2022/02/03 のログ
ご案内:「常世公園」に笹貫流石さんが現れました。
■笹貫流石 > 「――なーんかさぁ。気が付いたらもうすぐバレンタインなんだけどね?」
常世公園。その敷地内にあるベンチの一つに腰を下ろし、耳にイヤホンを嵌めながらホットの缶コーヒー片手に。
ぽつり、と誰に語り掛けているかは謎だけど多分まぁ独り言なんだろう。
「……義理チョコですら貰えない季節が再びやって来たんだけど、世の男性諸君はどう思うよ…!?」
と、カメラ目線的にあらぬ方角を向けば、糸目のままくわっ!と、集中線が入りそうな勢いで。
…ややあってから、気の抜けたように視線は逸らされていく。
「うん、まぁー…自分で適当に買って食うんですけどねー……侘しい…。」
がくん、と落ち込むように項垂れた。もうちょっと俺の人生には華やかさが欲しい。
ご案内:「常世公園」に清水千里さんが現れました。
■清水千里 > ある人物との待ち合わせの帰り道。
公園を歩いていると、見かけた顔が独り寂しそうに何やらぶつくさ言っているのを見つけた。
「……?」
そこにあったのは誰に話しかけているかも分からぬ、一人の少年の小さな慟哭。
「何してるんですか、こんな場所で?」
と、絶賛カメラ目線で第三の壁の向こう側に話しかけている
笹貫の背後から声をかけた。
■笹貫流石 > 「おっひょーーい!?…って、何だー清水の姉さんかぁ…びっくりしたぁ。」
奇妙奇天烈な悲鳴と共に、思わず飛び上がり掛けたが聞き覚えのある声におや?と改めてそちらを糸目で見遣り。
うん、新年会でお会いした図書委員のエリート?なお姉さんでございました。
「あ、何をやってたかというと、単に独り言呟いてただけなんで気にしないで欲しいっす。」
と、そこは深い追求はNO!!と、気配に込めながらも直ぐに気を取り直して笑顔で挨拶を。
「…ってか、清水の姉さんこそ何やってたん?何かの帰りっすか?」
と、直ぐに疑問が沸いたので小首をゆるーく傾げて問い掛けてみようかと。
■清水千里 > 「ああ、ごめんなさい、驚かせてしまって。お久しぶりです。私は……公安委員会に《友人》が居まして。情報収集も兼ねて、街の方で少し話をしてきたところなんです。最近はいろいろありますからね」
もちろん《友人》というのは、清水千里の監視責任者のことである。
「それより独り言……いつも独り言を?」
と笹貫と同じように、首を傾げて。
もしかして笹貫にはくだらない話をする友人がいないのかという、若干失礼なことを考えていた。
■笹貫流石 > 「え?姉さん公安に友人が居るの?そりゃまた中々…って、まー色々あるっつぅか騒動とネタに困らないしねぇ、この島ってば。」
気楽にケラケラと笑って。良くも悪くも喜劇と悲劇と人間ドラマが日夜あちこちで起こっている。
それは、世界中そうなんだろうけど、この島のソレは何と言うか色んな意味で『濃い』。
「まぁ、癖みたいな…いや、待って?何か俺がぼっちみたいに思えてきたんすけど。」
ちなみに、心許せる友達は勿論居ない。広く浅くのお付き合いが少年の基本だ。
別に友達が欲しく無い訳じゃあない。が、立場もあるし何より――…おっと、これ以上はシリアス展開だから止めよう。
――真面目な空気なんて、笹貫流石という馬鹿には似合わないのだから。
■清水千里 > 「まあ、とはいえ、特に気になることはありませんでしたけどね」
節分に合わせた怪異現象の増加、落第街閉鎖区画でのバイオハザードの発生など。
そもそも普段から起こっている犯罪や事件も含め、別にこの島が無事平穏なわけではないし、そんなときがあるわけがない。
とはいえ、イース人の彼女からすれば、こういう類の現象は人間が解決できるし、解決すべきものだ。
だから今の状況に、彼女にとって気を引かれるものはなかった。
「それはそうと、思えてきたというか、ぼっちそのもの――御独りじゃないんですか?」
と、若干無自覚に、紡ぐ言葉に攻撃性を付与しながら。
「それにさっき、バレンタインがどうとかおっしゃってましたけど」
と話しながら、ベンチの彼のそばの方に腰かけた。
■笹貫流石 > 「ほーん、俺は色々あちこち目移りしちゃうくらいなんすけどねぇ。まー、腕に覚えも無いんで外から眺めてる観客気分すけど。」
怪異現象の増加、閉鎖区画のバイオハザード、その他大小含めて様々な事件や問題。
『パシリ』としては、そういう『お使い』もしないといけないが、一人でそこまで手は回らない。
「うん、まぁ確かにお一人様っすけどね実際…あと、ちゃっかり聞こえてんじゃないすか!!」
うわぁ、恥ずかしいーーー!!やっぱりこんな場所で呟くんじゃなかった…!!
