2020/07/12 のログ
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
水無月 斬鬼丸 > 「………」

黙ってドアを開ける少年。
その顔に締まりはない。
ぼーっとしたようす、目元がふわふわとしている。
鍵?あれ?あいてたっけ?まあいいや

ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」にNullsectorさんが現れました。
Nullsector > 斬鬼丸男子寮部屋。
まあいいや、と扉を開けた先。
本来私室に当たる部屋に、女はいた。
煙草特有の煙、今日は甘い香りを漂わせながら、胡乱な常盤色の瞳が斬鬼丸を見ていた。

「……おかえり、斬鬼丸。随分と"張りきった"ようだね?」

何処となく抑揚のない声だ。

水無月 斬鬼丸 > 「……………」

なんで?
まず思ったことはそれだ。
いや、まって。なんでいるの?
ドローンならまだしも?
ええぇ…

「……お、おじゃまします…」

自宅なのに。

Nullsector >  
「……寧ろ、お邪魔してるのは私なんだが?」

正論で殴り返したきたぞ、不法侵入しているのはコイツなのに。
彼女の左目は赤く染まっており、小さなホロバイザーが紫色に光っている。

「……なんであたいが此処にいるか気になるかい?お前の調子を見に来たんだよ。」

甘く白い煙を吐きだし、勝手に置いてある灰皿に灰を落とした。
何処となく目つきが鋭い。

「お前、"女が欲しい"のか"あの子が欲しい"のか、どっちなんだい?」

ドストレートな質問。

水無月 斬鬼丸 > 「い、いえ、お気遣いなく…」

立ち尽くしたまま
わけのわからないままに返事を返す。
え?なに?なんなの?

「気になるっていうか…なにがなんだか…」

本当に何がなんだか。
わからない。
めっちゃ睨んでくるし。
と思ったら右ストレート。
ド直球な質問が飛んできた

「んなっ!?あっ、えっ…ぁぁ!?ど、どこで!???」

Nullsector >  
「…………。」

ハァ、深いため息。
トントン、と左のこめかみを叩くと、一斉に彼女の周囲にホログラムモニターが展開される。
そのモニターに映るのは学生街と一角、或いは落第街の何処か、或いは……────。
島の至る所の光景、レンズ越しに見える彼女の視界。
此れが"彼女の視界"。

「あたいの事を覚えてない位には、随分と良い思いしたみたいだね。」

女は立ち上がる。甘ったるい匂いが、足音と共に斬鬼丸に近づいてくる。

「……まぁ、"女が欲しい"なら話は早い。」

歩みを止めるつもりもなく、さながら追い詰めるようにどんどんと詰め寄ってくる。
そのまま逃げる事無く追い詰められれば、ドン!と左手を壁に突きつけてくるだろう。

「────あたいが世話してやろうか?ん?」

煙草を咥えた口元が、ニヤリと笑みを浮かべた。
僅かに着崩した白衣から見えるうなじ、甘い匂い。
何処となく煽情的な雰囲気が、女の芳香として鼻腔を擽ってくる。

水無月 斬鬼丸 > 覚えていないわけじゃない。
彼女の言葉を思い出したからこそ踏み出せた部分はあるのだから。
でもまさか、ドローンもないのに見られてるとか思わない。

「え、あぁ…その…そういうわけでは……」

立ち上がり、歩み寄る女。
流石に少しこの流れで近寄られると怖い。
思わず一歩下がってしまう。

が、背後はドアだ。
ずんずん歩み寄る代理人。

「ひっ!?」

壁ドン。なんか漫画とかドラマとかではよく見るけど
される側ってこんな恐怖を毎度味わっているのか。
気安くやるもんじゃないな。

「はっ!?あっ…えと…そ、そうじゃないっす!!
俺、俺は、その…フェイっ…フェイがっ!!!」

女がほしいだけなら、大時計塔でとっくに折れてる。
そうじゃないからこそ、彼女の前に立てたのだ。
だが、ここまで『女性』を意識させるものを見せつけられると
それはそれでドキドキしてしまう。男子なので。

