2020/07/26 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に藤巳陽菜さんが現れました。
藤巳陽菜 > 【夏の限定メニュー!練乳イチゴかき氷パフェ!!】

「…練乳イチゴかき氷パフェ。」

店外に置かれた看板に躍る【限定】【練乳イチゴ】【かき氷パフェ】の文字。
その一つ一つが炎天下の日差しに焼かれた陽菜の心を惹きつけてやまない。

その文字列に吸い込まれるように入店すれば店には割と人が多い。
外のテラス席は相手いたがこんな暑さで外で飲食をする気にはなれない。

空いている席はないかと体を伸ばして見回してみる。

藤巳陽菜 > 必死に体を伸ばしても空いてる席は見つからない…仕方ない。帰ろう。
帰って途中のコンビニとかでアイス買おう…。

そんな、諦めモードで帰ろうとした時に店員から声をかけられる。

『いらっしゃいませー。一名さまでしょうか?
 ただいまカウンター席ならご案内できますがそちらでよろしいでしょうか?。』

「あっ、はい。それで大丈夫です。」

カウンター席ということは見知らぬ人と隣り合う事になるが…
この蛇の身体が邪魔にならないかだけが少し心配。

藤巳陽菜 > 案内された席に着けば幸いにも隣にはまだ誰も座っていない様子。
少しホッとして、立ててあったメニューを眺める。

「チョコバナナかき氷パフェそういうのもあるのね…。」

ふわふわに削ったかき氷に特製のバナナソースとチョコレートソースをかけた新しいタイプのかき氷…。
間違いなくおいしい…間違いなくおいしいと思う。

食べ物るものを選んだら次は飲み物をどうするかの問題だ。

今まで暑い中にいたのでここは勢いで冷たい飲み物を注文したい。
アイスカフェオレとか頼んでしまいたい。

だが、待って欲しい…この店は良く冷房が効いている。
更に今から頼もうとしているのは冷たいかき氷パフェ…。

このままだと涼しい×冷たい×冷たいが合わさって身体が冷えすぎてしまうのではないか?

ご案内:「カフェテラス「橘」」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > 暑い中、涼しさを求めて入ったカフェテラス。
ノースリーブのワンピースを着た風菜。

「暑いからか、混雑しているんですね」

そうつぶやきながらも、下半身が蛇の少女の隣の席に案内される。

「お隣、失礼しますね」

藤巳陽菜 > そもそもこの陽菜の蛇の身体は変温動物と恒温動物の要素が混ざってよくわからない事になっている。
寒い環境が続く冬などはともかく少し身体を冷やしただけで動かなくなったりはしない。
だが、一度冷えたその蛇体を温める為にエネルギーがいる。
つまり、凄いお腹がすくのだ…。

そうやって真剣に、テストの時よりも真剣にメニューを見ていたため声をかけられれば。
驚いてしまって。

「はいっ!?」

思わず大声を出してしまう。

「ど、どうぞ…。」

恥ずかしさに内心悶えながらも蛇体をコードを束ねるように動かしてなるべく邪魔にならないほうへと…。

雨見風菜 > 「チョコバナナかき氷パフェをお願いします」

座るなり、予め決めておいた注文をしておく。
こちらの邪魔にならないように蛇体を丸める隣の少女の様を見て。

「大変ですね、その体」

大きなお世話かもしれないと思いつつ声をかけてみる。

藤巳陽菜 > 初対面でいきなり大変ですねと言われれば何故か少しムっとなってしまう。大きなお世話だ!
確かに大変だし、相手に悪意はないだろうし、実際今の状況を見ればそれだけでも大変そうに見えるだろうし…。

