2020/08/24 のログ
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」に妃淵さんが現れました。
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」に水無月 沙羅さんが現れました。
■妃淵 >
ローテーブルに並ぶ、おかずとごはん
スラム暮らしからすれば立派オブ立派すぎるごちそうである
うまくできたかはどうかは…まぁ、きっと食べれはする。きっと
最初の一口は斬鬼丸に譲ろう
「にしても、難儀な妹がいたもんだな」
すぐ近くのベッドに背を預けて座って、振り向きながら眠っている沙羅のほっぺたを人差し指でぷにぷに、やらかい
「つーか、もうちょっと互いの話もするべきなんだろーけど。そういうコトになるなら」
決して綺麗とは言えない字でかかれた、件の書類を横目にそう呟く
スラムで身の上話なんて、不幸自慢の連鎖になるタブーでしかない
■水無月 斬鬼丸 > なんだかんだできてしまった生姜焼き。
沙羅ちゃんに料理を教えたのは自分なので
そこそこにはできる。
そこそこには。
フェイがあまりにも落ち着いていつもどおりだったもんだから
慌てようにも慌てられず、なんか料理を作ることに逆に集中してしまった。
味見をすれば…うん、ふつう。
「なんか、うん、色々苦労してるみたいで…
こう、風紀ってなんかあるらしいし…」
沙羅ちゃんのぶんのご飯はまだよそってない。
起きて、食べれるようならそうしよう。
「それはまぁ、おいおいというか…とりあえずは…うん、フェイも食べなよ」
■水無月 沙羅 > 「ぅ……んん……?」
頬に触れる感覚で目が覚める。
少し頭が痛い、少し記憶がおぼろげだ。
確か夕飯を作ろうとして、そこから風紀委員の話が入って。
そう確か、フェイさんのお兄さんが。
――『異能殺し』
そう呼ばれていると聞こえて、酷い頭痛で気を失った。
冷静さを失う所だったのを覚えている。
兄さんが近くに居てよかった。
額に手を当てるようにしながらゆっくり目を開けてあたりを見渡す。
目の前にはフェイさんが居て、既に夕飯は出来ている様だった。
「兄さん……? ごめん、気を失ってたみたいで……。」
とりあえず身を起こす。
二人に心配をかけたかもしれないし、少し気まずい感じだ。
■妃淵 >
「ん」
つんつんするのをやめて、食事を摂ろう
せっかくの自分的にはご馳走である。冷ますのももったいない
「苦労、ねぇ…こんないい暮らしできても苦労はあるってか。
……まぁ、異能者なんかがゴロゴロ集まる島だし、そういう都合もあるんだろうけど」
突然倒れた斬鬼丸の妹、沙羅
先日海で見ることができた、斬鬼丸の異能
そう、一見普通にしか見えない彼らも異能者なのだ
「……お、起きたか。飯ができてるぞ、食欲あるならとりあえず食え」
ごはんを頬張りながら、箸でローテーブルを指差す
■水無月 斬鬼丸 > 「俺は普通の暮らしをしてたけど、沙羅ちゃんはなんていうか…
環境が少し特殊っていうか…あまり良くない状態で…っとと」
小さな声。
沙羅が目覚めるようだ。
深い昏睡などではなかったようでフェイもそれには気づいてたようだ。
「ああ、沙羅ちゃん…いいよ。大丈夫。
お先に食べてるけど気にしないで。
ってか、沙羅ちゃんの方は大丈夫?飯食べられる?」
兄さん。
呼び方に硬さが戻っている。
まぁ、思うところはあるだろう。しかたない。
だが急かすことはしない。
■水無月 沙羅 > 「え? あぁ、うん。 食欲は……食べようと思えば、かな?