Nullsector >  
ホログラムモニターはぱっ、と散って消えてしまう。
薄氷の様に綺麗に、露と消えてしまう。

「……情報屋ってのはねぇ、それこそチープな情報から何でも仕入れてかないとやってけないんだよ。」

個人から世間、ありとあらゆる隙間に蔓延る目。
技術の進歩は犯罪率を著しく下げたが、それを悪用すれば瞬く間に全てを暴く目に変わる。

────忘れてはいけない、目の前にいるのは一級レベルの犯罪者。

何処となく浮かべる笑顔に邪悪さも入り混じっている。

「フェイが……なんだい?あの子が"どんな立場"で、自分が"どう言う立場"か、アンタわかってるのかい?」

「自分がアソコで、何を見て来たのか……忘れたワケじゃないよね?」

共に歩いた落第街の浅瀬。スラムの入り口、荒んだ世界。
確かにそこには、斬鬼丸が住む世界とは全く違う秩序が混在している。

「フェイがどうこう、だなんてよく言うよ。別に、男の子だからね?性欲は否定しないけど……。」

「だらだらと女の欲情に釣られて、流されるままに出しといてさ。」

「……お前、少しは疑問に思わないのかい?」

それは確かに変わらない、生きているという意味では変わらない。
それでも、世界が違う。それはきっと、平穏を望む彼にとっては"不釣り合い"だと言い放つ。
恋だの愛だの、"お前の感情は今まで同じ、ただ主体性も無く流されているだけに過ぎない"。

「現にお前、女一人に迫られて何も出来ないじゃないか?えぇ?……悔しいなら、少しは何か言ってみたらどうだい?」

「────ガキが一丁前に、強がらずに大人に任せてみとけばいいんじゃないか?」

笑う、嗤う。
あの時見せた笑顔とは違う嘲笑。ただ目の前の男の隙間を、言葉のバグの様に鼓膜を揺らす。
甘い煙草の煙が部屋に充満する。女の細い指先が、ゆっくり下腹部へ伸びる。


────"悔しければ何か一つハッキリ言ってみろ"。


胡乱な常盤色の目線が、そう語る。

水無月 斬鬼丸 > 彼女が何をやってその情報を得たとか
それはもうどうでもいいことだ。
彼女はそれを知っている。
自分が何を行ったかも、何をしたかも
それがどこであれ。
恥ずかしいやらなんやら…表情が歪む。

「ソ、それは………はい…」

知らないわけじゃない。
現にそれは彼女からも言われたこと。
違うところに住むもの
違う悩みを持ち違う価値観の中に生きてる。

「っ…ぅ……でも……」

自分と一緒にいて、楽しいと言ってくれた。
騙すつもりなら、そりゃいいカモだろう。
でも、彼女は問うたのだ。それでいいのか、周りはそうは思わないと。
そして、トモダチとして汚点になりたくないと

伸びてくる、手が。
するりと、伸びる細い指。
それを、掴んで止める。

「紫苑…さん……あの子…フェイは…フェイには…悪意はないんです…少なくとも、俺には…
トモダチだって…楽しいって…言ってくれて……
"善意"で接っしてくれてたんです……だから…護る人…なんです……」

彼女が言っていた。
繁縷 紫苑、目の前の女性が言っていたその言葉。

「そんで……その…俺、俺は…ガキだし、わかってないし…
それでも…好きだって、おもって…だから、その……やめてくださいよ。
そんな……脅すような善意は…そりゃ、考えなしかもしれないけど……」

Nullsector >  
手が、掴まれた。
たどたどしくも必死に目が、言葉が、訴えかけてくる。

「…………。」

静かに女の目が、斬鬼丸を見下ろす。
甘く、白い煙がふんわりと口から吐き出された。

「……あの子の住んでる世界は、アンタが今いる此処よりずっと"暗いし無秩序"だよ?
 別にアンタが誰を好きになろうと、女とヤろうと、どんなことをしようと自己責任。」

ある種の堅苦しさはない。その自由さに憧れるものものいるが
秩序無き理由はモラルの崩壊。その先は、斬鬼丸がいる世界よりもずっと仄暗い坩堝。

「……"ソコ"に堕ちたら、どんな形でも人は変わる。変わった時アンタ、同じ事言えるのかねぇ?」

「そんな流されるままじゃ、真っ逆さまだって言ってるのさ。……アンタがあの子を"好き"と言えるのは……」

「"今の"水無月 斬鬼丸だからじゃないのかい?」

意地の悪さ、邪悪さはすっかりない。
あの時と同じ、落第街で子を諭すように、厳しく顔つきと、優しい眼差し。
壁に添えた手をそっと離し、斬鬼丸の頬に添えようとした。

「あの子の事を背負えって言ってるんじゃない。悪い方向に、このままだと変わっちまうよ?」

「……女ってのはねぇ、どんな奴ダメな男でも、隣にいてくれる奴の気を掛けちまうもんさ。例外もあるけどね。」

「────ちゃんと女に心配を掛けないように、迷わず隣にいれるかい?」

これがきっと、真っ当な学生同士の恋愛なら彼女も此処にはいなかった。
だが、相手は二級学生。学園の吹き溜まりに屯する住人。
今迄の流されっぷりを見て居れば、覚悟の一つ位問いただす気にもなる。
彼の為でもあり、女として、相手にも気を掛けている。


