2020/08/10 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に鞘師華奈さんが現れました。
鞘師華奈 > 夜のカフェテラス。まだまだ一部学生や仕事帰りの大人たちの姿で多少の賑わいを見せるそこ。
窓際の一角の席に座りながら、スマホを片手にアイスコーヒーをちびちびと飲むスーツ姿の女が一人。

「――そういえば、電子書籍ってあんまり利用した事ないなぁ…私」

そう呟きつつ、スマホで彼女が目を通している電子書籍…タイトルは『NEW-LEARNING-MAGIC』精霊魔術。お値段1500円+税、著者は羽柴哲也…知らない名だ。

(初級の本だけど、むしろ私には初級こそ好都合だからね…他の系統魔術も色々覚えたいし)

鞘師華奈が欲しているのは、主に扱い易くやり方次第で応用が利きそうで、更に魔力消費が少ない魔術だ。
まだ数ページしか目を通していないが、今受講している錬金術よりは比較的楽そうな気はする。

鞘師華奈 > 「…取り敢えず、私でも初級なら何とかなりそうだし…錬金術は…いや、じっくり覚えて行こう。
そうなると、あとは装備――新調する余裕はあまり…あ、いや”隠れ家”から色々再利用するのもありかな…。…うーーん。」

小さく独り言を呟く。別に声に出す必要は無いのだがこの方が再確認、というか考えが纏まり易いのだ。

(『虚弾』も多少残りがあったから…切り札の一つとして必要かな。…後は、久那土会から探索に必要なアイテムを購入して…最悪、現地調達も視野に入れよう)

よし、と一息。書籍は160ページほど…今は半分程度読み終えた段階だ。勉学以外は正直あまり読書する習慣は無い。
ただ、必要とあらばガンガン読んでいこう。裏常世渋谷――もし、本当にあの場所が”異界”のようなものなら――。

「私の”目的”を果たす為にも、調査する価値はあるって事だしね…。」

炎のように、鮮血のように赤い瞳を細めながら窓の外を一瞥する。夜でもこの辺りは明かりが多く賑やかなものだ。まぁ当然か。

鞘師華奈 > 裏常世渋谷…あの少女…ウメから簡単にレクチャーは受けたが、その実態はまだまだサッパリだ。
当然、調査をするには入念な準備や下調べは必要で可能な限りは現在進行形でやっているが。

(それでも安心は出来ない――けど、行くしかないっていうね)

無意識に首元に付けたシンプルな黒い革製のチョーカーを弄る。あまり無茶すると”飼い主”様に説教されそうだ。
ついつい微苦笑を浮かべてしまう――分かっていながら、今の私は多分無茶をするだろうから。

「勿論、生存と帰還が最優先――とはいえ、あの感じだと怪異とかそういう類との対決が必要な時も出てくる、だろうし」

窓の外を眺めながら、チョーカーを無意識に手で弄びつつ一息。私の”物語”はまだまだ遠い。

鞘師華奈 > 「―――っ…!?」

唐突に、何の前触れも無く――視界が明滅する。暗転する視界の中で何か――

鞘師華奈 > ――紅い、赤い、朱い世界の真ん中で。――見タ事ノ無イ化ケモノガ私ヲ見ツメテイタ。
鞘師華奈 > 「………今の、は…。」

唐突に意識と視界が現実に引き戻される。ハッ!と顔を上げれば先ほどと同じ場所。同じ空間。店内の時計を見るが時間はそれほど経過していない。

「――参ったな…疲れでも溜まってるのかね。」

ふぅ、と一息。確かにここ最近は裏常世渋谷の調査の為にあれこれ自分なりに準備などに奔走してはいるが。
変に気負い過ぎているのかもしれない…ゆっくりと深呼吸をして肩の力を抜こう。

鞘師華奈 > 「…よし、今日はもう帰ろう――また不法侵入とかされてないといいんだけどね」

私の部屋は窓のほうが色々と危険過ぎる。溜息混じりに伝票片手に立ち上がり、手早く会計を済ませてカフェテラスを後にしよう。

ちなみに、電子書籍の残り半分は帰宅してからじっくり読みふけっていたとか何とか。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から鞘師華奈さんが去りました。