冷めちゃうのももったいないし、うん。
いただきます。」
フェイさんに言われるように、とりあえず自分の分をよそってテーブルにつく。
ちゃんと教えてあげたかった生姜焼きが既に出来上がっているのに少しだけ残念に思いつつ、仕方ないと首を振った。
兄さんも手伝ったんだろうし、味がおかしくなることもないだろう。
「私の話、してた?」
ご飯途中にする話でもないかな、ともいうけれど、気になったまま上の空で食べてしまうよりはいいだろうと、聞こえてきた話題について触れてみる。
■妃淵 >
「まぁ俺はお前らのこと何も知らねーし、多分お前らも俺のこと何も知らないもンな」
ぱくぱくご飯を平らげながら、麦茶で喉を潤して、よい食べっぷり
「斬鬼丸が俺の保証人だかになるってンなら、もうちょいお互いのこと話さないとな。
ちょうど沙羅が来てくれて良かったンじゃね?」
「二人きりだとすぐベッドいこうとするからそういう話しねーし」
クス、と口元に笑みを浮かべる。ここでそんな言い方をするのがややいやらしい
「沙羅の話も、してた。
ナンか、俺の兄貴と因縁ありソーだしな」
倒れた直前にした話と、あの反応を忘れるわけもない
とりあえず3人テーブルを囲んで、話をする形は作れただろうか
■水無月 斬鬼丸 > 思ったよりも元気はありそうだが油断は禁物。
沙羅ちゃんの具合がいつ悪くなってもいいように心構えだけはしておく。
ご飯もぐもぐ。
結構上出来なんじゃないか?
生姜焼きをご飯に乗っけて。
「俺たちのことって言っても…俺は特に話すことがないっていうか…
特殊な環境だったのは沙羅ちゃんの家だけでうちは普通だったし。
まぁ、うん…フェイのことはその、深く聞くのは落ち着いてからでも…って…」
フェイの言葉にはやや照れくさげに。
だが、続くフェイの言葉には少しだけ眉根を寄せる。
「たしか『異能殺し』だっけ?」
■水無月 沙羅 > 「ふぇ、フェイさんご飯時にお下品すぎるよ!?」
流石の一言に口に含んだ麦茶を吹きそうになるも、何とか飲み込んで耐えきった。
こ、この人には恥じらいというものが一切ないのか!?
いや、流石に少しはあるだろうけど、今は気にしていないだけかもしれない。
それにしてもすごい食べっぷりだ、スラム出身だとあまりこういうご飯にも縁がなかったのかもしれない。
「フェイさんのお兄さん……、『異能殺し』ね。
うん、私が謹慎処分になった原因でもある……かな。
私の……んっと、彼氏さんがね、その人と戦っ立って情報が入って。
辺りにビルの倒壊したあととか、流血痕があって、混乱して。
えっと……ちょっと、異能が暴走したというか……うん。
我を失ったというか……いろいろあって、風紀委員の仲間を傷つけちゃったから。
10日間の謹慎処分と奉仕活動義務を命じられてる感じ、異能学会にも顔を出さないといけないし。」
もごもごと白米をちびちび口に入れながら、兄さんを激しく刺激しない程度の情報を話していく。
赤裸々に話したらあの人の心臓はいくらあっても足りないだろうし。
■妃淵 >
「そ。
その通り名は誰がつけたか知らねーけど、
スラムで暴れまわってた頃のウチの兄貴がそー呼ばれてた」
手にもった箸をついついと言葉の端々で踊らせながら
「俺は兄貴と違って異能が一応あったから、兄貴の理解者にはなれなかったし、
もう随分連絡もとってねー。俺をクッソ汚い空手の道場にブチ込んだ後は放ったらかしだったからな」
まあ、おかげでスラムで一人で生きていける力は身についたのだけど
今も別に互いが関わりあっているわけじゃない、と言葉を続けて
「ン…げひん…?そうか…」
そうか、食事の時にああいう話題はNGらしい、フェイおぼえた
「オマエの彼氏も風紀委員?じゃーしょうがねェな。
スラムの人間とやり合うことなんて、日常茶飯事だろうし。
たまたまそれが俺の兄貴だった、ってことだナ」
フェイエンの言葉はどこまでもドライだ
本来は複雑な気分になってしまうのだろうが、これもスラムで生きてきた故の性格かもしれない
「…ま、オマワリが異能暴走させてたら世話ねーもんな。妥当だろー」
謹慎などの処分の話、そして直前の沙羅の様子を見ていれば、さもありなんといったところだ
■水無月 斬鬼丸 > 謹慎処分、異能が暴走、仲間に対しての傷害
10日間の謹慎処分、異能学会に出頭
聞けば聞くほど胡乱と言うか不穏と言うか…
むしろ、あの力を使ったのか?