と、頭を抱えて悶絶したい気分だけど。まぁ、それはそうとして。糸目をそちらに向けつつ。
「そういや、なーんか査察が来てるんすよね?期末試験と重なる時期だから、結構浮き足立ったりしてる生徒が多いみたいすけど。」
■清水千里 > 「ふふふ、ごめんなさい。盗み聞きするつもりはなかったんですよ?」
と、悶絶しかけの笹貫の顔を見て、誤魔化すように笑いながら。
「ああ、《魔術協会》と《連絡会議》の。
なんでも協会は本部――ミスカトニックからわざわざ幹部の方が来ているそうで。
なんというか、気合入ってますよねえ」
と、若干遠い目をする。
「政治闘争というんでしょうね、こういうのは。まあ、よくあることかもしれません」
■笹貫流石 > 「取り敢えず、俺のはずかしーい独り言についてはなるべく忘れてくれるとひじょーに有り難いっす、えぇ。」
悶絶は堪えつつも、今度はどよーん、と落ち込んだ感じになっていたが。
矢鱈と気分と思考の切り替えが早いのか、直ぐに何事も無かったかのように。
「ミスカトニックは、俺みたいなのでも名前くらいは知ってる有名所すなぁ。
まー、気合入れてくるのは別にいいんすけど、変に目を付けられない事を祈ろうかなぁ。」
別に目を付けられる要因は無い…無いか?無いな。うん。
若干遠い目をしている清水の姉さんを横目に、缶コーヒーをちびりと一口飲んで。
「うはー、政治闘争とか一番関わりたくない部類じゃないすかー…俺みたいな脳みそ足りないのは勘弁すよ。」
■清水千里 > 「アーカムは良いところなんですけどね。町並みはロンドンに似てます。
街の南のほうに件の大学があって、近くのレストランにある
ローストチキンとツナのキャセロールが美味しかったなあ……」
清水はかつて、数学科の講師としてアーカムに居住していたことがある。
もちろん、ネットで調べれば5分と経たずにわかることだ。
若き女性数学者の成功と挫折、大衆紙が一時期こぞってネタにしたが、
光陰矢の如し、今や忘れ去られているように見える。
「目を付けられるなんて、ないと思いますけどねえ。
この島に風変わりな変人が何人いるか考えれば、
みんなを相手していたら日が暮れてしまうなんてすぐにわかりますよ」
と皮肉気に笑って。
■笹貫流石 > 「へぇー…俺は島生まれ島育ちなもんで、しょーじき外の世界全然生で体験したことないんすよねぇ。
つーか、清水の姉さん何気にお洒落な生活してたんすね、それ…。」
うわぁ、自分とはぜんっぜん縁が無さそうなシチュエーションのランチだなぁ、それ…!!と、苦笑い気味。
あと、残念ながら笹貫はそっち方面は疎いので調べれば分かるのに知らなかった模様。
彼女について知っている事実は単純に――『ご同類』というくらいしかない。
「…いやー、纏めて変人扱いみたいなノリっすけどまともな人の方が多いとは思うっうすよ流石に、
まぁ、査察とかは俺にゃ関係なさそーなんで、スルー…んや、様子見っすかねぇ。
それよりまぁ、後期の期末試験乗り切らなきゃいかんですし。」
明らかに隣のおねーさんは勉学は問題無さそうだが、こっちは大有りなのである!
