。
異能はカットし、重さなんかも要チェック。
■白銀 隼人 > 自分がサメだの吸血鬼だのと思われているとは知らずに
歯を見せて笑いながら、目の前の女性の発言を聞いて、更に笑みを深める。
「あん?あァ、クク、心配ご無用だよ。
そーいうヘマをする奴は総じて走るのが下手クソな野郎達だよ
長く、速く走るためにはそういう壁を回避する技術を磨かねェとなァ~」
少女の言葉を聞いて、笑いながら答える。
所謂、相手が嫌がったりする言葉は無暗に選ばないようにしている。
ルート選択はレースの重要項目だ。それを見極める技術も、彼はある程度持っている
「ん?勝つために使える手札は使うべきだろ?
あと、ムカつく奴は殴って当然だ。ムカつく行動する方が悪いんだからな」
まるで少女が間違っていることを言っているような口ぶりで首を傾げる。
異能という存在のせいで理不尽な能力格差の生まれているこの島。
勝つために手段を選んでいたら、置いていかれてしまう。それとはそれとして、殴ることに関しては極論過ぎるが。
「追いかけられることあんのかアンタ…
んなら、その時はお姫様抱っこして俺が足になってやろーか?
動力源?わかんね、ガソリンじゃねェ?」」
追いかけられた時、と聞いて、冗談交じりに告げる。
正直、速さで誰かに負ける気はしない。そして動力源に関しては知らんと言って頭を掻く。
少女がそれを持ち上げれば、ずっしりとした重みがあるだろうが、持ち上げられないほどの重さではなく
よく観察すればスイッチやパカパカと開く給油口が確認できるだろうか
■藤崎 藤香 > 愉快そうに笑う彼の言葉を聞くとチキンレースを連想した。
ギリギリを攻めて攻めすぎると崖下に転落する──なんて前時代的なヤンキーコミックによくある奴だ。
イマドキに言うならリスクジャンキーって奴か?と店主を見る目は些か訝し気にもなった。
「いや流石に徒競走のルール違反は不味いっしょ。
異能でも科学でもなんでもオッケー!なレギュなら別だけどさ。
あと暴力はまじいって暴力は。これも相手が襲ってきたら別だけどさ~」
首を傾げる様子を見て、もしや異世界から来た人なんだろうか?と思いもする。
思いもするが一般論的に暴力が罷り通るのは早々無いだろ。と一先ずピースフルな提案をしておきたい。
「そうそうあとは追いかけられたりした。とかさ。たま~にあんのよ。
あたしオカルト研究会に居っからさ、時々動画投稿サイトに配信とかしてるわけ。
ってあたしをお姫様抱っこは無理っしょ!結構体重あるぜ?」
ブーツを矯めつ眇めつ眺めながらに人差し指で宙に体重を示す72と描いてみせる。
動力源がわかんねえと喋りながらに頭を掻く様子からは、あまり逞しそうな印象は窺えない。
「で、売り物の仕組みがわかんねーってのがおっかなすぎるだろ……」
燃料は多分ガソリン……ガソリンなのかこれ……凄い仕組みだなあどうなってんだ……
ちなみに値段とかはどんなもん?」
ともあれ、実際の様々は別としても玄関に置くインテリアとしてはそう悪くもなさそうだ。
すっくと立ちあがってポケットから財布を取り出し問うてみる。
■白銀 隼人 > ククク、と嗤いを絶やさずに少女を見据える。
チキンレースやリスク上等。刺激を追い求める彼はそういう事は大歓迎なのだ
ただ、相手が居ないため、最近はつまらない日々を送っている。
「普通の徒競走はそーいうモンなのかねェ~…つまんねェな
なんでもありのレギュレーションが俺には合ってるかもしんないわ
んなァ、わーッたよ。暴力はダメね」
頭を掻いて、バツが悪そうに頷く。
正直、彼の感性は異世界から来た人々に近しい何かがあるだろうか。
平穏より混沌、静寂より狂騒、それが大好きな彼だが…最近では優しい男がモテると思い出して暴力は抑えるよう言っておく。
「オカルトォ?んだよ、この島の存在自体がオカルトみたいなのに、何追っかけてんだよ?