あの身体が異様に発熱してしまうような…
めまいがしそうになった。
しかもフェイのお兄さんが原因と来る。
いや、まて、おちつけ。
フェイの言う通り、スラムの人間と風紀がぶつかるのはもはや日常。
どちらが傷つくのも仕方のないこと。
そういう仕事をしているはずだ。
「そう…だね。
いや、むしろ、そんなことより…沙羅ちゃんの身体の方はどうなの」
そう、目の前の少女の体のことだ。
暴走したと言うからにはそれが一番の心配事だ。
■水無月 沙羅 > 「『異能殺し』は異能を持っていない、けど。
常人にあるまじき身体能力を持ってる。
建物一つ粉砕することだってできるんじゃないかな。
正直詳しいことは私も知らない。」
「……理解者。 理解者か。
そうだね、そういう意味では。 私達と少し似てるのかもしれない。
どんなに信頼してても、理解者にはなれない。
兄さんが悪いとかじゃなくて、単純に生きて居る世界が違う感じ。」
小さなハムスターのような口で生姜焼きをはむり。
初めての割に味は悪くない、最初の頃の自分と比べたら100倍増しだろう。
余り多量の食べ物を居に受け付けない自分にはちょっと量が多かったりする。
「ん、そうだね。 妥当っていうか。 むしろ軽い処分だと思う。
下手したら風紀委員じゃなくなってたか、今頃牢の中だろうし。
庇ってくれた人が居るらしいから、感謝だね。」
そう言う意味では、運がよかったんだろう。
それが自分の異能目的であろうとも、まだチャンスがあるのだから。
「ん、私の体は……。
まぁ、大丈夫だよ。 以前と変わりない……あー。
いや、ううぅん。
あんまりよくはない、のかな。
私にもよくわからない力が眠ってるというか……。
全部話さないとダメ……?」
身体の事を話すとなると、いろいろ説明しないといけない前提が多すぎる。
それを話すのも、彼の前では少し気が引ける。
また自分を責めてしまいそうだし、自分の抱えられる分以上のものを抱えようとする姿が目に見えるようだから。
■妃淵 >
ちらりと斬鬼丸を横目で見る
見るからに不安がった、心配そうな表情をしている
まぁ、身内からそんな話を聞けばそんな状態にもなるだろうが
フェイエンとて家族愛だとかそういったものがわからないというわけでもない
「そんなに不安で心配なら風紀なんか辞めさせろヨ。
あっちこっちに異能犯罪者がいるよーな島だぞ、ココ。
別に義務でもなんでもねーんだろ?」
やれやれ、と呆れたような顔と声
「ウチの兄貴のことは悪いコト言わないからほっとけヨ。
あんなバケモン相手にしてもいいコト一個もねーから」
ご飯をおかわりだ。生姜焼きのご飯との相性たるや凄まじい
「言うのが必要か不要かは、自分で判断すればいいんじゃねーかな。
必要なら聞いてくれるし、そうじゃねーなら別に深く聞き出そうとはしねーだろ、こいつ」
斬鬼丸に視線を送りつつそう答える
身内に心配かけたくないなら風紀委員なんてやるモンじゃないな、そんな思いは、深まる
■水無月 斬鬼丸 > 「俺が言って聞くならね。
一応聞くけど…その彼氏と一緒に風紀をやめられる?」
フェイの言葉には少し諦めにもにた笑顔。
この妹が自分の頼みを聞いてくれるとは思っちゃいない。
心配だからやめろと言ったところで危険へ飛び込むのをやめはしない。
それができる子ならそもそも風紀なんてとっくにやめてるだろう。
フェイの茶碗におかわり。
気持ち大盛り目によそって渡す。
「俺も正直、ほっといてほしいかな。
化け物とかまぁ、そういうのもあるとしても…そもそも…
沙羅ちゃんの彼氏さんがそいつをどうにかしてくれって頼んできたわけでもないんでしょ?」