強いて言えば憐れまれることに対する不快感。

だが、その心の中の不快感を外には出さない。

「ええ、本当に…色んな種族の事考えてるこの店でもこんなですから。
 もっと狭い店とかなら隣の人座れませんよね。」

自分の分の注文をすます。 チョコバナナかき氷パフェ。それとホットのコーヒー。

雨見風菜 > 「そうですね、確かに。
 私のバイト先も、そこを考えるように言ったほうが良いかなあ」

風菜は、地雷を踏んだとは思わず、マイペースに自分のことを考える。
無自覚な差別心は、己では気づきにくいものである。

「ところで、その制服……学園の生徒の方で?」

藤巳陽菜 > 少ない体質の人の為に店を変えるのはおそらく難しいことだ。
この島の人口の1%にも満たない体の事を考えて店の方を変えるメリットはとても少ない。

「そうですよ!制服着てるのに生徒じゃなかったら完全に危ない人じゃないですか!」

仮に生徒じゃないのに制服着てる何者かだったとしても自分が生徒であると答えるだろう。
それが趣味の為の制服であっても、実益の為の制服であっても。

雨見風菜 > 考えてみれば店のスペースも小さいし、喫茶部分は店主の趣味でもあるわけだし。
難しいだろうなと考える。

「それもそうですね、失礼しました」

となれば、目の前のこの人と学園で会うこともあるだろうか。
水を一口飲んで。

「では、学園で会うこともあるかもしれませんね。
 私は一年生の雨見風菜です」

自己紹介。

藤巳陽菜 > 「一年生…じゃあ、私が先輩ね。
 3年生の藤巳陽菜。よろしくね。」

相手が後輩であると分かったとたんに敬語を解除していく。
そう、陽菜は三年生すこし事情があって休学なんかもしていたが一応3年間この学園にいるのだ。

「一年生ってことはもうこの島に来て3~4か月くらい?大分慣れてきた頃じゃない?」

陽菜にはあまり自分の後輩と言える立場の相手がいない!
故に!こんなタイミングで全力で先輩風を吹かせようとするのだ!!

雨見風菜 > 「そうですか、陽菜先輩、よろしくおねがいします」

学園の生徒は多種多様。
見た目だけでは相手の学年は確認できない。
そんな中でこの二人の切り替えっぷりはよくあることかもしれない。

「ええ、結構慣れてきてます。
 ただ、古書店街はちょっとまだ把握しきれてないですね……」

結構どころかもうとっくにフリーダムに動き回っているのだが。
あとついでに落第街も把握しきれていないが、まあそこは普通は立ち入らない場所だ。
そのため自分から口にすることでもないだろう。

藤巳陽菜 >
「なるほど…私も3年いるけどだいたい…勉強とか後やらなきゃいけない事とかで行けてない場所多いもの…」

農業区や産業区には足を踏み入れたこともないし歓楽街にすらあんまりいかない…。
あれ…もしやこの目の前の一年生より詳しくないのでは?
自らの行動力の少なさを少し恨んだりする…。

「他の場所なら(異邦人街とか…)そこそこ案内できるけど…古書店街は私もあまり行ったことないわ…。」

大抵の本は図書館でそろうのだ。
あの町に足を踏み入れるのはよっぽどのマニアか一部の研究者か…。

雨見風菜 > 「学生の身分、やらなきゃいけないことは多いですよね」

この表面上は清楚な風菜、勉強はかなぐり捨てているのだが。
況して本性は痴女である、地形の把握は必要だとも言える。
まあそんなもん言われなければ他人がわかろうはずもないのだが。

「興味がないと中々足が遠いですよね」

言ってる風菜自身、農業区も産業区も行ったことがない。

藤巳陽菜 > 「雨見さんは真面目そうだしね。」

見た目も話していても清楚な印象。
…犬用みたいな首輪もついてるけど何か事情があるのかもしれない。
異能を抑えるために必要だとか…そんな深い理由があるのだろう…きっと。

「興味ないとだよね…。逆にお気に入りの場所とかはある?
 私は最近だと異邦人街のお店が安くていっぱい食べれてお気に入りかな?
 …あんまり、おしゃれな感じの店じゃないけど…。」

安い!多い!!そして多い!!!
多くの大食い異邦人たちの胃袋を支える店が異邦人街には少なくない。
そんなタイプの店を普段から利用するほどに陽菜の食欲は旺盛であった。