別に成績自体は平々凡々なのだが、勉強は普通に苦手だからしょうがない。
■清水千里 > 「へえ」と清水はつぶやいた。
「島で生まれて、島で育った。今の時代、なかなか珍しいこともあるものですね。
別に、馬鹿にしているわけじゃないんですけどね?
この島は国際海路も空路も通ってますし、今時そこまで旅行費だってかからないでしょう」
と、笹貫の境遇に若干の驚きを示しながら。
「様子見、ね。まあ、私もそれがいいと思いますよ。
別に彼らも何か事件を起こしに来たわけじゃないでしょうし、
適当に学園が忙しい時期に圧力をかけて、組織の影響力を増やそうとする算段でしょうから――いえ、
ただの推測ですけどね? それより、期末試験のほうが重大事であることは確かですね」
と、少し考えた後、唐突に。
「――バレンタインのチョコ、あげましょうか? ただし、条件がありますけど」
■笹貫流石 > 「そーっすか?意外と居るっすよ?島生まれ島育ち。ついでに外に出た事無い奴らって。」
そんなに珍しいかな?と、こちらが不思議そうな面持ちである。
少なくとも、自分が知ってる中で島生まれ島育ちは『3人』は居るし。
彼女からすれば驚きかもしれないが、少年からすればそこまで珍しいという感覚が無い。
「あー…そういう権力闘争というかパワーゲーム?みたいなのは面倒っすねぇ、ほんとに。
まぁ、仰るとおりって事で。何とか期末試験を乗り切らないとなぁって。」
自分に殆ど関係ない政治闘争よりも、目先の後期期末試験の方が自分にとって遥かに重大だ。
…で、この人はマジで唐突に何言ってんの?!と、驚きつつ。
「え?マジっすか?……いや、なーんか条件が気になるっつーか怖いんすけど。」
一応聞いてみようと。無理な条件だったら即座に白旗を挙げる自信が俺にはある!!
■清水千里 > 「ええ、シンプルな条件です。今度の後期期末試験、すべての科目で欠点を回避してください」
と、笹貫に告げる。
「実は、ベネズエラに昔の知り合いが居ましてね。
多少の恩があるからっていうんで、毎年多少ですが現地で取れたモノを送ってくれるんですよ。
だいたい農産物なんですが、その中にカカオ豆やら砂糖やらもあるんです。
使いきれないので今までは公安委員に処理――もとい引き取ってもらってたんですが、
さすがに例年のことで置き場所がないからって、今年は断られてたんです。
どうしようかと思っていたんですが、チョコが欲しい人がいるのなら、
誰かのためにチョコを作ってみるのも面白いと思って、どうでしょう?」
■笹貫流石 > 「……はい?それはつまり、赤点を一つも取るな…っつー事っすよね?つまり。」
また、中々に微妙に厳しいラインの注文をしてきたなこの人は…!
