2021/11/06 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
特務広報部による最初の一撃から、一夜明けて。
穏やかな秋の朝。陽光が照らす街並み。
昨夜、大勢の命が奪われ、多くのモノが焼かれていった落第街とは、何もかもが正反対の街。
『表側』の街のカフェテラスで。一睡もする間も無い儘朝を迎えた少年は、珍しく世間一般で言うところの朝食を、朝食と取るに相応しい時間に取っていた。
碌な夕食も口にせぬ儘一夜を過ごしたので、夕食と間食と朝食がごちゃ混ぜになってはいるのだが。

「……想定よりも敵の抵抗が激しいな。
前回よりも被害が大きい。しかし…これは…」

組織的な抵抗、ではない。
個々の強大な武力を持つ者達が、各個に反撃している。
逆に言えば、今のところ"組織的な抵抗"は無い。

「まあ、どんな違反部活であろうと落第街の住民の味方、という訳では無かろうしな。しかし…」

特務広報部――その指揮権を持つ風紀委員会過激派の面々。
彼等にとって、最初の一撃は満足のいくものであったらしい。
まあ、被害の大きさには色々と神宮司が責め立てられているらしいが…まあ、何より。

『落第街の住民が大勢死んだ』
『違反部活の拠点を区画ごと焼き払った』

この二つが達成出来た事で、過激派面々の"政治的な目標"は第一段階が達成された。
違反部活でもなく、特務広報部でもなく。
先ず彼等が、一勝した。不愉快な事ではあるが。

神代理央 >  
戦争とは、外交手段の一つである。
まあ、今回の落第街への侵攻を戦争と評して良いのかはまあ、兎も角として。
勝利条件、というものがそれぞれの勢力に存在する。
特務広報部と違反部活――伊都波先輩が、潜入している組織――は、当然御互いの撃滅を狙うだろう。
しかし、それ以外の勢力は…となると、話が異なる。

単純に戦いを止めたい者。
この機会に風紀委員会への復讐を狙う者。
自らの力を試そうとする者。
人々を助け、救おうとする者。

"落第街に与する"側の勝利条件は、こんなところだろうか。
まあ他にも色々あるとは思うが…。

店員 >  
 

「お待たせしました。ホットココアとフレンチトーストです」
 
 

神代理央 >  
そこで、一度思考を中断する。
輝く朝日と、明るい笑顔の店員は徹夜明けの瞳には些か眩し過ぎる。

「有難う。良い匂いだ。食欲をそそる」

慣れた社交スマイルで穏やかに微笑めば、店員も同じ様に作り慣れた笑みで応えて立ち去っていく。
穏やかな朝。小鳥が囀り、生徒達の多くは学園で学び、職員や居住者達が活動を始める。

そんな、何時も通りの朝。
昨夜凄惨な地獄が、島の片隅で行われていたなど、目の前の光景からはとても信じられない。

神代理央 >  
湯気を立てるカップに口をつけて、甘ったるい液体を喉の奥に流し込む。
思案は、思考は続く。


落第街の勝利条件は、かの様に
『特務広報部を止めるか』『特務広報部を撃滅するか』
の二択にほぼ絞られる。
単純な話であり、其処に至る為に陰謀を巡らせ、武力を行使し、様々な手段に訴えるのだろう。


――では、風紀委員会。ひいては、特務広報部。ひいては、過激派上層部の勝利条件とは?

神代理央 >  
答えは簡単だ。
特務広報部は『違反部活の殲滅』


そして、過激派上層部は――


『落第街の人間が死ねば勝ち』
『落第街に甚大な被害が及べば勝ち』


何とも醜い話だ。闘争にすらなっていない。
しかし、その第一歩は踏み出された。
最初の勝利は、特務広報部でも違反部活でもなく、その裏で戦争を眺める者だけが、勝利を収めたのだ。