雨見風菜 > 「ところが不真面目だったりするんですよね、これが」

まるで他人事かのように言い放つ。
それにしても首輪のこと聞いてこないなーとか考えていたりして。
なお、異能の制御は首輪がなくとも問題なく行えている。

「お気に入り……」

一瞬、バイト先がよぎる。
だがあそこは落第街、普通は立ち入らない場所である。

「扶桑百貨店ですね。
 いろんなお店があったり、温泉もあったり……すごいですよねあそこ」

咄嗟に思いついたのは百貨店。
とは言え今の所ウインドーショッピングしか出来ていないのだが。

「いっぱい食べるとなると、安い店は本当ありがたいですよね。
 得てしてお洒落な店とは無縁になってしまいますが」

大抵おしゃれな店は高い。
目の前の先輩の事情は知らないが。
風菜自身、行ってみたいなと思いつつあまり足が向かないのであった。

藤巳陽菜 > 「えー全然そんな風には…見えないけど。
 まあ、人は見かけによらないから…」

一瞬首輪に目が行くけど流石に…首輪は不真面目さとは関係ないだろう。

人は見かけによらない。
そんな言葉を意識する機会はこの学園に来てから特に増えているが未だに人を見かけで判断する習慣は抜けず。

「新しいデパート?あそこ凄いわよね。テストと被ったせいで全然見て回れてないけど…。」

陽菜も2回ほど行ったが一度目は人ごみに流されて、2回目は服だけ見て終わってしまったため全然回れていない。
一日や二日で見て回るのは無理だまるまる一週間くらいは欲しい…。
温泉もあったのか…広いお風呂…久しぶりに入りたい気持ちになってきた。

「本当にね。私こんな身体だから食費がね…本当に助かるわ。」

と、ここに頼んでいてチョコバナナかき氷パフェが届いた。
これはどちらかと言えばおしゃれな店よりの価格!
…でも甘いものに対しては財布も別口なのである。

雨見風菜 > 風菜も、ほぼ同時に来たパフェに舌鼓を打ちながら。

「ふふ、よく言われます」

本当に、この見た目で痴女だなどと言われなければわからないだろう。

「首輪、気になります?
 まあ、個人的なファッションって言うだけなんですけれども」

もちろん裏の意味もあるが。
目の前の先輩を趣味に無理に巻き込む気もない。

「とても凄すぎますよね、何度か行ってるんですけど一日じゃあ絶対足りませんよ本当」

あそこは本当に広すぎる。
百貨店と言うより、寧ろ大型立体商店街と呼んだほうが良いのではないだろうか。
日本でも、片田舎のショッピングモールを圧倒するくらいの広さと階層があるわけだし。

「なるほど、大変ですね」

と、ここで最初の自分の発言がもしかして失礼だったのでは?と思えてきた。
思えてきたが、相手はそれを口に出していない。

「……最初の発言、無礼だったのではないかと今思いました。
 だとしたら、ごめんなさい陽菜先輩」

こういうのはさっさと謝るに限る。

藤巳陽菜 > 「な…なるほどそれは…個性的なファッションね。」

…首輪…おそらく犬用。
なるほど、やはり変わっている。

「学生生活まだ長いんだからちょっとずつ行けば卒業までには余裕で全店舗巡れるわよ…多分。」

それまでにテナントの入れ替えとかはありそうなので難しいかもしれない。
それを除けば流石に余裕だろう。

「…どうして謝るの?
 実際、大変そうだと思ったからそう言ったんでしょ?」

目の前のパフェを口に運びながら訪ねる。
その視線はパフェに注がれている。

雨見風菜 > 「ええ、よく言われます」

くすくすと笑って。

「まあそうですね。
 広いと言っても限度がありますし」

この常世島だって大陸ほど広いわけではないのだし。
空間魔法なんかで拡張されてなければ大丈夫だろう、きっと。

そして謝罪したことを問われれば。

「そうですね、大変だと思いました。
 でも、陽菜先輩に無礼だったかもしれないと、今考え至りまして」

無自覚な差別心。
自分自身、そんな醜い点が無いなんて胸を張って言えるわけではない。
でも、そんな先輩の返答に、ちょっとタイミングが悪かったのかも、とも思いながらパフェを口に運ぶ。

藤巳陽菜 > 「無礼ね…でも、あんまり謝ってほしくなかったかな。」

確かに大変ですねという言葉に少しムッとなったのは事実。
でも、それを謝られると本当に避けようがなくなってしまう。
無意識に哀れまれていたことを直視してしまう。

「…気になるかもしれないけどあんまり気にしないで普通に接してくれたらうれしいな。」

…これだけ大きな、陽菜の身体の半分を超えるほどのそれを気にせず接しろなんというのも難しいことだろう。

「普通の身体に戻れてたらこんな感じになることもなかったに…ゴメンね!」

雨見風菜 > 「そうでしたか」

裏目。
とは言えやらかしてしまったことは仕方ない。
先輩も気にするな、と言ってくれたのだから。
しかしながら、その後に続く先輩の謝罪には。

「いえ、私が勝手に配慮したつもりになってただけです。
 謝られるようなことではないですよ」

そう、ちょっと申し訳ない気分になる。
それと同時に聞こえてきた"普通の体に戻れてたら"。
つまり元は彼女も普通の人間だったのだろう。
ますます失礼をしてしまったなと考えた。

