2019/02/12 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 試験を終え、一息いれる者。或いは、最後の追い込みに向けてノートを開く者。
様々な生徒達で賑わうカフェテラスだが、微妙に人が寄り付かない空間がある。

窓際のテーブル席。普段であれば早い者勝ちの取り合いになる一角だが、日も暮れ始めたこの日。不思議なことに空席が目立っていた。
その理由は一目瞭然。壁際の席に腰掛けて窓から通りを眺める少年が【私は不機嫌です】と言わんばかりの表情とオーラを遠慮なく放っているからである。

「……テスト期間だから休む、というのはまだ理解しよう。しかし、バレンタインだから任務を休むというのは一体どういう事だ。訳が分からん」

むすっとした表情で砂糖をぶち込んだココアを啜りながら、深い深い溜息を吐き出した。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に白鈴秋さんが現れました。
白鈴秋 > 厄介だと思っていた一般教養の試験は終わり残すは異能系や魔術系……即ち勉強のする必要も無い項目であるわけで。
 一息つこうとここにやってきた。トレイに乗っているのはブラックのコーヒーと軽い軽食のハムサンド。
 やけに混んでいるなと思っていたが、その理由を見つけ少しだけ苦笑いを浮かべる。

「お前と会う時大体お前は苦い顔をしている気がするんだが、気のせいか?」

 誰もよらなかったその空間に入り込み、理央に声をかける。
 表情は苦笑いではなく普通の表情へと変えているだろう、少し隠し切れていないかもしれないが。
 視線を同じ机の席へと移す。

「ここ、座ってもかまわねぇか。窓際は俺も好きでな」

 あの空間の中に入るのかと少し周囲ではヒソヒソと聞こえるかもしれないが、そんな事は気にしない。
 相手が許可するならば座るだろう。

神代理央 > 投げかけられた声に、何事かと視線を向ける。
己の所為で周囲に空席が目立った事には全く気が付いておらず、言葉を投げかけられた今でも全く意識すらしていない。
今日は皆窓際の気分では無いのだろう、くらいの気持ちであったり。

「気苦労や心労が絶えない愉快な職場でな。この歳で額の皺が増えそうだよ」

微妙に苦笑い気味――注意してみなければ分からない程度ではあるが――の彼に、小さく肩を竦めて表情を緩める。
同席の許可が求められれば、別に構わないと小さく頷いて着席を促すだろう。

因みに、周囲からの囁く様な声を聴いても尚、己の所為で窓際が閑古鳥だったことには気が付いていない。
同年代の男子の中では体格の良い彼の存在で、女子が騒いでいるんだろうくらいに考えていた。

白鈴秋 > 「それを聞ければただの1生徒としては安心できる。それだけの気苦労をしているということは活動をしっかりしてくれているということだからな」

 相手の肩をすくめた様子に少しだけ表情を緩めると椅子を引き座る。
 砂糖を更に入れたココアと逆にまったく甘味を入れていないブラックと対象的だが香りは混ざれば意外と良いものだ。
 一口コーヒーを飲むと視線をそちらへと投げかける。

「それで、今回は何があったんだ。厄介な事件か? それとも来年の新規加入者募集とかで無理難題でも言われたか」

 時期が時期だ。彼方此方の部活動や委員会が新しく人をいれようと躍起になり色々と動いている姿を見かける。
 あれは1年からしてみると軽く恐怖の対象になることもあると思うのだが……まぁそれはおいておこう。
 一口ハムサンドを齧る。軽くトーストしてあるそれは少しだけサクッという音を立てるが中からはやわらかく煙があがる。

神代理央 > 「…そう評価してくれるのは有難いな。此方としては、気苦労を覚えなくても良いくらいに落第街の連中が大人しくなってくれれば良いのだが」

糖分を一切含まない珈琲と、糖分以外に何があるのかというココア。
極端な二つの飲み物が注がれたカップが向かい合うテーブルで、小さな溜息と共に席に着いた彼に視線を向ける。

「……あー…いや。まあ、そうだと良かったんだが…。いや、良くはないんだが…」

実に歯切れが悪い。
ハムサンドを頬張る彼に、何と言ったものかと唸る様に天井を見上げて考える事数秒。

「…定時任務の休暇願が多くてな。ローテーションが組めず、少し私が大変になった。それだけだ」

流石に【バレンタインで男女問わず休み希望が多い】なんて言えない。風紀委員の恥も良いところだ。
無論、第一線で戦う委員達はそんな事も無い。ただ、普段学生街や教員地区。または事務方等平和な部署で働く者達からの申請が多い。
確かに一週間だのなんだのと無理な申請では無いのだが、と深い溜息を吐き出すだろう。

白鈴秋 > 「それは難しいだろうな、というよりいきなり大人しくなったらその方が恐ろしい」

 コーヒーを一口飲みそう答える。嵐の前に静けさというのも変な話だが、もし急に静かになったら大事件を疑うことだろう。
 相手の歯切れの悪さを聞き軽く首を傾げる。がその後の言葉を聞けば。

