2022/02/04 のログ
■清水千里 > 「……ええ、それは、期待してもらってかまいません」
自慢ではないが、ずいぶん前、かつての『時間跳躍』の最中、
成り行きで菓子作りの本格的な修行に取り組んだこともあったか。
「ごめんなさい、少し……ぼーっとしていたみたいです」
と、憂鬱な雰囲気を誤魔化しながら。清水はまた、唐突に。
「ごめんなさい、少し――」
と言って、
軽いノリで手を振る笹貫の身体を何も言わず、
ただ全身で抱きしめようとする。
■笹貫流石 > 「おおぅ、謎の自信が垣間見える…!!んじゃー期待させて貰いましょうかねー。」
いやー、俺もついにチョコをゲットかぁ、とほくほく顔であったが。
何処か憂鬱な雰囲気のお隣さんに、気付きつつも素知らぬ顔で声を掛けたのは。
まぁ、色々あるがやっぱりシリアスな空気なんて自分には合わないからだろう。
「――って、……はいぃぃぃ!?」
何かいきなり抱きしめられて少年硬直。え?どういう流れ?どういう状況!?
と、固まりつつも…ややあって状況把握。うん抱きしめられてますねこれは。
このまま、背骨とか圧し折られないかな…と、ふざけた心配をしつつ。
「おーらい、よく分からんけど清水の姉さん大丈夫かー?」
と、困り笑いを浮かべつつ、彼女の背中に腕を回してポンポンと軽く叩いて。
あと、流石にこの状態を誰かに見られるといらん誤解をされそうなので…。
「と、いう訳で清水の姉さん。美人抱擁タイムは嬉しいけどこの辺りで!」
と、言いつつやんわりとだが軽く体を引き離そうと。
■清水千里 > 笹貫が何度か引き離そうとしても、清水は微弱な力で抵抗する。
彼が彼女の身体の芯から伝わる温もりを感じるまで、
それが物理的なものであったのか精神的なものであったのかは分からないが、
その時清水は彼の身体から離れるだろう。
「ごめんなさい、は言わないわ」
と、清水は言う。
「ただ、この温もりを知ってほしかったの。
貴方のそばには、いつだって――あなたが望まなくても、この温もりがあるんだって。
なんでこんなことをしたのか、私にも分からない。
貴方がこれで困惑するか、それか嫌いになるかして、
私を離すかもしれないとも思ったけど、
たぶん、そうしなければならなかったの。そうしろって心が言うんですもの。
だって笹貫さん、あなたの顔が、あまりに――何もかも諦めたみたいに、歪んでたのだから……」
■笹貫流石 > 困ったぞ、やんわり引き剥がそうとしてみたけど中々離れてくださらぬこのお姉さん!
温もりは感じるし、うーん美人に抱きしめられるのってそりゃドキドキするよな!!って。
あくまで『軽さ』は変わらない、崩れない、揺るがない。
「いやいや、むしろ姉さんが謝る事は特になくないっすかねー?」
と、惚けているのか本気なのかきょとんとした表情を浮かべてから苦笑気味に肩を竦める。
「え?俺そこまでシリアスな顔をしてないっすよ?あ、狐目野郎とかは偶に言われるかな。
ま、俺は別に強くないんで諦める事もあるし、捻くれる事もあるでしょーって話さね。」
彼女の話はちゃんと聞いているし、言いたい事は…うん、分かるような分からんような?
まぁ、いいか。ともあれ、ぼちぼちいい時間なので、軽く伸びをして一足先に立ち上がり。
「んじゃー清水の姉さん。俺はぼちぼち帰るっすよ。
姉さんもあんまし遅くならない間に帰った方がいいっすよー。」
と、最後まで気楽で陽気な笑顔や態度は崩さぬまま。
手をひらひらーと、軽く振りつつ公園を後にしようかと。
■清水千里 > 「……また会いましょう、笹貫くん。
今度は期末試験の後に」
笹貫があくまで『軽さ』を崩さないように、
清水もあくまで彼女の信じる『重さ』を崩すことはない。
「チョコ、おいしいの作っておきますから。
気をつけて帰ってね」
公園を後にする笹貫を、その姿が見えなくなるまでずっと目で追いながら、
しばらく清水はベンチに佇んでいた。
ご案内:「常世公園」から笹貫流石さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から清水千里さんが去りました。