「まあ、この話はここまでにしましょう」

このままでは私が悪い、いや私が悪いとループになりそうだ。

「それにしてもこのパフェ、美味しいですよね。
 ただ個人的にはかき氷はきつい……」

話を転換した途端またやらかした。
先日の縁日でも食べすぎて頭痛に苦しんだのに。

藤巳陽菜 > 「人間関係難しいもの…どれが正解なのか全然分からないわよね。」

人とのコミュニケーションはあまりにも難しい。
特にこの島に集まっているのは地域も元居た世界までも違う人々。
噛み合わないことも無限にあるだろう。

「かき氷とかで頭がキーンてなるのあれアイスクリーム頭痛っていうらしいわよ。」

こちらはあたたかい飲み物と交互に食べることによって頭痛のリスクを回避している。
うん、おいしい…おいしいが早めに食べてしまわないとかき氷部分が解けてしまって下のパフェ部分が水没してしまうのではないだろうか?
不安を感じながらもおいしい。

雨見風菜 > 「人によって正解は違うんでしょうね。
 難しいところです」

そもそも。
同じ人間同士だって噛み合わないことは多々あるのだ。
異邦人相手になぜそれができようか……

「らしいですね……。
 うう、溶かしたくないからって一気に食べるべきではなかったです」

一応、風菜も何度か経験して調べて知ってはいる。
だがそれだけ。
先輩の様子もあり、今になって温かい飲み物を注文しておいたらよかったと後悔している真っ最中だ。

藤巳陽菜 > 「これが年季の差と言うものよ。」

ミルクと砂糖を入れた温かいコーヒーを飲みながら冗談めかしてそういう風に言う。
学年でいえば2年しか変わってない。

「やっぱり、冷たいものに温かい飲み物の組み合わせこそが最高ね。」

その二つの組み合わせのより!
冷房とかき氷のダブル冷却から体温の下がりすぎを防ぐことができている!
やはり最初の選択は間違いではなかった。

サクサク食べ進めていく。

雨見風菜 > 「今から注文しても遅いですしねえ……」

かき氷による頭痛に悩まされながらも食べすすめる。
うん、やっぱりかき氷部分溶けると味が薄くなる……。
この限定メニューはちょっと失敗なんじゃないだろうかと思いつつ。
とりあえず後でお客様の声を書くような紙があれば書いておこう。

藤巳陽菜 > 「流石に溶けちゃうわよね。」

流石にコーヒーが来るまでに溶け切ってしまう。
相性が相性が悪い!原価少なめだろうからといって大量に入れてくれているかき氷もよくない。
普通に普通のかき氷の方がいい…。

「底の方もまあ、おいしいはおいしいけど…。」

かき氷部分を食べ終えてそこのクリームやシリアルを食べていく。
少し、少し水分が染み込んでいるがまあおいしい。

でも物足りない…。

雨見風菜 > 「溶けること前提にした味付けでもないですし、これは失敗でしょうね……」

こちらはかき氷に苦戦した結果クリームが薄くなっている。
あんまり美味しくない、と苦しい顔になってしまう。

食べきったは良いものの、なにか口直しが欲しくて。

「陽菜先輩。
 フレンチトーストを二人で分けて食べませんか?
 そのお代は私が持ちますので」

物足りないんじゃないかなと先輩にシェアを持ちかける。

藤巳陽菜 > 「後輩にお金を出させるなんてさせないわ。私が…」

少し自分の財布の中をのぞいて。

「そう私が…半分出すわ。」

いわゆるワリカンというやつだ。
あまりカッコいいとは言えない先輩だった。

雨見風菜 > あ、これは足りなかったやつだなと思いつつ。
とはいえ面子を潰すのも悪い。

「では、お言葉に甘えます」

言って、フレンチトーストを注文。
ついでに取り皿も一枚お願いする。

なお、風菜の手持ちは充分ある。

藤巳陽菜 > 「いや、普段は全然奢れるくらいの余裕はあるのだけど…今日はちょっと今財布の中が少ないだけだから…。
 別にお金がないわけではないからね!?」

必死に伝える。
ちょっとの厳しさもない!本当だよ!