つーか、アンタ、一応レディなんだから自分で体重あるとか言うなよ…」
ジーっと目を細めながら、少女を見据える。
72という数字に、そんくらい持ち上げられる、と口をとんがらせて言う。
確かに着やせするタイプで細くみられがちだが異能の兼ね合いもあって、そのくらいならお姫様抱っこして素早く動くことは可能だ。
「あァ、俺が作ったもんじゃねェしなァ、親切なオトモダチがくれたもんでよ。
値段、どうしよ。いくらがいい?」
実際はこれも盗ったものだが、話がこじれるのを回避するために適当に誤魔化して
財布を取り出す様子を見て、驚いたような表情をした後に問いかける。
正直、何かオッサンとかが買いに来たならひたすら高値で売りつけるつもりだったが、実際目の前にいるのはお団子が可愛い巨乳の女性だ。
タイプの女性だし、と考えて、逆にいくらがいいのか聞いてみる。
■藤崎 藤香 > 「そりゃ普通はそうっしょ。例えば滅茶苦茶早く走れる異能。
なんて持ってる奴がいたら徒競走の考課表やら成績表は花丸だらけだし
物体の重さを無視できる異能。なんて奴がいたら重量挙げの選手権は立ち行かないっしょ」
便利だけどそういう所を考えると不便でもあるよな。とバツが悪そうな彼に苦笑してみせる。
実際、後者の例は自分であって、その実アルバイトなどに便利に使っているのだがそれはそれだ。
「そうそ、ワイルド系男子がモテる時代じゃねーってこと。
あとオカルトが流行る時代でもねーってのも解ってるけど……
なんつーの、ほら、大変容前の古~い雑誌とか映像媒体とか見てっと結構おもしれえのよ。
未知の魅力っつーか"なんだかわかんねえ"ってあたしは好きでさ」
今はオカルトについて熱弁し、ポケットから携帯端末を取り出すと動画投稿サイトなどを開き、
オカルト研究会のチャンネルなどを見せてみる。体重について言及することには、猫みたいに笑っておく。
「ほら結構閲覧数とかいいねの数とか多いじゃん?
こういうのもこの島じゃ活動として認められて単位貰えるからさ、一石二鳥ってわけ。
んで別に職人が居る……いや値段こっちが決めていいのか?」
もっとも値段を逆に問い返されるとそんな笑いは消えちまうんだが。
モノ自体はインテリアにもなりそう(※あたし目線)な代物だし履物ってのは値段が結構響くもんだ。
暫し悩むと財布から二万円分の紙幣を出して差し出そう。
「んじゃ折角だし19800とかでどう?」
機械部品の分とか考えても結構逆ボッタクリな気がしなくもない。
しなくも無いが、それはそれ、これはこれ。お金は大事だ。いつの時代も。
■白銀 隼人 > 「ん~…釈然としねェなァ…
それなら、才能持ってる奴の方が損してねェか?」
釈然としない様子で苦笑いする少女をチラッと見る。
何故、自分の能力を抑える必要があるのか。自分の能力を発揮して成績表を花丸だらけにすることの何が悪いのか
イマイチ、一般人と感性がズレている彼は理解できずに頭を抱える。
「クク、なら今のトレンドは草食系か?俺も眼鏡でもしてみようかね
あー何だ。アレか、『ロマン』、って奴?
異能も何もなかった時代にそういうのを追い求める精神って奴に惹かれてる、的な?」
クイっと眼鏡を上げる動作をしつつ、オカルトについて熱弁する様子に若干引きつつも
なんとか理解しようとそれっぽい言葉を並べてみて。チャンネルを見せられれば、せっかくだしチャンネル登録しとく、と告げる。
そして、急に猫みたいな笑い声をあげる様子に目を丸くして
「んだよアンタ、インフルエンサーかよ!
俺も出してくれや。可愛い女の子にワーキャー言われながらバズらせてやッからよ?
あァ、お前可愛いしな」
閲覧数やいいねの数を見れば、目を大きくさせて、身を乗り出す。
そして、またもギザギザの歯を出してニヤリと笑い、下心を隠さずに自信満々な様子で胸を張る。
値段に関しても直球で、オカルト好きの少女に対して素直に思ったことを告げる。
「いちま…!い、良いのか!?」
てっきり、1500円くらいかと思ってたら、2枚の1万円紙幣が出てきて茫然。
直後、目をキラキラさせて、顔を近づけながら問いかける。
■藤崎 藤香 > 「時と場合によるってこと。例えばさっきの話で言うならさ、
滅茶苦茶早く走れる奴は乗り物とか使えねえ時に助かるだろうし、
この島で言うなら風紀委員とかなら重宝するじゃん?
交通課とかで違反車両追いかけたりとか」
紙幣をひらひらと振りながら一応の持論を述べてみる。
頭を抱えるところを見るに何か悩みでもあんのかな?とは思うが一先ずはそっとして……
あ、顔を上げたら眼鏡仕草なんてしてやがる。思わずちょっと吹き出しそうになった。
「草食系=眼鏡ってのも極端すぎねえ~?それだとオカルト好きのあたしはあれか。
髪の毛三つ編みにでもしてゴシックな服でも着ればいいか?」
ロマンの行方について、大体そんなもんだと笑いながらに言っておく。
「いやいやあたしがインフルエンサーって訳じゃねーって、常世学園のオカルト研究会がって話よ。
ほら、あたし以外にも配信したりしてるのいるしーって動機がロマンの欠片もねえな!?」
即物的。もとい剛速球な出演動機だった。
カワイイ。なんて言われると些か、いや、大分なんてコメントしたらいいか悩むもんで
視線が左右に泳いだりもする。
「あー……いや褒めても代金は増えないかんな。
あたしみたいな目付きのわりぃのより可愛いのいるだろ。
で、代金について折り合いがついたなら結構!よし、商談成立だな!」
一方で視線を輝かせる相手には紙幣をガッシリ握らせて取引成立超特急だ。
然るにいそいそとポケットからビニール袋を取り出すと、靴をつめこもう。
「あ、そうだ。兄さん名前なんてーの。この島にいるってこた学生っしょ?