沙羅の視線と言葉は…正直つらいものがある。
明らかに表情が曇るのがわかる。
だが…
「沙羅ちゃんが俺に気を使ってくれてるのはわかるけどさ…
いや…うん…なんていうか……
話したくないならいいよ
でも、知らないことをまた俺に言われても
今度はどうもしてあげられない。
俺が沙羅ちゃんを助けられるのは、俺ができることと、俺が知ってる範囲内だけだよ。
助けてほしいってときは…その…受け止める。
でも、それなら、ちゃんと助けてほしいことを言葉に出していってほしいかな」
■水無月 沙羅 > 「誰が何と言おうと風紀委員を止めるつもりは今は無いよ。
お金のこともそうだけど、あそこが私のいるべきところ。
恩もあるし、やりたいことも今はあそこにあるから。
あの場所じゃないとできない事があるもの。」
たとえ兄さんにやめろと言われても、これだけは譲るつもりはない。
理央さんを支えられるのはあの場所だけだと思うから。
それに、たぶん私は平和な日常には馴染めないと思う。
少しだけ厳しい目つきになっているのが自分でもわかる、ムキになるっていうのはこういう事だろうか。
「……異能殺しに関しては、今はこれ以上関わるつもりは……うん、今は無いよ。
必要になったら、その時は今度こそちゃんと関わりに行くと思う。
理央さんがどんなに要らないって言っても、ね。」
あの人はすぐに抱え込んでしまうから、手を伸ばしてあげないと助けを求めることもしてこなかったから。
だから今は未だ、あの人の世話を焼いて居たい。
いつかそうする必要が無くなることを願ってはいるけれど。
まだ、そういう意味で自分が頼りないという事に悔しさは感じている。
暴走している様では猶更だ。
「なら、今はまだ、言えないかな。
いつか話してもいいって思えたら、ちゃんと話すよ。
兄さんに助けてほしい時は、きちんと説明する。
でも、今は兄さんに何かしてほしい訳じゃないから。
こうして、一緒にご飯食べる時間があるだけで、十分救われてるし。
なんていうんだろう、安心? できる場所だから。
そうしていてくれるだけで、十分。」
言えない理由は、彼がその居場所ではなくなってしまうかもしれないから。
自分と同じ地平に来てしまったら、私はきっと後悔する。
平和な日常を享受する彼の居場所が、私がほっと一息つける場所でもある。
そう言う居場所は、幾つかったって良い。
鉄火場に向かいやすい私たちにとって、そういう居場所になりえる人たちは貴重だし、とても大切なものだ。
■妃淵 >
「はーン。よく似てるよオマエら。不器用すぎ。
でも楽観視しすぎじゃねぇ?話題が出ただけで倒れたんだぜ、オマエの妹。
職務中に不幸な事故に合うとかそういうハードラックな話ならともかくサ」
風紀委員なんて、やってる場合なのか?
もくもく、それだけ言うと白飯にがっつくフェイエン
互いに心配をかけたくないと言いつつ、自ら危険に飛び込んでいく妹と、それを止められない兄貴
決して器用に生きれないフェイエンの眼からしてなお、歪な二人に見えていた
「兄貴にこんなカオさせた上でそこまで言えるあたり、大したモンだよオマエ」
ごちそーさん、とお椀を置く
お米粒一つ残さず綺麗に食べきった
汲んでいた脚を解いて、投げ出すようにして満腹感をアピールしつつ
「こんな状況でちょっと俺のコトまで背負うのは荷が重いんじゃねーの?斬鬼丸」
赤い視線を、斬鬼丸と交わす
■水無月 斬鬼丸 > 「…まぁ、そうだろうね。
うん。その理央さんってひとは恋人がそんな目にあってもまだ風紀に留まるひとだってなら
俺はもう何も言えないし、頑張って支え合ってほしいと思う、本当に…」
意地悪ないいかただろうか?