本当に、とんだお節介だと自分でも思っているくらいだ。


沈黙の隙間に、甘い匂いが漂っている。

水無月 斬鬼丸 > 掴んだ手を強く握る。
白い煙に包まれながらもうつむいて
彼女の言葉を聞いていた。

フェイは二級学生で
自分はそうじゃない。
世界が違う、そのとおり。
行き場のない者たちの場所に住む少女のいる場所は
彼女の言う通り暗いし無秩序だった。

そして、彼女の言う通り…

「……そうじゃないんっす……きっと…
フェイが…俺に応えてくれた理由が…きっと…
"今の"俺だから…なんっす…」

そっと、手から力が抜けて、紫苑の手を離す。
頬に触れたては優しく、顔を上げれば優しげなその目がこちらを見ていた。

「できることなら、俺は…そばにいたいっす……
心配かけたくない…心配も、しなくていいように…
俺が…なにかできることがあるなら……隣にいれるなら…
そうしたい…です…」

わかっているのだ。
彼女は優しいから。
二級学生である彼女とのことを心配しているのだろう。きっと。
自分が何もできないから。
できることであればしたい。どうにか。
だが、そんな財力も権力もないのが事実。

「俺が、ガキで…こういうの、強がりってのはわかってますけど……
それでも、好きになっちゃったんですよぉ!」

Nullsector >  
「……ふぅん……。」

何時もの気だるげな返事。
離された手を一瞥して、そっと離れた。
灰皿の上に、咥えていた煙草を押しつぶす。
甘い匂いが、空気が部屋中に沈殿していた。

「……あの子自体もきっと変わっていく。けどねぇ、いきなり変わる事なんで無理だ。」

「あの子のいる世界は、刹那的なんだ。きっと、アンタが幻滅するような事や、嫌な事が簡単に起こるような場所にいる。」

「……それが嫌なら、アンタが引っ張ってやるしかない。何でもいい、同じ道を行かなくても良い。」

再び女が、近づいてくる。

「──────隣同士歩きたかったら、一緒に手を繋いで歩けるかい?あの子を、引っ張って上げれるかい?」

童話の様に、白馬の王子様のようにとは言わない。
どうやっても別々の人間同士、同じ道を歩けなんて尊大な事は言わない。
でも、手を繋げるような距離。同じ方向を歩いて、何時でも横顔を見れる男女の距離。
今は、余りにも距離が遠すぎる。本当に好きだというなら、男の甲斐性が試される時だ。
此れを違えれば、お互い奈落の底へ一直線。二度と繋がる事も無いかもしれない。
薄氷の上の関係かもしれないが、立場の違い、格差の恋愛なんて時代が何度も証明している。
けど、そうとは終わってほしくない親心の様なもの。何も、"悲恋ばかりが物語"じゃない。

「お互い、幸せにする事は出来るかい?」

それは、一時の恋かもしれない。
数年後には終わっているような青春の一幕。
だとすれば、この答えは返ってこないと知っている。それもいい、お互い若い。
けど、そうでないなら……どうなんだい?と女は問いかける。
何方かが欠けてもいけない。"愛"とは、そういうもの。
今度はさっきと違う、優しく、穏やかで、子を心配するように

優しく、その頭に細い指先を添えた。

水無月 斬鬼丸 > タバコのニオイ。
甘い匂い。
目の前の女性の香り。
その憂い。
自分の周りにまとわりついて
部屋のなかにうずまいて

『引っ張ってやるしかない』

できるのか?
いや、いいのか?
それを彼女が求めているのか?
望んであそこにいるのでは………

『なんだかんだ、オマエと遊んでるとスラムにいるよりタノシーんだヨ』

…そうだ…なら、それを信じたい。
一緒に遊んで、一緒にいて…こっちだって悪くないって…

「……何を…」 

息を呑む

「俺、わかんないんです…スラムのこととか…
学校のこととか…どうすればいいとか……
だから…おしえてほしいんです」

紫苑の手が触れる。

「俺たちが幸せになるには…なにをすればいいか…
フェイの手を引っ張って…一緒に歩くには…どうすればいいのか…」

そのまま膝をついて、頭を床に打ち付ける

「生意気なガキの言うこと…金も何も用意できないけど!
それでも…知りたい!!教えて下さい!!」

Nullsector >  
何時も気だるげな彼女が目を見開いた。いや、面を食らった。
まさかの土下座。しかも中々勢いがいい、あれ頭傷めたんじゃないか?
僅かに頬を掻いて、溜息を吐いた。