勿論、成績は平凡だが赤点を取るレベルではないので、決して高過ぎるハードルではない。
が、油断すると赤点になる可能性も十分にある。こっちの学力の絶妙なラインを狙っているかのような。
「っていうか、ベネズエラってどの辺?ってレベルなんすけどねー俺…。
あと、今、処理って言ったよね!?いや、まぁチョコくれるんなら貰いますけど。
…って、まぁ赤点回避が前提条件だから、そこクリアしないとならんすけど。」
うへぇ、と天を仰ぐような仕草。とはいえ、少年も別に頭が悪い訳ではない。
単純に勉強への意欲がそんなに無いだけだ。下地はちゃんと出来ている。
■清水千里 > 「そういうことになりますね」と、清水は条件を確認する。
笹貫の学習到達程度を、清水はよく知らない。
もし彼の学力の微妙なラインを狙ったように見えたとしたら、それは間違いで、
単に一般的で、平均的な、「期末試験に悩む学生」のステロタイプを想定しただけだ。
「大丈夫ですよ、笹貫さんならできるって信じてますから」
と、清水は女性の武器を使って微笑む。
「条件をクリアできたら、なんなら家でごちそう会でもしましょう。
笹貫さんのために腕によりをかけて美味しいのを作りますから!」
■笹貫流石 > 「…やーれやれ。ご褒美のチョコの為にも頑張るしかねーのかぁ。」
と、嫌々そうに見えるがあくまでポーズ。チョコ0よりはマシなのでやる気ではある。
…どうせ、世の中のイケメン連中はチョコどっさりとかなんだるなぁ…爆発四散して欲しい!
ちなみに、成績は平凡だが要領が案外良いのか、苦手科目という穴が基本的に無かったりする。
「うわーー!だからそういうのハードル高くなるからやめてくれよ清水の姉さん!!」
プレッシャー掛かるんだけど!!と、言いつつそちらを向きながら無駄に真顔で。
「姉さん?何かそれはそれで”重くない”?取り敢えずチョコで一つお願いします!」
と、フラグ?ブレイカーを自ら発揮していく少年であった。
無意識ではなく、自覚してぶっ壊しているのが一味違うポイントだ…ポイントか?
■清水千里 > 「ふふ、頑張ってくださいね」
と、表面では笑いながら。
清水はこのやり取りに、何か違和感を覚えていた。
長年の人類の観察の経験からもたらされた、年の功。
(”重い”ねえ……)
目の前の少年は、”軽い”。
しかしひとりの人間が自然にそのような”軽さ”に耐えて生きていられるものだろうか?
どの様な人間とて、それが時に醜悪なものだとわかっていながら、”重さ”からは逃げられない。
なぜなら、最も重い負担とは、同時に人生において最も強い達成感のようなものであるからだ。
負担が重ければ重いほど、人生は地に着き、リアルで真実味のあるものになる。
人生というものが明日にはもう存在しない、舞い上がる埃のような、羽のように軽いものだとしたら、
それは人間の精神にとってあまりにも耐えがたいものだ。
だから、清水はある推測を立てた。
(彼は意図して”重さ”から逃げているのか?)
そう考えたとき、清水はどうにも、心の深いところにずっしりとした重さを感じざるを得なかった。
■笹貫流石 > 「へいへーーい、頑張りますよーーーってか、チョコは期待していいんすよね?味とかそういうの!!」
と、そこは確認しておきたい。何故なら原材料が良くても完成品が駄目なら意味が無いからだ。
さてさて――…糸目はそのままに、何気ない会話の合間に彼女を観察する。
…いや、違う。彼女がやり取りの合間にこっちをどう見ているのか逆算する。
(――うーーん、何か結構探られてる、とゆーか見極めようとされてるのは感じるのよなぁ。
けど、まー…俺はシリアスとかガラじゃーないんで、何時ものノリは欠かさずにーってね。)
内心の声は何処までも陽気で『軽い』。ふわふわとして上辺だけ…と、思われても仕方ないレベルで。
もっとも、心を読む異能や魔術、特殊能力なんて少年には無いので、彼女の考えなんて分からないけども。
――そもそも。軽かろうと重かろうと…【死線】は平等にそこに訪れるんだから。
ま、つまりは――何時もとなーんにも変わらない訳だ。過程が違えど結論は変わらず。
「おーーい、清水の姉さーん?何か考え事してるーー??」
と、相変わらずの軽いノリのまま、彼女の顔の前で手をヒラヒラと振ってみようと。