「…今度は奢るから。」


ここのフレンチトーストは安定しておいしい。

雨見風菜 > 「ええ、そういうことはありますよね」

ふと遠い目になる風菜。
自分だってやらかしたことはあるのだ。
行きつけの店で、ついうっかり財布の中を切らしてしまっていたことが。

「ええ、期待させていただきます」

そうして、フレンチトーストが運ばれてきた。
半分を取り皿にとって、もう半分を先輩に渡す。

藤巳陽菜 > 「ふ、普段はないのだけど…。」

後輩の前であるからそんな風に言うが普通に普段からよくある。
よくあるのだ…。

「ええ、このフレンチトーストと同じくらいおいしいもの奢るから…待ってなさい。」

やはり、定番メニューだけということあってここのフレンチトーストはおいしい。
これと同じクラスと同じクラスものはあんまりないほど…。

ハードルを自ら上げていく。

「やっぱりおいしい。」

雨見風菜 > ここのフレンチトーストと同じくらい美味しいもの。
パッと思いつくのがバイト先だが。
まあそれは置いといて。

「そうですね、美味しい。
 かき氷の後だからか、温かいのがありがたいです」

舌鼓を打つ少女二人。

藤巳陽菜 > 「はあ、おいしかった。」

半人前のフレンチトーストをペロリと食べてしまうと…

「よし、じゃあ私がお金をおろしたら次の店よ!
 その店では私が奢るわ!」

まさかのスイーツハシゴ。
かき氷パフェにフレンチトースト、更にまだ食べるのか…

雨見風菜 > 「ふふ、それではお言葉に甘えてお付き合いさせていただきます」

こいつもこいつで付き合って食べるつもりらしい。
甘いものは別腹とは言うが、なんともはや……

そうして、少女二人は宣言通りATMに寄って、別のスイーツ店へ向かったのだった。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から雨見風菜さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から藤巳陽菜さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
カフェの窓際の席
コーヒーカップが置かれたテーブルに一枚の書類と少女は向き合っている

手元にはペン、既にお腹に収まり空になったフルーツパフェの器は、店員さんが回収していった
コーヒーのお替りをもらって……その書類が代わりにテーブルに置かれた

やや物憂げな表情を浮かべる少女は、トン、トン…とペン先を叩きながら、考えに耽る

伊都波 凛霞 >  
ペン先が迷う、まだ考えが纏まらないから

これまで何かを諦めたことがなかった
これまで最後までやり切らなかったこともなかった
これまで、逃げたことも少女はなかった

くるん、とペンを戻して、コーヒーを口に運ぶ
あえて砂糖もミルクも入れなかった
苦味が、頭の中をすっきりさせてくれるような気がしたから

少女の前におかれた書類、それは風紀委員会を辞退するという意思を示すもの…
まだ考えはまとまらない。でも準備だけはしておこう、とペンを構えたまで良かった
──けれどいざペンを走らせようとすると、色々な葛藤に襲われたのだ

伊都波 凛霞 >  
書類の提出は…きっとお偉方は止めないだろう
風紀委員会という組織にとって、伊都波凛霞とは

模範的な優等生徒であり、異能の力に頼らずとも暴徒鎮圧が可能である戦力

──それだけの存在でしかない
『その程度』にしか、自分の情報を開示していない

自分が守りたいものの範囲
風紀委員が守る領域
その齟齬を体感してしまった

ならば何を悩むのか
先にあげた3点以外の大きな理由がある

…最愛の妹が、自分の背中を追って風紀委員に入ったこと

ご案内:「カフェテラス「橘」」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 >  
シャレオツ――かどうかはさておき、カフェに似付かわしくない不良が入ってくる。
うるせぇ不良だってサテンで茶ァしばくことだってあらぁ。
一番居心地の良さそうな席はどこか、と店内を見回し、

「――お」

見知った顔を見付けた。
そちらへつかつかと歩いていき、

「仕事熱心だなァ優等生」

どかっと彼女と同じテーブルに座る。
いつだか落第街で話した少女。
こんな喫茶店でまで仕事か、とその書類に目を落とせば、

「あ?」

仕事の書類ではなかった。