2022/10/08 のログ
追影切人 > 「――はぁ?俺を落第街に近々”派遣”だぁ?どういう風の吹き回しだよ…。」

少しずつ秋の色合いがこの常世島にも訪れる。そんな夜更けに公園の一角にて。
ベンチに腰を下ろしつつ、足を適当に組んだ姿勢で、右手に携帯を持ちながら胡乱げな声を漏らす。

「――だったら、俺じゃなくて【戦犯】か【山脈】のどっちか投入すりゃーいいだろうが。
…こっちはそれより義手の調達とかそっち優先してぇんだがよ…。
――そもそも、手持ちの得物が何にもねぇぞ。【雷切】は許可が下りねーだろ、どうせ。」

不満はダラダラと漏れるが、電話の向こうの相手は相変わらず小揺るぎもしない。
ハァ、とクソでかい溜息をわざとらしく漏らしつつ。

「――だったらせめて、俺の異能の半分…お前らが『保管』してる分か特級が掠め取った分のどっちか俺に”戻せ”。
得物もねぇ、異能もねぇじゃ相手次第じゃ意味ねーだろ…つーか、そもそも斬り合いじゃねーのがテンション上がらん。」

煙草を取り出そうとして舌打ち。左手は現在肘から先が欠損している。
仕方なく首と肩で携帯を器用に挟んで耳に当てつつ、煙草の箱とジッポライターを取り出す。

「――特級のあのクソガキはどうせ素直に渡しゃしねーだろうし。だったらお前らの保管してる方しかねぇだろうけどな。」

追影切人 > 電話の向こうの淡々とした声はただ一言。『…分かった、手配しよう』だ。
それに僅かにイラッと来るが、口の端に煙草を咥えてライターで火を点ける。
だったら最初からテメェらの保管してる半分は俺に持たせておけよ、と思い乍。

「――で、標的はどんなのよ…あぁ、やっぱいいわ。何時ものルートで情報寄越せ。
…つーか、他の風紀の連中や公安、あとは特務広報部とか特別攻撃課辺りがどうせ出張るんじゃねーのか?
言っておくが、俺に連携とかそういうの期待してる訳じゃねーよな?」

そもそもこの男に仲間との連携、なんてハナっから頭の片隅にすら無い。
そういうのは他のヤツがやってくれるだろうし、こっちはこっちで”勝手に動く”。

(…俺か廬山の野郎か二者択一…で、廬山の奴は俺より”タチが悪い”となりゃそうなるか)

煙草の紫煙を蒸かしながら、後のあれこれは面倒なのでこちらから適当に通話を終わらせる。
携帯を乱暴にポケットに捻じ込みつつ、改めて煙草を蒸かして空を隻眼で見上げ。

「――ハッ、毎度の事ながらこういう役回りは俺になる訳だ。”ついでに共倒れしてくれれば都合が良い”ってやつか。」

追影切人 > (牙を抜かれた飼い犬って感じか…俺も丸くなったっつぅか弱くなったもんだわ。)

”表面上”は人間らしい感情を獲得し、ケダモノから人にはなりはしたけれど。
その分、斬り合いや殺し合いに必要なモノが少しずつ己から削ぎ落とされている。
それが良い事なのか悪い事なのか、なんて馬鹿な己に分かる訳もない。

ただ――”あぁ、クソ弱くなったな俺は”と、漠然と思うくらいで。

「――落第街ねぇ。あっちに出向くのはあの野郎を斬り殺し損ねて以来か。」

俺が斬って殺す筈だったが、結果的には別の奴に殺られた…まぁ、それはいい…業腹ではあるが。
ただ、どうにも不完全燃焼感は否めない…どうせお互い地獄行き、あっちで会ったら白黒付ければいい。

「…と、なるとやっぱ義手はなるべく早い段階でどうにかしてぇもんだな。」

追影切人 > そういえば、あの戦いで自分から切り落とした左腕は何故か『行方不明』になっているらしい。
切り落とした時点でどうでもいいが、既に怪異化が進行していた部位だ…まさか怪異そのものになってやいないだろうか。
まぁ、物好きな奴が拾った可能性も否めないが…それこそどうでもいい事か。

「つーか、得物に関しては結局無しかよ、半分の異能と地力だけでどうにかしろってか。」

煙草を盛大に蒸かしつつ嫌そうに呟く。半分だけっていうのがどうにもしっくり来ない。
まぁ、それはいい。生き抜こうが死に果てようが、昔も今も俺に出来るのはただ『斬る』事だけだ。
それ以上も以下も無い。斬れるというのなら是非も無し――頭がおかしい?上等、生まれ付きだ。

追影切人 > 「取り合えず、義手がまず最優先。クソッたれに楽しいお仕事はその後考えるか。」

煙草を吸い終えれば、ポイ捨て…と、見せ掛けて意外と律儀に携帯灰皿に吸殻をぶち込んで。
ベンチから立ち上がり、気だるそうに首や肩を回してからのっそりと歩き出す。

ご案内:「常世公園」から追影切人さんが去りました。