「……大袈裟だね。そこまで、彼女に本気になっちまったのかい?」

純粋だからこそ、こうやって心配しに来たのだが、聞きしに勝るとはよく言ったものだ。
パチンッ、と指を鳴らせば白衣の裏から飛び出す四角。
ボンネットの様に広がると、それは黄緑色のドローンへと変化する。
彼と最初に出会った、ドローンだ。

「……まぁ、とりあえずシャワー浴びて落ち着いてきな。少しだけ、キッチン借りるよ?」

「どうすればいいかは、あたいなりに教えてやるからさ。」

ちょっと予想外だけど、彼なりにそこまで真剣なら付き合ってやるのも筋と言うもの。
世話を焼いた以上はちゃんとやる、気だるそうに後頭部を掻いて、キッチンへと向かっていった。

水無月 斬鬼丸 > いい終えて
自分の声にやけに靄がかかって聞こえる。
思いっきり打ち付けた床はフローリングではない。
玄関近くの床はコンクリートにフロアシートはっつけただけだ。
くらくらする。
聞こえる紫苑の声も同様、くわんくわんと聞き取りづらい。

「は、はいっ!!好きなんです!!!……ぇ…?」

キッチン借りる?
なんで?おもわず顔を上げて不思議そうに。
額はじくじくとうずき、熱い。だがふらりと立ち上がり

「あ、ぇ…は、はい…」

彼女の言うとおり、シャワーを浴びることにした。
部屋着をとって向かう途中

「紫苑さん…その……ありがとうございます……」

礼を一言、キッチンに向かう背中に。

Nullsector >  
「……はぁ……。」

あんまりに眩しい、眩しすぎる。
自分にもあんな時期があったなぁ、と胸中独り言ちた。
……でも、その記憶は思い出したくない。
ホロバイザーが付いたままの左目がギョロギョロと動き始める。

「お礼なら後にしなよ……ホラ、軽いものでも作ってあげるからさ。」

手をヒラヒラとさせて、キッチンに立ち尽くす女。
すると、5基程のドローンが突如窓から侵入してきたではないか。
一体どんな料理を作る気なのか……。
女は立ち尽くしたまま、ドローンだけがせわしなくキッチンを動いている。

水無月 斬鬼丸 > 軽いものを作ろうとしているものが
どう見ても軽くないのはなぜだろう。
これで出てきたものがオムライスとかだったらどういう顔をすればいいのだろう。
ともあれ…他人の手料理…まともなものはなんか久しぶりな気がする。

いや、まともなものが出てくるという保証はないが。

「は、はい…んじゃ、いってきます…」

追い払われるようにユニットバスへと消える。
ちなみに額は後でものすごく腫れた。

Nullsector >  
「…………。」

よし、風呂にいったな。
それを確認すれば思いきりキッチンに項垂れた。

「…………アイツ…………。」

「本当にちょっとこじらせすぎじゃないか……?」

ちょっと何というか、予想以上のピュアピュアというか。
プリティでキュアキュア過ぎる。マジか、男だぞ。
流石にちょっと頭痛くなってきた。こう言う事ある?ちょろすぎない?
いや、でも女の方も満更でも無かったはずだし、いいのか?本当にいいのか?
アイツちゃんと恋愛出来るのか?お母さん(お母さんではない)心配ですよ。


……とまぁ、アホみたいな事を思ってる矢先でドローン君たちがせわしなく動いてるわけですわ。
アームとマニピュレーターが器用にありあわせの食材とか掴んだり、色々適当に動いてる。
足りないものは外から買いだした。便利だなドローン。

水無月 斬鬼丸 > シャワーを浴びてさっぱりはしたが…
こう、なんか…
なんかこう…
フェイの感触が洗い流されてしまったみたいで寂しくもある。
あと、おでこが超痛い。
半袖ハーフパンツというラフな部屋着でユニットバスから出てくる

「あ。えっと…あがりました…」

誰かがいる状態での風呂上がりってそうそうないから
言葉に詰まってしまう。

Nullsector >  
「おかえり。」

ドローン君がタオルも持ってきてくれる律義さ。
テーブルには目玉焼きに薄焼き卵と野菜が挟まったご機嫌なサンドイッチ。
片手間で食えるような本当に軽い食事。
味の方は本当にキッチリ分量が守られていて、食べられはする。
若い口には若干味気ない、薄いかもしれないが……。

「それじゃぁ、食いながらでもいいからよく聞きな。」

女が空をなぞると、紫色のホログラムモニターが現れる。
映し出されるのは、常世学園ホームページ。

「一番手っ取り早いのは、あの子を学園に入学させる事なんだけどねぇ。問題は向こうの意志と……」

「財力だね。」

世知辛い話だぁ……。