まぁ、そうだろう。沙羅ちゃんの言うことを今まで聞いてきたが
正直に言えば、そろそろ…無理だ。
心配するな、心配しろ
私を見ろ、でも何も言わない。
それで納得してきたが、させてきたが…
「安心できる場所にはなりたい、そりゃね…
でも、俺は何も安心できないな」
フェイの言う通りかもしれない。
「…重くてもやる。でも、そのためには、沙羅ちゃんもちょっとは協力してくれないと
困る」
■水無月 沙羅 > 「似ている……のかな、そういう感じは、よくわからない。」
話題が出ただけで倒れた、と言われると何も言い返せないのがつらいところだ。
どちらかと言うと、異能殺しの妹が此処に居る、という事に自分の何かが反応した結果なのだろうけど、それは彼女の責任でも兄さんの責任でもない。
「……私だって何も思わないわけじゃないけど、譲れないものがあるから……。」
兄さんに辛い顔を刺せている自覚が無い訳じゃない、けれどそれ以上如何すればいいのか自分自身にもわからない。
これ以上兄の居場所を壊したいわけではない。
けれど、それでもと手を掴んだのも兄さんなのだ。
でも、最後の言葉が突き刺さる。
『俺は何も安心できない。』
それはそうだ、安心できるわけがない。
安心できる理由がない、誰だって家族が危ない目に何度もあっていて、それを分かっていて何もできないというのに安心しろと言う方が無理だ。
それも、今回は目の前で倒れている。
「……。 そうだね。 兄さんのこと、また見れてなかったのは私のほうか……。」
箸をおく、まだ結構な量が残っているけど。
小食な自分にはお腹に入りそうもない。
「兄さんは、どうしたら安心できるの?」
多分この質問もわかり切っている、『自分が風紀委員』を抜ければすべて解決するんだろう。
彼の思う平和な日常に戻ればすべて解決する。
――本当にそうだろか?
■妃淵 >
「ふーン」
重くてもやる、という返答
迷いもなく、即答じゃないか
口元に笑みを浮かべ、赤い視線は沙羅のほうへ
「──…だってサ。妹が危なっかしいと兄貴は安心できねェってヨ」
「オマエのやりたいコト、いるべき場所って言い張るソレ。
斬鬼丸の色々を犠牲にしてでもそれを優先する。帰る場所としてキープしたいって我儘だもんナ」
どうしたら、なんて言葉を兄へ投げかける沙羅に肩を竦める、何を今更──
「心配かけない範囲でやりゃーいいーだけじゃねェの?
無茶はしねーとかサ。危なくなったらすぐ逃げるとかサ。
お前らどっちもそーなんだけど、悪い結果になるかもしれないけどやるんだって宣言しすぎなんだヨ。
安心どころか心配加速させてどーすんだってハナシだな」
だからお前らふたりとも不器用だって、似てるって言ったんだと
やや呆れ気味のフェイエンであった
「どーせなら絶対大丈夫だからって言えヨ。
そんで約束でもすりゃー、そう簡単に心配なんてかけれなくなんじゃねえの?」
■水無月 斬鬼丸 > 大きく、深く、息をつく。
自分の気持ちを吐き出すのは得意じゃない。
陰キャだもの。
「まぁ…フェイの言う通り…あまり無茶はしないでほしい。
あと、人の話をよく聞いて、状況を考えて行動してほしい。
なにかやるときは俺でもフェイでも理央さんでもいいから、誰かと相談してからにしてほしい。
一度は進退について、理央さんと話し合ってほしい。
突っ走る前に一旦、足を止めてほしい…」
要求ばかり並べてもあれだとは思うが…
やめろと強く言うよりはむしろそこだ。
やめたところで突進癖が治らなければ何の意味もない。
怪我する職場で恋人が怪我したからブチギレたとか流石に笑えもしないのだ。
「俺も人のことは言えないけど…あんま、心配かけないで…」
フェイの方を見た上で小さくうなずき
「沙羅ちゃんが、俺のことを安心させてくれるなら
俺も気兼ねなく、フェイのこと、背負えるから」
■水無月 沙羅 > 「う、ん……わがままってことは分かってる。 分かってるよ。」
斬鬼丸の犠牲があって初めて成立している居場所、そう言われればぐぅの音も出ない。
反論の余地もない事実だ。 ならどうすればいいんだろう、私はここを去ったほうが良いのだろうか。
それでも彼は追ってきそうな気がして、余計に頭がこんがらがりそうになる。
「心配かけない範囲……うぅ。
絶対大丈夫……か。
む、無茶は……なるべくしない。
人の話は……う、ん。 そういえば、結構聞かないで飛び出してること、多いかも……。
相談……うぅ、う……ん。」
