2021/03/14 のログ
■雪城涼子 >
そして十分落ち込んでから
「……さて、と」
一息つき、お店を後にした
ご案内:「カフェテラス「橘」」から雪城涼子さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に藤白 真夜さんが現れました。
■藤白 真夜 >
「……はふ」
慣れないテラス席でちぢこまりながら、店員さんを呼び止めるのが苦手な注文をして。
届いたドリンクとスイーツを前に、ようやくひといき。
あまり、こういうお店に慣れていないのもあるのですけれど……たまには。
いわゆる自分へのご褒美を兼ねた冒険心のような、そんなこころもちで。
「……えへへ……」
目前に広がるいちごのタルトの甘い香りと。
湯気を立てる紅茶のフルーティーな香り。
それらを前に、私はにまにま、してしまうのです。
もちろん、好物を前にした喜びというのもあるのですが。
きっと、最近頑張っていた見返りの、ものすごい幸運があったのです!
(……少しだけ、ではあるけれど。……罪滅ぼし、出来たのかな)
先日、偶然出会った方に、それはもう……ものすごい恩人の方に。
今まで何度やってもダメだった、穢れ祓いをしていただいたのです。
(……本当は、私のほうが穢れのようなものなんですけど)
こくり、と紅茶を一口。
「……はふ~……♪」
そしてやっぱり、思い返すとにこにこしてしまうのでした。
■藤白 真夜 >
(……そっか。ホワイトデーなんだ)
あんまり表情がだらしないので、はっ、と思わず周りを警戒して。
ふと耳に入る言葉が、ホワイトデーのお返しのお話でした。
(……まあ、私にそんな縁とか、絶無なのですが)
……何より。
少しだけ進んだと喜んでいても、……未だ私に、恋愛など、……できる資格も、あるはずがなく。
(……そもそも相手いませんし、ね)
もぐもぐ。
別にヤケになっているわけでもなく、いちごが山盛りになっているタイプのタルトを口に運べば。
いちごの甘酸っぱい香りと、クリームのふわふわの甘い風味が口の中いっぱいに広がります。
……食べ物にはあまり執着が無いタイプのつもりでしたけれど、それでもやっぱり好きな、デザート。
甘い風味と香りを、紅茶で流し込んでいたら、ふと。
(……、……でも、あのひとのほうが甘い薫りだったなあ)
実際のところは、そんな薫りなどしていないはず、だったのですが。
古書店の古い紙の匂いの中の、あの甘い薫りに、私は誘われていたのですから。
(……な、なんであのひとのことこんなに考えてるんだろう)
……思わず、自分の思考を追いかければ。
ほわいとでー。
恋愛。
甘い香り。
……。
(い、いやいやっ!ほ、本当に違うんです……!か、カラダが絶対惹かれるモノだったからというかっ、その影響でちょっと私も引っ張られただけというか……!わ、私は別にそういうの気にしないというか、そういう小説もたまに見たことはありますけどそれとはまた別というか~っ!)
……ばたばた。
スプーンを口に咥えたまま悶える、私。
■藤白 真夜 >
……テラス席、本当はあんまり好きでは、なかったのですが。
ふわり、と悶える私をなだめるように風が吹きました。
冬の思わず身を抱きたくなるような寒風ではなく。
かといって、夏の風ほど軽やかでもなくて。
思わず空を眺めたくなるような、和やかな春風。
なにか新しいことが始まりそうな、訳もない予感。
そんなものを考えずにはいられない、心地よい風でした。
(……でもそれはそれとして、お礼と、変に思われちゃっただろうし弁解もしなきゃ……)
気持ちだけの話ではなく、確かに。
少しだけ軽くなった私の肩に。
……いつか。
本当に、いつの日か。
ただそこに在ることが。
夢を追いかけることが。
……恋人を作ることが。
誰に負い目を感じることもなく。
そんな自分で良いんだ、と。
胸を張れる自分になるために。
(……穢れた私が。赦されるまで……。がんばります、ね!)
甘い香りと、春風とともに。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から藤白 真夜さんが去りました。