「あぁ……なるほどな、風紀委員も人不足なのか、それでお前に仕事が多く回ってきたと」

 私が大変になったというのはそういう意味だと受け取り、少し考える。
 一週間などではない。ということらしいが……少し考えて。首を横に振るう。

「流石に俺がいくわけにはいかねぇしな、なんとか別の部署のやつらが回ってくるのを願うしかねぇか」

 一瞬自分がいくことを考えたがそういう訳にも行くまい。自分は構わないが、代わりに行かせたなどと知れれば彼が大変な目に会うことだろう。
 さて、別に大食いという訳ではないが彼とて男子高校生。ハムサンドなど一瞬で沈めてしまい。

「そういえば、テストはどんな様子だ。そんな事で悩んでいるくらいということは問題ねぇんだろうが」

 コーヒーを片手に話しをするモードに入った。

神代理央 > 「ただでさえ前線の人間が足りないところに、巡回の人員が減ってはな…。一時的なものだが、頭が痛い」

やれやれと言わんばかりに首を振った後、彼の言葉に少し考える様な素振りを見せるが――

「そうさな。流石に貴様に動いて貰うには些事過ぎる。違反組織が大規模に動くとかなら兎も角、雑務に呼び立てるには勿体無い」

此方としては、自身の評価よりも彼程の戦力を些細な事に協力させるのが勿体ないという思いが強い。
彼の戦闘能力と異能は、学生街の巡回で使われるべきものではない。
暫く残業が続くな、と再度溜息を吐き出したところで――

「…ん?ああ、そっちは問題ない。普段からきちんと授業を受け、予習と復習を心掛けていれば造作ないだろう」

テストについては、一切問題が無いと淡々と答える。
自信がある、というよりはやるべきことをやっているのだから当然と言わんばかりのもの。

「そういう貴様はどんな具合だ?その様子を見る限りでは、苦労していなさそうに見えるが」

此方も残ったココアで糖分を補給しつつ、僅かに首を傾げて彼に尋ねる。
何と言うか、実に久し振りに同性の同級生と雑談している様な気がする。

白鈴秋 > 「別に些細なことでも問題はねぇんだがな……まぁ、どうしても人が足りないって事態になったら1日風紀委員くらいなら受けてやるよ」

 別にただの警備でもそれはそれで問題はないためそう答える。一応は友人の苦労ならば少しでも協力はしたいと思うというものだ。
 
「まぁ、そうだろうな逆にお前がテストが赤点だらけだ、という姿が想像つかねぇし」

 そう少し笑うと相手に話を振られる。軽く肩をすくめて見せる。

「とりあえずは問題ねぇよ。来年は自信ねぇけどな」

 まったく嫌になると付け加えると外へと視線を向ける。
 もはや諦めたか逆に危ないテストを終わらせた開放感か。友人同士でどこかへと遊びにいこうとしているグループや参考書を読みながら歩いているのもいる。
 
「どうにも一般教養だけは慣れてねぇからよ。英語とかがどうしてもヤバいんだよ、なんとか予習復習で喰らいついてるが」

 そう愚痴るように漏らし苦い顔を浮かべそれを流すようにコーヒーを飲み込んだ。

神代理央 > 「そうだな。些事に追われ過ぎて風紀委員が機能不全に陥っては本末転倒だ。どうしても、というときは宜しく頼む」

彼の言葉に穏やかな笑みを浮かべて頷く。
その言葉を聞いた後でも、彼ほどの男を雑務で使うつもりは毛頭ないのだが、その言葉だけでも吐き出していた溜息が幾分減るというもの。

「流石に満点だとか、学年首位とかまでは至らぬがな。上位にいられる様には努力しているつもりだよ」

試験勉強なんてしていない!という部類とは真逆で、しっかり勉強しましたと告げるタイプなのが己である。
それ故に勉強したから点数が良いのは当然だし、点数が悪ければ己の努力が足りなかったと素直に認める。
恐らく、彼もそういった努力を惜しまぬタイプだろうと思いながら言葉に耳を傾けて――

「確かに英語は私も得意ではないな。普段話す機会があれば良いが、翻訳装置の進化でそもそも外国語という意識も薄れつつあるからな。予習復習用の単語帳は手放せないよ」

自分も同じだと苦笑いを返して、彼に釣られる様に窓の外に視線を向ける。
生徒達が戯れるのどかな風景。何時も自分が訪れる落第街やスラムとは真逆だな、とカップを手に持ったままぼんやりと考えて居た。

白鈴秋 > 「ああ、気にせず連絡してきてくれ」

 ヒラヒラと軽く手を振るう。呼ばれるのはこちらとしては全然苦でもなんでもない。
 少しだけ穏やかな顔になったのを見て少し周囲のピリピリ感も減ってきたのか空席も少しずつ埋まるかもしれない。

「まぁな、俺もそうでありたいとは思っているが。結局は中の中が限界だ」

 少しだけこちらは表情をゆるくし、そう返した。
 魔術や異能関係であれば上位だろうが、一般教養がギリギリ赤点を避けられるかどうかといったレベルではその辺だろう。

「俺もだ、といっても寮暮らしだから単語帳を読む時間もそうはねぇのが辛いところだがな」

 電車であればまた話は別なんだろうが、寮から歩きや自転車が主ではどうしても単語帳など使える場面も少なかろう。
 
「……本当に2年になったら風紀委員に所属するのもありかもしれないな。委員活動で単位免除してもらわないと落第しかねねぇ」

 軽く冗談交じりでそんな事を言い出すが、半分冗談にならないのが1番辛い点であった。