逐一反論したくなる、間に合わなかったらどうするんだとか、無茶をしないってどうすればいいのかとか。
でも、いろいろ同僚に叱られたことと一致したりもする。
とりあえずゆっくりしろ、と言われることも多い。
何時だって全力疾走ではいけないのだろうか。
納得できているわけではない。
でも彼の言っていることが間違っているとも思えない。
煩わしい、そう思う自分も確かにいて、守るべきものは、一つじゃなくて、護り方もたくさんあるという事に、沙羅は未だに理解が追い付かない。
鉄火場に居続けた弊害の様なものだろうか。
「……ごめんなさい。」
心配している、そう言われれば、謝るほかなかった。
心配かけさせたいわけではない。 それも本心だ。
■妃淵 >
「心配かけたくねーみたいな顔して何かやる前から心配するようなことばっか言ってんだもン」
「まったくくだらねー話したヨ。オマエらフツーの環境に生きててそンなこともわかんねーの?」
現実の話をすれば、誰だって不安になる
スラムで生きる上では必須とも言える、虚勢と見栄
その使い方を知らないヤツは、こっちには案外多いのだろうか
「俺の面倒見るヤツとその妹がそれじゃー俺がめんどくせーから言っただけ。
めんどくせーの嫌いなんだぞ、ホントは」
よいしょ、ともぞもぞベッドによじのぼって、ごろり
さっきまで沙羅が寝ていたのでやや体温が残っている
「まーだ、なるべくとか言ってんのかヨ。嘘も方便だぜ。沙羅」
吐いた嘘には責任が残る
それが本当に嘘になった場合に、相手を深く傷つけるからだ
だからそれを嘘にしないように必死になることだって出来る
寝転んだまま、苦笑を浮かべて
この兄妹は本当に、嘘が下手糞だ
■水無月 斬鬼丸 > 「ははは…」
あえて何も言わない。
誰もがフェイのように自信を持って生きれるわけじゃない。
虚勢も見栄も誰しもがそれをはれるほど強い心を持ってるわけじゃない。
自分たちはそっち側だったと言うだけのことだ。
まぁ、結果はフェイの言う通り散々なものなのだが。
「まぁ、うん…ありがと、フェイ」
お礼を言いつつ、沙羅ちゃんが残したご飯を
自分の茶碗に移し
生姜焼きの残りのタレをたぱーっとかけて
「納得行かないなら、それでもいいけどね。
同じことをされて沙羅ちゃんが嬉しいかどうか考えてみればいいんじゃないかな。
まぁ、嘘でもいいよこのさい
それを見抜ける目だって俺は持ってないんだし」
ごはんもぐもぐ
■水無月 沙羅 > 「フツーって、私にはよくわからないから。
だから、そんなこともわからないのかもね。」
二人の言葉を聞いていると、どんどん自分に自信がなくなっていく。
沙羅も、くじけない心を持っているわけではない。
何時だって転んでも立ち上がってきただけで、壊れそうな心を縫い付けて必死に取り繕ってきたにすぎない。
だから、自分の生き方が否定されたような気がして、分からなくなる。
『同じことをされて沙羅ちゃんが嬉しいかどうか考えてみればいいんじゃないかな』
斬鬼丸の言葉が、深く胸に突き刺さる。
傷つけているのは自分だ、でも、自分も傷ついているとは言えなくて。
全力でぶつからないと、追いついていけない気がするとは、言い出せなくて。
相談できないことだって、あるとは言えなくて。
兄に突き放されたような気がして。
嘘のつき方がわからない沙羅は、どうしようもない言葉の行き先を見失って。
「……ごちそうさまです。」
何も言うことができない。
自分が間違っていた、という事実だけを、受け止める。
「ごめん、なさい。」
「絶対、心配……かけないように、する。」
不器用というのは的を得ているのだろう。
少女は、生きて行くことに不器用すぎる。
■妃淵 >
『自信が持てないのに覚悟だけ決まっている』ことがアンバランスで歪なのだ
覚悟が先に決まってしまったなら、無理矢理にでも自信を持たなければならなくなる
しかしそれも現実の不安が残るままでは難しい
ならばそれを塗りつぶすには…嘘と、虚勢と、見栄以外に何があるだろうか
ベッドで仰向けになって、組んだ足をぷらぷらとさせながら二人の会話を聞く
……まぁ、従妹だったかなんだったか、それでも兄と妹のようなものらしい
だったら互いの言葉は、とりあえず信頼するだろう
「ごちそうさま」
「美味かったよ、飯」
「今度またちゃんと教えろよ、沙羅」
言葉を投げかけつつ、思うことがある
この二人は似ている。同じところがある
そしてそれは…多分磁石で言うと同じ極だ
「───……」
お前ら縁切ったら?
言わなかった言葉は、胸の奥に仕舞い込む