2020/09/02 のログ
神代理央 >  
「面白い…かね?そう評して貰えたのは初めてな気がするよ」

そんなものかな?と言いたげな視線を向けつつ、此方もカップに口をつける。温くなった甘ったるいココアが、喉を潤していく。

「そうかね?気に入って貰えたのなら何よりだ。
そうだな。私の場合は、帰る必要性が無かった、とも言えるから一概に風紀委員会をブラックと評されるのは困るがね。
希望を出せばちゃんと帰れたさ。ただ、その申請を出さなかっただけでな」

そこは勘違いしない様に、と一応念押ししておく。
風紀委員会にマイナスイメージを持たれてしまうのは、本意では無いし。

時任時図 >  
「へぇ、じゃあ『読み違え』っすね。
 人手不足で帰れなかったと思ったんすけどね」

チーズケーキを一つずつ食べながら、興味深そうに話を聞く。
そして、小さく頷いてから。

「帰る必要がなかったっていうと、御実家が遠すぎるとか?
 まぁ、他にも『諸々の理由』で帰れない人も多いって聞きますけどね」

意味深にそう呟く。

神代理央 >  
「勿論、帰れない委員もいない訳ではない。しかし、基本的には委員である前に生徒だからな。帰省したいという要望に、応えぬ訳にはいかんだろう」

陶器の触れ合う音と共に、カップをソーサーに置く。
残っているココアは、随分と少なくなっていた。

「遠い、というのもあるが…まあ、家庭の事情というものだ。時任というところの『諸々の理由』というものを、誰でも抱えているからな」

己の場合は、単純に家族間が余り宜しくないから、としか言いようがないところと、そもそも帰省を『命じられていない』と言う二点でしかない。
苦笑いを浮かべながら、大した話ではないよと言わんばかりに肩を竦めてみせる。

時任時図 >  
「なるほど、そりゃあ首を突っ込むには重すぎる話だ。
 聞かない方がいいですかね」

笑いながら、チーズケーキを食べる。
そして、馬鹿みたいに甘いハニーカフェオレを一口含み。

「でもまぁ、『甘いもの』と『苦いもの』は一緒だと都合がいいですしね。
 良かったら詳しく聞かせてもらってもいいです?」

そう、明るい笑みを向ける。

「僕、そういうのに首突っ込むの大好きなんで」

神代理央 >  
再び、カップに口をつける。
残ったココアを飲み干して、糖度の高い液体で喉と脳を潤した。
かちゃり、と陶器がぶつかる音がして、カップはテーブルへと置かれるだろう。

「首を突っ込むのが好き、なのは別に構わないが――」

穏やかな笑み。上級生が下級生へ向ける様な、笑み、なのだが。

「突っ込んだ首が、引き抜けなくなる事もある。私は、そうやって干渉される事は決して嫌いではないが…自分で言うのも何だが、私の周りは面倒事だらけだ」

「安易に厄介事に関わる事は、決して推奨せぬ。それに何より――」

かたり、と音を立てて椅子から立ち上がる。鞄を手に持ち、緩やかに微笑むと。

「もう、登庁せねばならぬ時間故な。ゆっくりと話してやる時間も無い。また機会があれば。そして、それなりの厄介事に関わる勇気があるのなら。再会した時に聞かせてやろう」

夕陽に照らされる己の貌は、どんな笑顔を浮かべていたのか。
机の上に置かれた二人分の伝票を手に取り、ふわりと微笑むと――

「ではな。甘ったるい飲み物は落ち着いて楽しむに限る。ゆっくりしていくと良い」

其の侭、彼の分まで支払いを済ませ、カフェテラスを立ち去るのだろう。
もしまた出会う事が有れば――多少は、身の上話をしてやっても良いかもしれない、と思いながら。

時任時図 >  
「そりゃ間が悪いっすね。
 じゃあ、次に機会があったらってことで。
 あ、ごちになりまーす、先輩太っ腹っすね」

そういって、軽く見送る。
去り行く先輩の背を見ながら、軽く笑い。

「いやぁ、そういうの『聞かれたいのかな』とまでは思ったけど。
 今はタイミングが悪かったか」

干渉されるのが嫌いではないとはいった。
だが、風紀委員という仕事の都合、易々と喋れないのもわからないでもない。
それを推しても、聞けばわりと喋ってくれるんじゃないかとジズは思っていたが。

「『読み違えた』な」

そう笑って、肩を竦めた。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から時任時図さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に月夜見 真琴さんが現れました。
月夜見 真琴 >  
夏闌の曇り空。

テラス席の片隅。
スケッチブックのかけられたイーゼルの前に、白い影が座っている。
その横からひょいと街路を見つめながら、携帯デバイスを構える――シャッター音。

「いっそ雨が降っていてくれても構わなかったのだが」

同居人に荷物をもたせ、自分はひとりで散歩日和。
始業日から休んでしまったので、学校を訪い諸手続きを済ませてから、
こうして人の少ない時間、店に許可を取ってこうさせてもらっている。

「ああ、しかし困った」

甘くささやくような声で。
空く時間だ。
湯気の立つコーヒーと、ミルフィーユ。
紫のベリークリームが美味しいやつだ。

月夜見 真琴 >  
こまりごと、はすぐには解決する見込みもない。
ヘーゼルナッツのフレーバーが香しいラテを楽しんで。
するするとそこから望める景色を線でもって書き抜いていく。

「――絵の具は流石に持ち込めないからなぁ。
 始終、居座るわけにもいかんし」

入学当初から世話になっている店ではあるが、
そこまでの我儘は通るまいし言う気もなかった。
混んできたら退店するつもりだ。あとは気分次第。

「初秋涼夕も未だとおく――まだ少し暑いか。
 このまま秋めいてくれるといい。
 寝苦しい夜は――あとに、引きずる」

倦怠感と熱が、未だに体に残っている気がするし。
鈍色の空気がもたらす涼風は心地よく、
しかし未だに想起してしまう熱を冷やすには至らない。
青息吐息。

月夜見 真琴 >  
口ずさむのは遠くふるい旋律だ。
祖父が好きだった曲で――歌詞はあるようなのだが。
器楽のほうしか聞いたことがなく、それで十分に思えた。
邦題がとてもすきだった。

「そういえば、華霧。
 あの子は――歌舞音曲に親しみがあるようには」

流行りの歌くらいはしっているのかな、とか。
カラオケに送り出した同居人の今頃を思い描く。
微妙に行きづらそうにしていたから強引に押し出してきたのだけども。

「ふふふ――まあ、友人も多かろうし。
 そういう場であの子が困るということはないかな」

少し損な性分だな、とは思う。
そうであればあるだけ、解決の遠のくちぐはぐな問題。
ぼんやりと、涼風漂ううちに考えはまとめておこう。
暫しののち、ケーキを食べ終えて暫し。
イーゼルを片付けてその白い姿は会計を済ませにいった。

困りごとは解決しなかったが、それもたのしい。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から月夜見 真琴さんが去りました。