2020/06/12 のログ
■日ノ岡 あかね > 「なら良かった、是非とも事件解決に協力してね」
ニコニコと笑って、カトラリーケースから新しいフォークとナイフを出して差し出す。
あかねはもう十分食べたようで、手を付ける様子はない。
「実際、とても助かるわ。ここのパンケーキ美味しいんだけど、一番小さいサイズでも私には少し多すぎるから困っちゃうのよね。無理に食べたら食べたでちょっとカロリー的に不安があるし」
紅茶もゆっくりと啜っている。
カップは熱を徐々に失いつつあるが、それでもまだたっぷりと水面が揺れている。
「花も恥じらう乙女としては、カロリーとの戦いはどうしても無視できないわね」
自嘲するように笑って、肩を竦めて見せた。
■神代理央 > 差し出されたフォークとナイフを受け取れば、最初は遠慮がちに。切り分けてあるパンケーキを更に切り分けようと悪戦苦闘しかけている。
しかし、彼女が手を付ける様子が無い事。そして、投げかけられた言葉を聞けば、遠慮の精神はあっさりと白旗を上げる事になる。
「…そうか?確かにボリューム的には小さくとも過ぎるものとは思うが。カロリーを十分接種出来るのは良い事だと――」
そこで、傍と気が付いた様に言葉を止める。
沈黙したまま取り合えずフォークで突き刺したパンケーキを口に運び、メイプルとパンケーキの甘さを堪能しながら飲み込む。
水分を補給する様にカップに口をつけた後、彼女に視線を向けて。
「…カロリーだのなんだのを気にする女子は多々目にするが、考え過ぎだと思うがな。
きさ……日ノ岡は糖分を気にする程の体型だとも思わないが」
男子と女子の間に存在するカロリーへの認識の甘さ。
それを露骨に表しながら、肩を竦める彼女に不思議そうに首を傾げてみせた。
■日ノ岡 あかね > 「あははは! ありがと、リオ君」
その発言に、とても嬉しそうに笑う。
そして、得意気に目を細めて、またゆっくりとカップを傾ける。
「リオ君みたいな素敵な男の子にそう思って貰うために、私みたいな見栄っ張りな女子は日頃から体系維持の努力をしているのよ。今、まさにその努力が実ったところね。とても気分がいいわ」
実際、あかねに限らず世の女子は日頃から現状維持にも気を遣っている。
その気を遣った甲斐があるというのは、素直に嬉しい事に違いない。
「大事件解決に協力してくれただけでなく、私のメンタルケアまで同時にこなした形ね。リオ君は敏腕風紀委員ね? リオ君に守られる学園の未来は明るいわね」
■神代理央 > 「…喜んで貰えたのなら何よりだ。それに、努力する者は嫌いでは無い。真面目に、たゆまぬ努力を続けていれば、良い男が見つかるだろうさ」
そんなに喜ばれる事だったのだろうか、と内心首を傾げつつも、喜ぶ彼女に水を差す様な発言は流石に控えた。
これでも、パンケーキの恩は大事にしているつもりなのだ。態度に現れる事は無く、相変わらず口調は尊大だったり偉そうだったりするのだが。
「過剰な世辞は好まぬ。私は唯、パンケーキを譲り受けただけだからな。とはいえ、そういう態度を好む男も多いとは思うが。同年代の風紀委員でも狙ってみたら良いんじゃないか」
黙々と。まるで生きる為に必要ですと言う様にパンケーキを突き刺しては咀嚼。突き刺しては嚥下。
時折カフェラテで喉を潤しながら、揶揄う様な口調で笑みを零す。
それは、僅かにではあるが彼女に気を許した様な態度でもあるのだろうか。
■日ノ岡 あかね > 「確かに、良い男との出会いは既に果たせているしね?」
紅茶を飲み終えて、軽く伝票を取って立ち上がる。
「安心して。私、お世辞は苦手な方なの。それじゃ、これは事件解決の報酬と言う事で」
そして、そのままレジに向かう。
ウェーブがかったセミロングが、柔らかく揺れた。
「多分、次もお願いすると思うからよろしく。それじゃあね」
そのまま、さっさと会計を済ませて出ていく。
茜色の夕日が、窓辺を静かに照らしていた。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
■神代理央 > 立ち上がる彼女を見上げ、そのまま立ち去る彼女をひらひらと手を振って見送る。
会計位は此方が持ちたかったが、とも思うのだが一手先を越されてしまったのは否めない。
「…次、ね。それまで問題を起こさない様にして欲しいものだが」
彼女が立ち去った後を見つめて、やれやれと溜息を一つ。
そうして、残されたパンケーキを堪能した後、少年も店を立ち去る事になる。
茜色の夕日が紅に。そして宵闇に移り変わる間際。穏やかな休日は終わりを迎えるのだった。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から神代理央さんが去りました。