2020/06/11 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 堅苦しい制服も、重々しい雰囲気を醸し出す風紀委員会の腕章も無い。随分久し振りに袖を通した私服は、まるで別人の物の様な気がする。
今日までは念の為、と風紀委員会から休暇を言い渡された少年は、実に不機嫌そうな表情で注文の品が届くのを待っていた。
「……全く。怪我等もう大した事は無いというのに」
一応、先日の戦闘での疵は凡そ癒えている。
医者からも、多少の違和感はあるかも知れないが問題ない事。その違和感も早いうちに自然治癒する筈と太鼓判を押されている。
にも拘らず、任務が割り振られないのは学術大会への警備に駆り出される予定の人員の穴埋めの為との事。
とどのつまり、今の内に休養を取らせておいて、大会期間中は落第街辺りでこき使う算段なのだろう。
「事務仕事に回してやろう、という慈悲が無い辺り、怪我人に対する優しさが感じられるな。全く…」
注文していたカフェラテとチーズケーキが目の前に置かれる。湯気を立てるカップに角砂糖をぽいぽいと放り込みながら溜息を一つ吐き出した。
■神代理央 > カップの水面がじわりと上昇する程に投げ込まれた角砂糖は、カフェラテの溶解度を辛うじて満たし、一般人であれば顔を顰める様な甘さのカフェラテが誕生する。
というか、カフェラテ風味の砂糖水と呼称した方が適切かも知れない。
「…とはいえ、無理に委員会に出席する程の愛校心がある訳でも無し。休日の過ごし方というのはマニュアル化していないものなのかな」
我ながら此処迄無趣味だとは思っていなかった。
強いて上げれば演習場での訓練は良く行っているが、怪我人という建前で休んでいる以上無理をする訳にもいかない。
気晴らしに映画でも見てみるかな、とカフェラテシュガーウォーターを啜りながら取り敢えず一息。
合間合間でチーズケーキを頬張れば、取り合えずささくれた精神も緩和されていく…気がする。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
■日ノ岡 あかね > 「こんにちは」
唐突に、その女は現れた。
常世学園制服。黒いセミロングのウェーブ。
黒い首輪のようなチョーカー……見るものが見ればわかる、委員会謹製の異能制御用リミッター。
元違反部所属学生。
日ノ岡あかね。
「相席いいかしら?」
なお、席は空き放題空いてる。
■神代理央 > 投げかけられた声に、視線だけをその主に向ける。その視線は、始めに首元のチョーカーへ。そして、彼女の貌をじっと見据えるだろう。
相席を求める彼女に向ける瞳の色は、僅かな警戒と猜疑の色を浮かべた後、感情の灯らぬ色を湛える事になる。
「……構わんよ。どうせ他に座る者のいない席だ。埋めてやった方が、店も喜ぶというものだろう」
小さく肩を竦めて、好きにしろと言わんばかりの口調で言葉を返す。
持ち上げていた糖分過剰なカップをテーブルに置けば、ソーサーとカップが触れ合う音が妙に大きく響くだろうか。
■日ノ岡 あかね > 「ありがと。話し相手が欲しかったのよね」
嬉しそうに笑って、対面に座る。
注文したのはパンケーキのセット。
紅茶は渋めに淹れてもらう。
「私はあかね。日ノ岡あかね。甘党のアナタは?」
■神代理央 > 「話し相手に選ぶなら、もっと陽気で明るい者を選ぶべきだと思うがね」
対面に腰掛けた彼女に呆れた様な口調で言葉を投げ返しながら、此方は食べかけのチーズケーキを一口。
小さくカットしたケーキを咀嚼し終えたところで、名乗りを上げた彼女に再度視線を向けて。
「神代。神代理央。風紀委員の二年生だ。
風紀委員と相席希望だとは、随分と豪気な事だな。元とはいえ、違反部活生だろうに」
委員会のデータベースに一通り目を通していれば、彼女の事もざっくりとではあるが知識として知り得ている。とはいえ、本当に大まかな事でしか無いのだが。
元違反部活生が、風紀委員と相席とは愉快な事だと言わんばかりに、クスリと笑みを零して首を傾げてみせるだろう。
■日ノ岡 あかね > 「リオ君ね、よろしく。ふふ、アナタこそ変わってるわ。『これ』の意味を知ってて相席を許してくれるんだもの」
そういって、黒いチョーカーを指さして笑う。
テーブルに届けられたパンケーキはまだ切り分け作業中だ。
一口サイズに細かく切り分けている。
「豪気はお互い様ということでいいんじゃないかしら? それとも、アナタも執行部だったりするの?」
たっぷりとメイプルシロップのかかったパンケーキを食べながら、あかねは目を細めた。
視線は、ずっと理央から逸らさない。
■神代理央 > 「問題を起こさなければ別に構わないさ。『補修』を終えた以上、風紀委員として守るべき一生徒である事に変わりはあるまい」
