2024/05/31 のログ
■追影切人 > 取り敢えず、怠いし頭痛ぇしで最悪だがここでダラダラしててもしょうがない。
気怠さ全開の動作でベンチから立ち上がりつつ、己の姿を見下ろす。
…警備部の制服のまんまじゃねぇか、せめて着替えとけや俺。
「…とりあえずどっかで飯食ってくか…。」
ついでにドーナツでも買って帰るとする。そのままスローペースな感じで歩き出して。
ご案内:「常世公園」から追影切人さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にマルヤさんが現れました。
■マルヤ > 常世島を訪れて学園に転入し、一先ずの新しい生活とやらにも慣れ始めた頃。
あたしはとあるアルバイトを引き受けて、昼下がりに常世公園を彷徨っていた。
「ん~……いないわねえ」
視線は下に、時折に揺れて物陰を見ては溜息を転がす。
言葉の通りにあたしは探し物をしていて、その探し物とは手にした写真に写る1匹の猫だったの。
「真っ白くて背中に黒丸の模様が幾つもある吹雪饅頭のような猫ちゃん。飼い主さんの話だと大人しい子らしいけどねえ……」
写真の猫ちゃんはぼよんぼよんの丸々としたお餅みたいな魅力的なボディをしていて、
さぞや良い撫で心地だろうと見る者に思わせる。少なくともあたしはそう思う。
「ま、猫ちゃんって意外と行動範囲が狭いらしいから、こーゆー所の何処かには潜んでそうよね」
「目撃情報でも集めてみましょう」
少なくとも印象的で記憶に残りやすい姿の猫であるのだから、姿を見ている人もいるはずよね。
などと、暢気に呟いて写真を片手にキャリーケースを携えて聞き込みなどを開始してみるのだった。
■マルヤ > 『黒猫なら見たんだけどな』
などと仰るのはランニング中の運動部と思しき筋骨逞しきお兄さん。
『丸々としてて美味しそうじゃない』
などと仰るのはすらりとした長身痩躯のお姉さん。ちょっと目が怖い。
『俺の方が可愛いだろ?』
などと仰るのは小柄なトラ猫めいた文様の猫系の獣人さん。返答はノーコメント。
他etc.etc.
行き交う人達に聞いては見るけど芳しくはなく、さてはて困ったなと園内のベンチに座って空を仰ぐ。
木陰の隙間から覗く陽光に瞳を細め、これだけ天気が良いのだから、その辺の日向にでも猫ならば転がってそうなのに。
なんてことを思う。
■マルヤ > 「……ん?」
ふと気配を感じ、視線を上から戻して傍らにするとなんということでしょう。
そこには探していた丸々とした吹雪饅頭──じゃない、白猫ちゃんがいるわけで。
「…………」
手を伸ばしてみる。
逃げない。
逃げないので、ぼよんぼよんの背中を撫でてみると、毛先までみつしりと詰まった愛されボディが掌に伝わる。
間違いない。探していたカトリーヌちゃんだわ。
あたしはそう確信をした。
「ほ~らカトリーヌちゃん。お家に帰りましょうね~……」
猫撫で声を発しながらキャリーケースを開け、吹雪饅頭を両手で抱えようとする。
抵抗されるかと思ったけど無抵抗で、それはいいのだけど。
「お"っも……何キロあるの貴方……」
ちょっと大分愛が詰まっているせいか重い。
思わず乙女にあるまじき呻きが漏れて、呼応するように『ニ"ォン』などと微妙に面白い鳴き声が返った。
■マルヤ > ──ともあれ、キャリーケースに無事に収納された猫ちゃんを携え、あたしは公園を後にする。
無事に届くのが先か、あたしの腰が致命傷を負うのが先か、オッズが付くならば恐らくはいい勝負になりそうなものだったのだけど、
幸いにして飼い主の家に到着する方が先だった。
「もしもーし。カトリーヌちゃん掴まりましたけどぉ~」
飼い主さんの家はごく普通の一軒家。この島に住んでいるのだから少なくとも学校関係者か生徒さんなのでしょう。
などと、与太なことを思っていると、意外にもインターホンの向こうからは当惑気な声がする。
『カトリーヌなら先程戻ってきましたけど……』
「……んん?」
おや?と思うも、それじゃああたしが運んできたこの猫は一体?と思うので、とりあえず確認をしてもらうことにした。
確認をして貰ったら、模様も大きさも顔も何もかもが同じだった。ついでに名前にも返事をする始末で──
「そんなことある?」
『そんなことあるみたいですねえ……』
おお飼い主さんよ。暢気に首を傾げている場合じゃないでしょう。
そして2個セットになった吹雪饅頭──じゃないカトリーヌ達は何やら隣り合って仲良さげに香箱を組んでいる始末だし。
『まあ、お得なのでこのまま飼おうかと思います』
それでいいのか。
それでいいらしい。
そういうことになった。
謝礼の入った封筒を手に飼い主のお宅を後にするあたしは、どことなく釈然としない気持ちであったけれど
「ま、確かに可愛いからお得かしら?」
まあいいかと思うことにした。
ご案内:「常世公園」からマルヤさんが去りました。