あたし一年の藤崎。藤崎藤香。藤の香りって書いて"とうか"ね」
後はカレーでも食べて帰ろう。なんて所で去り際に名前の一つも問うてみる。
袖触れ合うもなんとやら。とは昔の人も言ったそうだし。
■白銀 隼人 > 「あァ、そういう事?
……遅い車を追いかけるのはシュミじゃねェなァ~~」
ひらひらと揺れる紙幣を目で追いながら、未だに釈然としない様子ではあるが何とか納得しようと努力する。
しかし、尚も頭は抱えており、車を追いかける仕事もつまらなそうと思考する。
吹き出しそうな様子を見れば、ニヤニヤしながらさらにククイッと仕草を重ねて。
「物は試しって言うだろ?今度伊達眼鏡かけてきてやるよ?
オウ!クク、それもアンタなら似合うんじゃねェの?」
まるで次に会う約束をしているかのように自信満々に告げて
彼女の三つ編みゴシックも似合いそうだと、両手の親指と人差し指でフレームを作り出し
その中に彼女を収めて、片目で覗いてみて
「オカルト研究会ってそんなに人気あんのか…
クハハハ!良いだろうが!
もしかしたら、オカルト研究会の知名度が増えて、活動範囲や資金が増えるかもしんねェぞ?」
剛速球な提案に対するツッコミを笑いながら吹き飛ばして、オカルト研究会側へのメリットも提示してみる。
そして、目が左右に泳ぐ様子になれていないんだなっと勝手に解釈。
クスクス笑いながら、うろたえる様子を観察する。
「自分の魅力に気付いてないねェ~お嬢チャン
今の時代、アンタみたいな目付き悪い系女子がモテんだよ
オウよ。取引アリガトーな、話が速ェのは助かるぜ」
紙幣をガッチリと握りしめれば、ピンと2枚の100円玉を弾く。
それは放物線を描いて、少女の手のひらへ。
「藤崎藤香、ね。覚えとくぜ、トーカちゃん。
白銀 隼人。3年だ。シロガネ…はいっか、この説明は」
自分も漢字の説明をしようと思ったがやめて
頬を掻きながら自己紹介を軽く済ませる。
■藤崎 藤香 > 「あはは、例え話だってば。それともまさか、兄さんそういう異能だったりする?」
偶然の一致であるならば出木過ぎる話である種オカルトチックだな。と思考が俯瞰し消えていく。
「んじゃあ次会う時は伊達眼鏡で……
いやあたしはそういう恰好はしねえって。サイズがねーのよサイズが」
次に思うは寂しい話だ。
可愛いフリルのお洋服が似合う体型でもなければ服も無い。それこそ靴のサイズも女物ではロクに無い。
今しがた買った靴は幸いサイズは合いそうだけれど、自信満々な相手に対しては肩を竦めるばかりだ。
「そりゃ島外の連中も見てるわけだしさ。この島、世界有数のビックリ存在だらけだし。
一応誰でもオッケーだし、機会があればそういうのも悪くないかもな」
それこそ相手にゴシックな男物の衣装でも着せた方が似合いそうだが口にはすまい。
何だか揶揄われた気もするし、不満そうに唇だって尖らせもしよう。
「どんな時代だよどんな。でもまあいいや。三年のシロガネ先輩な。
って先輩かよ!一応敬語とか使うべきか……じゃ、商売頑張ってくださいね、せーんぱい♡」
けれどもまあ、最後には大層意地の悪い顔で取り繕った甘えた声で揶揄い返してやりもする。
あたしはやられたらやり返す女だからな。
ご案内:「常世公園」から藤崎 藤香さんが去りました。
■白銀 隼人 > 「クク、ま、そうだな。
『そういう異能』持ちだよ?俺は」
正直、速さの話を出されれば、自分の存在を知っているのかとも思ったのだが
今の反応や自己紹介をしたことを鑑みるに、偶然の一致らしい。
これがオカルト、って奴なのか?
「あァ、買っておくぜ
んだよ、ならサイズがあればするってことか?」
伊達眼鏡を欲しい物リストに入れておいて、合理化するような少女の物言いにニヤニヤしながら問いかける。
なら、今ゲットした2万でオーダーメイドのフリルのお洋服でも注文してみようか、なんて考える
2万じゃ足りなさそうだけど。
「マジかよ、なら決まり!
撮影日決まったら教えてくれなァ~」
と指を鳴らして、勝手に出演を決定する。なんとも強引剛速球男。
話を勝手に進めることに関しては右に出る者は居ない。
まぁ、実際、出演させるかどうかは彼女に一任されるわけだが
「あァん?どんな時代…異能と魔術があふれる時代、とか?
おう、シクヨロ。………あぁ、頑張るわ」
悪い顔と甘えた声を聞けばちょっとだけ効いて、顔を赤くして視線を逸らす。
そして口ごもりながらそのように答えて、彼女が去った後しばらくはちょっとだけ気温が上がった気がした。
ご案内:「常世公園」から白銀 隼人さんが去りました。