盤面の駒でも無く、その駒を操る者達でも無く。
観客である者達が勝利を収めた。

実に、不愉快だ。

神代理央 >  
「…まあ、今から『戦後』を考えても仕方あるまいか。
今考えるべきは――」

昨夜、各ポイントから上がってきた報告書。
自分も"怪異"との戦闘を行ったが、他のポイントでも色々敵対行動を取るものが複数確認された。

自分と同じく、徹夜で報告書を纏め上げた事務方の隊員達にちょっとだけ感謝の念を送りながら。
タブレットの画面に指を滑らせて、出来たばかりの報告書を開く。

神代理央 >  
『ポイントA-17』

直接交戦が発生した訳では無いが、部隊長の"雪景勇成"が何者かと接触した模様。
敵対行動を取るには至らなかったが、正体不明の強力な能力者である可能性が高い。
調査の必要有り、と認める。但し、現在のところ優先度は進行中の作戦を優先するものとする。
詳細は"雪景勇成"から聴取を行う必要があるだろう。

神代理央 >  
『ポイントB-05』

正体不明のパワードスーツと特務広報部が交戦。
パワードスーツの性能は隊員の装甲服の性能を凌駕。
3m近い巨体だった事もあり、現場指揮官が増援を要請。
歩兵戦闘車と戦闘ヘリによる陸空共同の攻撃が行われたが…。
撃破には至らなかったどころか、貴重な航空戦力であるヘリを一機失った。

「…しかし、死者がゼロというのは…どういうことだ?」

これは、首を傾げざるを得ない案件だ。
怪我人はまあ、ゼロでは無かったが。それでも、あの規模の戦闘で死者がいないというのは奇跡に近い。
唯の偶然か。それとも、そういう戦い方をしていたのか――

そのパワードスーツは、その後"雪景勇成"の能力によって撃退された。
しかし、捕縛には至らず現場から立ち去った為、正体などは不明。
要警戒対象、と判断する。
「」

神代理央 >  
『ポイントA-02』

此方は、甚大な被害が出た。
『背中に砲身を生やした六本足の巨大な蜘蛛の様な漆黒の化け物』
そう呼称するしかない物体と交戦した部隊は、戦闘ヘリ。IFV数両。交戦していた部隊の兵士を失いながら撤退した。

戦闘能力の高い機動兵器。
その見た目が、自分自身の異能――異形と類似している事も兵士の士気に影響しかねない。
迅速に撤退を決意した指揮官は褒賞ものだ。後程褒美を与えなければならないだろう。

それと、兵器と人員の損失が『消えた』『喰われた』と呼称されているのも気になる。
調査に当てる人員と時間が無いのが惜しいが…遭遇した際は、それなりの戦力をぶつける必要があるだろう。

神代理央 > 『ポイントC-03』

黒狼の仮面を身につけた何者かが、特務広報部と違反部活の戦闘地域で確認されていた。
ドローンに残された映像からこの仮面が戦闘に関与していた可能性が非常に高いが…映像記録が激しく損傷しているので、現時点では状況が不明。
友好的な勢力であるとは判断できないので、今後も戦場で遭遇した際には現有戦力のみで交戦するのは避ける事。

「……無関係であってくれれば良いが。まあ、こういう希望的観測で行動しても良い事は無い。
敵である、と仮定して行動すべきかもしれぬな」

神代理央 > 『ポイントE-01』

獅子の仮面と狐の仮面を身に着けた者達が、該当地区への砲撃を妨害。
該当地区への砲撃、及び破壊は著しく達成率が落ちる事になる。
動物の仮面、という共通点を『ポイントC-03』と共通している為、類似、及び同一組織のメンバーの"可能性がある"
但し上記の件だけで決めつける事は危険である為、作戦完了後に調査が必要であるだろう。
現時点では"敵対勢力"と分類して良いだろう。

「……仮定の話ではあるが、現在落第街の"失墜"を妨害しているのはコイツ等の組織か…?
…いや、決めつけるのは良くないだろう。情報が集まってから、でも遅くはないだろうし」

神代理央 >  
一通りの報告書を確認する。
他にも確認すべきことは多々あるし…まだ、戦場を率いる仕事が終わった訳では無い。
まだ、焼き尽くさねばならない。まだ、戦わねばならない。
すっかり冷めてしまったフレンチトーストを流し込んで。
少年は再び、委員会街へと戻っていくのだろう。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から神代理央さんが去りました。