自らのチョーカーを指差して笑う彼女に、フン、と高慢な鼻息を零した後淡々と言葉を返す。
チーズケーキは残り僅か。其処で一度、フォークを置いて再びカップに手を伸ばす。
「まさか。後方任務希望の冴えない委員に過ぎんよ。荒事は苦手でね」
軽口の様な皮肉の様な。そんな感情を含ませた声色の言葉を紡ぎながら、砂糖過剰のカフェラテを一口。
此方から視線を逸らさない彼女に気が付けば、好奇心と愉悦の色を滲ませた瞳が彼女を見返すだろう。
■日ノ岡 あかね > 「あら、それは残念。もしもアナタが執行部だったら、私は取り締まった人の一人と知らずにお茶してたことになったのに」
可笑しそうにコロコロと笑って、またパンケーキを食べる。
バターとメープルが溶けて染みたパンケーキの欠片が、一つずつなくなっていく。
「『希望』ってことは、基本的に現場にいるってことでしょ? 荒事も苦手とかいいながら、ちゃんと守ってくれそうで頼れそうね。うんうん、リオ君みたいな素敵な男の子に守って貰えるのなら、悪い気はしないわね」
好奇の視線を正面からとらえて、あかねは上機嫌そうに笑う。
紅茶にとけた角砂糖が、カップの中で静かに崩れた。
「風紀の子たちってみんなカワイイわよね。カオルちゃんとかもそっけない態度取るけど優しいし。リオ君もそういうタイプなのかしら?」
■神代理央 > 「それはそれで愉快な事じゃないか。過去の因縁を忘れて酌み交わす茶というのも、悪くはあるまい?」
彼女自身が取り締まられた事を吹っ切れているのか。或いは、取り締まった委員は割り切っているのか。
何方にせよ、己に取っては其の場面を想像し、愉快そうな笑みを零すだけのモノに過ぎないのだが。
「ほう?随分と持ち上げるじゃないか。だが生憎、おべんちゃらを私に向けたところで、リターンを与えてやる事は出来んぞ」
朗らかに笑う彼女に、呆れた様な口調の言葉。
残り半分程になったカフェラテをゆらゆらと揺らしながら、次いで投げかけられた言葉に瞳を細める。
「他の委員がどうかは知らんが、貴様の言う通り外見、内面に優れた委員も数多くいるだろう。
とはいえ、男子である私にカワイイという表現は如何なものかと思うがな」
恐らく、彼女に向けて初めて露骨に表した感情。
男子に投げかけるには些か不適当――と己は思っている――な単語に、ムッとした様な表情と共に言葉を返すだろう。
■日ノ岡 あかね > 「ふふ、そういうところが『カワイイ』のよ? おねぇさん、おべんちゃらは苦手だから思ったことはつい口にしちゃうの」
瞼を下げて、楽しそうにニヤニヤ笑う。
パンケーキの欠片はまだまだある。
「もし、『カワイイ』と思われたくない場合は、少なくともこの手の形容は受け流せるようになるといいわね。おねぇさんからの優しいレクチャーよ?」
理央のムッとした表情もまた味わうように観察しながら、ティースプーンで軽く紅茶を攪拌する。
崩れかけの角砂糖はそのまま紅茶に溶けて、姿を消した。
■神代理央 > 「…御教示頂けて幸いだよ。とはいえ、気になる事を受け流せる程老成出来ている自信も無い。精々、努力させて貰うとしよう」
愉悦の笑みと共に此方を眺める彼女に小さく溜息を吐き出すと、降参だと言わんばかりに肩を竦めてみせる。
掌の中で揺れるカフェラテの水面は、もう少し丁寧に扱えと抗議するかの様に幾分大きく揺れている。
「まあ、それでも。貴様の言う通り精神的に未熟な部分は直さねばならんのだろうな。もう少し糖分があれば、まだ真面に頭も動くかも知れんがね」
カップを置いて、残り少なくなったチーズケーキを少しずつ口に運ぶ。
啄む様に放り込まれていく濃度の高いケーキの塊は、気付けば皿の上から無くなっている事だろう。
■日ノ岡 あかね > 「ふふ、素直でよろしい! じゃあ、軽く追加で糖分補給する?」
そういって、綺麗にいくつも切り分けてあるパンケーキの皿を軽く差し出す。
あかねの口が小さいせいか、まだ全然量が減っていない。
「私一人だと多すぎるし、手伝ってくれるなら嬉しいんだけど……風紀委員さんに頼むには小さな事件すぎるかしら?」
紅茶のカップを両手で持ってゆっくりと啜りながら、軽く小首をかしげて見せる。
■神代理央 > 追加で、と告げる彼女に一瞬きょとんとした様な表情で彼女を見つめる。
二秒ほどそのままの表情で彼女と差し出された皿を交互に見つめた後、クツクツと笑みを零し――
「…いや、とんだ大事件だとも。折角頼んだものを残しては、店の者に申し訳ないからな。
それに、困っている生徒の頼みを聞くのは、我々の本業故な」
ほんの数秒前まで彼女の事を貴様呼ばわりしておきながら、差し出されたパンケーキにはあっさり陥落。
相変わらず言葉遣いは無駄に偉そうで老人めいたものではあるが、素直に喜ぶ年相応の少年といった有様で頷く事になるのだろう。